一歩分の距離(書き直し中) 作:青い月
おい負けヒロイン8巻みたか...控えめにいって最高だった
母との約束
「これより全国中学生バスケットボール大会を開催を宣言致します」
(本当に全中の舞台に来れたんだな)
男女各24チームの狭き門を勝ち抜いた全中の選手の一人として参加できた事を改めて実感する。
式は終わりコートの中には一回戦目以外のチームは離れ試合が始まるチームだけが残り準備運動
を始め体育館には緊張感が漂い始めていた。
シュート練習やドリブルの感覚を確認してからベンチへと戻り試合前のミーテイングを終え全員が試合へのモチベーションを高めていく。
「一試合目は俺たちのチームだみんな気合入れろ!特に結翔(ゆいと)お前もだ」
チームの守護者とも呼ばれているセンターのキャプテンが皆に気合を入れる中僕を名指しで呼びチームの視線が僕に集まる。
「気合は入っています、先輩たちが僕と一緒に全中を目標にしてくれたあの日から」
そんな僕の発言を聞いてなのかチームメイト達は口角が少しだけ上がっていた気がした。
「おしそれじゃ勝ちに行くぞ」
先輩達が各々集中力を高めコートへと向かっていく中僕は今日応援で見に来てくれると言ってくれた母の姿を観客席から見つけ小指を突き出すよに腕を上げそれが通じたのか手を振り返してくれた母を見て色々思い出す。
『お母さんバスケ部のベンチ座れる事になったよ』
人より身長が低く試合に出られなかった僕は小学校高学年になりやっとの思いでベンチに選ばれた。
『そうなの!?それじゃあ絶対見に行かなきゃね』
だけどその日僕は試合に出ることはできなかった。
『ほら泣かないの』
ベンチに入ったからと言って試合で使われるとは限らない事は知っていたけどだからといって一度も出れなかった事が悔しくて母との帰り道は泣いてしまった。
『でも身長が低いだけで試合に出られないのは悔しい』
技術では他の人と大して差はないだから出られないのは悔しいと母に言った。
『結翔今から厳しい事をいうわね、小さいなら他の人と同じくらいの技術ではだめなの』
その言葉を自分の努力が否定された気がしてさっきより涙があふれる。
『じゃあどうすればいいの!?』
『小さい分他の人より努力して自分にしかない武器を作るの』
その時の母の顔はいつもの母の顔ではなくスポーツマンの顔をしていた。
『例えば?』
『そうね毎試合20点以上とれたら身長が低くても出れるわね、そう私みたいに!』
最後だけ少しだけふざけた様に言った母の言葉にそんなの無理だと不貞腐れる。
母は身長が低いがプロバスケ選手として活躍していたしそんな母に憧れて僕もバスケを始めた。
『でもごめんね結翔』
急に謝った母に耳だけ傾ける。
『大きく産んであげられなくてごめんね』
ちょっとだけ震えいていた言葉が聞こえた、それで母にそんな事を言わせてしまった自分が情けなくて悔しくなってもっと泣いてしまったがその後母に約束をした。
『僕、約束する...もう身長を言い訳にしない、身長なんて関係ないくらいのプレーをする』
『ありがとうそれじゃその時はまた試合見に行くわね』
『じゃあその日は20点以上取る』
『生意気言っちゃって、でも期待してるね』
ブザーが鳴り現実に戻りコート中央付近に歩いていくと今日マッチアップする県選抜に選ばれバスケ界隈では少し有名な人が声を掛けてくる。
「今日はよろしくちびっこ君」
挑発なのか舐められているのかどちらにせよ相当自信な自信家だなと心で苦笑いする。
「こちらこそよろしくお願いします」
(でもなめられたままなのは気に入らない)
チームメイトからは意外にも負けず嫌いと評価を受けている少年は、自分より背が一個分以上も高く実力も格上の相手に勝つために息を薄く長く吐き集中力を高める。
ジャンプボールと共に試合が始まりキャプテンが渾身のジャンプでボールを味方へと落とす、そしてハーフラインを超えた位置で自分にボールが渡ってきた。
誰かがバスケは身長が絶対のスポーツだと言った、それはバスケをする人達の共通認識である。
僕は身長の低さを逆手にとり低くいドリブルでサイドラインに沿って駆け上がって行く。
「一馬止めろ!」
栄明チームの監督から怒号のような指示が飛ぶ試合の流れを作る一本目のゴールはとても大切だからだ。
そしてその指示を受けインサイドに入れないように張り付いてくる。
(すごい瞬発力だ一瞬で追いつかれてしまった、でも...)
スリーポイントライン付近で急停止し慣性を殺し真上に飛ぶ。
ボールの縫い目に指に合わせ両手ではじくように投げる。
(手ごたえはいつも通りだ)
目の前で急停止について来れなかった相手が驚きながら声を上げる。
「リバウンドー!!」
そういいながら県選抜の彼が後ろを振り向くがボールがネットに吸い込まれた音だけがコートには残る。
(まずは一本)
「キュッ」
シューズと体育館が擦れて甲高い音が聞こえる、これは体育館でするスポーツならではの音が鳴っていて、コート内では声援にも負けないくらいの声が飛び交いその熱は応援席まで伝わくる。
そしてボールを弾ませながら物凄いスピードでコートを駆け回り、その弾む音が止んだと思うとネットを揺らす音が聞こえてくる。
観客席は全国中学生大会初戦にもかかわらずたくさんの観衆と偵察などのバスケ関係者で埋まっている。
「うわっ!ちー、人がいっぱいで流石全国大会はやっぱり凄いね~」
「そうだねちゃんと大きい声出さないと応援しないと聞こえないかも」
「それにしても1回戦でこんなに人が多いなんてやっぱり一馬君凄い注目されてるみたいね」
「う~んどこも空いてなくて座れないかも」
「まじかあっあっち空いてるみたいだよ」
女子バスケ部数人の纏まった人数が座れる場所を見つけそこへ向かうと隣には大人な女性が座っていてその人に私は話しかけてみる。
「あのすみません隣の席私たちが座ってもいいですか?」
「あら、ええ大丈夫ですよ私以外特に座って居なかったと思いますしどうぞ」
彼女は優しく上品な笑みを浮かべながら返事をしてくれた。
「「ありがとうございます!」」
私たちは女性にお礼を言って席に着き試合が始まるのを待つ。
「そういえば一馬君ってこの大会が終わったら海外にバスケ留学行くらしいよ凄いよね」
「海外に留学なんてすごいよね私は想像もできないや」
「そうだよね一馬君日本を出る前の最後の大会だから勝って欲しいけど...所で相手チームは強いのかな?鶴見ヶ丘ってあんまり聞いたことないけど...ちー聞いたことある?」
「ごめん、私もあんまり詳しくないよ」
「そうだよね、あっ見て一馬君が手を振ってるよ!緊張はしてなさそうだね」
チームメイトの指さす方を見ると確かに一馬君が手を振ってきており小さく手を振り返す。
その時相手チームの反対側のコートでアップを始めた周りと比べると一際小さい少年に目が止まる。
(あの子シュートフォームすごい綺麗だ)
「まじか!相手チーム全員で6名しかいないってほら!」
チームメイトの友達がネットに公開されているメンバー表をスマホに映して私にも見せてくる。
「えっそうなの?本当だ6名しかいないね」
「それにこのスタメンの7番の子1年生だって、身長は...140cm!?」
(私よりも小さいんだ)
「でも...シュートフォームは本当に綺麗だな」
呟くように出た声だったがチームメイトも聞こえていたようだ
「えっ?7番の子?本当だあの子全然外さないね凄っ」
その子が両手でスリーポイントラインからボールを放つとそのボールの行方は絶対に外さないのではないかと思える程正確な軌道を描きネットに吸い込まれていく。
両チームアップを終えコートに審判が入ってくる、そろそろ試合が始まるみたい。
試合の前に両チームの監督が選手一名ずつ役割を伝えるなか一馬君と先輩がふざけていたのか、監督が劇を飛ばし気を引き締めさせていた。
みんながコートへ向かう中先ほどの少年がこちらに向かって小指を突き上げていたそんな彼をみて隣の女性が手を振っている。
するとブザーがなり彼もセンターサークル付近に歩いて行きそこで一馬君と何か話しているのか少し少年の方の雰囲気が変わった気がした。
そんなやりとりを見ながら先ほど手を振っていた隣の女性が気になり話を聞いてみる。
(どこかで見たことある気がするんだけど)
「すいませんもしかして7番の子のお姉さんですか?」
隣の女性は急に話かけたからか少し驚き恥ずかしそうにしながら私に答えてくれた。
「お姉さんなんて嬉しいけどはずれ、私はあの子の母親です」
(えっ?)
「「えぇー!?」」
私は声を出さなかったが会話を聞いていた後ろのチームメイト達は驚いた声がでてしまっていた。
「えっ若」
「凄い綺麗だしウチのママとは大違い」
「バカあんたそんな事言ったのバレたらただじゃすまないわよ」
チームメイト達は置いといて話を続ける。
「お母さんだったんですねでもすごいですね一年生でレギュラーなんて」
「そうね...本当に自慢の息子です」
私はその顔を見て息子を褒められた以外の表情が混ざっているように見えた。
「あっジャンプボール始まるよ」
ジャンプボールで相手チームに渡ったボールは初めから決めていたかのように少年の手に渡るそして私よりも小さい彼が放ったスリーポイントは身長の差なんて感じさせないくらい呆気なく決まった。
「一本目だね」
彼の母親は私にしか聞こえないくらいの声量でつぶやきながら嬉しそうに小さく拍手していた。
一旦完成2話目との整合性を確認してOKなら修正終了です