突然の非常事態を告げるアナウンスに戸惑う一同。
「携帯が圏外だ。情報関係は全て遮断されちまったらしい」
「マジかよ……」
「エレベーターも反応ないよ」
「マジかよ!」
「爆発物が設置されただけで警備システムが厳戒モードになるなんて……」
「飯田くん、パーティ会場に行こう」
そう出久が提案する。
「なぜだい?」
「会場にはオールマイトが来てるんだ」
「オールマイトが⁉」
「何だそれなら心配いらねえな」
「メリッサさん、どうにかパーティ会場まで行けませんか?」
「非常階段を使えば会場の近くに行けると思うけど……」
「案内お願いします」
というわけで会場の近くまで行ってみることになった。
出久と響香の協力でオールマイトから聞いた話では、タワーは
一旦安全なところに退避しこれからどうするか話し合う。
「オールマイトからのメッセージは受け取った。俺は雄英高教師であるオールマイトの言葉に従い、ここから脱出することを提案する」
「飯田さんの意見に賛同しますわ。私たちはまだ学生、ヒーロー免許もないのに
天哉と百は脱出を提案する。アタシもこの意見に賛成だ。
「アタシも二人の意見に賛成。相手の戦力もわからないこんな状況で戦うわけにはいかないわ」
「ハッ、なら脱出して外にいるヒーローに……」
だがこの意見にメリッサさんは反対する。
「脱出は困難だと思う。ここは
「じゃあ、助けがくるまで大人しく待つしか……」
「上鳴、それでいいわけ?助けに行こうとか思わないの?」
「おいおい、オールマイトまで捕まってんだぞ!オイラたちだけで助けに行くなんて無理すぎだっての!」
脱出も無理となるとかなり厳しいわね。ヒーローが動けない状況だと取れる手段も限られる。
ここで焦凍が呟くように話し始める。
「俺らはヒーロー目指してる」
「ですから、私たちはまだヒーロー活動を……」
「だからって何もしないでいいのか?」
「そっそれは……」
みんなが無言になる。
「助けたい」
「デクくん?」
「助けに行きたい」
「
「違うよ峰田くん。僕は考えてるんだ。
「気持ちは分かるけど、そんな都合のいいこと……」
「それでも探したいんだ!今の僕たちにできる最善の方法を探してみんなを助けに行きたい!」
「デクくん……」
「へえ、出久ちょっとカッコいいじゃない」
「⁉」
やっぱり出久はこうよね。ステインのときも突っ込んでいったし……
「I・アイランドの警備システムはこのタワーの最上階にあるわ」
そこからのメリッサさんの話によれば、監視を逃れて最上階まで行くことができれば、システムを再設定できるかもしれないそうだ。
「戦いを回避してシステムを元に戻すか……なるほど」
「それならイケんじゃね?」
この方法なら戦闘をせずに事態を解決することができるかもしれない。そんなムードが漂う。
出久だけじゃなくお茶子、焦凍、響香も最上階に行くのに乗り気のようだ。
「これ以上無理だと判断したら引き返す。その条件が飲めるのなら俺も行こう」
天哉も条件付きで賛同、百と上鳴も行くようだ。ならしょうがない。アタシも行くしかなさそうね。
「アタシも行くわ。アンタたち危なっかしいんだもの。ちゃんと監督しておかないとね!」
とここで峰田もやけくそ気味に行くことに賛同し、みんなで行くことになった。ただメリッサさんは残るかと思ったら、システムの再設定ができるのがメリッサさんのみということで一緒に行くこととなった。
アタシたちはタワーの非常階段を上り、30階まで到達していた。
「メリッサさん、最上階は?」
「200階よ」
200階か……なかなかきついわね。
70階をすぎたところでシャッターが下りており先に進めなくなっていた。
「どうする?壊すか?」
「そんなことをしたら警備システムが反応して気づかれるわ」
「ならこっちから行けば……」
「峰田くん!」
「ダメ!」
峰田が勝手に扉を開いてしまった。何もなければいいのだけど……
「他に上に行く方法は?」
「反対側に同じ構造の非常階段があるわ」
「急ぐぞ」
そこで辺りのシャッターが閉まり始めた。焦凍の氷結で扉をつっかえさせて植物プラントへ駆け込む。
「待って!あれ見て。エレベーターが上がって来てる」
「
「隠れてやり過ごそう」
エレベーターが到着し、
「見つけたぞ!クソガキども!」
「ああ?今なんつった、てめえ」
なんでここに爆豪と切島が?とはいえピンチなのには変わりない。
「俺たちで時間を稼ぐ。上に行く道を探せ!」
「轟くん⁉」
「焦凍はどうすんのよ!」
「君は?」
「いいから行け!ここを片付けたらすぐに追いかける」
焦凍のおかげで上にいくことができた。もう存在がばれているのでここからは隠れる必要はない。
だがシャッターが下りていて進めなくなっていた。天井にある通風口から外に出て外壁を伝って上の階に行くという提案が百からされた。
狭い通風口に入れて外壁を伝っていけるのは……みんなの視線が峰田に突き刺さる。
「も、もしかしてオイラが⁉」
「お願い、峰田くん!」
「あんたにしかできないんだよ」
「バカバカ、ここ何階だと思ってんだよ!」
「みんなを助けた功労者になったら、インタビューとかされたりして女子に人気間違いなしだぞ」
「そうよ、これまでの変態を帳消しにできるかもしれなわよ」
「「お願い!」」
「ハーレム、ハーレム!」
「わーったよ!行けばいいんだろ、行けば!」
この作戦は成功し、峰田のおかげで上に行くことができた。
その後も上を目指しているが、100階を越えてからシャッターが開きっぱなしになっている。相手がこういう風にしてきたということは、誘い込まれている。
誘い込まれた先には警備用ロボットがたくさんいた。これを止めるために上鳴の放電をぶっ放すがあまり効いていなかったようだ。
こうなると直接どうにかするしかないわね。とここで出久と天哉が先陣切って突撃し警備用ロボを吹き飛ばす。
138階にあるサーバールームまで到着した。とんでもない量の警備マシンが襲ってくる。だが派手に戦闘するとサーバーに悪影響が出る可能性があるらしい。
「警備マシンは私たちが食い止めますわ!」
「緑谷くん、メリッサさんを連れて別のルートを探すんだ」
天哉が正面から当たりに行って響香と百が大砲、峰田も個性で引き留めてる。ここはアタシもやるしかないわね。
大技を使える場所ではないしあれをやるか。圧縮した灰を球状にして打ち出す!名付けて、『灰時雨』!
「天哉!援護するからあんまり前に出すぎないで!」
「了解した!助かる、松本くん」
だがこちらもじり貧だ。百と峰田の個性には限界があるし、響香は装備がないと戦いづらい。天哉が頼りだけど……
しばらく戦うと、それぞれ限界を迎えてきた。百と峰田がもう個性が使えなそう。天哉はエンジンがエンストしているようだ。
ここはアタシがやらなきゃね。
「みんな限界でしょ?下がってなさい。後はアタシがやるわ」
「松本くん……」
「松本さん……」
警備ロボットに片っ端から灰をまとわりつかせて拘束していく。さすがに数が多くて疲労が溜まる。この拘束技は『灰塵柩』と名付けよう。
これならしばらく持つでしょう。早くしてよね、出久、メリッサさん。
少し時間が経って拘束の維持に疲れてきた。そう考えていた時に、警備システムが通常に戻った。やってくれたのね。
「みんな、これからどうしようか?出久たちを追いかける?それとも救助を待つ?」
「ここで待っているなんてできないさ!早く緑谷くんたちを追いかけよう!」
「そう言うと思ったわ。じゃあみんなアタシの個性の上に乗って!これで一気に動きましょう」
最上階に到着すると、そこでは
爆豪、焦凍、天哉、切島は援護しているみたい。アタシも少しは役に立てるわね。オールマイトを攻撃しようとしている金属から彼を守る。アタシの灰壁なら易々とは破られない。
結局オールマイトと出久の二人の一撃によって
でも最後の一撃で周りごと吹き飛ばしてたけど無事かしら?オールマイトは大丈夫だろうけど出久は心配ね。
でもその心配は無用だったようだ。大丈夫との返事が来た。これで一件落着かな?
せっかく貰ったドレスが汚れてしまった。クリーニングで落ちるかしら?そこに左の個性を使ったのか左上半身がむき出しの焦凍がやってくる。
「松本、無事だったか?」
「ええ、もちろん。そっちはひどい恰好ね」
「あぁ、個性使ったら焼けちまった。もったいねえ」
「アタシもせっかくプレゼントしてくれたドレスが汚れてしまったわ」
「予備ならあるがそれでよければあげるぞ」
「このドレス、焦凍が選んでくれたんでしょ?ならこれでいいわ」
「そうか。気に入ってくれたか」
「そう。意外とファッションセンス良くてびっくりしちゃった。今度買い物付き合ってよね」
「買い物?構わねえが」
「約束ね!あっ、朝日が出てきたわ。綺麗ねえ」
「そうだな。綺麗だ……」
焦凍はこちらを向いてそう言った。