緋弾のアリア(仮)   作:Quasar

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あらすじにも書いてある通り二番煎じの内容になるかと。あと、続くかどうかもわかりません。気まぐれに書いたものなので。
それでもいいという方はこの駄文、お楽しみください。


始まり・プロローグ?

 皆さんは神様というものを信じますか? あらゆる願いを叶えられる神様とか、死神でもなんでも良いです。兎に角神と名の付くものを信じられますか?

 

 ――――私は、信じます。なぜなら……私が、転生者だからです。あぁ、安心してください。別に頭がオカシイとか面白可笑しいモノではないです。本当の本当に正真正銘転生者なんです。アレです。所謂神様チート転生者ですね。チートなんてなくて普通に幸せに過ごせればいいんですが……どうやら転生した世界がそれはもう物騒な世界らしくて。世に犯罪が蔓延り、それに対応するように武装探偵なるものが設立され、銃刀法がもうありえないくらいにゆるっゆるになってる世界です。

 

 さて、ここでもう察しの良い方はわかると思いますが、私が転生したのは迷惑にも『緋弾のアリア』の世界です。原作知識なんて私には皆無ですし、銃とかそんな物の種類なんてわかりませんし、そもそも興味もない普通の女子中学生の私にはそんな殺伐した世界、例えチートを授かったとしても生きていける気がしません。というか生きていけません。はい。モロ生き残っちゃってるんですけどね。

 そればかりか、なんの因果か私はちゃっかり武偵中に入学させられました。まぁ、何の因果といっても理由はわかりきってるのですが……。私が(強制的に)もらったチートの中に『冷静沈着』、『異常神経』、『魔眼』、『自動』という何ともオカシナものがあるからです。詳しく言えば他にもありますが……まあ、この四つに比べればあまり特筆すべき物ではありません。

 因みに『冷静沈着』の効果としては、簡単に言えば無口無表情。言葉は片言と言いますが、一言づつしか言えないみたいで……。無表情といっても、たまに、たまーに微笑むくらいは出来るんですよ? それ以外はできないだけで……。

 まぁ、それはいいんです。問題はその次。『異常神経』と『魔眼』と『自動』です。『異常神経』は、もう私とは違う別の何かが私を操っているのかと思うほど体が勝手に動くのです。こう、ハンドガン(?)の弾が一メートル位しか離れてない場所で放たれたとしても簡単に避けちゃうんです。本当に異常ですね。ありがとうございました。 ……簡単に言ってしまえば、神経というもの全てが異常に発達しているらしいです。反射神経とか、運動神経とか、その他諸々……。

 そして次に面倒なのが『魔眼』です。皆さんは魔眼なるものを幾つ御存知ですか? 私が知ってるのは多分世にある魔眼の中でもかなり少数でしょう。この『魔眼』は、知っていようが知っていまいが関係なく全ての“特殊な眼”が使えるんです。いえ、正確には知っていなくても頭に叩き込まれるんです、『眼』の知識が……。はい、言いたいことはわかります。思いっきり名前詐欺ですよね。

 そして最後にして一番厄介なのが『自動』。これは名前だけで察しの付く方も、いえ殆どの方が察しがつくと思うのですが……なんというか、武偵として歩み始めてから頭角を現したチートでして、その場その場での最適な行動を私の意識が外れている間勝手にしてしまうんです。私の意志に関係なく。

 まぁ、そういう諸々の理由で周りに“普通じゃない”という扱いをされて、無理矢理に武偵中に入学させられたのです。正直、この時は神様というものを本気で恨みました。

 そして今、私は、何故か高校にまで行っちゃっています。

 

 そんな私が“普通で幸せな生活”が出来るかどうか……良ければお見届けください。

 

 

 武偵高。それは武装探偵、通称武偵を育成する高等学校。そして今日はその入学試験日。ここで好成績を取ればS~Eに分かれるランクの中で上位にいける運命の日。とは言っても、Sになる生徒はホンのひと握りしかいないのが現実だ。

 それでも、試験を受ける者は相応の覚悟を持って試験に挑む。

 

 一部の人間を除いて。

 

 その一部の中で取り分け異質な存在を一人紹介しよう。彼女は周りから見ればいつでも冷静沈着で、時折人間離れした動きをする少女だった。白雪のように真っ白な白銀の長い髪を一本に束ね、他の生徒と同じように制服の下に武装をして、脇には何故か大きな辞書のような本を持っている、控えめに言っても美少女と称されるほどの。表情はなく、期待も不安も何も移していない目はまるで人形のような、ともすれば硝子細工のような無機質さでどこか不気味でありながら神秘を感じさせる少女だった。

 

 その少女はまっすぐと強襲科に向かって歩いていた。その足取りは軽やかでありなんの憂いも気負いも感じさせないもの。

 だが勘違いしてはいけない。この少女は別に冷静沈着でもなんでもなければ、勇猛果敢なものでもない。

 この少女、心の中では、

 

 ど、どうしよう……どうしようどうしようぅーっ!? 道に迷っちゃった!? あ、でも目の前にちょうど建物があるからここに入って教務科の人に聞けば大丈夫……かなぁ……?

 

 などと考えていた。外見と中身がまったくもって違う少女である。ちなみに少女の名前は無垢式雅。メタいことを承知で言うのならば無垢式は空の境界という作品から。雅は全盛の名前である。

 そんな雅は外面は冷静に、内面では困惑しながら歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 私は今、人生で三十五番目くらいに焦ってるかもしれません。嘘です。三番目です。

 一番目は言わずもがなで転生した時。あの時ほど焦ったことはありません。いえ、あの場合は混乱していたといったほうが正しいのでしょうか? まあ細かいことはいいのです。二番目は……まあ、秘密ということで。

 さて、そんな今の私なんですが……絶賛迷子だったりします。

 いや、私をそんな哀れんだ目で見ないで下さいよっ! だって初めて来た場所なんですよ!? しかもここバカみたいに大きいんですしっ! だから私は方向音痴というわけではありませんっ!

 

 ……とまあそんなこんなで歩いていたら良く分からない場所について、チートの私が誰かに道を尋ねられる訳もなく適当な教室に入って適当に座っていたんですよね。それで時間が来るまでまだ少し余裕があるので窓から空を見上げながら雲の形で連想ゲームして遊んでいたんです。

 ……と、まあ現実逃避は程々にしましょうか。

 どうやら私、間違えて強襲科に入ってしまったみたいなんですよね。

 強襲科ですよ強襲科。あの卒業率が九十七%程しかないと言われてる(私にとって)地獄の科ですよ。泣いていいですか? 泣きますよ? これは神からの泣けという思し召しですか? まあ、泣けませんけどねっ! 生まれてこの方一回も泣いたことないんですよ、私。生まれた時もお腹がすいた時も、まあ……子供の頃に無意識で粗相をしてしまった時も。今思えば、これが一番“普通じゃない”と思われた原因なんでしょうね。

 あぁ、また現実逃避してました。

 って、あれ? あれれ? なんで私の周りに見知らぬ人が倒れてるんです? いえ、それよりも……ここ、どこですか? え? 廃墟? 廃ビル? 私こんなところに来た覚えなんて一度も――――ぁ、まさか……。また、『異常神経』の仕業でしょうか……?

 昔から何度かあったんです。特に武偵中に入った時から特に。気付いたら知らない場所に居て任務を受けていたり、何故か気がついたら先生達に褒め殺しされたり、後輩先輩方には尊敬と奇異の目で見られたり……今回も、それでしょうか……。あぁ、また嫌な予感が……。

 あっ、と、取り敢えず外に出ましょう。この倒れてる人達は……私の力じゃ運べませんし、置いて行ってもいいですよね……? いえ、置いていきましょう。長年培われた私の勘がおいて行けと囁いています。

 ……スミマセン。多分私が悪いというのはわかってるのですが……はぁ……。

 

 で、降りたら降りたで先生になにか言われるんですね、わかります。あぁ……今からもう憂鬱です……。

 

「ふむ。Bチームで帰ってきたのは雅だけか。お疲れ様」

「ん」

「今日はもう試験終了だから家に帰って結果が送られてくるまで待ってなさい」

「さようなら」

「あぁ、さようなら」

 

 やっぱりねっ!!

 …………と、取り敢えず、先生にも言われましたし、家に帰りますかっ。

 ……嫌ですね……。なんで毎回毎回こんなことになるんでしょう……。それもこれも『異常神経』と神様が勝手にチートをつけたからですよね。

 っというか、なんですか、私の素っ気ない態度。もっとこう、ちゃんと出来ないんでしょうか……? 私のことなんですけどねっ! ……泣きたい……。

 

 

 

 

 

 

 初めて無垢式雅を見た時の感想はただの小娘か……と、それだけだった。実際、毅然とした佇まいで立っているが、たまに目には不安の色が見え隠れする、無表情な部分と見た目が浮世離れしていることを除けばどこにでも居るようなまだ青臭い子供にしか見えなかったからだ。

 

 今回入試試験として採用されたのはあの戦闘狂ジミた蘭豹から提案されたバトルロワイヤル形式。ABCの三種類でチーム分けされた中で時間まで、或いは最後の一人になるまで戦い続けるという実戦ないし戦争のようなものを思い浮かばせるようなもの。

 

 だから試験が始まった時のあの状況は夢なんじゃないかと思いながら目を疑った。

 何故なら監視カメラから見えるそれが俺の予想を遥かに超えていて、雅が全員を圧倒していたからだ。……あれは戦闘というものではない。ワンサイドゲーム、一方的虐殺と言われるものだ。

 銃を撃たれても紙一重で避け、接近戦で追い込もうとすると返り討ちにあう。そんなことが繰り返しまるでルーチンワークのように続けられていた。いつの間にか全員が全員あの小娘を狙っていたというのに、あの小娘は……雅は当然のように攻撃は避け、カウンターで攻撃し相手を確実に撃墜した。さっきまで目に不安の色があったというのに……だ。しかも、今は憂いを帯びた目になっている。

 多分、アイツは今、拍子抜けだとでも思っているのだろう。自分より強い奴がいると思って不安だったんだろうが、いざやってみれば誰も自分に対処できないのだ。例え全員が一斉に掛かってきても。あぁ、侮っていた。見た目だけで判断していた。アイツは小娘なんかじゃない、“化物”だ。もしかしたらSランクの中でも上位に入るくらいの強者、だ。

 それを理解した瞬間、俺の足は無様にも震えてだした。そして力の限り歯を食いしばる。

 あぁ、侮っていた。自分が憎らしくなる。Sランクとわかった時点で足が震えてくる自分が憎らしい。何十年も鍛錬を続けていた自分より圧倒的に強いアイツが羨ましい……。

 教師失格だ、俺は。武偵失格だ。教師という座に付き、自分が強いと思い込んでいた。それに加え本当の強者を見た目だけで判断したのだ。見た目ではなく、そのものが放つ気迫を見れば一発で分かったことなのに。

 ……いや、今悔やんでも仕方ない。そろそろアイツが戻ってくる頃だろう。

 

「ふむ。Bチームで帰ってきたのは雅だけか。お疲れ様」

「ん」

 

 教師という面子を崩さなかったのは最後の意地だった。だが、体は正直で足は今でも震えている。

 ……雅が短い返答だったのも、俺なんかと話す言葉がもったいないと思ったからだろうか?

 

「今日はもう試験終了だから家に帰って結果が送られてくるまで待ってなさい」

「さようなら」

「あぁ、さようなら」

 

 多分、そうなのだろう。現に雅が発言したまともな言葉は「さようなら」というたったの五文字だけだったのだから。

 去っていく雅の後ろ姿を眺めながら小さく拳を握りつつ未だに倒れたまま動かない入学希望者達の手当をしてもらうために救護科(アンビュラス)へ連絡をした。

 

 それがある程度一段落してから俺は人気のない場所に行き、煙草に火を付け煙を燻らせる。……今日という日を俺は一生忘れることはないだろう。上には上が居ることを再認識させられた一日だ。これからはもっと精進していこう。せめて次雅にあった時胸を張って教師といえるように。武偵だと誇れるように。




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