ヒロアカ世界にMARVELのキャラをぶち込んだ短編集 作:龍角散ガム
もしも、ソー・オーディンソンが上鳴の師匠だったら...?
あの日。
空から虹が落ちてきたあの日から。
脇役だった俺の人生が変わり始めたんだ。
B組との対抗戦以降、俺は自身の不甲斐なさに打ちひしがれていた。
ゲームの中で雷属性というのは、一定以上の強さが確約されていた。
王道の火や氷に続く雷という力。
俺はその雷を扱うことができるという優越感に浸り、慢心をしていた。
USJ襲撃事件では、脳がショートしてしまいヴィランに捕まってしまうという失態を犯してしまうが、多くのヴィランを再起不能にすることが出来た。
校内でも轟に続く強力な個性だと、様々な人から徹底的にマークされており、それは俺自身が強いからだと自負していた。
出力を調整することで携帯電話を充電することができるなど、日常生活でも便利な個性でもあり、自分の『帯電』という個性に驕りが生じてしまったのだ。
———いや、本当は分かっていた。
自分の個性は『便利』止まりで、爆豪や轟のように強くはないのだと。
だけど、俺はそれを認めたくなかった。
認めてしまったら、俺の存在価値が無くなってしまうのではないかと。
俺は、このクラスに必要ない人間ということを自覚してしまうから。
だが、B組との対抗戦で嫌でも自覚させられた。
俺は役に立たないと。
ヴィラン向きな個性だと馬鹿にされてきた心操は、あの日まで必死に努力して俺たちを勝利に導いてくれた。
梅雨ちゃんも、切島も、口田も。
B組に勝つために磨き続けた個性を存分に発揮していた。
だけど俺は、何も出来なかった。
俺の雷はB組の奴らに通じず、囮として捕まり油断を誘うことしか出来なかった。
あの時は、みんなに悟られないように誤魔化したけど、自身への情けなさで押しつぶされそうになった。
強くなりたいと思った。
だけど、何をしたら良いか分からなかった。
雷を扱える個性持ちは少ないのだ。
参考にできる人はいない。
俺は、ただがむしゃらに足掻くことしか出来なかった。
「クソッ...!!」
自身の成長に兆しが見えず、俺は1人町外れの森の中で悪態をついた。
こんなことをしている間にも、みんなはどんどん成長していく。
だけど、何をしたら良いか分からない。
大きくなっていく怒りの感情を発散させるように、俺は電気を纏わせた拳を木に叩きつけた。
そして、全てを投げ出すかのように重力に身を任せて地面へと倒れ込む。
「俺...ヒーローに向いてないのかな...」
じわりと瞳に涙が溜まっていき、頬を伝った。
見上げていた空がキラリと輝きを放った。
「なんだあれ...虹か...?」
虹はキラキラと輝きを放ちながら、どんどん大きくなっていく。
———いや、大きくなっているのではない。
あれは......
「こっちに落ちてくる!?!?」
ゴゴゴッ...という空気を切り裂く轟音が大きくなり、虹は俺の真上へと落ちてくる。
俺はすぐさま立ち上がり、駆け出した。
「なんだよあれ!!なんだよあれ!!」
そして、
着地地点の木々を燃やし尽くし、地面に刻印を刻んでいく。
俺は衝撃に備えて身を固めていたのだが、その衝撃が俺を襲うことはなかった。
風が巻き上がるだけで、周囲に大きな被害をもたらすことはなかったのだ。
虹の奥から人影が現れた。
ガタイの良大男らしき影が徐々に大きくなり、そして、虹が完全に消え去った。
金髪でロン毛の男だった。
どこかの王様のような雰囲気を醸し出しながら堂々と地面に立ち、手に持っていた大きなハンマーをクルクルと回し、周囲を見渡している。
大男と目が合った。
俺は大男から放たれるプレッシャーに足がすくんで尻餅をついてしまい、後退りをすることしか出来なかった。
そして、大男は目の前に立ち、俺に話しかけた。
「おいお前、ここは何という星だ?」
「.............は?」
これが、後に俺の師匠となる『雷神:ソー・オーディンソン』との出会いだった。
俺はソーに流されるまま実家に招待し、しばらくの間彼を実家に住まわせることになった。
アスガルドやらインフィニティ・ストーンやら
迎えが来るまでの間世話になる、と自分勝手な発言をし、俺はソーを止めることが出来ず彼の言う通りにすることしか出来なかった。
流石に雄英高校に招くことはできず、ソーは実家で暮らしてもらうことにした。
ソーは個性とは違った特殊な力を持っており、雷を扱うことが出来た。
その雷のパワーは凄まじく、あのオールマイトにも並ぶほどだった。
そこで俺はソーに頼み込んだ。
俺を強くしてくれと。
ソーは快く俺の頼みを聞いてくれ、俺が学校が終わった後に毎日俺に稽古をつけてくれた。
だが、それがいけなかったのかもしれない。
いや、そもそもソーに流されなければ良かったのかもしれない。
何故なら......
「いくぞ電気!!」
「ちょっ!?マジで待って!!ソーの雷なんて耐えられる訳ないじゃんか!!」
「戦士がうだうだと情けない声を上げるんじゃない!!」
「俺がなりたいのは戦士じゃなくてヒーロー!!うぐぐっ......!!何でこのハンマーは動かないんだ!?」
「ムジョルニアは選ばれた者しか扱うことが出来ない」
「なんで画鋲みたいに俺を木に押し付けてるの!?」
「お前が逃げないようにだ。さあ、いくぞ!!」
「いや待って!!マジで待って!!いやァァァァァァァ!!!!!」
「いいか電気。お前に足りない物。それは筋肉だ!!筋肉全てを解決する!!」
「いや...俺はパワー系より頭脳派でいたいというか...」
「『知識は力なり』と?違うぞ。力は知識ではない。力とはこれだ。脳は筋肉だし腕もそう。体も全て筋肉だ。つまり全身が脳で、筋肉を鍛えることでより強くなれるし賢くもなれる」
「超脳筋!!助けて耳郎!!勉強は必要ないとか言ってごめん!!マジで謝る!!だから助けて!!!!」
「うぇーい...うぇーい...」
「体内の電気を全て出し切ったな。よし、じゃあまた帯電だ。いくぞ!!」
「うぇーい!?!?」
「いい返事だ!!」
「うぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!」
そう。
一言で言うならば『地獄』だった。
俺は、ソーの迎えが来るまでずっとこれを繰り返す羽目になったのだ。
確実に力はついたのだが、どんどん身体はボロボロになっていき、俺の人生の中で一番厳しい時間だっただろう。
ぐすん。
「み、皆といたいよーーーー!!!!」
大人のヒーロー達に続くように、俺はヴィラン達の本陣へと駆け出していた。
事前に了承をしたからと言って、怖いものは怖い。
正面から放たれるドス黒い悪意が体を包み込み、芯が氷のように冷たくなっていく。
「チャージ、雰囲気に飲まれるな!今一番大事なものを心に据えな」
「ミッナイ先生...」
俺は背後を振り返った。
『がんばれよチャージズマ!!』
目には見えないが、後ろには耳郎やみんなが控えている。
みんなが俺に未来を託してくれている。
瞬間、凄まじい電撃が俺たちを目掛けて襲いかかった。
俺は指先を天に掲げ、その電撃を帯電していく。
ヴィランの攻撃を完全に無効化し、その間に大人達は前へと走り出していく。
「こんな電気...ソーに比べたら屁でもないぜ...!!」
だけど...
俺はまた敵の注意を引くことしか出来ないのか...??
あれだけ修行しても、俺は役立たずのままなのか...?
『遠いんだ。緑谷も、爆豪も、轟も。どんなに努力したって、あいつらはどんどん先に進んでいく。飯田も切島も、あいつらに追いつけるように前に進んでいく。他のクラスメイトもそうだ。俺1人置いて、前へと進んでいく』
『———それで、お前はどうしたいんだ?』
『......強くなりたい』
『なら、強くなればいいじゃないか』
『無理だよ...っ!!俺は弱い人間なんだ......アンタのように強くなれない......ッ!!』
『———いや、お前は強い』
『なんたって、お前はこの俺の弟子なんだからな———!!』
———瞬間、閃光が走った。
凄まじい衝撃と落雷音が鳴り響き、電撃がヴィラン達襲い、次々と再起不能にしていく。
彼の目は青白く
その姿、まさに
彼が体を回転させヴィラン達へと突撃する。
雷は四方八方へと放たれ、ヒーロー達を避けて確実にヴィランへと落ちていく。
背後からヴィランの1人が彼に襲いかかった。
だが、空から落ちた雷がヴィランを確実に仕留める。
ヴィラン達はなす術がなく、自分が意識を失うまで怯えることしか出来なかった。
恐怖に支配されたヴィランが叫び声を上げた。
「なんだよあいつは...!?あんな化け物がいるなんて聞いてねぇぞ!!!!.......がぁぁぁ!!!」
「ひっ...ひぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」
轟音が鳴り響く中、イヤホンジャックだけは彼の声を耳にした。
「俺は、偉大なる雷神:ソー・オーディンソンの弟子。チャージズマだッッッ!!」
上鳴くん超絶強化。
原作であまり活躍がなかったので、なんとかして彼を活躍させたかったんです。
ソーの雷を受け続けることによって、帯電した電気をソーの雷へと変換できるようになったということですね。
移民の歌を流しながら、彼が無双する姿を想像してください。
また、感想ありがとうございます。
モチベに繋がるので引き続き頂けると嬉しいです。