USJ襲撃の翌日は臨時休校となった。昨日は大変だったからベッドでゴロゴロしながらスマホでこの事件に対する世間の反応を見ている。
同情というかアタシたち生徒を心配する声も多いが、雄英の警備体制を批判する声も多い。しかも
ワープという特殊かつ強力な個性を予測するのは不可能だったし、雄英側の落ち度はないように思えるけど……ただ批判されるとしたらオールマイトが授業に遅れてきたことくらいかしら?圧倒的人気を誇るオールマイトだから批判はほとんど見ない。
死神なら戦うだけでよかった。世間の声なんてものなかったしね。最近一人になると無性に前世の仲間たちが恋しくなることがある。まだアタシは前世の思い出にしがみ付いているのかしらね……
「あーやめやめ!こんなこと考えていてもしょーがないわ。お酒(ノンアル)飲んで昼寝しましょう」
そして惰眠をむさぼって一日が終わった。
翌日、復帰に時間がかかると思われていた相澤先生が早速復帰してきた。それにしても包帯でぐるぐる巻きだけど本当に大丈夫なのかしら?
「俺の安否はどうでもいい。何より戦いは終わってねえ」
「戦い?」
「まさか……」
「まだ
「雄英体育祭が迫っている!」
「「「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」」」
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ」
アタシも将来ヒーローとしてやっていくからにはここで結果を残さなければ。あと2週間しかないけれど、今からできることは何だろうか?
斬撃をある程度加減して相手に後遺症を残さないようにしたい。それにUSJでワープさせられて気づいたけど機動力が足りない。
瞬歩がない今、新たな移動方法の開発が必要だ。よし、今日から体育祭まで猛特訓して今の課題を解決しよう!
昼休み、みんな体育祭のことでテンションがおかしなことになっているなか、アタシは相澤先生の許可をとりに職員室を訪れていた。
「放課後の訓練場所?開放しているグラウンドならあるが、そこでいいか?」
「ええ。そこでお願いします」
「しかしいきなりそう言うってことは個性関連の特訓か?」
「アタシの個性って相手を切ることができるじゃないですか?体育祭なら対人戦もあるかもしれないのである程度加減できるようにしておかないと、と思いまして」
「たしかにお前の個性は使い方によってはかなり危険だ。コントロールを誤ると相手を大怪我をさせることに繋がる。本番ではリカバリーガールが待機しているがそれはあくまで保険だ。しっかり訓練しておけよ」
放課後、早速訓練に行こうとすると、教室の前に人だかりができていて出ようにも出られない。もう!時間がもったいないのに~。すると爆豪がいきなり彼らを挑発する。
「意味ねえからどけ、モブ共」
「どんなもんかと見に来たが随分偉そうだなあ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
普通科の男子生徒が前に出てきてしゃべりだす。彼の話によると、体育祭の結果によってはヒーロー科編入もあり得るらしい。
「敵情視察?少なくとも俺は調子乗ってっと足元ごっそり掬っちゃうぞっつー宣戦布告をしに来たつもり」
最初はただの面倒ごとかと思ってたけど、意外に楽しい展開になってきたじゃない!アタシこういうバチバチしたのすきなのよねえ。
ついでにB組からも絡まれた。だが爆豪はそれを無視していく。
「待てこら、どうしてくれんだ。おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねえか!!」
「関係ねえよ……上にあがりゃ関係ねえ」
「く……!!シンプルで男らしいじゃねえか」
「上か……一理ある」
「騙されんな!無駄に敵増やしただけだぞ!」
なんかいい感じになってきたところで、とにかくこの人だかりを何とかしたい。
「皆さ~ん!あの~アタシたち、つい二日前に
アタシがちょっと演技しながらそう言うと、気まずそうに去っていく生徒たち。
「おーー!!松本流石だぜ!!」
切島が褒めてくれる。もっと褒めていいのよ!
「松本って人操るの得意だな。オイラも操って欲しい!ハアハア……」
流石変態峰田。こんなときもぶれない。
「おい、これなら爆豪が無駄に喧嘩売る必要なかったんじゃないか?」
「たしかに」
これで心置きなく訓練に行けるわね!
さっそくグラウンドに来た。まずは斬撃の加減の練習から。まずは設置してある的を切ってみる。はっ!!真っ二つになってしまった。これは長くかかりそう……
移動手段については考えてあった。USJで轟が氷に乗って移動するのを見て思いついた。アタシも自分の灰に乗ればいいのだと。
最初はなかなかうまくいかなかったが、斬撃の手加減よりはうまくいきそう。うまくいかなかった原因は乗った時の足場の不安定さだ。
だから多めに灰を出して圧縮すれば……できた!不格好だけどなんとか形になった。あとは習熟させていこう。圧縮するのは我ながらいい考えね。防御にも使えそうだし。
問題は斬撃のほうだ。何日か練習しているが、なかなかうまくいかない。こういう時は考え方を変えよう。アタシは前世の灰猫の柄を振って切るイメージで腕を振っていたけど、個性として考えればわざわざこんな動きは必要ないかもしれない。
灰猫は灰から刀に戻ることで斬撃を放っていたけど、刀としてみるのではなく通常の灰がより鋭利な灰になると考えよう。その鋭利な灰が切るというより削るイメージをもってを的を攻撃する。すると的は切断ではなく削れるように一部を線状にえぐった。
これならある程度加減ができるかもしれない。前世の切るという意識が強すぎてそっちに引っ張られていたのかしら?
なにはともあれ、体育祭で同級生を切り刻んじゃうようなことにはならなそうで安心だわ。このまま体育祭まで練習して目指すは優勝よ!