仮面ライダー×仮面ライダー ジェイナス×アルカナ NOVEL大戦Glorias 作:地水
運命を占い、告げる仮面ライダー・アルカナ。
共に戦う比翼連理の仮面ライダー・ジェイナス。
二人のライダーが出会うとき、物語は始まる。
頼打地区、郊外の廃ビル。
その屋上にていくつもの怪しい影が謎の機械の目の前に屯していた。
蠢く人影達の横で一体の大きな躯体の人物は目の前にある光景を見ながら呟いていた。
「エナジークリスタルがこんなにも……これだけあれば、数多の世界にミネラリオンも送り込めるものだ」
人影は、暗闇の中で目を光らせながら暗躍する。
彼のすぐそばにあるテーブルには球体の形をした無色のエナジークリスタルがボックスの中にて無数に鎮座していた。
―――その中に一つだけ黄金色に輝く結晶があることも気づかずに。
謎の怪人はこの世界――【ジェイナスの世界】と表される世界にて暗躍する。
いずれ遭遇する『壮大なる戦い』の前触れの事件。
そして、異なる世界で活躍する仮面ライダーの出会いでもあった。
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頼打地区、とある公道。
昼下がりに差し掛かった頃、一台のバイクとサイドカーが道路を走ってとある場所へと向かっていた。
一台は白い大型バイク・クロスサイクロン、乗っているのは夏川一登と飛鳥優奈。
もう一台は赤いサイドカー・XF-Z、乗っているのはレオンハルト。
二台の愛機と共に三人は噂の"怪物騒ぎ"が起きている廃墟へと向かっていた。
やがて、郊外にある件の廃墟の近くまで辿り着いた一同はクロスサイクロンとXF-Zを止め、自分の足で向かっていく。
三人は徒歩で移動している最中、先行していたレオンハルトが口を開く。
「それにしてもこんな郊外で怪物騒ぎとはねえ」
「どうやら肝試しとか廃墟マニアが俺達が向かっている廃墟で怪物を見たって噂が最近流れているんだとさ」
「俺の国でもそういう馬鹿はいたもんだよ。なにせ土地は無駄に広いからな」
「あはは、心中お察しするよ」
皮肉気味に笑うレオンハルトを見て、一登は苦笑いを浮かべた。
そんな中、優奈は一登の背中にしがみついてびくびくと震えている。
「優奈、もしかして怖いのか?」
「だ、だって怪物の正体がお化けとかだったらー……」
「はぁ、お前、これまでも怪人達と戦ってきただろ? それに比べたらまだましじゃないか」
「それでも怖いんだもの……! うぅぅ……一登君、絶対離れないでね!!」
涙目になりながら一登にくっつく優奈と、そんな彼女を見て一種の愛しさを感じる一登。
夏川一登と飛鳥優奈……彼ら二人こそ、この時代に生まれた新たなる仮面の戦士―――仮面ライダージェイナスだ。
ライドクリスタルに宿る仮面ライダー達の力を融合させ、全く新しい姿で数々の怪人達を倒してきた実力者だ。
だが仮面を脱げば、仲睦まじい点が特徴的な二人なのである。
甘い雰囲気を醸し出す二人を見て、協力者である海外からの捜査官・レオンハルトはジト目で見ながらため息をついた。
「はぁ……ごちそうさんよ、こんなところでも平常運転なんてお兄さん安心するわ」
もはや見慣れつつあるいつものやり取りを繰り広げながら、レオンハルトは先導を努めつつ、一登達と共に件の廃墟へ向かうのであった。
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廃ビルの入り口へたどり着き、三人は足を踏み入れる。
レオンハルトが持ち込んだ細長いタイプの防犯ライトをつけ、床を照らす。
一登が後ろに隠れる優奈を安心させるために手を握りながらその様子を静観していると、レオンハルトは【奇妙な足跡】を見つけ、納得した表情を浮かべた。
「なるほどな……見てみろ二人とも、真新しい足跡がある」
「これって、誰かが出入りしているってことか?」
「ああ、しかもこの足跡は靴のもんじゃねえ……俺達お得意の『案件』かもな」
レオンハルトは口角をにやりを上げ、皮肉交じりに2人に呟いた。
一登の表情は真剣な顔立ちに変わり、ここに怪人達が何かの目的でいるのではないかと考えた。
「お、お化け? ……幽霊とか、そんなんじゃ、ないよね?」
身体を震えながら訊ねてくる優奈を見て、一登とレオンハルトを張り詰めさせていた緊張が解けた。
どうやら彼女のお化け嫌いは筋金入りの模様で、無理に緊張して張り詰めるよりは……と思った一登とレオンハルトの二人は思わず笑いあう。
涙目になっている優奈を安心させながら一登と、先行するレオンハルトは足跡を辿って奥へ奥へと進んでいった。
「どうだ、レオンハルト」
「
やがて、辿り着いた先にあったのは、暗闇の中で蠢く何体もの人影。
人影は何らかの仕草をすると、上へと繋がる階段を上り、姿を消した。
レオンハルトは無言で一登へ向けてハンドサインを見せると、人影から見つからないように忍び足で迫る。
死角に阻まれ、気づいていない人影の背後を取ると、首のあたりに腕を回し、絞め付ける。
鍛え上げられた筋力による締め付けに耐えられなかった人影はすぐに意識を手放すように動かなくなる。
目標が沈黙したのを確認すると、その姿を確認する。
―――そこには甲冑を纏った人ならざる怪人の姿があった。
「……なんだこれ、人間じゃないよな?」
「だ、大丈夫か?」
「ああ、こっちにこい」
安全を確認したレオンハルトは物陰の一登達に声を飛ばし、安全を知らせた。
一登と優奈がレオンハルトの元に向かうと、見慣れない怪人を見て眉を顰めた。
「なんなんだコイツ……ミネラリオンでもない?」
「ま、まさかこれがお化けなの……」
「ビビりすぎなんだよお前。手足もある、物理も効く、チョークスリーパーも決まった。これで幽霊なものか」
謎の甲冑怪人を見てさらに震える優奈に対し、呆れながらもレオンハルトは諭す。
彼なりの気遣いかもしれないが、目の前で繰り広げられた
そうは思いつつも、一登は口にせず、レオンハルトと共に謎の怪人を目立たない所へ運ぶと、怖がる優奈を連れて上へとむかった。
屋上へとたどり着いた三人。
静かに覗き込むと、そこにいたのは自分たちが知らない怪人の姿があった。
長い牙を生やした虎にも見えるその怪人は傍らにいる甲冑の怪人に呟く。
「タロン兵共、出番だ……このエナジークリスタルを運べ」
「「リョッ」」
タロン兵と呼ばれた先程倒した怪人と同じ姿の兵士達はコンテナボックスに積まれた無色のエナジークリスタルを運んでいる。
それを見た一登と優奈は驚く。
「「あれってクリスタル!?」」
「あれはエナジークリスタルの方だな……あれだけの量だと何をするかわからねえぞ」
冷静に総数を把握したレオンハルトの言う通り、エナジークリスタルを用いればかつて倒されたはずの怪人達は復活する。
そうなればようやく取り戻した平和が再び恐怖と混乱の世界へと舞い戻ってしまう……それだけはダメだ。
一登と優奈は同時に頷くと変身ベルト・ジェイナスドライバーを取り出し、それと同じタイミングでレオンハルトは手にした銃を構えてボックスに狙いを定める。
「そこだッ!!」
―――ダァン!
発砲と共に放たれた銃弾は真っ直ぐエナジークリスタルの詰められたボックスへと飛んでいく。
そして銃弾はボックスに直撃しようとした、―――その直前に鋭い爪によって切り裂かれた。
侵入者に気付いた虎の怪人達は唸り声を上げながら銃口を向けるレオンハルトに警戒を図る。
「誰だぁ? こっちのお仕事を邪魔しやがるいけ好かない奴はよぉ!」
「そううまくはいかねえか。だが、そっちはどうかな!」
自信満々に告げたレオンハルトの言葉を聞いて、怪人達は気づいた。
―――既にジェイナスドライバーを取り付けた一登と優奈がそれぞれのクリスタルを装填し、変身の準備を遂げている姿を。
【【JANUS-DRIVER】】
【ACCELE】
【MACH】
「「変身!」」
【ACCELE×MACH】
【RIDER FUSION】
一登と優奈の目の前に漆黒の素体であるライドボディが出現、2人が同時に走り出すとそれに連動してライドボディも走る。
そして一登と優奈がライドボディに融合し、漆黒のボディから赤と白のカラーディングへと変わっていく。
【BLAZING ROAD】
焔の道を往く仮面の高速戦士『ジェイナス・ブレイジングロード』へ変身を遂げた後、超高速の速度で駆け出していく。
目にも求まらぬトップスピードで迫ってくるジェイナスは怪人達へ立ち向かっていく。
まず先に動いたのはサーベルタイガーの怪人――サーベルタイガードラウ。
両腕を前脚のように構えると、そのままダッシュ。超高速で移動するジェイナスへぶつかり合う。
自慢の両腕の鉤爪の振り下ろし、攻撃を仕掛けようとするもジェイナスは咄嗟に身体を反らして回避。
バイクの
「「ハァァ!!」」
「どらっせいぃッ!!」
ジェイナスの繰り出した回し蹴りが直撃し、空中へ投げ出されるも、そのまま身を翻し着地するサーベルタイガードラウ。
並大抵の敵なら怯むその一撃を受けても何事もなかったように態勢を立て直すと、サーベルタイガードラウは饒舌に話し出す。
「チッ、お前なんなんだ? 仮面ライダーってヤツかぁ?」
「「だったら、どうした?」」
「すんごく気に入らねえなぁ! 我が同胞たちを何人も屠ってきた仮面ライダーはいわば怨敵! 倒すほかあるまいよ!」
サーベルタイガードラウは態勢を低くすると、一気に駆け抜けて鉤爪で攻撃しようとする。
ジェイナスは火炎攻撃で牽制すると、一旦サーベルタイガードラウから離れてその一瞬の隙をついてジェイナスは再び超高速でダッシュ。
狙うはタロン兵が運ぶエナジークリスタル……ジェイナスは拳に炎を纏わせながら、ボックスへと振りかざした。
だが、鋼鉄の如く硬い甲殻がジェイナスのパンチを防いだ。
一体なんなのか、と思いながらよく見るとそこにいたのは別の怪人だった。
甲殻類によく似たその怪人――カブトガニドラウはジェイナスの拳を軽く弾くと、愚痴のような言葉を零した。
「はぁーぁ、何やってるんだまったく。ダルすぎるぜ……」
「「防がれた!?」」
いきなりの新手の登場に後方へジャンプして避けるジェイナス。
そんなジェイナスを他所にカブトガニドラウは視線をジェイナスからサーベルタイガードラウへ向けると、彼へ向けての嫌味をぶつけた。
「おい、虎坊主、しっかりと護衛ぐらいやれよ。そんなんだからアルカナみたいなライダーに見つかるんだよ」
「んだとっ、カニ野郎! お前こそ真っ赤になるまで煮るぞ!?」
互いに言葉の刃を向け合って言い合うカブトガニドラウとサーベルタイガードラウ。
二体の異質な雰囲気を感覚的に感じ取ったジェイナスは戸惑いの声を上げる。
「一登君、これって……」
「ああ、今まで出会ってきた怪人達とは全く違う!」
未知の怪人達であるカブトガニドラウとサーベルタイガードラウに対し、警戒するジェイナス。
一筋縄では行かないことを判断したジェイナスは自在変剣ライドキャリバーを呼び出し、手にしてドラウ怪人達へ立ち向かっていく。
一方、レオンハルトは銃を構え、再び狙撃を図ろうとする。
だが、それを邪魔するかのように背後から襲いかかる者がいた。
「……!! あらよっと!」
気配を察して咄嗟に転がって振り下ろされた刃を回避。
すぐさま振り向き、銃口を構えたレオンハルトが見たのは、先程絞め落としたものと同じ姿の甲冑の怪人・タロン兵。
タロン兵達は剣、槍、円形の盾、杯型の銃といった武器を構え、レオンハルトへ突撃を仕掛けてくる。
レオンハルトはギョッと驚きながらも突撃してきたタロン兵の盾を力任せに奪い取り、他のタロン兵の攻撃を防御する。
「オラァ! おいライダー、ヤベェぞ!このままだと数で押し切られる!!」
「だがこの古生物コンビ、強い!」
ジェイナスーー一登はサーベルタイガードラウとカブトガニドラウの振り下ろしてくる凶刃を捌きながら防戦一方に立たされていた。
俊敏な動きを披露するサーベルタイガードラウと、硬い甲殻で攻撃を防いでくるカブトガニドラウ……二体の攻防一体のコンビネーションによって翻弄されていた。
このままでは質と数、二つの力に押され、俺/私達負けてしまう。
―――嫌な考えが脳裏に過ぎたとき、金色の光が視界の端で捉えた。
顔を向けると、ボックスの中にエナジークリスタルの中に紛れ込んでいた黄金色をした宝珠が光を反射していた。
それを目にしたジェイナス―――優奈が叫んだ。
「一登君! あれ! あれ!」
「ライドクリスタル!? なんでこんなところに!?」
「使ってみよう! このままじゃ私達が……!」
「鬼が出るか蛇が出るか……一か八か、使ってみるか!」
二人の考えがまとまると、デリーター達が近づいてきた所にジェイナスは全身から熱い炎の噴射。
怯んだ隙に超高速でテーブルに置かれたボックスまで迫り、エナジークリスタルをかき分けて金色色のライドクリスタルを掴む。
「ゲッ、なんか変なクリスタルがある!?」
「くそっ、狙いはそれか!?」
敵の狙いがエナジークリスタルだと気づいたサーベルタイガーとカブトガニのドラウ怪人二体は焦った様子で迫る。
逆転するなら、この場面しかない……そう思ったジェイナスは咄嗟に謎のライドクリスタルをライドキャリバーに装填した。
【ARCANA・MATERIA-RIDE】
電子音声が鳴り響いた途端、突如ライドキャリバーの刀身から光が放出。
金色の光を以て現れたその光は達や複数のタロン兵達を蹴散らし、上空へ登っていく。
曇天模様の空を切り裂くように灰色の雲は消え去り、晴れた紺碧の空が覗いた。
そして、その青空からでてきた『存在』にジェイナス達は目を奪われた。
「……なんなんだ? あれは?」
「「仮面、ライダー?」」
レオンハルトとジェイナスはその姿を見て口々に呟いた。
―――そこに現れたのは、金と黒に彩られた謎の仮面の戦士であった。