朝、あたしはインターホンの音で目が覚める。ていうか、ホントにうるさっ…
「ふぁ〜…誰だよ、こんな朝っぱらから…」
大あくびをかましながら、玄関に向かい、扉を開ける。すると、そこには飲食店で一緒にバイトをやってる後輩の男の子がいた。
「…後輩くん?どーしたの?こんな朝早くから…今日、バイトのシフト入ってたっけ?」
入ってないと言う彼。そしてどうやら、何かプライベートであたしに何か用があるようだった。
「…ふーん?まぁ、上がっていって……いや、やっぱダメ。よく考えたら、化粧してないじゃん。」
流れでそのまま彼を部屋にあげようとしたが、そういえば身だしなみなんて全く整えていなかった。女としての尊厳粉々じゃん。
「対して仲良くない後輩くんに、すっぴん見せる義理ないし。ほら、出てった出てった。」
そう言って、扉を閉めようとするが、なんと彼は扉に足を挟んで閉めるのを妨害してきた。
「って、こら!玄関のドアに足を挟むな!閉めれないでしょーが!」
ぐぐぐ…!と、無理やり閉めようとするが、なかなか引いてくれない。くそっ、強情な奴め…!
「く…!この、ストーカー予備軍め~…!女のケツを追いかけていいのは、イケメンだけだって習わなかったか⁉︎」
そう言って、尚も閉めようとするあたし。しかし、彼はあたしの言葉を意に介さず、自分はそのイケメンだから問題ないとのたまわってきた。
「うわ、なにその自信…鏡、いっぺん見て出直してこい?な?」
皮肉が通じないのか「いいから上げてくださいよー」とのたまう彼。
とうとう根負けしたあたしは盛大なため息をつきながら、こう答えたのだった。
「まぁいいや…自信家だけど、非モテな後輩くんを放っておくのも忍びないし、家に上げてあげようか。ほら、さっさと上がんな?」
「お邪魔しまーす」とニッコニコで人の家に上がる後輩くん。ちょっと可愛いと思ってしまった自分が悔しい。
彼を部屋に招き入れ、あたしは早速身だしなみを整える準備を始めるのだった。
「さーて…化粧化粧っと。まずは洗顔から~…」
そこで彼が「先輩、夢魔なんですから、魔法使えば一発じゃないですか?」とか言ってきやがった。この男はホントに何もわかってねーなー。
「ちょ、身もふたもないこと言わないでよ…これでも、人間社会に馴染もうとしてんだから。魔法で化粧したら、一瞬で終わるじゃん?」
そう、たしかに魔法を使えば一発だが、それだと人間社会に来た意味がなくなる。一応、留学って名目でここに来てんだから。
「こうして手間をかけて化粧することで、人間ちゃんの苦労を理解しようと思ってたのに…まぁ、いいや。化粧魔法、発動発動~っと。」
と、頭の中でお題目を唱えたものの、やっぱり面倒だったので、化粧で顔面工事を速攻終わらせる。魔族に一定の理解がある後輩くんの前なら、別にいいでしょ。
あ、今度はお着替えしなきゃダメか。今のあたし、パジャマ姿のままだった…
と、身支度に関して思考を巡らしていると、後輩くんが微妙に気まずそうに顔を逸らしていた。はは〜ん、さてはコイツ…
「あ、な~に?まさかお姉さんの着替えを覗く気?後輩くんのぉ、えっち♡」
面白そうなので、少しからかってやったら、ムキになって反論してきた。「覗く気なんてありませんよ⁉︎」だってさ。
「はははw そんなムキになるなよーw 逆にそうだと言ってるようなもんだぞー?w」
尚も食ってかかる後輩くんをテキトーにあしらって、脱衣所で着替えようと思った矢先、後輩くんが「エッチなのは先輩の方だって証明します!」とか言って、スマホを操作し始めた。なになに?
「ほ~…催眠アプリ。それはどこで?」
後輩くんが見せてきたのは、人に催眠をかけて、言うこと聞かせ放題との触れ込みのアプリだった。でもこんなアプリ、見たことないなぁ…
後輩くん曰く、自分で作ったとのこと……え、自分で⁉︎ 後輩くん、すごいなぁ…
理系の学部に通ってるってのはチラッと聞いてたけど、まさかこんなものを自力で開発できるとは…将来有望だね、あたしのお婿さんにでもなる?
「へぇ~…いいね、望むところだよ。君お手製アプリの実験台になってあげる。」
後輩くんはどうやらこれであたしをわからせたいらしい。男のちっぽけなプライドってやつかな?可愛らしいし、少しだけ付き合ってやろう。
「うんうん…この輪っかの中に、一点集中すればいいんだね?どれどれ~…」
あたしは後輩くんのスマホ画面に集中する。
……特に何も起こらない。いや、マジで何も感じない。
え、これどう見てもパチモンだよね?いや、あたしが夢魔だから、単純に効かない可能性も…
…後輩くんの様子を見るに、自分の作ったアプリがあたしに効くと信じて疑ってないみたい。仕方ないから、ちょっと悪ノリしてやるか。
「……あれ?なんか頭、ボーっとして…」
「……あ、ごめん、何?一瞬、意識飛んじゃって…」
それっぽい感じに演技してみる。小躍りして喜んでる後輩くん、単純で可愛い♡
こんな安っぽい演技で騙せるなんてお姉さん、君の将来が心配だよ♡ さっさと娶ってあげなくちゃ♡
「あ、はい…足を、ペロペロすればいいんだね?じゃあ、靴下ぬがすね…」
後輩くんが足舐めを要求してきたので、大人しく従う。無論、洗脳された感じのフリして。
そしてあたしは後輩くんの指をクンカクンカする……うわ、めっちゃ臭い♡ ある程度は予想してたけど、実際に嗅いでみると頭トリップする♡
「~~~ッ/// くっ、さ♡ ハァ、フゥ…ンッ♡」
自分でもヤバめの声が出たなって思った。だって仕方ないじゃん、後輩くんの足が臭いのが悪いんだもん♡
ひとしきり匂いを堪能した後、あたしは彼の足の指を舐め…いや、しゃぶりついた。
「ンッ…♡ フゥ、ハァ…♡ アッ、ンッ…♡」
無我夢中でしゃぶりつく独身留学生のあたし。
これでも華の女子大生なのに、なかなか男との出会いに恵まれなかったし、これくらいしても問題ないよね♡
「プハ…/// へへ、靴下の中の生足って、こんなに臭いんだねぇ…♡ 味も独特だし…♡」
かなり長い時間しゃぶり尽くしていたつもりだったが、時間としては10分も経っていなかった。
よかった、これからすることを考えると、実際の時間の進み具合は遅ければ遅いほどいい。
「え~?何のことかなぁ?ちゃんと催眠にはかかってるよ~?」
ここであたしの様子がおかしいことに気づいたのか、本当に催眠にかかってるか確認してきた。全く、変なところで勘が鋭いんだから…
「だから命令通り、足を舐めてやってんじゃん…♡ 後輩くんの、くっさ~い足♡」
そう茶化してみると、後輩くんは顔を真っ赤にしてあたしから目を逸らす。そーいうとこだぞ?全く♡
「つーかさっきの、なかなか面白いアプリだね…♡ 今度はあたしが本物の催眠ってのをかけてあげる♡」
なので、今度はこちらから後輩くんに打診してみる。あたしだけ催眠をかけられるなんてあまりにも不公平だしね♡
「遠慮すんなよ~…♡ あたし、本物の夢魔だよ?夢魔たるもの、催眠をかけられたら、かけ返してあげるのが礼儀ってもんだし?」
さりげなく断ろうとする後輩くんに迫る。
自分だけ優位に立とうったってそうはいかない。あたし、勝ち逃げは許さない主義だから。
「君も催眠アプリを開発するくらいには、催眠術が好きなんでしょ?だったら本場の催眠術、体験してもらうしかないじゃん?」
後ずさる彼の顔を両手でがっしりと固定する。これでもう逃げられないね♡
「はい、顔逸らすの禁止~♪ し~っかり、あたしの目ェ見てね~♪」
目を閉じることもせず、あたしと目が合ってしまう後輩くん。まぁ、仮に目を閉じたとしても、心眼魔法で催眠にはかけられるんだけどね⭐︎
「くふふっ♪ もう意識乗っ取られてる♡ 後輩くん、チョロすぎて可愛い♡」
目が合ったら、秒で堕ちた。え、魔力耐性無さすぎでしょw
こんなの、他の魔族に出会った瞬間、手篭めにされるやつじゃん。これは何が何でも保護してあげなくちゃ…♡
「じゃー、さっそくお姉さんとベッド行こうか?今日は朝から晩まで、ガッツリ交尾しような~♡」
トドメとして、彼の耳元に甘〜い声色で囁く。彼はあたしの言葉にコクコクと何度も頷いていた。
はぁ〜、やっぱ可愛すぎ♡ 見てるだけで子宮がズキュンズキュンする♡ こんな可愛い子、絶対他の魔族に渡せない♡ お姉さんが責任持って守ってあげなくちゃ♡
「は~い、よちよち~♡ 催眠アプリごときで、あたしをどうにかできると思った愚かな後輩くんにはぁ、本場の催眠魔法をたぁっぷり、体験させてやるからな~♡ くふふっ♪」
彼の頭を撫でながら、甘い声色で囁き続ける。夢魔相手に催眠アプリで挑んでくるおバカさんには、それ相応の教育を施してあげないとね♡ なんせあたしは彼の先輩だから♪
夢魔に催眠かけられてぇな↑