転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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ヒーローネームと職場体験先

 体育祭が終わってからの二日間は久しぶりにぐーたらしていた。体育祭は実家の両親も見てくれており、とても褒めてもらえたし喜んでくれた。

 転生してから結構立つけど、まだ両親という存在にはなれないし気恥ずかしい気持ちもある。だけどたしかにアタシにとってのヒーローを目指すうえでのモチベーションアップにつながっている気がするわね。

 この二日間は大好きなお昼寝とお酒(ノンアル)を楽しんで英気を養った。あと服を買いに行ってリフレッシュできた。

 また今日から通常通り授業が始まる。ちょっと憂鬱になりながら電車に乗る。乗ってすぐにおばあさんから声をかけられる。

 

「ねえあなた、乱菊ちゃん?雄英体育祭に出てた!」

 

 突然声をかけられたから少し驚いたが笑顔で答える。

 

「ええそうよ。体育祭見てくれたの?」

「見たわよ~。大活躍だったわね~」

 

 アタシたちの会話を聞いていたのか、周りの人たちからも労いの言葉や祝福の言葉をかけられる。

 

「体育祭2位おめでとう!惜しかったね」

「お疲れ様。怪我はもう大丈夫なの?」

 

 口々にいろいろ言われそれに答える。体育祭ってやっぱり人気イベントなんだなあと思っていると、下の方からスカートの裾を引っ張られる。

 下を見るとまだ小学校に入る前くらいの女の子がいた。アタシに話したいことがあるらしい。

 しゃがんで女の子と目線を合わせて尋ねる。

 

「どうしたの?お姉さんにお話があるのかな?」

「うん、あのね、お姉さんかっこよかった。シュババババーってやってからシャキーーンって。だからこれ、あげる!」

 

 そう言って小さい子供用の猫のキーホルダーをくれた。いや流石に貰うわけにはいかない。

 

「えっでもこの猫ちゃん大事なものなんじゃないの?貰えないわ」

「ううん。あげる」

 

 どうしようか困っていると女の子のお母さんらしき人から声をかけられる。

 

「貰ってあげてください。この子、松本さんに憧れているらしくて。それにその猫が松本さんにそっくりだって言ってたんです」

「そう!だからあげる!もらってくれない……?」

 

 涙目で見られるとこちらも弱い。大人しく貰うことにする。ただ貰いっぱなしってわけにはいかないわね。

 何かあげれるものがないかとカバンを探していると、髪留めがあった。うん、これにしよう。

 

「じゃあこの猫ちゃんはお姉さんが貰うわね。代わりにこれをあげるわ」

 

 女の子の髪に髪留めをつけてあげる。うん、似合ってる!

 お母さんが恐縮したように頭をさげる。

 

「すみません、こちらが押し付けたばかりか返礼まで貰ってしまって……」

「いいのよ。アタシのキュートなファン1号のためだもの!」

「お姉さん、ありがとう!」

 

 その後少ししてその親子は電車から降りて行った。降りる時までこちらに手を振ってくれた可愛かったわ。

 ヒーローになりたい理由がまた一つ増えた気がした。

 

 

 ホームルームが始まるギリギリに教室に到着した。すぐに相澤先生も教室に入ってきた。

 

「おはよう」

「相澤先生、包帯取れたのね。よかったわ」

「婆さんの処置が大げさなんだよ。んなもんより今日のヒーロー基礎学、ちょっと特別だぞ。」

 

 特別って何かしら?頭使うことは嫌よー。

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」

「「「「「胸膨らむやつきたああああ」」」」」

 

 コードネーム!ヒーローになるからには必須なものね。一気に楽しみになってきた。

 相澤先生の話は続く。プロからのドラフト指名が関係してくるらしく、今回来た指名は興味があるだけだという。

 しかも卒業までにどうなるかはわからないらしい。

 

「で、その指名の集計結果がこうだ」

 

 一気に指名件数を表示する。

 

「例年はもっとばらけるんだが、三人に注目が偏った」

 

 アタシ、轟、爆豪の順で多いが、この三人がぶっちぎりで多い。2位だったのになんでアタシが一番多いんだろう?

 

「だーー白黒ついた!」

「見る目ないよね、プロ」

「上位三人の順番おかしくね?1位の爆豪が3番目じゃん」

「松本は見た目がいい上にキャラもいいしな。爆豪は凶悪なツラが避けられた要因じゃね?」

「プロなら避けんなや!」

 

「これを踏まえ……指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。おまえらは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしていこうってこった」

 

 なるほど。だからヒーロー名をつけなきゃいけないと。あんまり考えたことなかったなー。

 

「まあ仮ではあるが適当なもんは……」

「付けたら地獄を見ちゃうよ!この時の名が世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!」

 

 ミッドナイトが教室に入ってきた。相澤先生ではネーミングの査定ができないらしい。

 

 15分後、できた人から発表する。まさかの発表形式だった。青山、三奈と変なのが続いたせいで大喜利みたいな空気になった。ウケるわね。

 しょうがないからアタシが発表しようかしら。

「はい!」

「松本さん」

「さっき決めました。『灰猫』にします」

「あら?意外とおとなしめな名前ね」

「今日学校にくる途中、アタシに似てるって女の子から猫のキーホルダーを貰ったんです。アタシのファン1号がそう言ってくれたからこれも縁かなって。あとアタシは派手なのよりも古風なのが好きなので」

「そういうことね。素晴らしいわ!」

「たしかに松本のコスチュームって結構地味だし着物っぽいよな!」

 

 無事に発表が終わった。説明した理由は間違ってはいないが、それはどちらかというと灰猫に決定づけた要因だ。

 アタシは前世の相棒を忘れたくない、そう思った。長年ともに戦い、この世界にくるときに離れ離れになってしまったアタシの半身。それがいた証をこの世界でも刻み付けておきたいと考えた。だからあんたの名前借りるわよ、灰猫!

 その後はみんなそれぞれのヒーロー名を発表していった。爆豪だけはやり直しさせられてたけど……

 授業後、相澤先生は指名してくれた事務所のリストを渡してくれた。今週末までに提出らしい。って今週末⁉全然時間ないじゃないの……

 でもリストに一つ気になる事務所の名前がある。

 

 

 お昼休みになった。いつものように響香たちとご飯を食べようとすると轟が喋りかけてきた。

 

「松本、今いいか?」

「ん?なにどうしたの?」

「一緒に昼ご飯食べねえか?」

「いいわよ。じゃあ響香たちと食堂に行きましょ「いや、二人がいい。ダメか?」う」

 

 突然どうしたんだろう?クラスのみんなは普段積極的に話しかけない轟が食事に誘っていることに驚いている。しょうがないわね。さっさと行かないと野次馬がきそう。

 

「わかったわ。じゃあ行きましょ。響香たちはまた後で」

「うっ、うん」

 

 食事を買って食堂の席に着く。轟はそばを食べるらしい。

 

「そば好きなの?」

「ああ。昼はそばだ」

「昼はって……えっ、毎日?」

「ああ」

 

 轟って変わってるというか天然というか……でもこういう子ほど構いたくなるというか、かわいく思えるというか。

 そんなことより本題に入りましょう。

 

「それで何で二人で昼ご飯食べたかったの?」

「ああ。礼を言いたいと思って。一昨日、お母さんに会ってきた」

「それは……頑張ったのね。偉いわ」

「それで、自分の中でもやもやしてたものが取り払われた気がする。お母さんは俺のことを恨んでなかった。むしろ謝ってた。親父のこともちゃんとヒーローとしてみようと思う」

「それなら良かった。前に進めたのね」

「ああ。それで職場体験先はエンデヴァー事務所にするつもりだ。松本も一緒に来ないか?」

 

 どうやら職場体験のお誘いらしい。アタシにも指名が来て居ることも知っているようだ。悩むなあ。ナンバーツーの仕事を間近で見られる機会なんて滅多にない。

 そんなことを考えていると、轟が捨てられた子犬のような目でこちらを見る。

 

「ダメか……?」

「いいわよ」

 

 反射的にオーケーしてしまった。まあでもいいか、選ぶ手間が省けたと思えば。

 

「じゃあこの後教室戻ったら用紙書いて相澤先生に提出しましょうか」

「ああ」

 

 この後一緒に教室まで戻ったら教室中が騒がしくなった。誤解なんだけどな……

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