ついにこの日がやってきた。雄英体育祭本番当日。控室で入場の時間を待っている。普段緊張とは無縁だけど不思議と高揚感が沸き上がる。
緑谷、と轟が珍しく緑谷に話しかける。滅多に自分から人に話しかけないのに珍しい。
「轟君……何?」
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ⁉うっうん……」
「おまえオールマイトに目えかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねえが……お前には勝つぞ」
へー。普段はクールなのに熱いところもあるのね。イケメンのこういうギャップがズルいのよね。オールマイトと親しいのはアタシも気になってたけどそんなに意識することかしら?
「おお⁉クラス最強が宣戦布告⁉」
「急にケンカ腰でどうした⁉直前にやめろって……」
「仲良しごっこじゃねえんだ。なんだっていいだろ」
おっと体育祭直前にこの空気はまずい。ここは一肌脱ぎますか。
「はいはーい!じゃあアタシも宣戦布告しまーす!じゃあ……百!A組女子最強の座をかけて勝負よ!!」
「私ですか⁉……ええ、受けて立ちますとも!松本さんには負けませんわ!」
空気を読んでくれたのか百も乗って来てくれる。流石は百。こういう時は頼りになるわね。
「轟君が何を思って僕に勝つって言ってんのか……はわかんないけど……そりゃ君の方が上だよ……実力なんて大半の人に敵わないと思う……客観的に見ても……」
「緑谷もそーゆーネガティブなこと言わねえほうが……」
「でも、皆他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって……遅れをとるわけにはいかないんだ。僕も本気で獲りに行く!」
「……おお」
せっかくいい雰囲気だったのにシリアスになっちゃったわ。でもこういう熱いのも嫌いじゃない。アタシも本気でやらないと……!
そしてついに入場の時間が来る。
『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!
なんか持ち上げられすぎて嫌な感じ。しかもその後の他の組の紹介とかなり格差があるし……他のクラスからの視線が痛い。
「選手宣誓!!」
選手代表として入試1位の爆豪が呼ばれる。
「せんせー。俺が1位になる」
やっぱ爆豪って頭おかしいわね。普通ここでこんなこと言う?でもだからこそ面白い子なんだけど。
ミッドナイトから第一種目の発表がされる。今年は障害物競走らしい。レースか……ちょうど訓練の成果が発揮できそうね!
『スターーート!!』
スタートした途端、狭いゲート付近で轟が辺りを凍らす。
『さーて実況していくぜ!解説アーユーレディ⁉ミイラマン‼』
『無理矢理呼んだんだろうが』
実況がプレゼントマイク、解説が相澤先生らしい。
轟の氷結だが、A組の多くは慣れていることもあって避けられている。アタシも当然灰を足場にすることで避けた。
と思ったら何か喋っていた峰田が吹っ飛ばされた。
『さあいきなり障害物だ‼まずは手始め……ロボ・インフェルノ‼」
入試の時の0ポイント
『1—A轟‼攻略と妨害を一度に‼こいつあシヴィ―!!すげえな!!一抜けだ‼アレだな。もうなんか……ズリイな‼』
ロボにつぶされる生徒もいたが、個性のおかげで無事だった。この体育祭けっこう野蛮じゃない?普通あんな大きな機械につぶされたら死ぬわよ?
『1—A爆豪、下がだめなら頭上かよー‼クレバー!』
上から行く爆豪に続いて瀬呂と常闇も突破する。ここは出し惜しみしないで行くべきね。これ以上出遅れると取り返しがつかなくなる。
特訓で身に着けた移動法で空を飛ぶ。ちなみに灰を雲みたいな形にして飛ぶから灰雲と名付けた。消耗しすぎないように注意しながら0ポイント
『おっとここでA組松本も抜けていくー!というかお前の個性空飛べたん⁉』
『本来の個性の使い方ではないんだろうが、応用が上手い。ここ最近個性使った特訓してたからな。そこで開発したんだろう』
『松本、見た目にそぐわず真面目ちゃんか?』
うっさいわね!見た目云々は余計よ!あとで覚えておきなさいよ。こうして第一関門を突破した。
『オイオイ、第一関門ちょろいってよ‼んじゃ第二はどうさ⁉落ちればアウト‼それが嫌なら這いずりな‼ザ・フォーーール!!!』
みんなが思わず足を止めているとサポート科の生徒がサポートアイテムを駆使して進んでいく。
『実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでいますね、イレイザーヘッドさん』
『何足止めてんだ、あの馬鹿ども……』
『さあ先頭は難なく一抜けしてんぞ‼』
落ちる可能性が怖いけど仕方ない。もう一度灰雲を展開し一気に向こう岸まで渡ろうとする。がしかし、
「邪魔だ!!どけ金髪ゥーー!!」
すぐ近くにいた爆豪に爆破される。慌てて回避しなんとか直撃を免れた。
「何すんのよ爆豪!これまだ不安定なのに!」
「うっせえ!!俺の前にいるんじゃねえ!!」
お互いに罵り合いながら第二関門を抜ける。
『最終関門は一面地雷原‼怒りのアフガンだ‼地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ‼目と脚酷使しろ‼』
「はっはぁ俺は、関係ねーー‼てめえ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ」
「ちょっと、アタシもいるんですけど!男の子だけでヒートアップして眼中にないのやめてくれる⁉」
爆豪が轟を挑発するとともに抜く。そしてその背をアタシが追いかける。
『ここで先頭が入れ替わったーー‼喜べますメディア、お前ら好みの展開だああ‼爆豪と松本が轟に追いつく‼後続もスパートかけてきた‼だが引っ張り合いながらも先頭三人がリードかあ⁉』
轟に追いついたはいいけど攻撃を防ぐだけで手一杯。ウチのクラスでもトップの実力者たち相手にはなかなか厳しいわね。というか攻撃してないでさっさとゴールしたいんだけど!二人の妨害が邪魔で仕方ない。
『先頭集団の爆豪、轟、松本‼最終関門を今抜けそうだが……A組緑谷爆発で猛追、っつか抜いたあああああー!!!』
「デクぁ!!俺の前を行くんじゃねえ!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねえ」
「ああもうだから足の引っ張り合いなんてしたくなかったのに!」
このままではまずいと思い争いをやめて緑谷を追いかける。がしかし緑谷は持っていた装甲を地面に叩きつける。
『緑谷、間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原即クリア!!イレイザーヘッドお前のクラスすげえな!!どういう教育してんだ!』
『俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろう』
『さあさあ序盤の展開から誰が予想できた⁉』
『無視か』
『今一番にスタジアムに帰ってきたその男、緑谷出久の存在を!!』
はあ……追いつけなかった。最後は轟と爆豪にも競り負け結局4位でゴール。仕方ない第2種目もあるみたいだからそこで巻き返そう。急造の灰雲を使ったにしては頑張ったほうよね、うん!