ヒロアカ世界にMARVELのキャラをぶち込んだ短編集 作:龍角散ガム
もしも、雄英高校の校長が根津校長ではなかったら...?
雄英高校の入学試験から1週間後、緑谷出久は魂が抜けたように日常を過ごしていた。
筆記の方では自己採点でギリギリ合格ラインを超えていた。だが、それを帳消しにするほどの実技試験0ポイントという圧倒的マイナス。
そして、入試以降オールマイトと連絡がつかなくなっていたのだ。
虚無。ただひたすらに虚無感だけが出久を襲っていた。
「通知...今日明日くらいだっけ!?」
「んん......」
「もうっ!!雄英受けるってことだけでも、凄いことだと思うよお母さん!!」
「ん......」
母が必死に出久を励ますが、出久は気の抜けた声で返事をするのみ。
食事もまともに喉を通らず、気を紛らわすようにバーベルを片手に合否通知を待ち続けることしかできなかった。
「出いずいずく出久!!!!」
突如、母が取り乱した口調で出久へ望む元へと走り出した。
「来た!!来てた!!来てたよ!!」
その手には、待ちに待った雄英高校の合否通知が握られていた。
母から合否通知を受け取った出久は、1人自室に篭りその通知を見つめていた。
バクバクと心臓の鼓動が激しくなり、身体中から汗が吹き出してくる。
「............」
自室に篭ってから数十分、ついに出久は意を決して合否通知の封を開いた。
『んっんん〜〜〜〜!!私が投影された!!!!』
「オールマイト!?!?」
思わぬ人物が投影されたことに驚愕し、出久は合否通知と投影されたオールマイトを何度も見直した。
『諸々手続きに時間がかかって連絡取れなくてね。いや、すまない!!』
『私がこの街にきたのはね、他でもない。雄英に務めることになったから何だ』
「雄英にオールマイト......!!」
『......いや、前置きはここまでにしておこう。君の試験結果なのだが......筆記は取れていても、実技は0ポイント......』
『不合格だ』
「ッッッ......!!」
分かっていた。
実技が0ポイントの時点で合格など不可能であることを。
だけど、ほんの僅かだけ期待していた。
神様がこの10ヶ月の努力を見てくれたのではないかと。
オールマイトが個性を譲渡してくれたように、もう一度奇跡が起きてくれるのではないかと。
だが、奇跡は2度も続かない。
『......すまない緑谷少年。実は、この試験では敵ポイントだけではなく、救助活動ポイントも見ていたんだ』
『君の救助活動ポイントは60ポイント。それを加味すれば合格ラインに達していたのだが、校長がそれを許さなかった。私も、他の教員達も異議を申し立てたが、通らなかった』
『すまない緑谷少年...我々に、私にもっと力があれば...』
『本当に...すまない......ッ!!!!』
こちらに向かって頭を下げるオールマイトを最後に、映像は途切れた。
「い、出久......?」
出久を心配した母が、部屋のドアから出久の様子を伺う。
「......ははっ......ダメだった......」
「出久......」
「ごめんねお母さん...」
「僕、やっぱりヒーローになれなかった......ッッッ!!!!」
「新入生の入学手続きは済んだのか?」
「はい、先ほど最後の受験生が通知書を開いたのを確信しました。合格者への書類の送付と、我々の事務方の手続きも完了しております」
「オズボーン校長」
「うむ。それなら問題ない」
「ですが、本当に良かったのですか?緑谷出久はヒーローになり得る存在です」
「己の個性も制御できない人間がか?確かにあの試験ロボットを破壊した実力は認めよう」
「だが、たった一撃だけで奴の体は崩壊した。そんな奴を
「救助活動ポイントが何だ。ヒーローとは力がなくては意味がない。力こそが全てだ」
「大いなる力には、大いなる敬意が伴う」
「奴は敬意を得られる存在ではない。これは奴のためでもあるんだ。貴様も分かるだろう?」
「......はい...そう...ですね......ッ」
入学試験から3ヶ月。
出久は一般の高校へと進学し、ごく普通の日常を過ごしていた。
教員としての仕事が忙しいのか、あれからオールマイトと出会うことはなかった。
つい先日、USJにヴィラン達が襲撃したという事件を耳にしたが、オールマイトが駆けつけヴィラン達を撃退したらしい。
そして、幼馴染でもある『爆豪勝己』も活躍をしたらしい。
爆豪が雄英に入学してから、彼は著しい活躍を果たしており、その活躍は嫌でも緑谷の耳に入ってくる。
母は爆豪が活躍する度に、出久が活躍したかのように喜んでいた。
当然、出久も爆豪の活躍は喜ばしいことなのだが、どんどん離れていく爆豪との距離に出久の心は蝕まれていった。
あれから、出久はトレーニングを止めることはしなかった。
雄英に入学できなくてもヒーローにはなれる。
努力すれば、いつかは報われる。
そう信じて、毎日トレーニングを続けていた。
いつものトレーニングを終えた出久は、帰りに買ったヒーロー雑誌を手に家に帰った。
「ただいま、お母さん」
玄関に見たことのない靴が置かれてるのに気がついた。
見るからに高級な素材で作られており、一般家庭である緑谷家が買えるような物ではなかった。
誰かからのプレゼントなのだろうか?
それとも、母がボーナスかへそくりを使って奮発したのか。
様々な疑問が浮かんだのだが、直接聞いた方が早いと判断し、出久は母の元へと向かった。
「ねぇ、お母さん。玄関にすごい高そうな靴があったけど、あの靴どうしたの?今日って何かの記念日だっ......け......?」
「いず...いずずすいずいず出久.....!?!?」
「やぁ、緑谷くん」
パサリ...と出久が持っていたヒーロー雑誌が地面へと落ちる。
出久が視線を向けた先。
そこには、信じられない人物が座っていた。
「え....?は.......?え......なん...で......?」
「君に挨拶に来た。メールしただろう?」
「メ......メール......あ、貴方からメールなんて......ッ!?」
「出久!!奨学金なんて初耳よ!?」
「奨学金!?」
「セプテンバー奨学金。君、応募しただろう?」
「え...あ...はい...?」
「彼とじっくり話がしたい。お母様、少しお時間を頂いても?」
「も、もちろんですっ!!」
「では、失礼。いくぞ、緑谷くん」
「えっ...あっ...ちょっと!?!?」
男性に腕を引かれ、出久は自室に連れて行かれた。
一体何が起きているのか理解できない出久は、男性と2人きりになった瞬間、彼に問いかけた。
「あ、あのっ!!奨学金って一体なんのことですか!?僕応募した覚えないんですけど!?!?」
「待った。まずは聞け。一つ質問。答えは分かっているが......」
男性の手元のデバイスから放たれた映像が宙へと投影された。
「君がワン・フォー・オールの継承者だろう?」
「ッッッッ!?!?」
そこには、雄英高校の入学試験に向けて行った時のトレーニングの映像が映し出されていた。
「そしてこれが入学試験の映像。ワォ、すごいパワーだ。ナイスパンチ。オールマイトの『デトロイトスマッシュ』のオマージュかな?」
「なっ......!?!?!?」
これまでオールマイトと過ごした映像や会話、試験後に1人で行っているトレーニングまで、全ての出来事が男性のデバイスから映し出されている。
「さぁ、ワン・フォー・オールの継承者、緑谷出久くん。.....ああ、ちょっと待った。改めて自己紹介をしよう」
「僕はトニー・スターク。君をスカウトしに来た」
アイアンマンの登場方法は色々と考えましたが、これが一番しっくり来ました
シビルウォーとフレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマンのオマージュですね