期末試験が明けて、教室では上鳴と三奈が打ちひしがれていた。
「皆……土産話っひぐ、楽しみに……うう、してるっ……がら!」
「まっまだわかんないよ。どんでん返しがあるかもしれないよ……!」
出久が慰めるが逆効果っぽい。それに学校で補修というのも少し違和感が……
「緑谷それ口にしたらなくなるパターンだ……」
「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補修地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!」
「落ち着けよ、長え。わかんねえのは俺もさ。峰田のおかげでクリアしたけど寝てただけだ」
峰田が聞き耳立てて嬉しそうにしている。ムカつくわね。
「それを言うなら俺もだぜ!せっかく松本が作戦立ててくれたのに無駄にしちまった……」
たしかに切島は正直役に立ってなかった。もうちょっと作戦に沿った行動ができるといいわね。
「とにかく採点基準が明かされていない以上は……」
そこへ相澤先生が教室に入ってくる。
「予鈴が鳴ったら席に着け。おはよう、今回の期末テストだが……残念ながら赤点が出た。したがって……林間合宿は全員行きます」
「「どんでん返しだあ!」」
やっぱりこんなことだろうと思ったわ。特訓のために行くのに赤点を連れて行かないっておかしいもの。
「筆記の方はゼロ。実技で上鳴、芦戸、あと瀬呂と切島が赤点だ」
「たしかにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな……」
「今回の試験、我々
「本気で潰すと仰っていたのは……」
「追い込むためさ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」
「「「ゴーリテキキョギィィー‼」」」
ホント雄英は騙すの好きよね……飯田が虚偽に対して異議を唱えていると、
「ただ全部噓ってわけじゃない。赤点は赤点だ。お前らには別途に補修時間を設けている。ぶっちゃけ学校に残っての補修よりきついからな。じゃあ合宿のしおりを配るから後ろに回してけ」
放課後、教室にはまだほとんどの生徒が残っていた。
「まあ何はともあれ、全員で行けて良かったね」
優しい尾白らしく赤点組を気遣う言葉だ。こういう言葉がサラッとでるあたり、こいつモテるわね。
「一週間の強化合宿か!」
「結構な大荷物になるね」
「暗視ゴーグル」
「水着とか持ってねーや。色々買わねえとなあ」
「あ!じゃあさ!明日休みだしテスト明けだし……ってことでA組みんなで買い物行こうよ!」
買い物!しかもみんなで!いいじゃないの。そういうの好きよ。峰田は後で絞めよう。
「いいわね!これまで忙しくてそんな機会なかったし」
「おお、いい!何気にそういうの初じゃね⁉」
「おい爆豪、お前も来い!」
「行ってたまるか、かったりい」
「轟くんも行かない?」
「休日は見舞いだ」
「ノリが悪いよ、空気読めよ、KY男共ォ!」
爆豪が来ないのは予想通りだからいいとして、焦凍も来ないのか……残念。この前見せれなかった本気の私服見せようと思ってたのに。
明くる日、県内最多店舗数を誇るショッピングモールにやってきた。
「お!アレ雄英生じゃん⁉1年⁉体育祭ウェーイ‼」
「あのエロいの乱菊ちゃんじゃん!」
「爆豪とかはいないのか……」
「生轟見たかったな……俺……」
突然通りすがりのお客から声を掛けられる。体育祭覚えてる人ってまだいるのね。やっぱり適当な服で来ないでオシャレしてきてよかった。
「松本の私服、攻めすぎじゃない?」
響香にそう言われる。
「そう?これくらい普通だと思うけど……アンタはイメージ通りカッコいいわね。百はお嬢様っぽい。コスチュームとのギャップがすごいわね」
「コスチュームは個性のためですから……松本さんの私服は女性らしさがありつつも大人っぽさも兼ね備えていて参考になりますわね」
「いやヤオモモがこんなの着たら親御さん卒倒するって……」
クラスのほとんどが集まると流石に人数が多すぎるので買いたい物ごとに分かれることになった。
アタシは何を買おうか……去年の水着が小さくなったからそれから買おうかしら?
「アタシ水着買いに行くけど誰か来ない?」
「「行きます!!」」
「男子はお呼びじゃないわよ!女子でいない?」
ホント峰田と上鳴は阿呆なんだから……そこで三奈が返事をしてくれる。
「じゃあ私も行く!男子に松本の水着見せるわけにいかないもん!」
「三奈!ありがとう。他のみんなはそれぞれ買いたい物があるみたいだから、二人で行きましょうか。じゃあみんな、また後で!」
みんなとわかれて水着屋さんに行く。ここは広い上に人が多くて大変ね。
「そういえばさー」
「なあに?三奈」
「松本って轟と仲いいけどどう?進展あった?」
いきなりこんなことを訊かれるとは思わなかったから意表を突かれる。
「いきなり何よ。どうって言っても普通に仲いい友達よ」
「えーー!でもさぁ、職場体験は一緒に行こうって誘われてたし、試験勉強でも家にお呼ばれしたんでしょ?轟の方は絶対気があるって!」
うーん……そうなんだろうか?単純に優しいのと甘えられなかった母親を重ねているだけのような気もする。
「それはそうだけど、仲いい友達ならそんなこともあるでしょ。それに今はまだ恋愛する気はないわ」
「それは忙しいから?」
「いいえ。過去の人を引きずってるから」
「えー⁉そんな人いたの?聞きたい!」
「ダーメッ!ここからは大人な話になるから。ほらっお店に着いたわよ。他にも買いたい物あるしさっさと済ませましょ」
「あーもうっ!今度話してよねー!」
一緒にお店に入る。
流石に前世の記憶があるとは話せないけど、もし大事な人ができたら話すことがあるのだろうか?ふとそんなことを考える。
その後もショッピングを続けていると、携帯に連絡が入る。
「三奈、すぐにみんなのところに戻るわよ」
「えっ、どうして?」
「出久が
「⁉」
出久のところに行くとみんな集合していて、警察もすでに出動していた。
結局この日はショッピングモールは一時的に閉鎖され、帰宅することとなった。
休みが明けて、相澤先生が言うには林間合宿の行き先が変更になるらしい。たしかに行き先が
なにも無ければいいのだけど……