雄英生活二日目、思いのほか普通に授業を受けている。授業のレベルは高いけれど特に変わったところはない。しかし午後のヒーロー基礎学は違う。
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」
この授業を担当するオールマイトが入ってきた。みんな興奮しているみたいだわ。というかアタシも少し興奮している。ただいきなり戦闘訓練というのは少し怖い。アタシの個性は必要以上に怪我をさせてしまう可能性が結構あるし難しいな。
「コスチュームに着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!!」
と言ってオールマイトは教室を出ていった。
更衣室で自分のコスチュームを着てみる。コスチュームは前世の死覇装にした。やっぱり何十年も着ていたものだし愛着がある。サイズはぴったりね。違和感もなし。
グラウンドβまで行く途中、みんなとお互いのコスチュームについてしゃべっていた。
「百のコスチュームの露出やばくない?それ大丈夫?」
あまりにも露出が多いから心配になって百に声をかける。
「松本さん、大丈夫ですわ。これは私の個性に必要なことでしてよ」
たしか百の個性は『創造』だったはず。体から物を作り出すなら服は最低限がいいのかと納得した。
「いや、ヤオモモは言うまでもなくヤバいけど、あんたのコスチュームも相当でしょ。胸出しすぎて半分くらい見えてるじゃん」
響香から苦言を呈されるとともになんか恨みがましい目で見られている。話を変えよう。ちょうど良く一番とんでもないコスチュームの人がいるしね。
「響香も似合ってるじゃん。ところで透のそれってなにか着てるよね?」
「ん?普通に裸だけど?」
「「「「⁉」」」」
ヒーロー以前に女の子としてどうなのかとも思ったが、個性柄仕方ないのかしら?梅雨ちゃんもお茶子も体のラインが出るコスチュームだけど、アタシたちと比べると露出は少ないわね。そんなことを話しながらグラウンドに到着するとオールマイトがいた。
「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!」
オールマイトから訓練の詳細が説明される。
面白い設定だわ。前世だととにかく相手を倒すことに注力していたから新鮮だしね!
コンビはまさかのくじ引き。アタシはFを引いて、まだしゃべったことのない異形型個性の男の子とペアを組むこととなった。たしか口田っていったっけ?何の個性なのかしら?見た目は結構強そうだけど……
「最初の対戦相手は……Aコンビがヒーロー!!Dコンビが
対戦するペアが発表されてそれぞれ準備を進めていき、順番待ちのアタシたちはモニタールームで観戦する。突入したヒーローペアに対して爆豪が奇襲を仕掛ける。これは何かの作戦なのかしら?それとも暴走?その後の戦闘も観ていくと、爆豪は緑谷ばかりを狙っていてお茶子のことは眼中にないらしい。あの2人はなんか因縁でもあるのかお互いしか目に入っていないみたい。いや、一応緑谷には考えがあって単独で爆豪の相手をしてるのかな?
状況が膠着しつつあるなーとか考えていたら、爆豪がやらかした。籠手に溜めた個性を大火力でぶっ放したのだ。え~、高校入学時点でこの火力出すっておかしいでしょ……一般入試1位はだてじゃないわね。そのまま緑谷を圧倒する。それにしても彼の戦闘センスは凄まじい。更木隊長を思い出すわ。
すると突然、緑谷が爆豪に背を向けて走り出した。
「逃げてる!」
「男のすることじゃねえけど仕方ないぜ。しかし変だよな……爆豪のほうが余裕なくね?」
「そうね」
たしかに緑谷よりも爆豪のほうが焦ってるように見える。そしてお互いが正面からぶつかり合う……ように見えたが、緑谷は真上に向かってパンチを放った。ビルの天井までをぶち破る規格外のパワーを見せた。その隙にお茶子が核兵器を確保して終了。一戦目からなかなか濃いのを見せられたわね……
試合の後には公表が行われたが、オールマイトは飯田がベストだと言う。百が詳しく語っているが、緑谷と爆豪は問題行動が多かったし、お茶子はやり方が雑だったわね。今回の訓練の設定に従うなら飯田がかなりましだったはず。ただ真面目過ぎて柔軟性に欠けるとは思ったけど。
続く第二戦は圧倒的だった。轟の氷結で終わり。言うことなしの完勝。こういうの見せられると落ち込むわ~。アタシは自分の個性は好きだけど、あんな範囲攻撃はできないし制圧力もない。ちょっと羨ましいわね。ただ……コスチュームのデザインはないわ。あれはない。中二病ってやつかしら?
訓練が続くけど、アタシたちのペアはなかなか呼ばれなかった。結局呼ばれたのは最後で対戦相手は三奈と青山ペア。アタシたちは
「口田でよかったわよね?私は松本乱菊。よろしくね。早速だけど作戦を立てましょうか」
「口田甲司です。よろしく。作戦か……どうしよう……」
「まずはお互いに個性を教え合おうじゃない。アタシの個性は灰。灰を作って操れる。灰が触れたところを切ることもできるわ」
「強そうだね。僕の個性は動物に命令することができるだけなんだ……」
「じゃあ正面戦闘というよりは支援のが得意かしらね?じゃあわたしがメインで戦うわ。それでも大丈夫?」
「うん。わかったよ」
開始の合図だ。口田の索敵によると正面入り口から普通に入ってきたみたい。当てもなく探してるみたいだし索敵系の個性は持ってないのかしら?核兵器は最上階の端に置いたから見つけるまでには時間がかかるだろうし、奇襲しますか!
「口田。そろそろ仕掛けるわ」
アタシが声をかけると彼は頷いた。ヒーローチームが2階に上がってきたところで死角から灰を放つ。
「奇襲⁉うわっ目になんか入った⁉青山大丈夫⁉」
「僕は大丈夫さっ!君は?」
もう少し混乱させられると思ったけど効果が薄い。青山のよくわからないサングラス?みたいなので防がれてる。予定どうりここは離脱ね。
「口田!今よ!」
アタシの合図に口田の操るネズミがヒーローチームの二人に襲い掛かる。その隙にアタシは退散する。これを繰り返して時間を稼ぎつつ、相手が疲弊してきて余裕ができたら確保する。これがアタシたちの作戦だ。
作戦を実行していくうちに残り時間が少なくなってきた。ヒーローチームが焦れてきたのかかなり苛烈に攻めてくる。青山のレーザーは体の向きで撃つ方向が分かりやすいから避けやすい。三奈の酸は範囲も広いし灰も溶かされるしで相性は悪そう。ここが攻め時かしら?またも逃げると思わせといて、後方にいた青山に突撃する。そして彼を組み敷く。前世では白打の修行もしたように、今世でも体は鍛えている。組み敷いた青山に確保テープを巻く。
『青山少年確保!!』
「え~~⁉青山⁉」
そしてタイミングよくネズミがかく乱する。慌てているうちに三奈を確保する。
『
アタシたちの戦闘訓練が終わり、講評が行われた。今回のベストはアタシだと言われた。やっぱり評価されるのは嬉しいわよね。作戦立案と確保テープを巻いたところが評価されたらしい。ただここで問題発言をする奴がいた。
「青山!!お前羨ましいぞ!!巨乳金髪美女に組み伏せられるなんて!!」
峰田が眼を血走らせながら気持ち悪いことを言っている……女子は全員ドン引きだ。あっ、梅雨ちゃんが舌でぶん殴った。
「オッホン!!みんなお疲れさん!!これで授業は終わるが、私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!!」
オールマイトは走って去っていった。何はともあれ無事に終わって良かった。
教室に戻ると自然と反省会が開かれた。
「松本、今度飯行かね?何好きなん?」
なんかクラスメイトにナンパされてるんだけど……やっぱりあたしってモテちゃうわね。うーん、チャラい上鳴はあんまタイプじゃない。それにまだギンのことが吹っ切れないし。
「それなら今度クラスみんなで行きましょう。親睦会も兼ねて」
「あっはい……」
「上鳴遠回しに振られてんじゃん」
響香が哀れみの視線を向けている。
何人か既に帰っていたけど残ったメンツでそのまましばらくお喋りして帰宅した。高校生って楽しいわね!