仮面ライダー×仮面ライダー ジェイナス×アルカナ NOVEL大戦Glorias 作:地水
突如真依と共に光に飲まれた仮面ライダーアルカナ/御崎統人。
まるで世界ごと引っ張られるような感覚に襲われた後、ゆっくりと目を開ける。
「ん、んん……?」
アルカナの視界に入ってきたのは、見慣れない廃墟の屋上と何人かの人影。
その姿をよく見れば、見知った感じの怪人達と見慣れない仮面ライダー……。
怪人の方を見れば、サーベルタイガードラウとカブトガニドラウというマンモスドラウとは別のドラウ怪人達がタロン兵を引き連れており、突如現れたであろうこちらを見て驚いていた。
「お、お前はアルカナ!? 何故この世界にいやがるってんだ!?」
「あー……それなんだが虎坊主、多分アレだ」
宿敵であるアルカナの登場にサーベルタイガードラウが驚く中で、カブトガニドラウは見当がついているのか指先をとある方向へ向けた。
その先に立っているのは、アルカナにとっては未知の仮面ライダー……ジェイナスその人。
彼らが持つライドキャリバーに収められている金色のライドクリスタルを見て、サーベルタイガードラウはすぐに思い至った。
「チッ、あのクリスタルを使ってアルカナを呼び出したって事か……余計な真似を!」
サーベルタイガードラウは勢いよく鉤爪を振りかざし、真空刃を解き放った。
ジェイナスはいきなりの飛び道具が飛んできて咄嗟に身構えるが……攻撃が直撃するより早く、アルカナが動いた。
【The・Hierophant】
「そうささせるかっての!」
【Reverse・Hierophant】
「これ使ってみて!」
アルカナがタロットベルトにアルカナカードを翳した後、大きな5角形の盾・ハイエロファントシールドが出現。
それをジェイナス目掛けて蹴り飛ばし、ジェイナスは飛んできたその盾を咄嗟に掴み、サーベルタイガードラウの真空刃を防いだ。
物の見事に防御したその光景を見て、ジェイナスーー一登は驚く。
「すごい、この盾……頑丈だな」
「感心している場合じゃないよ、一登君! ほら、こっちにきた!」
ハイエロファントシールドの性能に驚きつつも、ジェイナスーー優奈の声で我に返ると片手にライドキャリバーを構え、襲い掛かってくるタロン兵たちを迎え撃つ。
振り下ろされる剣や槍をハイエロファントシールドで防ぎ、がら空きになった胴体へライドキャリバーで一閃。
まるで中世の騎士のような戦いぶりを発揮しながら、タロン兵達を倒していく。
自分が助力したとはいえジェイナスの健闘ぶりに、アルカナは感心の声を上げていた。
「いいねえ。何処かの旅人さんの言葉を借りるなら、『ライダーは助け合い』でなくちゃ」
「ふざけてんのもいい加減にしろ、アルカナの坊主」
突如アルカナへ襲撃を仕掛けてきたのは、カブトガニドラウ。
鋭い棘のついた尾を振り回しながらアルカナを追い詰めようとする。
幸いフールフォームの高い運動性による跳躍力によってアルカナは回避することができたが……容赦のない斬撃がアルカナに襲い掛かる。
カブトガニドラウのすぐ傍にて着地をすると、再び振り下ろされるカブトガニドラウの鋭い尾を捌いて避けていく。
「おっと、容赦がないね。今回の事件はドラウ怪人じゃない
「そうやってお前に無駄口を零す程馬鹿じゃない。邪魔者であるお前はそこの新入りどもと纏めて死ね」
「あらまぁストイックな……お侍かなにか? おっと」
鋭い斬撃を繰り出すカブトガニドラウの攻撃にアルカナは一旦距離をとると、新しいアルカナカードを取り出した。
【The・Magician】
【Reverse・Magician】
電子音声と共に生み出されるのは炎、水、岩石、風の四つの
アルカナは周囲に浮かぶエレメントの球体達に飛び乗っていき、そのまま空高くへジャンプ。
そして再び"№.01 マジシャン"のアルカナカードをベルトへ翳した。
【Final Turn……Magician】
「マジシャンズヴォルテックス!」
空高く舞い上がったアルカナはエレメントの球体をサッカーボールの如く蹴り飛ばす。
四つのエレメントの球体は重なり合って一つの光球へと混ざりあうと、カブトガニドラウへと飛んでいく。
これはまずい、と思ったカブトガニドラウは身構え、アルカナが繰り出した光球による必殺技・マジシャンズボルテックスをその身で受け止めようとする。
「ぐぬぬぬぬ……でりゃああ!」
何とか光球に耐えながらその場で踏ん張るカブトガニドラウ。
だが、流石にライダーが繰り出す必殺技を無傷で防ぐには少々厳しく、彼の甲殻に罅が入りつつあった。
少々キツイな、と内心焦りながら耐えるカブトガニドラウ……そんなドラウ怪人相手をしていたアルカナは気づく。
「待った……あの虎のドラウ怪人何処行った?」
周囲を探ってみると、カブトガニドラウ以外の視界にはタロン兵と戦うジェイナスしかいない。
もう一体のドラウ怪人がいないことに気付いたアルカナが一瞬焦っていると、突如視界で光がはじけ飛ぶ。
そちらの方へ見れば、カブトガニドラウが受け止めていたはずのマジシャンズボルテックスが粉砕され、そこから飛び出てくるサーベルタイガードラウがいた。
自身の体を錐揉み回転させ、サーベルタイガードラウが突撃を仕掛けてくる。
「仕留めたぁァァァ!!」
「なっ!?」
サーベルタイガードラウが繰り出した錐揉み回転突撃はアルカナの身に着けた装甲を掠め取る。
まるで大剣で切り裂かれたような一撃をもらい、アルカナは突き飛ばされる。
凄まじい勢いで抵抗する暇もなく、このままでは地上の地面に叩きつけられる……そう覚悟していた時だった。
【BIRTH/METEOR/TWO・RIDER-BULLED】
「間に合えってんだ!!」
【BLASTER-BURST】
その声と共に、地面へ落ちようとするアルカナを青い流星の如く飛んできた"何か"が包み込む。
見れば先程ジェイナスと戦っていた屈強な男……レオンハルトが手にした機械仕掛けの銃・ライドブラスターから放たれた光のクレーンのアームがアルカナをキャッチしていたのだ。
どういう原理かは分からないが、どうやら助けられたようでアルカナはレオンハルトへ向けて感謝の言葉をかける。
「ありがと、ミスターハンサム」
「御世辞はいいっての、タロットカードのライダー。うちのライダーを助けてくれよ」
「OK、このアルカナに任せて」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるレオンハルトにそう言われて、アルカナはジョーク混じりに返して了承した。
同じ時、ジェイナスはライドキャリバーとハイエロファントシールドを駆使した攻防一体の戦いでタロン兵を追い詰めていた。
繰り出される攻撃をハイエロファントシールドで受け止め、ライドキャリバーで叩き切る。
そんな戦い方を早くも身に着け、ジェイナスーー一登は少し感心していた。
「この盾、凄い使いやすいなぁ」
「この盾といい、さっきの攻撃といい、あのライダーって何者なのかしら?」
ジェイナスーー優奈が訝しむように、アルカナなる全く知らない仮面ライダーは二人にとって未知の出会いだ。
今までライドクリスタルを通して色んなライダーと接触してきたが、今回現れた彼に関しては何処か違う雰囲気をジェイナスらは感じ取った。
そもそも敵なのか味方なのかさえあやふやなため、注意しなければならないのは確かだが……そう思っていると、アルカナ目掛けて突進してくる存在がいた。
――先程、アルカナを落としたサーベルタイガードラウだ。
「覚悟、仮面ライダー……でりゃあ!」
両腕に大きな鉤爪を展開しながら、ジェイナスへ迫るサーベルタイガードラウ。
大振りに振られたその鉤爪がジェイナスの体を切り刻もうとする……が、そこへ邪魔するがごとく軽薄そうな男の声が響く。
「そうは問屋が卸さないってね!」
その瞬間、ジェイナスの隣に立つように現れたアルカナ。
彼はジェイナスが持つハイエロファントシールドを同じく持つと、勢い良く叫ぶ。
「構えて! 気合入れて耐えるよ!」
「「ッッ!!」」
アルカナの言葉と共に、ジェイナスは体に力を入れて身構える。
その直後、サーベルタイガードラウが錐揉み回転しながら突進する攻撃を再び繰り出し、ハイエロファントシールドと激突する。
暫しの間ライダーと怪人の両者がぶつかりあう拮抗が続き……やがて、先にその状況を崩したのは、サーベルタイガードラウだった。
「がっ!?」
ハイエロファントシールドとぶつかり合っていたサーベルタイガードラウが武器にしていた鉤爪が罅が入り、破損してしまう。
痛みに耐えかねて回転の勢いが落ち、そこを狙ってジェイナスとアルカナの両名は全身の力を込める。
「「「いっせーのっせっ!」」」
ハイエロファントシールドを握る力を一斉に込め、二人のライダーはサーベルタイガードラウを押しのけさせた。
食らいつくべき相手を失った今、勢い余って屋上の足場を崩しながら大の字になって倒れるサーベルタイガードラウ。
その剣歯を覗かせる口からは悔しい声を上げていた。
「ちっくしょう、これでも勝てないってのかよ!?」
「おい、虎坊主、一旦逃げるぞ……最低限のクリスタルは確保は出来た。ココは要済みだ」
自分が空けた穴からカブトガニドラウの顔が覗き、サーベルタイガードラウは苦渋の表情を浮かべて声を殺す。
やがて自分の中にある激情をいくぶんか落ち着かせた後、立ち上がって何処かへと消えていく。
あとに残されたのは、彼らの悪だくみをしていたであろう壊れた機械装置と、ライダー達との戦闘した痕跡だけだった。
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見知らぬ世界でのドラウ怪人との戦闘後……。
廃墟の敷地内から出てきた統人は困ったような表情をしていた。
「不味いなあ、これが奴らの言ってる災厄ってヤツと関わることになるのなら……きっとコレだけじゃすまなくなるぞ」
統人は今自分が知っている情報を整理し始める。
今現在、少なくとも三体のドラウ怪人が暗躍している。
しかもエメラードなる謎の鉱石怪人もおり、『数多の世界を巻き込む不の連鎖』を起こそうとしていると来た。
少なくとも、ミネㇻリオンなる防御力がやたら高い怪人もいるため、一筋縄ではいかないことは明らかだ。
そんな事を延々と悩んでいると、そこへ声をかけてくる人がいた。
あの時、共に戦ってくれた一登達三人だ。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「あーえっと……どういたしまして。えっと、君達は一体?」
一登に会釈されて思わず頭を下げた統人は三人へ質問をした。
それに対してまず挨拶をしたのは一登と優奈だった。
「俺は夏川一登。で、こっちが……」
「私は飛鳥優奈です」
一登に続いて優奈はニコリとした笑顔で統人へと向ける。
美しいお嬢さんだなぁ、と思いながら見ていると、ドシッとした重みと共に自分の首に太い片腕が回される。
どうやら先程戦ったレオンハルトが親し気に絡んできたようだ。
「レオンハルトだ。気軽に呼び捨てでいいぞ」
「重い重い、筋力の愛が重い」
類稀なほど屈強かつ健康的な肉体を有しているレオンハルトに、たじたじになりながら統人は勢いが削がれる。
そんな統人を無視してレオンハルトが質問をぶつけた。
「なあ、あのアルカナだったか? お前が変身していたんだろ? なんなんだあれ?」
「まあ隠す必要もないか……あれはアルカナ。それがこのオレ、御崎統人が変身する仮面ライダーさ」
レオンハルトの質問に統人は一枚のアルカナカードを見せて答えた。
ソレは変身するときに使う『No.00 ザ・フール』のカードであり、一登と優奈はまじまじと見る。
「タロットカード、みたいなアイテムってことか」
「うーん……住むところ違うとアイテムも違うのかな」
クリスタルで変身する自分達とは全く異なる変身アイテムに興味津々な一登と優奈。
そんな4人のやりとりが繰り広げられていると、唐突に統人の携帯端末が鳴り響く。
いったい何なのかと思って着信に出ると……聞こえてきたのは悲痛そうな真依の声。
「――統人ォ!今どこにいるのぉ!」
「真依ちゃん!? ああそうか、キミも一緒に来ていたのか! よかった!」
「よくないっての!! 今すぐ地図の場所に来て! 大変な事になってるの!」
「ええ……わかった」
勢いに気取られて、シュンと落ち込んだような表情を浮かべる統人。
彼のただならぬ様子を見て、一登達三人は心配そうに様子を伺う……。
その日、ジェイナスとアルカナは知らなかった。
これが後の大事件へと繋がる始まりの戦いであることを。