障害物競走でゴールし一息ついていると、ミッドナイトが話し始める。ヒーロー科の生徒はやっぱり全員突破したようだ。
「次からいよいよ本選よ!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!!さーて、第二種目よ‼私はもう知ってるけど~~これよ!!」
第二種目は騎馬戦らしい。参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作り、通常の騎馬戦と同じルールだが障害物競走の順位で各自のポイントが振り当てられるようだ。
順位が上がるに従いポイントが増えていくが1位はなんと1000万ポイント。これが発表された途端、みんなの視線が一斉に緑谷へ向く。緑谷はご愁傷様。結果的には1位にならなくて良かったかも。いいえ……これは負け惜しみね。
ミッドナイトの説明が続く。ハチマキを取られても騎馬が崩れてもアウトにはならないが、悪質な崩し目的での攻撃は一発退場になるようだ。
「それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
15分か⁉そんな短い時間で決めなきゃいけないのね。とはいっても誰と組もうかしら?仲がいいA組の女子と組むか、上位の実力者と組むか。どちらも別のメリットがあり悩ましい。
「俺と組め‼」
「えー爆豪私と組も⁉」
「僕でしょねえ?」
周囲の様子を伺っていると、爆豪が大人気みたいだ。
「てめえらの個性知らねえ、何だ⁉」
まじ?入学してしばらくたつけどクラスメイトの個性覚えてないのね……
「轟のやつソッコーでチーム決めやがったぜ!爆豪‼俺と組もう‼」
密かに狙っていた轟はもうチームを決めていたらしい。そうなると実力者と組むなら爆豪かしら?
「クソ髪」
「切島だよ、覚えろ‼」
「おめえどうせ騎手やるんだろ⁉そんならおめえの爆発に耐えられる前騎馬は誰だ‼」
「……根性のある奴」
「違うけどそう‼硬化の俺さ‼ぜってーブレねえ馬だ!獲るんだろ⁉1000万!」
「お前と組むのはいいが誘いたい奴がいる」
「ん?誰だ?」
「おい金髪!!俺のチームに入れ!!」
爆豪に勧誘された。爆豪と切島はそろって戦闘力が高い。これを逃す手はない。
「よろしくお願いするわ!爆豪、切島!」
「おう!よろしくな、松本!4位の松本が入ってくれるなんて心強いぜ。爆豪、あと一人はどうする?」
「あと一人は誰でもいい。足引っ張らないやつだ」
爆豪に特に意見がないようなので、結局希望者の中から瀬呂が選ばれた。爆豪が攻めて切島が守り、アタシが補助して瀬呂がカバーする。結構バランスがいいんじゃないかしら?
『さあ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!』
『……なかなか面白れぇ組が揃ったな』
『さあ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!いざスターート!!!!』
ついに騎馬戦が始まると1000万狙いのチームが緑谷を集中して攻撃し始めた。
「で、アタシたちは緑谷狙いでいいのよね?」
「ああ……デク一点狙いだ!!しょうゆ顔、着地は任せたぞ!!」
「瀬呂な!!いい加減覚えろ!!」
爆豪は個性を利用して飛び、サポートアイテムで飛んでいた緑谷チームを攻撃する。
「調子に乗ってんじゃねえぞクソが!」
「常闇くんっ!!」
「何だこいつ……」
しかし爆豪の攻撃は常闇の個性に防がれた。あの黒い生き物かわいいわよね。そして爆豪を瀬呂が回収する。
『おおおおお⁉騎馬から離れたぞ⁉いいのかアレ⁉』
足をついてないから問題ない。一応事前に確認済みだ。
そこへ他の騎馬が後ろから奇襲をかけてくる。それをアタシは灰でガード。
「ちょっと爆豪!⁉油断してんじゃないわよ!!」
「うっせー!!どこのどいつだ?お前B組か⁉」
「しまったな……油断しているタイミングを狙ったはずなんだが防がれるとは……」
そしてB組は組織的に騎馬戦で下位にいたことが明かされた。B組のイケメン君はなおもしゃべり続ける。
「君、有名人だよね?ヘドロ事件の被害者!今度参考に聞かせてよ。年に一度
彼の挑発に爆豪が切れる。
「切島……予定変更だ。デクの前にこいつら全員殺そう……‼」
「同意ね。別に1000万を取らなくても突破はできる。それにあんな挑発されたら頭にくるわ」
「おいおい松本、お前まで……しゃあねえ!やるか!」
お互いの騎馬が接近すると、イケメン君は手のひらから爆破を繰りだした。
「ははあ……へえ!すごい!いい個性だね!」
「俺の……‼」
「爆豪おめーもダダ被りか‼」
「くそが‼」
爆豪の攻撃がイケメン君に直撃するが個性で防がれる。
「んなああー!俺の⁉また被っ……」
「違えこいつ……コピーしやがった」
「正解!まあ馬鹿でもわかるよね」
すると横からまた別の騎馬が粘液のような液体をかけて来た。アタシはそれを個性を盾にして受け流す。
「あぶね!わりー松本助かった!」
瀬呂から感謝された。ただ落ち着いている時間はない。乱入してきた騎馬も敵だろうし……
「物間!何してるんだ、ハチマキは獲れたのか?」
「凡戸。それが意外にガードが固くてね。苦戦中だ」
「なら二人がかりでいくか」
どうやら相手方はあきらめるつもりはないらしい。爆豪は切れてるしこうなると相手をするしかない。
「爆豪!サポートするから突っ込みなさい!」
「へっ‼言われる前からそのつもりだあ‼」
「っておい爆豪‼松本、あいつ突っ込ませていいのかよ‼」
「いいのよ、瀬呂。彼は突っ込んで暴れさせた方がやりやすいでしょう。回収だけ頼んだわ!」
「おっけー‼」
「硬化の個性じゃ援護できねえぜ……松本、どうすりゃいい?」
「アンタは待機!状況次第で出番あるんだから!」
爆豪はイケメン君もとい物間に突っ込んだが透明な壁のようなものに防がれる。それを見てアタシは灰雲で爆豪に足場を作るとともに、凡戸の騎馬のほうに灰で煙幕を張る。
「爆豪、足場用意したから使いなさい!」
「⁉ふんっ!ちょっとは役に立つじゃねえか‼」
「お礼くらい素直に言いなさいよ、もう!」
爆豪はそのまま勢いで物間のハチマキを全て奪い取る。
『爆豪‼容赦なし‼B組物間から全てのハチマキを奪い取ったー‼』
凡戸のほうはまだ煙幕で対処できている。なら……‼
「1000万、取りに行くんでしょう?急ぎましょ!今は轟が持っているわ!」
「なにっ‼デクじゃねえのか⁉」
もう残り時間も僅かだ。とりあえず先ほどのように爆豪を突撃させる。
「半分野郎‼1000万寄越せええ‼」
「ちっ!爆豪まで来やがったか……」
『おっとー‼ここでA組三人衆で三つ巴の奪い合いだー‼最後に1000万ポイントを手にしているのはどのチームなのかああ‼』
奪われた1000万を取り返しに来た緑谷も混じっての乱戦となった。ここしかないわね。
「瀬呂!爆豪を回収して!」
「え⁉なんで?」
「いいから早くしなさい‼ぶっ飛ばすわよ‼」
「わかりました‼姉御‼」
瀬呂は言われた通りに爆豪を回収する。しかし爆豪は不満げだ。
「何やってんだしょうゆ顔‼」
「いや松本がやれって……」
「ああん‼どういうことだ金髪‼」
「こういうことよ!」
そこでアタシは乱戦かつ爆豪の爆破の煙で視界が悪くなっている状況で、ほぼ全力で灰による嵐を起こした。
『なんだこれは⁉砂煙で辺りが何も見えないぞー‼カメラもこれ撮れてるか?』
『いや、これは砂煙じゃない、灰だ。松本の個性によるものだろう』
『松本⁉ここまで騎馬戦では目立った行動をしてこなかったが、終盤にきて仕掛けてきたああ‼』
ここまでは想定通り。轟達の視界をつぶして、轟の首元の1000万を切り手元まで持ってくる。本物か確認するとちゃんと1000万だわ。ふふっ♪上手くいったわ!あとは時間まで粘るだけ。
流石に個性を使いすぎて疲労が溜まってきたので灰を収める。
『視界が晴れたが状況は……なんとおお‼爆豪チームに1000万がああ‼っとここでタイムアップ‼早速上位4チームを見てみよう‼1位、爆豪チーム‼』
よしっ!なんとかプラン通りにできた。
「しゃー‼」
「やったな!爆豪!」
「ちっ!礼は言わないからな、松本‼」
瀬呂と切島は素直に喜んでるけど爆豪は少し不満げ。やっぱり最後に引かせられたのが不本意だったのかしら?あと自分で獲りたかったのかも。でも名前を覚えられたのは成長ね。
『2位、轟チーム‼3位鉄て……アレェ⁉心操チーム‼いつの間に逆転してたんだよ。そして4位緑谷チーム‼以上4組が最終種目へ進出だああーーー‼』
何はともあれ、ここまで結構いい成績で来れた。このまま目指すは優勝よ!