ヒロアカ世界にMARVELのキャラをぶち込んだ短編集 作:龍角散ガム
もしも、『ピンキー』と『pinky』を間違えたら...?
芦戸三奈は困惑していた。
彼女は、いつものように友達と買い物に行き、洋服やコスメなどを買い、楽しい時間を過ごしていた。
そして、雄英高校へ変える途中、怪しい2人の人物にストーキングされていることに気がついた。
1人はカマキリのような触覚と白目の無い真っ黒な瞳を持つ女性。
もう1人は、灰色の肌と赤いタトゥーに覆われたガタイの良い男性。
2人は枯れ木の枝を両手に持ち、コソコソと芦戸の後をつけていた。
「ねぇ、これ本当にバレてないの?」
「俺に話しかけるな。今の俺は木と同化している。誰も俺の存在に気がつかない」
「...でも私には見えてるけど」
「......」
「ねぇ!!ドラックス!!」
「......あぁ、枝が折れた。またグルートから分けてもらわないと」
「これ本当に意味あるの?あの子すごくこっちを見てるんだけど」
「なら、透明になるしかない。俺の動きは...超スローで...誰にも...悟られない...」
「なら私も...ゆっくり...言葉が...遅れて...聞こえて...来る...」
芦戸は彼らに対し、どのように対応したら良いかが分からなかった。
クラスメイトにも馬鹿が何人かいるのだが、その馬鹿とはまたベクトルの違う。
上鳴や峰田が頭のネジがぶっ飛んでいるとしたら、目の前のストーカー達はそもそもネジが存在していないように感じられた。
彼らの発言は一言一句理解することができない。
いや、脳が理解を拒もうとしている。
それほどまでに、芦戸は困惑していた。
「ねぇ、本当にあの子が『ピンキー』なの?」
「あぁ、間違いない。さっき地球人に聞いたが、間違いなくあいつは『ピンキー』だ」
「でも、クィルは『ピンキー』を食べたいって言ってなかった?あの子、食べられるの?」
「食べられるに決まっている。クィルだって何人も食ってきただろう」
「......子供に手を出すのは犯罪だよ?」
「大人も子供も関係ない。火に炙って胃の中に入れれば同じだ」
「ああ、そっちのことね...というかまさか貴方、人間を食べたことがあるの!?」
「人間を食べるのは犯罪だろう。マンティスお前恐ろしいことを考えるな」
「それは今ドラックスがっ...!!...はぁ、もういい。とにかく私はあの子がクィルの求めている『ピンキー』だとは思えないんだけど」
「なら聞いてみればいいだろ」
「聞くってどうやって?」
「おい!!そこのお前!!お前は『ピンキー』か!?」
「ドラックス!?なんで話しかけちゃうの!?」
お笑い芸人志望なのだろうか。
ボケとボケとボケと少しのツッコミが四方八方に撒き散らされている。
明らかに関わると碌なことにならないのは分かっているのだが、私のことを探しているということはファンの1人だろうか?と自身が有名になっている実感を感じた芦戸は、苦笑いを浮かべながらも、ストーカーの問いに答えた。
「えっと...私が『
もしファンだったら、嬉しさ半分初めてのファンがこんな変わり者達で複雑な気持ち半分だな、と心の中で呟く。
「ほら見たか。俺の直感は正しいだろう?」
「さっき地球人に聞いたって言ってたじゃない!」
「確かに地球人には聞いたが、『ピンキー』を見つけたのは俺だ。つまり、俺が『ピンキー』の発見者ってわけだ」
「ああっ...このっ...もうっ...!!」
カマキリのような女性が、今にも噴火しそうなほど顔を真っ赤にしてぷるぷると体が震え始めた。
芦戸は、彼女を宥めるように2人の間に入る。
「ま、まあまあ落ち着いて2人ともっ!!同じファン同士喧嘩しないで、仲良く...「眠れ...」うっ...急に眠気が......」バタン
カマキリのような女性の手が芦戸の顔に触れた瞬間、芦戸は急激に睡魔に襲われた。
徐々に視界が暗くなり、完全に真っ暗に染まる瞬間、芦戸は何者かに担がれる感覚を感じ、完全に意識を手放した。
『クィル!俺とマンティスからお前にプレゼントを用意したぞ!!』
『探すの大変だったんだからね』
籠った話し声を聞き、芦戸は目を覚ました。
手足は拘束され、麻袋のような袋の中に閉じ込められているようだ。
すると、誰かに持ち上げられたのか浮遊感が襲ってきた。重心がズレて体のバランスを崩し、誰かの手元から離れ地面へと滑り落ちていく。
「あいたっ!?」
芦戸は手足が拘束されているため受け身を取ることができず、顔面から地面にぶつかってしまった。
そして、首だけを動かして辺りを見渡した。
ここは、何かの乗り物のようだった。
冷たい鉄の地面からはエンジン音のような音と振動が鳴り響いており、奥にはSF映画で見るような空間ディスプレイが何かを映し出している。
すると、1人の男性が芦戸の目の前に立った。
少し天パのかかった茶髪で年代物らしき赤いジャケットを着た男性だった。
その隣には、緑色の肌をした赤毛のログヘアーの女性と青い肌で機械のような体をした女性。
芦戸の背後には1匹のアライグマとシンリンカムイのような全身が木でできた生物?のようなものが立っていた。
「お前ら......」
男性は、芦戸を攫った張本人の2人に視線を向けた。
「どうだ?お前が食べたいって言っていた『ピンキー』だぞ?」
「地球の日本にあるって聞いたから、私たちわざわざ探しに行ったんだよ?」
2人の言葉を聞き、男性は体を震わせ始める。
そして、
「お前らっ!!地球人の子供を誘拐してきたのかっ!?!?」
男性が驚愕の声をあげ、女性2人は呆れ顔をして額に手を当ててため息をついた。
「誘拐じゃないぞ。お前が『ピンキー』を食べたいって言ったから連れてきてやっただけだ」
「俺が言ってた『ピンキー』ってのは日本のお菓子のことだっ!!どうやったらピンキー=人間って考えになるんだ!?人間を食べるわけないだろっ!?」
「俺はそうだと言った。だが、マンティスが食べるって言ったんだ」
「はいっ!?私のせいなの!?」
「はぁ...なんて事してくれたのよ全く...」
「誰よ、ドラックスとマンティスに宇宙船を貸したのは?」
「私はグルート」
「おい!!お前も手伝っただろ!?俺だけに罪をなすりつけんじゃねぇ!!」
「おいおいどうすんだよ...俺たち誘拐犯になっちまったぞ!?」
「もともとお尋ね者だろうが。人間1人攫ったくらいで騒ぐなよクィル」
「黙れロケット!!...あぁもうどうすんだよマジで!!」
クィルと呼ばれた男性は、頭を掻きむしりながらぶつぶつと何かを呟きながらその場でクルクルと歩き回り始める。
「あー...えっと...」
「あぁ、ごめんねお嬢ちゃん。うちの馬鹿共が迷惑かけちゃって」
「で、どうするのか姉さん。わざわざコイツを地球に送り返すの?」
「私はグルート」
「え?わ、私は芦戸三奈...」
「私はグルート」
「だから、私は...」
「グルートはそれしか喋れないのよ。あまり気にしないで」
「あ、そうなんだ...」
2人の女性、『ガモーラ』と『ネビュラ』に拘束を外してもらった芦戸は、手足の痛みを払うように軽く振り回しながらここにいる人たちを観察する。
「(見た感じ、ヴィランって訳じゃない...かな...?)」
芦戸は全員から悪意を感じられないことを察し、安心した。
だが、何かの間違いでここに連れてこられたのであれば、そろそろ家に帰らして欲しい。
そう思った芦戸は、ガモーラに話しかけた。
「あのぉ...別に全然大丈夫なんで、家に帰らして欲しいかなー...なんて...」
「私たちも貴女を地球返したいんだけど...」
「というか、さっきから地球地球ってなんですか?まさか、ここが宇宙だーなんて...こと...言ってるんじゃ......」
芦戸は見てしまった。
ガモーラの背後の窓に広がる光景を。
真っ黒な世界に小さく美しい光がいくつも輝いているのを。
そう、これは......
漫画やアニメでよく見たことがある......
「宇宙だぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
「ねぇ、ドラックス、マンティス。貴方達が乗ってきた宇宙船、私たちのものじゃないわよね?一体どこで手に入れたの?」
「あ、それはねネビュラ...」
「俺たちが乗ってた船の燃料が切れたから、その辺に飛んでた船を奪ったんだ」
「............は?」
瞬間、芦戸の見ていた美しい宇宙空間に大量の宇宙船が現れた。
宇宙船は地球のパトカーのように赤いランプを点灯させ、こちらに向けて機関銃を向けている。
『我々『ザフト』の船を奪った罪でお前らを逮捕する!!大人しく投降しろ!!』
芦戸三奈及び変わり者集団、逮捕される。
「最悪だよマジで...どうしてこんなことに...俺がピンキーを食べたいって言っちまったからか...?」
「クィルが言ってるピンキーってラムネみたいなタブレット菓子のこと...?」
「ああ、そうだよ。昔母さんに買ってもらったことがあってさ、その時初めて日本の菓子を食べて、日本のお菓子はこんなに美味いのかって本当に感動したんだよ。俺の住んでた国では口臭ケアくらいしか似たようなものがなくて...」
「あー......残念だけど、ピンキーはもう販売してないよ...」
「マジかよっ!?じゃあもう2度とピンキーを食べられないってことかっ!?」
「一応、お菓子じゃなくて歯をサポートする機能性表示食品としては売ってるかな...あとはミンティアとか......」
「マジかよ...もう何もかもおしまいだ......」
絶望の底に落ちたクィルを横目に、芦戸は他のメンバーの様子を確認した。
全員手錠をかけられ拘束されており、オレンジ色の囚人服に着替えさせられていた。
ガモーラとネビュラは部屋の隅で不機嫌そうに座っており、グルートとマンティスは2人で遊んでいる。
ロケットは手錠を外すために試行錯誤しており、ドラックスは大きないびきを立てて寝ていた。
「こりゃあ、鍵がないと解除できないな」
「はぁ...お前本当にそれでも発明家か?ほんっと肝心な時に使えないな」
「なんだとクィル!?もっぺん行ってみろ!!」
「それでね、地球の自然ってすごく綺麗だったんだよ!今度グルートも一緒に行こうよ」
「私はグルート」
「あー...ほんと最悪」
「同感よ...」
「グゥゥ...!!ガァァ...!!くがっ...!?」
各々が愚痴を吐いたり雑談したり絶望したりいびきをかく中、芦戸は自身の手に力を込め始めた。
「だいたい『ザフト』つったらここらで最も警備が厳しい軍隊だぞ!?クズの集まりの癖に技術だけは一丁前に持ってやがる!そんな場所の手錠を道具も無しに外せる訳...「ガチャン」そうそうこんな感じにガチャンと外せるわけが...おいおいマジかよ」
ロケットが視線を向けた先、そこには手錠を酸で溶かして自由を手にした芦戸の姿があった。
「おいお前どうやった!?」
「私はグルート!?」
「おい頼むっ!!どうやったかは分からないが俺のも外してくれ!!」
全員が芦戸に手錠の解除を求めて群がるが、芦戸は手をパンッと叩き、クィル達を落ち着かせる。
「貴方達の手錠は外してあげる。だけど、一つだけ条件がある」
「ここを出たら地球に送り返せってか?」
「それもある。でもそれとは別の条件」
「別の条件って?」
「それは、ここに捕まっている人たちを助けること」
「はぁ?囚人共を助ける?そんなことをしてお前になんの得があるんだ?」
「『ザフト』って人たちは、警察だけど悪い人たちなんでしょ?ここに連れてこられるまで色々な捕まっている人を見たけど、みんないい人みたいだった」
「『ザフト』は善悪関係なく自分達に気に食わない奴らを捕まえているからね。無罪の人も多いわ」
「でも、それとアンタに何も関係ないじゃない」
「関係あるよ。私はヒーローだもん。困ってる人を見つけたら助けるのが仕事なんだ」
「「「「「...」」」」」
「Zzz......」
「私はグルート...」
「で、どうするの?この条件呑んでくれる?」
「ピンキー!!俺の銃をこっちに投げろっ!!」
「はい、いくよクィル!!」
「よっしゃあ!!いくぞ馬鹿共!!」
「おぉー!!」
「わああぁぁぁ!?止まらないよぉぉぉぉぉぉ!?!?」
「おい馬鹿ピンキー!!勝手に俺のブースターを触るんじゃねぇ!!」
「そんなこと言ったってぇぇぇぇぇぇ!?!?」
「ピンキー!!早くこっちへ!!」
「ま、待ってよガモーラ!!」
「ああ、もう...私に掴まりなさいっ!!」
「わぁ!?ネビュラ!?」
「...アンタ、なんか嬉しそうね」
「......うるさい」
「私はグルートォォォ!!」
「私はピンキーィィィ!!」
「私はマンティスゥゥゥ!!」
「いっけぇ!!ドラックス号!!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
「あははははっ!!早い早い!!」
「ったく...らしくないことしたぜ」
「同感よロケット...もう2度と正義のヒーローごっこはごめんだわ」
「でも、貴女嬉しそうだったじゃない。妹ができたからかしら?」
「うっさい!!」
「私はグルート」
「うん....分かった...ネビュラお姉ちゃーん♪♪」
「なっ......!?!?」
「ネビュラのやつ、顔が赤いぞ。故障か?」
「ドラックス...貴方ってほんとうに...はぁ...」
無事『ザフト』から脱出し捕まっていた人々も助け出した芦戸たちは、船の中で英気を養っていた。
「そんじゃあ、もう一つの条件を達成させますかね」
そんな中、クィルは立ち上がり船の行き先を設定し始める。
「ねぇ、ピンキー。連れてきた私が言うのもなんだけど、私たちと一緒に宇宙を旅しない?」
「ああ、お前はコイツらと違って勇気もパワーもある。見た目はアレだがな」
「ありがとう、マンティス、ドラックス。だけど、私は帰らなきゃ行けない場所があるんだ。友達が待ってるから」
「そう......」
「私はグルート...」
「2人ともそんな悲しい顔をしないの。ピンキーにはピンキーの、私たちには私たちの人生があるんだから、無理はいけないわ」
「ありがとう、ガモーラ......」
「話は終わったか?......じゃあ出発だ!!」
クィルはエンジンを起動させ、船を地球へと向かわせる。
芦戸は、ほんの僅かな時間だったけれど、彼らと過ごした時間はとても大切なものとなった。
新たにできた家族。
たとえどれだけ遠くに離れていても、この絆は消えることはないのだろう。
芦戸は彼らとの絆を胸の奥に大切にしまうのだった。
「ここから地球までは大体...2週間くらいだな!!」
「いや思ったより長いっ!!!!」
「Ooh childふんふふんふふん〜〜〜♪」
「お前...何をしている......?」
「何って、ダンスバトルだよ。次、切島!!」
「え、あ、は...?」
「はい切島負け!!some day yeah ♪ふんふふ〜ん〜♪」
「だから...何をしていると言っているのだ...!!」
「アンタの気を逸らしてんだよ。ギガントマキアから私にね」
「ああ。あと、頭上注意ね」
ズドォォォォォォォン!!!!!!
「ピンキー!!無事っ!?!?」
「おい見てみろよグルート。高く売れそうなのばっかだぜ」
「私はグルート」
「グルートの言う通りよロケット。今はピンキーたちを助けなきゃ」
「あのデカいやつが敵か?」
「違うわよドラックス。さっきの作戦を聞いてなかったの?」
「俺たちが作戦なんて立てられるわけないだろガモーラ。......よしお前ら!!正義のヒーローごっこのお時間だ!!」
「お、おい芦戸?あいつら知り合いか?」
「うん!私の大切な家族!!」
「そして、銀河を守る正義のヒーロー...」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだよっ!!」
芦戸ちゃんとガーディアンズで馬鹿騒ぎして欲しい
一緒にガーディアンズ・インフェルノ踊って欲しい
そんな想いが集まって出来上がりました。
ピンキー、気がついたら消えてましたよね。
調べたら2018年頃に生産中止したらしく、今ではミンティアばかりが...
かなしいね。
あと、複数人を同時に描写するのクッソ大変ですね。