第二種目の騎馬戦が終わりお昼休みになる。お腹空いたなー。
そこへ梅雨ちゃんと三奈が近づいてくる。
「悔しいわ、乱菊ちゃん。おめでとう」
「松本おめでとー‼悔しいけど完敗だったなー」
「二人ともありがとう!みんなの分も頑張っていけるとこまでいくわ。お腹空いたしお昼にしましょ」
途中で響香と百、透、お茶子も合流しA組女子みんなと食事をともにする。ふと疑問に思ったことを呟く。
「そういえばA組女子全員で食事をするのって初めてじゃないかしら?」
「そういえばそうですわね。いつもは食堂に行く組と教室で食べる組に分かれがちですものね」
「特に麗日なんて大体は緑谷と飯田と食べてるよねー?もしかして……付き合ってたりするの?」
三奈がからかうように問いかける。するとお茶子は慌てて言う。
「ちゃっ、ちゃうちゃう!二人とは入学当初から縁があって仲良くなったというか……」
「慌てなくていいのよ、お茶子ちゃん」
「そうそう!男女の仲をを超えた友情ってあると思うよ!」
落ち着かせる梅雨ちゃんと透。
「男女の友情といえば、響香も上鳴と仲いいわよね。よく喋ってるの見かけるし」
「今度はウチ⁉上鳴とは席近いしアホっぽいからついツッコミしちゃうだけだから……」
「いいわよね。アタシなんて男の子の友達すらいないんだけど!」
「松本はぶっちゃけ色気がね……思春期男子には目に毒なんだよ」
「そうそう!」
三奈の発言に透が同意する。
「副委員長の立場から申しますと、もう少し制服を着崩すのを控えて頂けないかと思いますわ。普段から第3ボタンまで外しているのは少々やりすぎかと……」
「えー。でもボタン締めると胸が苦しいのよね。百ならわかるでしょ?」
「わかりますが肌の露出が多すぎますわ」
「ちっ!」
ん?響香がいる方から舌打ちが聞こえたような。こちらを恨みがましい目で見ている。話しを変えよう。
「それにしても百はたくさん食べるわね」
「私の個性は脂質を消費しますの。ですので食べれば食べるほど個性を使用できるのですわ」
「百ちゃんもお茶子ちゃんも乱菊ちゃんも、このあと試合があるからたくさん食べなきゃいけないわね」
「私は個性使いすぎると吐いちゃうからほどほどにしとく……」
「いやアタシも食べても個性に影響ないから……どちらかというとこの回復薬が重要ね」
「回復薬?そんなのあるの⁉」
三奈が純粋な目でこちらを見る。おバカでかわいいわね。
「そうよ。これは別名命の水。アタシはこれを毎日飲んで英気を養ってるの!」
そう言ってアタシは誇らしげに胸を張る。
「「「へーー」」」
「ですがそんなものがあるとは聞いたことがありませんわ。本当ですの?」
純粋な三奈、透、お茶子あたりは騙せているが百や響香や梅雨ちゃんは疑わし気にこちらを見ている。
「まあ冗談はここまでにして……」
「えっウソだったの⁉」
「ホントはただのお酒よ。もちろんノンアルだけど」
そういうと全員が驚いている。そこから百と梅雨ちゃんを中心としたお説教タイムが始まった。なんでも未成年者のノンアルの摂取は推奨されてないうえに健康に良くないらしい。
でもアタシはやめられないのだ!前世から他人のお金で居酒屋を梯子するのが好きだった。お酒の良さは未成年の女の子たちにはわからないようね……
そんな風に楽しく?食事をしていると、峰田と上鳴が歩いてきた。
「なあなあ聞いてるか?午後は女子全員ああやって応援合戦しなきゃいけねえんだって!」
「聞いてないけど……」
「信じねえのも勝手だけどよ……相澤先生からの言伝だからな」
そういって二人は去っていった。
「どうしましょう……応援合戦があるなんて聞いてませんでしたわ」
「百、作るなら飛び切りかわいいのをお願いね!」
「そうですね。わかりましたわ!お任せください!」
と意気込んで作ってくれたはいいのだが……
『あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん?アリャ?』
『なーにやってんだ……?』
『どーしたA組⁉』
他のクラスはチアの恰好なんてしていなかった。峰田たちのウソに騙されたみたいね。
「なぜこうも峰田さんの策略にハマってしまうの私……」
百がガチへこみしてる。これは後で峰田たちを占める必要があるわ。
「アホだろアイツら……」
「まあ本戦まで時間空くし張りつめててもしんどいしさ……いいんじゃない⁉やったろ‼」
「透ちゃん好きね」
響香は呆れてるけど透は結構ノリノリみたい。アタシも別に嫌じゃない。行事は楽しんだもん勝ちだしそもそもこれくらいの露出なら恥ずかしくないし。こうなったら目いっぱい楽しんでやろうじゃないの!
「そうよ、せっかくなんだし楽しみましょ!わざわざこんなかわいい衣装を百が作ってくれたんだから」
「松本さん……」
『さあさあ皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式‼一対一のガチバトルだ‼』
一対一か……アタシは乱戦とかサポートのほうが得意だし厳しい戦いになりそうね。
さっそくくじ引きを順番に引こうとすると、尾白とB組の庄田が辞退を申し入れた。主審のミッドナイトが好みな理由ということであっさり認められた。ちなみに青山はやるらしい……
繰り上がりの5位だった拳藤チームは鉄哲チームに権利を譲り、鉄哲と塩崎が繰り上がった。
そしてアタシの一回戦の相手は上鳴に決まった。上鳴か……ちょうどお仕置きしようと思ってたからちょうどいいわ。
「ひっ‼寒気がする……⁉」
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクリエーション!」』
レクリエーションかー。どうしよかしら?トーナメントに参加するみんなは参加しないみたい。でも興味はあるのよね。悩んだが結局応援するだけにした。ここで体力を消耗させたらもったいないからね。
『ヘイガイズ、アァユゥレディ⁉色々やってきましたが‼結局これだぜガチンコ勝負‼ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!心・技・体に知恵知識‼総動員して勝ちあがれ‼一回戦‼成績のわりに年だその顔、ヒーロー科緑谷出久‼
そういえば普通科も突破してきてたわね。普通科と個性のコントロールがままならない緑谷正直どっちが勝ってもおかしくない。いや、心操の個性次第かしら?
試合開始するやいなや心操の言葉を聞いて緑谷が何か言った。観客席からじゃ何を言っているかよくわからないのよね。すると緑谷が完全に停止した。
実況解説の先生たちの言から察するに、精神に作用する個性?だとしたら厄介すぎる。愛染のせいで催眠系の能力には苦手意識がある……
緑谷はあっさり場外へ歩いて行こうとする。しかし個性を暴発させて洗脳を解いた。そしてそのまま心操を場外に押し出して試合終了。緑谷が勝ち上がった。
さて、アタシも控室に行きますか!
『優秀‼優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ!ヒーロー科瀬呂範太‼
試合開始の合図をするや否や、瀬呂が速攻を仕掛ける。しかし轟はそれをものともせずに大出力の氷結で大氷壁を生み出す。凍らされた瀬呂はたまらず降参。
すると自然とドンマイコールが巻き起こる。うん、ドンマイ瀬呂。今度優しくしてあげようと思った。
そして次はいよいよアタシの試合の番だ。係員に従って入場する。
『スパーキングキリングボーイ!上鳴電気‼
「松本さあ、これ終わったら飯とかどうよ?俺でよけりゃ慰めるよ。多分この勝負一瞬で終わっから」
「あんまり舐めないでくれない?それにチャラい男ってタイプじゃないのよね。アタシのタイプは
スタートの合図でいきなり電撃を放ってきた。アタシはそれを灰の壁を作ることで受け流す。そして全力で吹き飛ばす!
電撃が効かなかったことに動揺したのか、あっさり吹き飛んでスタジアムの壁まで飛んで行った。
『瞬殺!あえてもう一度言おう!瞬・殺』
『個性の汎用性が高いのもあるが、やっぱり松本は個性の使い方が上手いな。防御から攻撃まで淀みない動作でそつがない。正直実力差あったな』
思っていたより簡単に勝ってしまった。もっと過激にやっても良かったかもしれないわね。でも大した消耗もなく勝てたのは大きい。
『さあどんどん行くぞ!頂点目指して突っ走れ!ザ中堅って感じ⁉ヒーロー科飯田天哉
この二人の勝負は急遽認められた飯田のサポートアイテムの装備を発目がアイテム紹介するだけの時間だった。哀れ飯田……
次戦の青山対塩崎は塩崎が一瞬で青山を拘束して試合終了。その次の百対常闇も開幕すぐに百の準備が整う前に場外に押し出した。
『個性ダダ被り組‼鉄哲対切島、真っ向勝負の殴り合い!制したのは……なんと引き分け‼』
引き分けなんてあるんだ。個性丸被りでここまで実力が伯仲するなんて仲いいわね。
『中学からちょっとした有名人!堅気の顔じゃねえ。ヒーロー科爆豪勝己!
開始からお茶子が突撃するが爆豪が爆破で迎撃。その後も突撃しては爆破の繰り返し。見ているだけで辛くなってくる光景だ。会場内からブーイングが起きる。
これに解説の相澤先生が切れた。たしかにここまで来た子はみんな必死にやってる手加減なんてしてられないし、第一して欲しくない。
ここで麗日の秘策の浮かせた瓦礫を落下させる攻撃が発動するが、爆豪は一撃で破壊。これは……もう厳しいわね……と思っていたら麗日は気絶。爆豪の勝利だ。
これを見てたらアタシもやる気が満ちてくる。麗日、敵は取るからね。