緋弾のアリア(仮) 作:Quasar
そして今回も短いです。
それでもいいという方はこの駄文、お楽しみください。
入学式が終わって次に日。
早い人はもう友達やら何やらを作ってることなのでしょうが……なぜ、でしょう? 私、皆さんに避けられてるような気がします。いや、まあ、私が普通じゃないっていうのは理解してますよ? いつも無表情ですし、強襲科のSランクですし。でも、そこまで避けなくてもいいじゃないですかっ! アレですか? 昨日、先生のHRが終わった後に話しかけられた時片言でしか返さなかったからですか!? 違うんです! 不可抗力なんです! 私はもっと皆さんとお話したいんですーっ!!
……なんて、そう言ってもこのお口様は私の意思に反して片言以外で話してくれませんけどね。
はぁ……遠山くんにも近付けませんし、星枷さんは違うクラスですし……災難、です……。うぅーっ帰ったら存分に本に愚痴りましょう。筆談で、ですけど……。
――――ッ! そうだ! 筆談ですよ筆談! これなら私の素が出せるはずです! 日記でも私の素が出せてましたし! そ、そうとわかったら早速有言実行です! さあ、友達作りますよー!
っと思っていた時期が私にもありましたとさ。
えぇ、ダメでしたよ。ん、とかわかった、とか違う、とかしか書けないんですよ! なんでですか!? 日記ではちゃんとかけたのに……。それもこれも全部冷静沈着と異常神経のせいです……。なんで私の思い通りに動いてくれないんでしょうか? 魔眼はある程度私の思い通りに動いてくれるのに……。
あ、雲可愛いなー。あれはドーナッツでしょうか? だとしたらあれはうさぎさん? って、あーっ! 逃げてくださいうさぎさん! 後ろ、後ろにチュパカブラが! ってチュパカブラさんも逃げてくださいー! 後ろに何かわからない変な形のものが迫ってますー! ……あーっ!!!! 飲み込まれちゃい……ました……。チュパカブラさん……。
はっ! まだです! まだウサギさんが――――。
「なぁに余所見しとんじゃぁ? 無垢式ぃ?」
「……別に」
「……ちっ。脅し甲斐のないやっちゃなぁオマエは。今回は見逃してやるけど次は覚悟しとけや」
「ん」
――――死ぬかと思ったぁっ! そうですよ、今蘭豹先生の授業じゃないですか! なんでよそ見なんてしたんですか私のバカー! うぅ……今回は冷静沈着に助けられました……。
でも、余所見する要因を作ったモノに助けられるなんて、なんか複雑です……。
あ、うさぎさん、いなくなっちゃってます……。今日はいいことなさそうですね……。
✝
普通の学校では入学式の次の日は授業が少ないか教科書を配るなどの時間になるのだが、ここは武偵高。普通とはかけ離れた場所だった。
まず寮に移った時にはその部屋に必要な教科書は一通り置いてあるのである。たまに教師科の手違いでないものがあったりするのだが、そういう場合は自分で取りに行くというのがセオリーだ。故に入学式の次の日からは普通に勉強を始める。
ちなみに蘭豹の名は東京武偵高校に通うものなら誰でも知っており、またそれに伴う異名も知られているので第一印象凶暴な肉食獣として恐れられている。
幸か不幸か雅は蘭豹と直接会ったことがあるので(寮に移るとき知らせに来たのが蘭豹)、その怖さや恐ろしさを身を持って知っている。
閑話休題
そんな武偵高で唯一平穏な時間と言われる普通授業が終わった昼休み。
授業が終わると同時に雅は教室から抜け出していた。向かう場所は食堂ではなく、屋上。どうやら小心者の雅にとって食堂は高度な場所に過ぎるようだ。別に高度でも何でもないのだが。
ではなぜ屋上なのかといえば、生徒にとって不人気な場所ナンバーワンが屋上だからである。
夢見る少年少女よ、武偵の通う学校に夢などないと言っておこう。なぜなら、武偵とは犯罪でなければ依頼で何でもこなすので、至る所から恨まれたりするのだ。例えば犯罪者。犯罪者は自分を捕まえるであろう、または捕まえた者を快く思うものだろうか? いや思わない。だから狙撃などで命を狙われることもたまにあるのだ。そして屋上はフェンスがある事を除けばほぼ全方位から狙うことができる、格好の的なのだ。であるからして屋上は武偵に不人気なのだ。
雅は『異常神経』により聴覚もクジラやウサギ等と同じくらい良いので、放たれた弾が鳴らす風切り音だけで判断し避けることが出来るので気にしなくても別にいいのだ。とはいっても、雅はそんなこと知らないし、ここを選んでるのは簡単に人がいないからである。
そんな屋上。どうやら今日は先客が居たようだった。
フェンスに背中を預け、狙撃銃を背負い、青色の綺麗な短髪を風に靡かせ、恐らく家から持ってきたであろうカロリーメイトと天然水の入ったペットボトルで昼を過ごしてる少女。もうお分かりだろうが、狙撃科のSランク武偵、通称ロボットレキだ。
人がいるなんて微塵も思っていなかった雅はレキの姿が目に入った瞬間硬直する。しかし外面や雰囲気はかすかにも変わっていないのは本当に冷静沈着さまさまなのだろう。
雅がレキを見たように、レキも突然入ってきた雅を軽く見る。そして直ぐに視線を外しカロリーメイトを食べるのに集中をし始めた。
ここで漸く硬直していた雅は再起動を始める。話しかけるべきか話しかけないべきか、少しの間逡巡して結局話しかけないで隅で食べるという選択をした。流石小心者。考えることが万人と違う。
そうと決まればと雅は早速隅の方に移動し、懐からカロリーメイトを取り出し食べ始めた。
食べ始めてからレキも自分と同じカロリーメイトを食べてることに気が付き、妙な仲間意識を芽生えさせながらも話しかける事はせずお昼休みは終了した。
一方レキの方は、雅のことを全く気にしていなかったと言ったら嘘になる。露骨に反応しなかったのは、ここで下手な行動を取って距離を置かれたくなかったからだ。
なぜあのロボットレキがそんなことを気にするのか、その答えはいたって単純だった。
――――雅から風を感じない。
そう、ただそれだけだった。まあ、それだけでもレキにとっては大きなことになるのだが。
レキにとっては風は自分の全てであり、絶対のモノだ。それが聞こえないとなると、それは不安と疑問しかもたらさない。だからレキは当分の間雅を観察することにしたのだった。
その少し後からある事をきっかけに彼女たちは親交を深めていくことになる。だがそれは、また別の話。
書いてる途中、構成が頭の中から吹き飛んでしまい、最後の方は支離滅裂になってしまいました。少し時間を置いて改訂、編集をさせていただきます。