転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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林間合宿➀

 ついに林間合宿当日がやってきた。

 

「え?A組補修居るの?つまり赤点取った人がいるってこと⁉ええ⁉おかしくない⁉おかしくない⁉A組はB組よりずっと優秀なハズなのに⁉あれれれぇ⁉」

 

 物間がA組をいつもの調子で煽っていると、拳藤が手刀で意識を刈る。

 

「ごめんな」

「物間怖」

「体育祭じゃなんやかんやあったけど、まぁよろしくね、A組」

「ん」

 

 B組女子がフォローしている。あんまり関わる機会がなかったからB組とも仲良くしたいわね。

 

「よりどりみどりかよ……!」

「おまえダメだぞ、そろそろ」

 

 峰田はホントいつになったら変態が治るのかしら?この林間合宿中もやらかしそう。

 天哉の号令に従ってバスに乗る。隣の席に座っているのは障子だ。他は女子同士なのにアタシだけ男子が隣……

 まああの変態とかよりはましだけど。

 

「ねえ障子、お菓子持ってきたけど食べる?」

「いや、いい。ありがとう」

「そう?おいしいのに」

 

 障子が食べないそうなので後ろの席の焦凍と峰田にも聞く。

 

「アンタたちは?お菓子いる?」

「ああ。食べる」

「オイラも!」

 

 というわけなので後ろを向いて焦凍に食べさせる。

 

「はい、アーン。どう?おいしい?」

「美味い。和菓子以外あんま食べねえから新鮮だ」

「そうなの⁉こんなに美味しいのに……ほらもっと食べなさい。アーン」

 

 そうやって食べさせていると障子が意味ありげな視線を送ってくる。

 

「どうしたの?やっぱり食べる?」

「いや、仲いいなと思っただけだ。轟も入学当初から随分変わったな」

「そうね。なんかほっとけないのよね、弟みたいで」

「弟……いや前はなりてぇもんが見えてなかった、それだけだ」

 

 焦凍も成長したわね。アタシのおかげかしら?あと出久たちの影響もあるか。だがここで空気を読まない変態が。

 

「おい松本!オイラにもアーンしてくれ!」

「嫌よ」

「どうしてだ⁉」

「だってアンタそのまま指舐めそうだもん」

「なんでばれた⁉」

「ハア……ホントに救いようがないわね。食べてもいいけど勝手に取ってよね」

「めちゃくちゃ塩対応!だけどそれはそれであり!」

 

 前世でもここまでの変態にはあったことがない。すごいわね。

 わいわい喋りながらバスに乗ること1時間、相澤先生に休憩と言われバスを降りる。だがそこはただの開けた場所で何もない。

 

「つか何ここパーキングじゃなくね?」

「ねえアレ?B組は?」

「お……おしっこ……」

「何の目的もなくでは意味が薄いからな」

「よーーーう、イレイザー!」

「ご無沙汰してます」

「煌めく眼でロックオン!キュートにキャットにスティンガー!ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」

 

 なんか派手にポーズして登場してくれたのはプッシーキャッツというプロヒーローらしい。アタシ自身あんまりヒーローとか興味ないから詳しくないのよね。

 出久がブツブツ彼女たちに関する情報を呟いているとツッコミが入る。

 

「心は18!」

「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

「「「「遠っ!」」」」

 

 なんだか嫌な予感がしてきたわ……

 

「今は9時30分、早ければぁ……12時前後かしらん」

「バスに戻れ!早く!」

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」

「悪いね諸君。合宿はもう始まっている」

 

 プッシーキャッツの一人が土を操作してアタシたちを崖下に落とそうとする。でもアタシは個性柄宙に浮けるので問題ない。しかし相澤先生に見咎められた。

 

「おい松本、何してる。お前も落ちろ。あと空飛ぶの禁止な」

 

 個性が使えない!相澤先生め!アタシはなすすべもなく落下した。

 

「私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この、魔獣の森を抜けて!」

 

 上の方からプッシーキャッツの声が聞こえた。魔獣ってなんのことかしら?そう思ってたらいきなり不気味な動物みたいなのが現れた。

 

「「マジュウだーー⁉」」

 

 すかさず口田が個性を使うが効果がない。なら攻撃するのみ!同時に焦凍、出久、天哉、爆豪も魔獣に攻撃していた。

 破壊するとわかるが魔獣は土でできていたようだ。これなら加減の必要がなくていいわね。

 とりあえず灰雲で宙にに浮いて宿泊施設の場所を確認する。かなりの距離があるわね。これホントに3時間で着くのかしら?

 

「で、どうやって突破する?今確認したけど結構距離あるし適当に進むと消耗が激しくなりそうだけど」

 

 アタシがそう言うと、天哉が反応する。

 

「むっ!たしかにそうだ。バラバラになっては消耗してしまう。では中心に索敵ができる個性持ちを置いて、その周りに遠距離攻撃の個性、そのさらに外側で魔獣を食い止めるのに近接個性持ちというのはどうだろう⁉」

「おぉ~!流石は委員長!」

「頼りになるぜ!」

 

この意見にみんな賛成のようだ。

 

「では指揮は八百万くんにお願いする!」

「私ですか?飯田さんではなく?」

「俺は直接前線に出るつもりだ。ここは八百万くんが適切だろう」

「そういうことですのね!わかりました。ここは私が指揮をとります」

 

 というわけで布陣が決まったみたいだ。百なら無茶しないだろうし安心ね。

 

「おい!早く行かせろ!布陣なんてなんだっていいだろ!」

 

 爆豪が切れてる。ホントいつも切れてるわね。でも一応必要だと思ったから我慢してたんでしょうね。

 決まった布陣で進んでいくがこれがまた大変だ。慣れない森の中、休息も満足に取れない。

 ちょっと進むだけで土魔獣が出てくる。連戦で特に消耗戦に弱い個性持ちの子からダウンしていく。上鳴なんてもうアホになってる……

 

 想像以上の苦労をしながら、出発から数時間後の夕方になって宿泊施設に到着した。とんでもなく疲れたわね。案の定3時間なんかじゃ着かないし。

 宿泊施設では相澤先生とプッシーキャッツの二人が待っていた。

 

「やーーーっと来たにゃん。とりあえずお昼は抜くまでもなかったねぇ」

「何が3時間ですか……」

「腹減った……死ぬ」

「悪いね。私たちならって意味、アレ」

 

 なんかいやらしいわね。

 

「ねこねこねこ……でも正直もっと時間かかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。即席の布陣も良かったし、なによりそこの5人。躊躇のなさは経験値によるものかしらん?」

 

 そう言ってアタシ、焦凍、出久、天哉、爆豪を指さす。まあ経験値はあるわね。なんならそこらのプロよりも。

 

「三年後が楽しみ!ツバつけとこー!」

 

 突然アタシ以外の4人に唾を掛ける。こんな独身女性にはなりたくないわ。

 

「マンダレイ……あの人あんなでしたっけ」

「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」

「適齢期と言えば……」

「と言えばて!」

「ずっと気になってたんですが、その子はどなたかのお子さんですか?」

 

 出久は男の子に目を向ける。

 

「ああ違う。この子は私の従甥だよ。洸汰!ホラ挨拶しな。一週間一緒に過ごすんだから……」

「あ、えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしくね」

 

 出久がそうあいさつした途端、洸汰くんは出久の股間を殴った。いいパンチしてるわね。でもアタシがステインにやったのに比べるとまだまだね。

 

「緑谷くん!おのれ従甥!何故緑谷くんの陰嚢を!」

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」

「つるむ⁉いくつだ君!」

 

 なかなか個性的な子ね。この世の中でヒーローに否定的な子は珍しい。ヒーローが身内にいるならなおさらだ。

 

「マセガキ」

「おまえに似てねえか?」

「たしかに。マセガキなとことか」

「あ?似てねえよ、つーかてめぇ喋ってんじゃねえぞ、舐めプ野郎!てめえもだぞ、松本!」

「悪い」

「図星突かれて照れちゃって。カワイー」

「照れてねえわ、クソが!」

 

 相澤先生の指示で食事になった。疲れてるだけあってとても美味しい。色々世話焼くのは今日だけってことは明日以降は自炊?これまた大変そうだ。

 

 食事の時間の後は入浴の時間だ。温泉があるらしく、男女に分かれて入る。

 

「ふー、気持いわね~」

「そうですわね。お家のお風呂よりは小さいですけどいいお湯です」

「家の風呂でかっ!流石ヤオモモの家」

 

 疲れもあって思い思いにのんびりしている。温泉なんて久しく来てないから気持ちいい。

 

「でも初日からこんなだと先が思いやられるわね」

「ねー!私なんて酸出しすぎて肌が痛いよ」

「あー、三奈の個性は使いすぎると辛いわよね。でも肌がすべすべになるメリットもありそう。触っていい?」

「えー、ダメッ!それより松本の胸触らせてよ。めちゃくちゃ柔らかそう!」

「それこそダメよ。彼氏でもないのに触らせられないわ」

「ケチ―」

 

 三奈とイチャイチャしていると男風呂の方から声が聞こえる。

 

「峰田くん、やめたまえ!君のしていることは己も女性陣も貶める恥ずべき行為だ!」

「やかましいんスよ……壁とは超えるためにある!プルスウルトラ!」

 

 また峰田か……しかも今度は覗きとは。個性で煙幕を張ろうとすると、壁の上に誰かいる。

 

「ヒーロー以前に人のあれこれから学び直せ」

「くそガキィイイイ⁉」

 

 壁の上には洸汰くんがいた。峰田の覗きを防いでくれたみたいだ。

 

「やっぱり峰田ちゃんサイテーね」

「ありがと、洸汰くーん!」

「助かったわ!ありがとね!」

 

 だがこちらを見て向こう側へ倒れてしまいそうになる。あわてて個性で捕まえるが間に合わない。男風呂の方に落ちて行ってしまう。

 

「危ない!」

「洸汰くん大丈夫?」

 

 こちらから声を掛けると出久から返答が帰ってくる。

 

「大丈夫!キャッチした!けど意識がないからマンダレイのとこに連れていくよ!」

 

 ふう、安心した。覗きを防いでもらって怪我なんてさせたら面目ない。

 

「洸汰くん、何もなさそうで良かったね」

「えぇ。でも心配だしアタシは様子を見に行くわ。みんなはゆっくり入ってて」

 

 返事を聞かずにさっさと浴場を出る。流石に着替えないとまずいわよね?というわけで手早く寝巻に着替える。

 マンダレイのとこに連れて行くって言ってたわよね。どこかしら?ウロウロしていると、話し声が聞こえてくる。

 話をまとめると、洸汰くんのご両親はヒーローとして殉職してしまい、それ以来洸汰くんはヒーローのことをよく思っていないらしい。アタシ自身そんなにヒーローに思い入れがないしあまり人のことは言えないかも。

 

「盗み聞きしてしまってすみません、洸汰くん心配できたんですけど大丈夫ですか?」

「あら?あなたも来てくれたの。大丈夫。落下の恐怖で失神しちゃっただけだから。心配してくれてありがとね」

 

 出久はなにやら今の話を聞いて思うところがあるようだった。

 

「それより君……服着てきな?」

 

 裸の出久と一緒に部屋を出る。

 

「それじゃあアタシは女子部屋戻るけど、アンタもあんまり人のことで悩むのやめなさいよ。もっと自己中心的に考えてもいいのよ?アタシみたいに」

「ハハッ……ありがとう、松本さん。僕も服着てくるよ」

 

 この子は思い詰めたりする割に行動力あるから怖いんだよなー。まあいいか、とにかく部屋も戻ろっと!

 

「ただいまー」

「あっおかえり!松本は恋バナしたいよね!」

「私もせっかくだししたいけどみんな眠そうなんだよね」

 

 なるほど。三奈と透は恋バナしたいけど他は眠いもしくはしたくないと……

 

「明日の夜にしましょうよ。今日はたくさん歩いて疲れたし、林間合宿は一週間あるのよ?まだまだ始まったばかりなんだから」

「ちぇー。わかった。今日は大人しくする。明日は絶対だからね!」

「はいはい。じゃあ寝ましょうか」

 

 疲れ切ってたからか消灯後みんなすぐに寝てしまった。おやすみなさい。

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