転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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職場体験①

 職場体験当日、アタシたちは駅に集合していた。

 

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

「はーい!」

「伸ばすな、「はい」だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け」

 

 相澤先生の話が終わり解散する。みんなともしばらく離れ離れか。

 

「じゃあみんな1週間後にね。行こ!轟」

「ああ」

「轟と松本って同じ方面なん?」

「いいえ、というより同じ事務所なのよ」

「えっ、松本と轟同じ事務所なん⁉」

 

 轟と同じ事務所と知らなかったクラスメイト達が驚いている。あら?教室でもその話していたからほとんど知っているかと思っていたのだけど……

 

 エンデヴァー事務所は都心の方にあるらしい。轟とともに新幹線で移動する。

 無口な轟と二人っきりだから気まずいかと思いきや意外にも話しかけたら普通に答えてくれる。体育祭が終わってから随分と変わったわね。

 まさかファッションについての話までを真剣に聞いてくれるとは……これがモテ男か。これまで彼女がいなかったというのが意外ね。

 

 そんな話をしているうちにエンデヴァー事務所に到着した。ナンバーツーの事務所だけあってめっちゃでっかいビルの中にあった。

 受付に挨拶し案内を受けると、エンデヴァーが待ち構えていた。

 

「よく来たな、焦凍、松本。今日から1週間みっちりしごいてやる、覚悟しておけ。まず焦凍は俺についてこい。個性のコントロールというものを教えてやる。松本はバーニンの指示に従え。女性同士の方が気を使わないしいいだろう」

「あん?なんで俺と松本が別行動なんだ?親父。息子だからって特別扱いすんなよ」

「違う!お前が俺と一緒なのは個性の調整のためだ。松本はその辺出来ている。だからバーニンにつけるんだ。それに個性や人となりを知るためにも書いてほしい書類もあるしな」

「轟、こういう場では親子として接しない方がいいわ。あくまでプロヒーローとヒーロー候補生。指示にはちゃんと従いましょ」

「そうだな、悪かった」

「どうして松本には素直に従うんだ……ンンッ!そういえばお前たちのヒーローネームはなんだ?これからはヒーローネームで呼ぶこととしよう」

「ショートだ」

「灰猫よ!かわいいでしょう」

「かわいいかは知らんが……ショートと灰猫だな。それでは職場体験を始めるとしよう」

 

 そういってエンデヴァーは轟を連れて行った。アタシはバーニンに連れられて事務所の中を案内される。

 

「いろいろ案内してきたけど、ここが女子更衣室。ここでコスチュームに着替えるんだよ。早速着替えてきな」

 

 事務所の中は見た目通りとても広かった。ナンバーツーともなるとこんな事務所を持てるのね。憧れちゃうわ。

 着替えながらそんなことを考える。

 

「着替え終わりました」

「よしっ!って胸開きすぎじゃない?大丈夫?」

「いえこれ以上閉めるときついので。それにアタシよりも露出が激しい子もいますよ」

「そっかー。今の高校生はすごいな……じゃあエンデヴァーが書いてほしいものがあるって言ってたからデスクがあるとこ行こうか」

 

 さっきも言っていたけど書いてほしいものって何かしら?個性に関しては雄英から資料とか送られていると思うのだけど……

 小会議室に案内されて席に着く。

 

「ほいっ、これ書いてほしいんだって。なんか個人情報にも関わるから私も見ちゃいけないんだと。しかもエンデヴァー直々に作ったって言ってたよ」

 

 渡された書類をみる。最初の項目は普通に氏名や年齢などのプロフィールだ。体重まで書くのか……まあ言えない体重じゃないしいいけどさ……特技は日本舞踊と書いておこう。

 個性の詳細について。これは普通に書けばいいわね。ただ課題点も書けというのが自分では難しい。

 

 ヒーローを目指した理由か。まあこれは自分の正直な気持ちを書けばいいでしょう。

 自身のヒーロー観について。これまた難しいわね。それっぽいこと書くしかないわね。

 好きなヒーローは誰か?これはエンデヴァーと書くべきなんでしょうけど、正直好きじゃない……特になしにしとこ。

 

 エンデヴァー事務所を職場体験先に選んだ理由。これはやっぱりナンバーツーというのが大きい。

 次に家族に関して。今世の家族は特に変なこともない普通の家族で書くことは少ない。一般的な家族構成だ。

 

 生活習慣について?これはどういうことだろう?食習慣や睡眠時間で何を計るのかしら?あぁ、ヒーローとしての活動時間ってことか!なるほどね。食事は今は自炊していると書いておこう。

 轟焦凍についてどう思うか?これはどういう意味なんだろう?普通に友達だと思ってるけど……

 過去の交際歴?やっぱエンデヴァーって硬派なのね。軟派なことは認めないってことか。

 

 結婚はいつくらいにしたいか?寿退社を考えてのことかしら?アタシはただの職場体験なんだけどな……これ間違えてない?でもわざわざ松本乱菊と記入してあるの渡されたしな。

 結婚願望は正直ないなー。まだあの人のこと吹っ切れないし。とはいえそう書くわけにはいかないし、タイミングを見てと書いておこう。

 

 仮に結婚したとして親と同居はありか?えーと?どういうこと?これヒーロー関係ある?まあ一応書きましょう。問題なしっと。

 子供の教育方針は?これまたよくわからない質問だ。一般論以上のことはわからない。

 これで終わりか。長かったわね。

 

「書き終わりました」

「お疲れ様。めっちゃ書くことありそうだったね」

「そうですね。アタシ向けの質問じゃないのもありましたけど……」

「ん?まあうちは職場体験とか普段は受け付けてないから勝手がわからないとこがあるかも」

「えっ、エンデヴァー事務所での職場体験って珍しいんですか?」

 

 息子の轟だけじゃなくてアタシにも指名を出してくれたから職場体験は毎年受け付けていると思っていた。

 

「そうなんだよねー。今年は焦凍君がいるからそこはわかるんだけど、灰猫が呼ばれたのは正直意外だったかも。でも体育祭見たら呼びたくなっちゃうのもわかるわー」

 

 そう言ってもらえると嬉しい。やっぱり体育祭の影響力って大きいのね。

 

「まっ、そんなわけで頑張っていこう。じゃあ基本的なとから……そうだなーパトロールからいこうか」

 

 パトロール!やっぱりヒーローはこれがないと始まらないわよね。

 早速バーニンや事務所のサイドキック数人と一緒に街に出る。バーニンはパトロールをする上での注意点や大事なことを丁寧に教えてくれる。

 やっぱりパトロールをしていると視線が集まってくるわね。こんなに見られるのを意外に思っていると、話しかけてくる若い男性がいた。

 

「あの、雄英の松本乱菊さんですよね?バーニンといるってことは職場体験はエンデヴァー事務所ですか?」

「そうよ。体育祭見てくれたのかしら?」

「そうです!ちなみにヒーローネームはなんですか?」

「灰猫よ。ぴったりでしょ?」

「ぴったりです!」

 

 なんか興奮しているようだ。周りの人も口々にアタシのことを話している。

 

「雄英の松本がエンデヴァー事務所とはな。期待されてるな」

「エンデヴァーの息子の轟も一緒らしいぞ」

「それにしてもコスチュームエロ過ぎないか?ほとんど胸見えてるぞ」

「体育祭で見たよりも胸でかくないか?」

「不思議と下品さがない!そこがいい!ハアハア……!」

「ヒーローネームは灰猫か。意外と派手じゃないがコスチュームの雰囲気に合ってるな」

 

 人が集まってきてしまったので愛想を振りまきながらその場を離れる。

 

「すごい人気だったな灰猫」

 

 茶化す様に言われる。

 

「嬉しいことにそうでしたね。声援に応えられるように頑張ります!」

 

 その後は声をかけられたりはしたものの、特になにもなくパトロールが終わった。

 

 

「これで職場体験1日目は終わり!ホテル取ってあるから灰猫はそこに泊ってね」

 

 案内されたホテルはそこそこいいところだった。こんなところ泊っていいのかしら?

 ホテルのロビーに入ると、ちょうどショートもきていた。

 

「お疲れ様。1日目終わったけどどうだった?」

「お疲れ。まあまあだな。参考になるとこも多かった」

 

 エンデヴァーとはいろいろあったみたいだからちょっと心配だったけど杞憂だったようね。ところでなんでショートはここにいるんでだろう?

 

「あんたなんでここにいるの?家に帰ればいいじゃない」

「俺もそう思ったんだが親っ、エンデヴァーが泊れって」

「そう。じゃあ行きましょうか」

 

 微かに違和感を感じながらも部屋に行く。アタシとショートの部屋は隣同士だった。

 

「そういえば夜ご飯どうする?アタシは外で何か食べてくるけど一緒に行く?」

「ああ。じゃあ一緒に行く」

「じゃあ行くときに連絡するわね」

 

 それぞれの部屋に入る。ホントもったいないくらいいい部屋ね。荷物を片付けたあとショートに連絡し、ご飯を食べに行く。

 相談した結果ファミレスに行くことになった。なんとショートは行ったことがないらしい。

 

「ショートは明日もエンデヴァーについていく感じ?」

「ん⁉名前呼び⁉」

「いや、あんたのヒーローネームでしょ」

「ああ……明日もエンデヴァーに教えてもらう予定だ」

「そう。アタシは明日どうするんだろう?また指示があるって聞いたけど」

 

 そんなことを話しながら食事を終えた。

 ホテルに戻ったら結構遅い時間になっていた。部屋の前で別れ部屋に入る。すぐにシャワーを浴び備え付けのバスローブを身に着ける。

 そろそろ寝ようかと思っていると、チャイムが鳴る。どうやらショートが来たらしい。何の用事かと訝しみながらドアを開ける。

 

「こんな時間に悪い。エンデヴァーからお前に直接伝えろって言われ……」

「ん?なに、どうしたの?」

 

 急に止まった。顔が真っ赤になっている。照れてるのか?

 

「何よ。照れてんの?」

「悪いか?というかそんな格好で男の前に出るなよ」

「うっさいわね。で何の用事だったの?」

「ああ。エンデヴァーから明日はお前もエンデヴァーについて周れって伝言だ。そのつもりで準備しろと」

 

 なんで直接連絡してこなかったのかしら?時間が時間だから気を使ったのかしらね?

 

「そういうことね。わざわざありがとう。おやすみなさい」

「おやすみ」

 

 ドアを閉め寝る準備に入る。今日は慣れない環境で疲れたわ。明日も頑張らんなきゃね。

 

 

※※※

エンデヴァーside

 

 乱菊と轟が就寝の挨拶をしていた少し前、エンデヴァーは事務所の自室で乱菊の記入した書類を読んでいた。

 

「素晴らしい……素晴らしいぞ‼息子の嫁としてぴったりだ‼こいつは理想的な母体となるぞ。焦凍がナンバーワンになるのが理想だが、保険も用意しておかないとな。むっ、ちょうどこの時間なら寝る前くらいか。わざわざ同じホテルに泊まらせたし、ここは二人を着実にくっつけるためにも接点を増やしてやろう」

 

 エンデヴァーは轟に松本への伝言を伝えた。

 果たしてエンデヴァーの野望は実現するのだろうか?

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