転生松本乱菊のヒーローアカデミア   作:カワニ

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クリスマス

 気づけば12月も下旬、終業まであと数日となっていた。今日のクラスの話題は焦凍と爆豪が仮免を取って数十分で(ヴィラン)を退治した一件のニュース映像だった。

 

「「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」」

「一時間もインタビュー受けて!」

「爆豪丸々カット!」

「使えやぁああ……!」

 

 二人は取材をされて今日のニュースで映像が流れたみたいだけど、爆豪の部分は丸々カットされていたみたい。まぁあの時の取材の様子をチラッとみたけど、いつも通り酷い態度だったものね。むしろカットされて良かったのかしら?

 

「オールマイトから遠ざかってない……?」

「イカレてんだ」

「聞こえてんぞ、クソデクと玉ァ!」

 

 出久と峰田に怒ってるけどそういう所から直さないとこの先も苦労しそうね。二人のニュースの後は泥花の事件のニュースだった。

 

「焦凍はカットされなくて良かったわね。まぁあなたをカットしたらもう放送するところないんだけど」

「俺は別に放送されなくても……」

 

 アタシが焦凍に話しかけると焦凍はそんなにメディアに出たいという感じでもないみたい。

 

「せっかくカッコいいんだからメディアには出たほうがいいわよ。あとはもう少し笑顔の方がいいと思うわ。そうしたらもっと魅力的になるはず!」

「魅力的……?」

 

 あまりピンと来て無さそう。アタシは彼にはもっと笑っててほしいと思う。でも入学当初より自然な表情が出るようにはなってきたかな?

 

 話している間にMt.レディがミッドナイトと相澤先生と一緒に入って来た。どうやら今日は彼女が特別講師としてメディア演習をするらしい。ちょうどタイムリーは話だ。

 

 コスチュームに着替えてグラウンドに移動する。そこにはインタビューをするようなパネルが用意されていた。ということは……

 

「ヒーローインタビューの練習よ!」

 

 Mt.レディはそう宣言する。なんだか緩い雰囲気の授業ね。早速焦凍からスタートした。

 

「凄い活躍でしたね、ショートさん!」

「何の話ですか?」

「なんか一仕事終えた体で!はい!」

「はい」

 

 流石天然ね。最初からちょっと面白い。インタビューは続く。

 

「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう⁉」

「俺が来て……皆が安心できるような……」

「素晴らしい!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、私、逆に心臓バクバクよ」

「心臓……悪いんですか……」

「やだなにこの子!」

 

 焦凍の天然具合にMt.レディも少し興奮している。

 

「どのような必殺技をお持ちで?」

 

 焦凍は必殺技を見せる。氷結はやっぱり派手で見栄えが良くていいわね。

 

「あれ?B組との対抗戦で使ってたやつは?」

「赫灼熱拳!」

「……は親父の技だ。俺はまだアイツに及ばない」

 

 響香と透が言うが焦凍としてはまだそこまで至れていないという事らしい。

 

「うーん……笑顔を作ろうとしてるのはわかるけど少しぎこちないわね。もう少し自然にできると女性はイチコロよ♡」

「俺が笑うと死ぬ……⁉」

「もういいわ!」

 

 どうしてその発想になったのかわからないけど、彼の突飛な発想には驚かされるわね。

 戻って来た焦凍に小声で声を掛ける。

 

「中々良かったわよ。それに笑顔もやればできるじゃない」

「お前に言われたから少し意識した」

 

 その後、常闇が技を披露する必要性を質問するが、Mt.レディによると必殺技は己を知ってもらうためにも必須とのこと。象徴的な意味合いってことね。

 相澤先生の話では、エンデヴァーの活躍にヒーローたちは引っ張られているらしい。

 

 続々とインタビューの練習をしていき、アタシの出番も周って来た。

 

「アタシの個性は灰を生み出して操る個性です。そしてその灰でなんでも切り裂きます!」

 

 アタシは灰塵旋風を使って灰の竜巻を起こす。以前よりも威力が上がったかな。

 

「それに盾として防御にも使えますし、アタシが得意なのはこれです」

 

 アタシはそう言って刀を見せる。

 

「刀?でも刃が付いてないけど……」

 

 Mt.レディにそう言われるのも織り込み済みで灰塵の太刀を発動して見せる。

 

「灰塵の太刀と言い、こうやって灰で刃を作って敵を切ります。凶悪な(ヴィラン)もお任せあれ♡」

 

 最後にそう言ってカメラに向かってウインクする。

 

「愛嬌もあって素晴らしいわね。というか強力なライバルが……」

 

 Mt.レディは少し慄いている様子だった。

 

「松本はやっぱ見た目で得してるな」

「流石はミスコン優勝者……恐ろしいな……」

「オイラも身長があれば……」

 

 ガヤが少しうるさいがこれでアタシのインタビューは終わった。皆の所に戻る。

 

「やっぱお前こういうの上手いな」

「でしょ?人前に出るのは昔から得意なのよね!」

 

 焦凍にそう返事をする。

 

 その後、爆豪が一人だったら幾分かマシだったり、出久が緊張でまずかったりしたけど無事に授業は終わった。

 

 

 

 数日後、今日はクリスマスだ。例年なら家でご馳走を食べたりするけど今年は皆でクリスマスパーティーだ。こういうのも悪くないわね。

 サンタ衣装に着替えてソファに座る。隣に座っているお茶子が料理にくぎ付けになっているみたい。美味しそうだものね。気持ちはわかるけど皆が揃うまで我慢しましょうね。

 

「インターン行けってよー。雄英史上最も忙しねぇ1年生だろコレ」

 

 確かに今年は忙しかったわねぇ。特に林間合宿なんて大変だった。

 

「松本はエンデヴァーのとこ?二人はリューキュウだよね」

 

 響香がそう聞いてくる。

 

「アタシはやっぱりエンデヴァーかな。この前のインターンでもお世話になったし」

「そやねぇ、耳郎ちゃんは?」

 

 お茶子もインターンで行ったリューキュウのところか。

 

「ウチはどうしようか悩んでるんだよねぇ……先生から貰ったリスト見るとギャングオルカかな」

「いいじゃない。ギャングオルカのところなら音波の扱いとか学べるだろうし、実力も確かだし」

 

 ギャングオルカってカッコよくていいわよね。顔が怖いって言われるけど結構かわいいと思うんだけどな。

 

「聖夜最高」

 

 峰田がアタシたち女子を見てそんなことを言っている。まぁサンタの衣装を着ている時点で今更かもね。ただ他の男子は口に出さないから峰田が目立つんだけど。

 出久はナイトアイが亡くなったこともあって宙ぶらりん状態らしい。爆豪も今更有象無象に学ぶ気はないとのことで行き先は決まってないようだ。

 

「おオい!!清しこの夜だぞ!いつまでも学業に現抜かしてんじゃねーよ!」

「斬新な視点だな、オイ……」

 

 峰田がグチグチ言い始めたところで玄関の扉が開く。

 

「遅くなった……もう始まってるか?」

「とりっくぉあ、とりとー……?」

「違う、混ざった」

「「「サンタのエリちゃん!」」」

 

 相澤先生とエリちゃんがやって来た。文化祭の前とか来てたけど、まだちゃんとお話ししたことないのよね。鬼は外をやっているのも可愛い。でもそれはもう少し先ね。

 そのままクリスマスパーティーが始まる。ご馳走を食べながら皆で歌ったりして楽しい。やっぱ耳郎の歌は上手いわね。先生があまりご飯を食べてなさそうなので持って行く。障子が飲み物を持って行ってあげてるみたいだし。

 

「先生も食べてくださいよ。皆でいっぱい作ったんですから」

「悪いな」

「それにゼリーばっかり食べるの普通にまずいです。エリちゃんが真似したらどうするんですか」

「確かにな。そういえばエリちゃんがミスコン見てお前のこと綺麗だって喜んでたぞ。話してみたいようだから頼むな」

「そういうことなら是非。可愛い子ですよね」

 

 相澤先生とそんな風に話していると、プレゼント交換の時間になった。

 

「ではプレゼント交換をするが皆プレゼントは持って来ているかい⁉」

「あったり前よ、委員長!」

「早くやろうぜ!楽しみにしてたんだ!」

 

 天哉が音頭を取ってプレゼント交換が始まる。アタシは迷った末に香水を選んだ。男女両方使えるやつ。今の時期はまだマシだけど、汗をかくことが多いヒーロー科だから臭いとか結構気になるのよね。

 皆それぞれラッピングされたプレゼントだけど一人おかしいのがいる。

 

「常闇、それ本気?」

「?何か変か?貰ったら嬉しいものを持ってきたぞ」

「いえ、やっぱり何でもないわ……」

 

 常闇は大きな剣のレプリカを持って来ていた。それアタシはまぁいいけど女子はあんまり喜ばないんじゃ……でも面白さはあるわね、うん。

 

「皆それぞれ紐を持ったか?では引こう!」

 

 アタシも紐を引くと一つのプレゼントが手元にやって来る。これは誰のかしら?

 

「あ、松本のそれウチが用意したやつ」

 

 響香がそう教えてくれた。お勧めの音楽のCDらしい。嬉しいのを引いたわね。今度聞いてみよう。

 

 プレゼントをそれぞれ開けているけど中にはとんでもない物もあった。金塊は流石にまずいのではないかしら?それに青山のブロマイドは正直いらないわね……

 ただ出久とお茶子がお互いのプレゼントを引き当てて嬉しそうにしているのは微笑ましいわ。エリちゃんが常闇のプレゼントのデッカイ剣を引いたのは驚いたけど、彼女が喜んでそうだからいいか。

 

 そんなこんなでクリスマス会も終わって片付け中だ。全員で片付けていると焦凍が出久と爆豪に話しかける。

 

「緑谷、爆豪。もし行く当てが無ェなら来るか?ナンバー1のインターン」

「あら、いいじゃない。行くとこないなら来れば?焦凍が頼んだらあの人断らないわよ」

 

 どうやらインターンに誘ってるらしい。アタシも援護射撃する。

 

「どうしようかな……まずはオールマイトに相談か……?でもこんな機会二度とないしな……どうしたら……

「……考えとく」

「そうか。決まったら教えてくれ」

 

 二人とも今は返事しないみたいで焦凍も急ぎではないからかあっさりしたものだった。そのまま歩いて行ってしまう。

 

「アンタが二人を誘うとはね。エンデヴァーの元ならいい経験になりそう」

「お前もエンデヴァーのとこ行くんだよな?さっき聞こえてきたが」

「そうね。連絡したら良いって言ってたし」

「そうか……片付け終わったら時間あるか?」

「ん?構わないけど……」

 

 

 

 何やら話があるようなので片付けが終わってからこっそり焦凍の部屋に行くことに。外で話そうかとも思ったが流石に寒い。ノックしたらすぐに部屋に入れてくれた。だが焦凍は何やら黙っていて話し始めない。アタシから尋ねることにした。

 

「それでどうしたの?またエンデヴァー絡みで何かあった?それともプレゼントくれるのかしら?」

「いや……エンデヴァーは関係ねえ」

 

 焦凍は何やら目を泳がせている。表情がいつもより固いような……緊張してる?

 

「俺はずっと怒りや恨み、否定したい気持ちを原動力にしてた。なりたいものを見れていなかった。でもお前や緑谷たちに出会って変わった。本当に自分がなりたかったもの、憧れてた気持ちを思い出せた。感謝してる、ありがとな」

 

 アタシの目を見て真っすぐに伝えてくれた。

 

「いいのよ。アンタの情緒が幼児並みだったからついつい面倒見ちゃっただけだしね」

「それでお前と関わっていくうちにお前のことを考えると心がざわつくようになった」

 

 ん?何やら話が変わってきたわね。これってもしや……

 

「新種の病気かと思ったが違うって言われた。ちょっと前までこの正体が分からなかったが、判明した。どうやら俺はお前のことが好きらしい」

 

 告白?なのかしら?照れもせずに好きって言えるのは何だか焦凍らしいわね。でもどう返事するべきかしら……正直アタシに対して特別な感情を持っていたのは感じていたけど、母親に向けるような感情だと思っていたわ……

 

「えっと……好きって言ってくれたことは嬉しいわ。だけどアタシは……昔から好きな人がいたの」

 

 前世のことは話しても荒唐無稽だし、過去の話で通じるかしら?

 

「それで……その人はもう会えないというか亡くなってるんだけど……どうしよう、突然のことだからびっくりしちゃったわ……正直、今まで恋愛的な意味であなたのことは見てなかったから、そういう意味では好きではないと思う。今の聞いてもまだ好き?」

 

 アタシとしては前に進みたい気持ちもあるが、ギンのことを忘れられない気持ちもある。

 

「好きだ。他の誰かに渡したくない」

 

 アタシに好きな人がいたって聞いても気持ちは変わらないみたいね。どうしよう……気持ちが揺れ動いてる。

 

「えっと……付き合いたいってことでいいの?」

「ああ。それで頼む」

「分かったわ。よろしく」

 

 アタシも覚悟を決めよう。前世含めて何十年単位であれから経っているのだ。それに新たに生き直しているのだし。

 

「……いいのか?」

「いいって言ってんでしょうが。そもそもアンタの方から告白してきたんでしょ?」

「……正直断られると思った。それとこれプレゼント。告白前に渡すのは違う気がしたから今渡す」

 

 焦凍は小箱を渡してくる。

 

「そんな、いいのに。それにアタシ用意してないし」

「俺の気持ちだ。勝手にあげるだけだから」

「開けていい?」

 

 嬉しいけど告白後に渡すなんて意味深な行動に半分察して開封させてもらう。中から出てきたのはネックレスだった。

 

「ネットで調べたらアクセサリーが良いって書いてあった。で指輪は重いとあったしネックレスにした」

 

 焦凍が意図を説明してくれるが、それって社会人とかが参考にするのじゃない?高校生でこれは重いわね……でも期待するように見ているのを突き返すわけにもいかないし……

 

「あ、ありがとう。とっても嬉しいわ。これならいつも着けておけそうだし。でもお返しするような物がなくて申し訳ないわね」

「さっきも言ったがそれはいい」

 

 いや、流石にこれ貰ってお返しなしはまずいわよ。今度何か用意しておこう。それより決めることあったわね。

 

「ねぇ、付き合ってること皆に言う?」

「わざわざ言わなくていいだろ。聞かれたら答える」

「そう……ならそれでいいか。でも冬美さんには言っておいた方がいいわね。焦凍のこといつも心配してるし、隠すのは心苦しいわ」

 

 クラスメイトには言わないにしても冬美さんに隠すのは無理だわ。

 

「姉さんには俺からも言っておく」

「それがいいわね。さてと、じゃあもう遅くなってきたし部屋に戻るわ。おやすみなさい、焦凍」

「時間取らせたな。じゃあな、乱菊」

 

 アタシが帰ろうと挨拶すると焦凍に名前で呼ばれた。

 

「え、今名前で……」

「おかしいか?恋人は名前かあだ名で呼ぶって書いてあったんだが」

 

 何を参考にしているのかわからないけれど碌なもんじゃ無さそう。それはともかく名前で呼ばれるのは気恥ずかしいわね。それも恋人と言われると。

 

「皆の前では今まで通り呼ぶつもりだ」

「そうよね。いきなり呼び方変わったら怪しいものね。あ、そうだ、一つあげれるものあったの忘れてた」

 

 ここに来て一つ思いついて勢いで行動してしまう。後で考えればアタシもクリスマスの空気感にのぼせていたのかもしれない。気づけば焦凍の頬に唇をつけていた。

 

「ちゃんとしたプレゼントは今度渡すから、今はこれだけで我慢して」

 

 彼の耳元でそう囁いてアタシは部屋を出る。顔が熱い。少し体温が上がった気がする。でも不思議と部屋に帰る足取りは軽かった。




敵連合vs異能解放軍の戦いで、トガちゃんはトゥワイスがいないので亡くなってます。
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