転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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インターン

「1年生のヒーローインターンですが、昨日協議した結果、校長をはじめ多くの先生が「やめとけ」という意見でした」

 

 相澤先生がホームルームでそう話した。

 

「えーあんな説明会までして⁉」

「でも全寮制になった経緯から考えたらそうなるか……」

 

 上鳴が珍しくまともなこと言ってる。普段はあんなにアホなのに。

 

「ざまア!!」

 

 爆豪は参加できないからってそういうのはねー。良くないと思うわ。

 

「が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり、方針として「インターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可する」という結論に至りました」

 

 ならエンデヴァーのところなら大丈夫かしら?後で連絡してみよう。

 

「くそが!!」

 

 

 その日のお昼休み。何人かで食堂でお昼ご飯を食べていた。

 

「皆、インターンどうする?アタシはエンデヴァーのところに連絡してみようと思うけど」

 

 アタシがそう言うと各々答える。

 

「俺は仮免取れてねえから補習だ」

「私はセルキーさんのところに連絡してみようかしら?」

「私はガンヘッドさんのところかな?」

「俺はまだインターン活動できるレベルではないと考えている!もう少し研鑽を積んでからだ!」

 

 仮免がまだの焦凍はともかく、梅雨ちゃんとお茶子は職場体験先でって感じか。天哉は実力は十分だと思うけど真面目ね。

 

「出久はずっと難しい顔してるけど、どうしたの?」

「……ああ、ごめんっ!当てにしてたグラントリノからインターンは出来ないってフライング気味に連絡が来ててどうしようかと悩んでて……」

「それは大変ね、緑谷ちゃん。他に当てはあったりするの?」

「うーん……あるような、ないような……」

 

 いやどっちよ……

 

 

 その日の放課後、さっそくエンデヴァー事務所に連絡してみた。返事は歓迎しているとのことだったけど、いつもの覇気がなかった気がする。

 焦凍の話を聞くに、やっぱりエンデヴァーは何かに悩んでいる?でもせっかく悲願のナンバーワンになれるってのに悩みなんてあるのかしら?

 よくわからないけど週末に事務所に行くから様子を見てこよう。焦凍も口では嫌悪している風だけどヒーローとしては気にかけてるみたいだし、冬美さんも心配してるだろし。

 

 

 あっという間に週末がやってきた。前回来たときは焦凍と一緒にきたが今回は一人だ。

 時間を言ってあったからか受付でバーニンが待っていた。

 

「おっ、時間ぴったり。よく来たね」

「今日からよろしくお願いします」

「訳あって今めちゃくちゃ忙しいから助かるよ。インターンといっても灰猫みたいな優秀なのは即戦力で取り合いになってもおかしくないからね」

 

 バーニンと喋りながら移動する。ヒーローが待機しているフロアまでやってきた。キドウさんやオニマーさんなど見知った顔もいた。

 軽く挨拶してそしてエンデヴァーの部屋の前まで来た。ノックもせずに扉を開けるバーニン。

 

「エンデヴァー、入るよ!ったく、インターン生が来たってのになんでそんな腑抜けてんだよシャキッとしなよ、シャキッと!」

「ん?バーニンか……松本も良く来たな。バーニンについて仕事を学ぶといい」

 

 何か書類仕事をしていたエンデヴァーは一瞬顔を上げ返事をすると、また顔を下げ書類仕事に戻った。

 エンデヴァーの部屋を退室してバーニンに尋ねる。

 

「エンデヴァーってあんなんじゃなかったですよね?もっと活力に満ちていたというか、ギラギラしていたというか……」

「あー……わかるよねぇー。なんか警察から連絡が来て長時間話したと思ったら急にあんなんになっちゃってさ……今じゃ全然パトロールにも行かなくなっちゃってね……性格はあんなんでもナンバーツー、いや今はナンバーワンか、がサボり気味っての外聞悪くてサイドキックがカバーしてるけど、それもいつまで持つかって感じ。脇臭親父だけど優秀なんだよね」

 

 警察から?こればっかりは何があったのか予想つかないわね。

 

「そうだったんですね……焦凍も気にしてました」

「ショートくんも?やっぱそうだよね。まあそんなわけでインターン生だろうと優秀なら手を借りたいわけよ。忙しくなるから覚悟しててね」

「はい。頑張ります!」

「まあ今日は契約もあるし書類仕事、明日から本格的にパトロールとかしてもらうからね」

 

 というわけで今日は契約書にサインして書類仕事を手伝った。サボりたいたくて仕方がないけど流石に一日目からサボるわけにはいかなかった……焦凍、早く来て~~

 

 

「書類仕事苦手でしょ?」

 

 隣で仕事していたバーニンに話しかけられた。

 

「はい……どうにも合わなくて……」

「今日はやってもらったけど、ウチくらい大きな事務所になれば事務員さんが大部分をやってくれるから明日からは心配しなくていいよ」

「そうなんですか?良かった~」

 

 その日の業務は書類仕事に悪戦苦闘しながらもなんとか終わった。

 業務終了後、事務所にある宿泊設備に案内された。これがあるなら職場体験はどうしてホテルだったわけ?

 

「ん?あぁ職場体験はお客様待遇だったからかオッサンも奮発したんじゃないかな?費用はポケットマネーで出したって言ってたし」

 

 えぇ……ポケットマネーで女子高生のホテル代……事案じゃない?

 

 

 インターン二日目、朝から早速パトロールにでる。今日もバーニンと一緒だ。

 

「パトロールに出るときはとにかく視野を広くね。どんな犯罪も見逃さないように」

「はい」

 

 そう言ってる傍から暴走車両が見えた。アタシたちの背中側から進行方向に向かってあっという間に走って行った。

 

「バーニン!」

「うん!やってみな!カバーはするよ」

 

 灰雲で追いかけ、暴走車両の背中を捕らえる。中を覗いてみたが運転席にしか人はいない。その運転手も意識を失っているようだ。

 これは無理矢理止めるしかないわね。

 

「灰塵壁、柔らかい版!」

 

 灰塵壁に空気を含ませて柔らかくしたものを車両の前面に展開した。そこに突っ込んだ車両は少し進んで止まった。

 安心している暇はない。運転手の安否確認をしなきゃ。

 結局運転手は急に発作が起きたらしく、すぐに到着した救急車に運ばれていった。

 

「よくやったよ、灰猫。初仕事があれとは大変だったね」

「かなりスピード出てたんで焦りましたけど何とかなって良かったです」

 

 そう一息ついていると、叫び声が聞こえてくる。

 

「今度は何だ~。様子見に行くよ!」

 

 叫び声が聞こえた方にいくと、腕や足を刃物にした(ヴィラン)が暴れていた。

 

「どうして俺が首になるんだ!俺は不正何てしてない!冤罪なんだー!!社長出せよ!」

 

 どうやら会社を首になったのが不満で暴れているようだ。人質を取って社長を出す様に要求している。しかもお酒も飲んでそう。

 

「私が注意を引き付けるからその隙に捕らえて」

「わかりました」

 

 アタシは目立たないように(ヴィラン)の背後に回る。

 

「そこのアンタ!話は聞くからとりあえず落ち着きなさい!」

「うるせえ!とにかく社長だせよ!」

「社長は今呼んでるから、その人を放してくれない?」

「社長!社長!しゃーちょー!」

 

 お酒かと思ったけど薬かしら?どちらにしろ早くしないとまずそうね。

 

「灰煙遁!」

「なんだこれ!こいつがどうなってもいいのか⁉」

 

 まず煙幕で視界を塞ぐ。

 

「鎖条灰縛!」

 

 灰の鎖で一気に拘束した。人質も怪我無く無事なようだ。

 

「バーニン、どうでしたか?」

「いい判断だったと思うよ。もっと早くできたら満点かな」

 

 なかなか手厳しい。人質の女性にお礼を言われたのは嬉しかった。

 野次馬がいたのは危機感ないのかしら?と思ったけど……本当は周りの避難誘導も出来ればよかったわ。

 その後警察が到着し、この(ヴィラン)は引き渡された。

 

「そろそろお昼だし一旦事務所に戻ろうか」

「お腹ペコペコですよ」

 

 

 事務所で昼食を済ませ、午後もパトロールを続行する。そうしたらいきなり応援要請がきた。水を操る(ヴィラン)が暴れているらしい。

 すぐにそこに急行すると、一面水道管がむき出しになって破裂したり、マンホールから水が吹き上がったりして酷いありさまだった。

 

「エンデヴァーがなんぼのもんじゃい!!炎熱系の個性何て怖くねえよ!」

 

 そう言って(ヴィラン)は暴れている。操った水で一帯を冠水させて建物にも被害が出ている。

 

「エンデヴァー事務所は炎熱系とそれをサポートする面子が多いから相性悪いな……どうするか……」

「あの、アタシがやってもいいですか?」

「灰猫が?よしやってみな!」

 

 灰雲に乗って空から近付く。まだこちらに気づいていないようだ。

 あと少しというところでこちらに気が付いた。

 

「ヒーロー……お前、エンデヴァーの事務所じゃないな?俺はエンデヴァーのサイドキックは全員把握してきた!雑魚ヒーローなんて俺の敵じゃないんだよ!」

 

 あっちが勝手に侮ってきた。これならやり易い。

 (ヴィラン)の操る水を避けて相手に突撃する。避けられなそうなものは灰で相殺した。そして相手の懐にもぐり込んだ。

 

「なに⁉」

「灰塵の太刀、なまくら!」

 

 わざとなまくらにした灰塵の太刀で(ヴィラン)を袈裟斬りにした。意識を失ったようで、操っていた水が地面に落ちてきた。

 当然アタシもびしょ濡れだ。髪が長いから濡れると面倒なのよね。髪をかき上げる。

 

「よくやったよ!被害の拡大も防げたし」

「ありがとうございます。それよりこの(ヴィラン)なんですけど、個性強すぎませんか?」

 

 拘束していた(ヴィラン)を指して問いかける。

 

「あー、多分違法なブースト薬使ってるね。一定時間個性が強くなる薬だよ。今回のは結構品質がいいやつっぽいね」

「へー、そんな薬あるんですね。(ヴィラン)が持ってたら厄介そう」

「最近結構出回ってるっぽいんだよね。これもオールマイトがいなくなった影響かな」

 

 組織的な(ヴィラン)が増えているみたいな話を聞いたけどこれもそういう事なのかしら?まだまだ仕事がありそうだ。

 

 その後またも警察に引き渡し、パトロールを続行した。

 だけど事件や事故が多発して休む暇もなかった。ひったくりや万引き、建設現場の崩落や暴れる人など多くの出番があった。普通ヒーローがいる目の前でひったくりとかする?

 

 

 パトロールが終わり事務所に戻ったのは日が暮れてからだった。そこから雄英まで送ってもらって寮に着いたのは日付が変わる前だった。

 

「あっ、明日の予習……まぁいいか。寝ましょう」

 

 その日は力尽きるように眠った。

 

 

 週明けの朝、教室に着いたのは結構ギリギリになってしまった。疲れすぎて寝坊しちゃったわ。

 

「あー、松本おそーい!見て見てー、爆豪と轟ボロボロ!」

「ホントだ。どうしたのそれ」

「うるっせんだよ!黙れや!死ね!」

「仮免講習でこうなった。それよりエンデヴァーのとこはどうだった?」

 

 爆豪と焦凍がボロボロなのに驚いていたら反対にインターンについて聞かれた。

 

「そうだぜ、松本!お前記事になってたぞ!『美貌の女剣士!水も滴るイイ女……』だってさ!」

「名前も出てるじゃん!すごいよー、松本ォ!」

 

 記事に?どれどれ……

 

「なんか容姿についてばっかね。うわっ、写真もあるし。ヒーローとしても滅茶苦茶忙しかったし頑張ってたんだけど……」

「……エンデヴァーのとこはどうだった?」

「それより松本!そっちにはドスケベエロコスヒーローいたか?ってお前もスケベだったか」

「スケベじゃないわよ!というかそんなヒーローいるわけないでしょ!エロブドウ!」

 

 峰田はいつも通り平常運転だ。

 

「…………エンデヴァーのとこはどうだった?」

「あぁ、焦凍、ごめんなさいね。あんまりエンデヴァーとは話せなかったわ。なんか前より活力がないというかギラギラしてないというか……パトロールもあんまりしてないみたい」

「そうか。アイツらしくねえな。わかった、ありがとな」

 

 そこで相澤先生が入ってきて話は終わった。焦凍ってエンデヴァーのこと嫌ってる割には気にしてるわよね。いや、嫌ってるからこそなのかしら?

 

 その後もしばらくは平日は授業を受けて休日にインターンという日々を過ごしていた。

 

 しかし突然驚きのニュースが飛び込んできた。プロヒーローたちに率いられて出久やお茶子、梅雨ちゃん、切島たちが死穢八斎會に突入し交戦したというのだ。そこから更に二日後、出久たちが帰ってきた。

 

「帰ってきたアアア!!奴らが帰ってきたア!」

 

 皆口々に心配の声を上げて収拾がつかなくなってしまった。

 

「皆、心配だったのはわかるが!落ち着こう!報道で見ただろう。あれだけのことがあったんだ。級友であるなら彼らの心を労り静かに休ませてあげるべきだ。体だけでなく、心もすり減ってしまっただろうから……」

「飯田くん、飯田くん。ありがとう。でも……大丈夫」

「じゃあいいかい。とっっっっっても心配だったんだぞもう、俺はもう、君たちがもう」

「おめーがいっちゃん激しい」

 

 瀬呂のツッコミが入る。その後は爆豪と焦凍が寝るというので、しばらくして解散することになった。

 

 それから数日後、インターン活動は正式に停止されることとなった。(ヴィラン)連合が活動していることも踏まえて学校側はそう判断したらしい。

 というわけでアタシのインターンも一旦終了となる。それでもいい経験になった。職場体験はステインの件で散々だったし。

 これからは何事もなければいいのだけど。

 

 

 

※※※

 

 緑谷たちが激闘を終えて雄英に帰ってきた次の日の仮免講習終わり、エンデヴァーは轟焦凍を出口で待っていた。

 

「久しぶりだな、焦凍。ずいぶん変わった」

 

 そう言って頭を撫でようとするエンデヴァー。

 

「うるせぇよ」

 

 手を振り払う轟焦凍。

 

「お前は自慢の息子だ。ならば俺も、お前が胸を張れるヒーローになろう。父はナンバーワンヒーロー……最も偉大な男であると。そのためには清算しなければならない過去がある。それはお前が知っての通りだ。迷惑をかけることになるかもしれん。今のうちに謝っておく。申し訳ない」

 

 エンデヴァーは頭を下げた。

 

「何の話だよ……勝手にしろ」

 

 そのとき夜嵐が自らの顔面を殴った。

 

「エンデヴァアーーーー!!俺、応援してるっす」

「……ありがとう。俺のことを知っても応援してくれると嬉しい。それと血が凄い出てるぞ」

 

 そう言ってエンデヴァーは決意を固めた顔をして去って行った。

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