『えー100人の皆さん、これをご覧ください』
アナウンスを聞いてモニターを見ると、フィールドが映し出されていた。すると突然いたるところで爆発が起きた。え?なんで?
『次の試験でラストになります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』
救助訓練か……苦手なのが来たわね。
「パイスライダー……?」
「現場に居合わせた人のことだよ。授業出やったでしょ」
「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……」
テストの点が悪いアタシでも流石に覚えてる。
『ここでは一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として、どれだけ適切な救助を行えるか試して頂きます』
「む……人がいる……」
「あんな所に?危ないわね」
『彼らはあらゆる訓練において今引っ張りだこの要救助者のプロ!HELP・US・COMPANY、略してHUCの皆さんです。傷病者に扮したHUCがフィールド全域にスタンバイ中、皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます』
プロの傷病者ってのがいるのね……驚きだわ。
開始まで少し時間があってA組で集まっていると、出久が士傑の美人な子と裸で岩陰にいたとかいう会話が聞こえてくる。そんなことよりもうすぐ試験なんだけどね……
「士傑こっちに来てんぞ」
士傑の生徒が集団でこっちに来た。何の用かと思ったら爆豪に絡んできた生徒がいたらしい。ちょっとはあの性格が治るといいのだけど。
「それでは」
「おい坊主の奴」
士傑が帰っていくタイミングで焦凍が声を掛ける。
「俺なんかしたか?」
「……ほホゥ。いやぁ申し訳ないっすけど……エンデヴァーの息子さん、俺はあんたらが嫌いだ。あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいすけど、アンタの目はエンデヴァーと同じっす」
「夜嵐、どうした」
「何でもないっす!」
やっぱり二人は知り合いなのかしら?
「焦凍、大丈夫?揉めてたみたいだけど」
「親父の目ってのが気になるが……」
しかしここで試験開始のアナウンスがされた。焦凍と夜嵐のことは気になるけど今は試験に集中しなくちゃね。
アタシは機動力があるし遠くまで行ける。灰雲で移動しつつ上から様子を見る。あ!傷病者発見。すかさず近づいて声を掛ける。
「坊や!大丈夫⁉」
返事がない。意識がない。頭からも出血している。ここで手当てするわけにもいかなわね。
「大丈夫だからね。今助けるわ。すぐに救護所に運ぶからそこまで頑張るのよ!」
声を掛けつつも急いで運ぶ。アタシのスピードなら持つはず……!
救護所では多くの傷病者が集められていた。
「そこの君!その子の状態は?」
「呼吸はしてますが意識がないです。頭からも出血があります」
「大変だ!じゃああっちのスペースに運んで!」
「わかりました」
指示に従ってこの子を運ぶ。そこで爆発音が会場に響き渡る。
『
まさか仮免試験でここまでやるなんて……でもとりあえず救護所の傷病者を避難させないとね。
そう思っていたのだけど雲行きが怪しい。焦凍と夜嵐が揉めてる?その時、焦凍の炎が倒れている真堂さんに向かってしまう。これを灰塵壁で防ぐ。
「大丈夫ですか、真堂さん?ったくアンタたち!いい加減にしなさい!今どういう状況かわかってんの?喧嘩するなら他所でやりなさいよ!」
だが
「シャチョーがキンキンにしてる間に避難の方グッチャにすんべ」
「よーし」
「行かせるわけないでしょ!灰闐嵐!」
避難民に向かおうとしていた
「ほう……まだやっかいそうなのがいるな」
「灰塵柩!」
「動けない……!いい拘束技だ」
ギャングオルカに正面から挑むのは最終手段だ。少しでも遅らせることを考えないと!すぐには抜け出せないようだけど時間稼ぎにしかならなそう。
そこで焦凍と夜嵐が個性を発動させて何やらしようとしている様子が見える。炎と風で炎の渦を作り出す。最初からこれができてればね……
その間にサイドキックたちを制圧しよう。
「灰塵の太刀……」
連続して
そこに出久や尾白たちの加勢もあり一気に優勢となった。だけどギャングオルカは炎の渦を突破したようだ。そこに出久が蹴りを放つ。
「二人から、離れてください!」
そこでブザーが鳴り響く。
『えー只今をもちまして、配置されたHUCが危険区域より救助されました。まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程、終了となります!!』
ふー。やっと終わった……なかなか大変だったわね。
『集計の後、この場で合否発表を行います。怪我をされた方は医務室へ、他の方々は着替えてしばし待機でお願いします』
合格発表の時間がやってきた。果たして受かっているのか……
採点方式についての説明の後にいよいよ掲示される。
「えーと、松本……松本…………あった!」
やった!合格だ!皆の様子を見ると、ほとんど受かってるみたい。ただ焦凍と爆豪の名前がない。なんて声を掛ければいいのかわからないわね。
「轟!」
夜嵐がこちらへ向かった来た。
「ごめん!あんたが合格逃したのは俺のせいだ!俺の心の狭さの!ごめん!!」
「元々俺がまいた種だし……よせよ。お前が直球でぶつけてきて気づけたこともあるから」
二人の間に何があったのかはわからないけど、和解できたようで安心したわ。
「轟……落ちたの?」
「両者ともトップクラスであるが故に自分本位な部分が仇となったわけである。ヒエラルキー崩れたり!」
また峰田が余計なことを言ってるわね。
『えー全員ご確認いただけたでしょうか?つづきましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されてますのでしっかり目を通しておいて下さい」
プリントを貰うと、85点と書かれていた。なかなかいい点じゃないかしら?
公安委員会の目良さんからこれからの活動について話をされる。オールマイトが引退した今、
不合格者についても特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば仮免が取れるそうだ。よかった、よかった。
「やったね、轟くん!」
「間一髪だったわね、焦凍」
「やめとけよ、な?取らんでいいよ、楽に行こ?」
「すぐ……追いつく」
仮免許証を貰い、帰る時間がやってきた。クラス皆で集まっていると夜嵐がやって来る。
「おーい!」
「あら、士傑の……」
「轟!また講習で会うな!けどな!正直まだ好かん!先に謝っとく!ごめん!」
「どんな気遣いだよ」
「こっちも善処する」
焦凍は夜嵐にそう答えた。夜嵐はそれを聞いてこちらに向き直る。
「乱菊さん!俺、あなたに怒られた時、あの熱さにビビッと来ました!好きっす!惚れました!」
「あら?ありがとう?」
「おいおい、ウチの松本が士傑に口説かれてるぞ!」
「流石推薦入試1位だ……」
「関係あるか、それ」
「オイラのおっぱいに何してんだ、テメー!」
「いや、お前のじゃねえよ」
なんか外野の男子がうるさいわね。
「士傑は恋愛禁止なんで、連絡先交換してくださいっす!お願いします!」
夜嵐は頭を地面に打ち付けた。
「まぁ、連絡先くらいならいいけど」
「ホントっすか!毎日電話します!」
「毎日は辞めてね」
「はい!では!」
そう言って嵐のように去って行った。
「ちょっと松本!何口説かれてんの!詳しく話してよ!」
「そうだよ乱菊ちゃん!ねぇ何があったの⁉」
「大したことじゃないわよ。ただ喧嘩してたから怒鳴っただけ」
「え~嘘だあ。それで告白まで行かないでしょ!隠してないで話しなよ~」
「ホントにそれだけだって!ね!焦凍!……焦凍?どうしたの?」
なんだか焦凍が固まっている。
「いや……なんでもない。大丈夫だ」
「そう?なんか暗い顔してるわ。疲れてるの?」
「そうかもな」
そう言って焦凍は歩いて行ってしまった。なんかいつもと様子が違う気がする。
「よし、帰りのバスは松本から根掘り葉掘り聞きまくるぞ!」
「そうと決まれば早く帰ろう!」
「あんまり人の恋愛に突っ込むのは良くないわ」
「そうですわ!皆さんお疲れでしょうし」
ワイワイしていたがそこにバスが来て雄英まで帰る。ちなみにバスの中では皆疲れて爆睡していた。