転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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職場体験②

 職場体験二日目、今日は朝からエンデヴァー事務所に来ている。昨日とは違ってエンデヴァー自身について周るみたいだけれど、どうしてなのかしら?

 とりあえず一緒に来たショートに訊いてみる。

 

「ショートは今日どうするとか聞いてる?」

「いや、特には聞いてない。おそらく昨日と同じように個性の訓練なんだろうが……」

 

 そこにサイドキックを引き連れたエンデヴァーが来る。

 

「昨日連絡した通り、ショートと灰猫は俺についてこい。個性の使い方というものを教えてやる……‼」

 

 なんかエンデヴァーの目がギラギラしてる。やっぱ強面なだけあって怖いわね。ショートに遺伝しなくて良かったわ。お母さん似なのかしらね。

 その後個性を使ってもよい訓練室に案内された。もちろん限度はあるがある程度個性を使っても外部に影響が出ない設計になっているらしい。

 

「今日はここで訓練する。二人の課題は別々だがまあ同じ部屋でいいだろう。まずショートは左の制御だ。右に比べコントロールが全くなっとらん。温度調節できるくらいの練度が望ましい」

 

 たしかに体育祭でもフルパワー!って感じでしか使えてなかったわね。右の氷結があれだけ繊細に使えるんだから左も同じことができるはず。

 

「そして灰猫に関してだが個性のコントロールについては問題ない。出力が課題だとアンケートには書いていたが、それに関して雄英でみっちりやるから今回はいいだろう。とすると相性差を覆すための何かの習得がいいだろう」

「相性差を覆すっていうのは体育祭の決勝のことを言っているのかしら?」

「そうだ。相手の個性は強力だったし実力もある相手だった。だがこれを習得すればもっと善戦できただろう」

「話がまどろっこしい。さっさと本題話せ」

 

 ショートがエンデヴァーにイラついている。相変わらず彼に対して当たりが強い。

 

「むう……灰猫に覚えてほしいのは力の圧縮だ。お前の個性は操作性がよく制圧力もあるが、拘束力や防御力が弱い」

「なるほど!灰を圧縮して固めることで壁にも鎖にも使えると。そういうことね!」

「ほとんど正解だ。そのためには卓越した操作能力が要る。灰猫にはもうすでに備わっているから早速訓練に入れるだろう。ちょうどコントロールに難があるショートがいるんだ。ショートは参考にさせてもらえ。ところでその凄まじい操作技術はどこで身についたんだ?」

 

 どうしよう。前世での修行や実践のたまものとは言えない。

 

「うーん……特にこれといって特別なことはしていないわ。最初からなんとなく使えたの」

「ますます素晴らしいな……これが最高傑作と結ばれれば……」

 

 ?何か言ったかしら?声が小さくてよく聞こえなかったわ。

 

「さっさと始めよう、エンデヴァー。もう説明は済んだだろう?」

 

 轟が焦れている。早く訓練したいのね。かわいいわ~。

 

「ふむ。そうだな。ショートは温度計が内蔵してある的に向かって炎を放て。灰猫は灰を圧縮してそれを操れるようにしろ。的を使っても構わん」

 

 さっそくやってみる。多すぎても難しいだろうから少量でやろう。まず両手ですくえるくらいの量の灰を生成する。そしてこれを圧縮!普通にできた。

 というより圧縮ってもうすでに灰雲の時にやってたわね。これを移動以外に使うというのが盲点だった。

 壁の生成や拘束用の鎖もあっさり成功。

 

「すげーな。あっさりできてるじゃねーか。またおいて行かれちまった……」

 

 ショートが膝をついて息を荒げている。左の個性のコントロールはあまり上手くいってなさそうだ。

 そして彼は悲しそうな、悔しそうな顔をしている。こういう顔されると弱いのよね。

 体育祭の時と同じようにショートの頭を胸に抱く。

 

「いいのよ。自分のペースでやりなさい。あんたは意図的に左は使わないようにしてたんだからできないのは当たり前よ。これからまだまだ時間はあるんだからゆっくりやりましょう」

「ああ。そうだな。どうやら焦っちまってたようだ。もう落ち着いた。ありがとう」

「どういたしまして。前に言ったでしょ?なんかあったら話しなさいって。些細なことでも悩みがあればそれくらい聞くわよ?」

 

 そう轟に言うと、轟はなにか考え込んでる様子。

 

「お前ってもう一つ個性持ってるのか?」

 

 んん?なんか思ってた話と違うぞ?

 

「違うけど、どうしてそう思ったの?」

「いや、お前の胸に包まれてると不思議と心地よくなって負の感情が浄化されていく感じがする。ヒーリングの個性とか持ってねえか?」

 

この天然君はもうホントに……

 

「だからないってば。あのね、ショート。人は抱きしめられると落ち着くものなのよ。あんたが小さい頃、お母さんが抱きしめてくれたことない?」

「そういえば訓練が嫌で泣いてた時に抱きしめられた気がする」

「そういうことよ。もしあんたが辛くなったり、苦しくなったりしたときはお母さんの代わりに抱きしめてあげるわ。だから自分を追い込みすぎちゃだめよ」

 

 それからアタシたちはそれぞれの訓練に戻った。

 アタシは壁や鎖の硬度を引き上げようと工夫した。それに攻撃にも転用させたい。

 

 攻撃に使うとしたら弾丸状にすればいいかな?灰を弾丸状に固めてそれを的に向かって撃つ。

 うーん。攻撃力はなくはないけどそれだけじゃ効果的じゃないな……牽制用の技かな?

 ある程度量を作って撃ってみる。するとさっきよりは良さそうだけど個数が増えるとそっちに集中力を割かなくちゃいけないから大変だった。

 

 そんな訓練をしていると、お昼休みの時間になった。ショートと一緒にお昼を食べる。蕎麦がいいというので蕎麦屋にきた。

 

「あんたホント蕎麦好きね」

「ああ。昼は蕎麦だ」

「そうだ!百から連絡あったんだけど、百なんかCMでるらしいよ」

「CM?今職場体験中のはずじゃ?」

「それがね、ヒーローって副業オーケーでしょ?だからね…………」

 

 くだらないことを話しているうちに昼休みが終わってしまった。午後からはどうするんだろう?

 

「午後からはパトロールだ。職場体験の二人はサイドキックたちと一緒に俺についてこい。ナンバーツーがどう仕事をするのか、しっかりその目に焼き付けろ」

 

 言われた通りサイドキックの人たちと一緒にエンデヴァーについていくが、あまりのスピードに付いていくだけでやっとだ。これがナンバーツー。とても勉強になるわね。

 ただそれ以外にも問題があって、昨日もパトロールをしたことによってアタシたちがここで職場体験をしていることが広まったのか、野次馬が多い。

 

 声をかけてくるくらいならいいのだけれど、握手を求められてなかなか放してもらえなかったり、抱き着いてこようとしたりするのには辟易するわ。

 サイドキックたちは自分の仕事があるから中々頼れないし……と思っていたら、ショートがさりげなく誘導してくれるようになった。

 イケメンで強くて気遣いができるとは恐れ入ったわ。これで精神的には弱いところがあるというギャップ。これはモテるのも納得ね。

 日の暮れるころ、避難誘導とファン?に応えるパトロールが終わった。

 

「よし今日の職場体験はここまでだ。明日は移動して別の場所でパトロールをする」

「別の場所?それってどこだ?」

「保須だ。前例通りなら保須に再びヒーロー殺しが現れる。しばし出張し活動する!」

 

 解散となりホテルにショートとともに戻る。戻る途中で夕飯を食べた。相変わらず彼は無口だけどアタシがお喋りなためか意外とちょうどいい。

 それぞれの部屋に帰って一息つく。はあ、明日は保須かあ。ヒーロー殺しなんかと会っちゃったら狙われるのかしら?いまいち目的が分からないのよね。

 とにかく明日に備えて早く寝ましょう。おやすみなさい。

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