終わってる世界で都合の良いエネルギーがあるなら好きに使っていいじゃない 作:AmanatuTaruTaru
両親健在、見知った顔の使用人も何人か生きてる事でメンタル面でも不調がない
そのためタダでさえ最強無敵な雅ちゃんは光の巨人の力まで手に入れた事でアルティメット雅ちゃんと化した
もはや誰も彼女は止められない。最強!無敵!アルティメット雅ちゃん!
心身共々健康なので腹芸ができるように両親から仕込まれてるが政治面は素で苦手なので関わらないようにしている
実家に戻ると5歳ほどの弟を溺愛している
ハルマサライダー=浅羽悠真は改造人間である
彼を改造した死神博士は趣味でホロウを渡り歩く狂人である
ハルマサライダーは人間の自由のためにホロウと戦うのだ!
「うーん……これ、何なんですかね課長」
「む?どう見てもH.A.N.D.の広告だ。私も監修したがよく出来ている」
「えっ…これが課長も関わってたんですか…?僕知らないですよ…?」
「うわー!ハルマサ凄くカッコいい!この前見た映画の広告みたい!」
「おー蒼角ちゃんは嬉しい事言ってるねー。与り知らないところで撮った覚えのないポーズで勝手に名前も使われてなければ素直に喜べたのになー」
新エリー都には日夜24時間体制で対ホロウに当たる公的機関が存在している
人材、施設、最先端テクノロジー、更には虚狩りまでも有する「H.A.N.D.」こそが人類の矛と盾を担う者たちである
そんな組織の遊撃部隊「対ホロウ6課」の三人は施設内で貼られたポスターを鑑賞してるようだった
まるでヒーローのようなポーズを立ち、足元には打ち倒された数多のエーテリアスに無法者であるホロウレイダー
さながら大衆娯楽作品のような広告ポスターにはしっかりと小さな文字で「H.A.N.D.は新たな人材を常に待つ!」と〆られていた
「許せ。ここの所、6課を偶像の如きに推し出したいのかそうした声が多い」
「それなら課長こそが適任じゃないですかぁ?現代の虚狩りで光の巨人の救世主…はちょっと行き過ぎた信仰を感じますけど」
「だからこそだ。理不尽から救うべく刀を振るう事に迷いはないが、妄信から謳われ信奉者になった人を導くようなことはできん」
「……単に撮影含めて面倒だったからではなく?」
「……」
「ああ!図星じゃないですか!わっかりやすー!なら蒼角ちゃんは…まぁこの子はどっちかと言うと小さな女の子の人気ですか」
「それもあるが…蒼角をこのような広告に使えば…」
「はい」
「柳が怖い」
「それはまぁ…はい」
ホロウ事案に置いて遊撃隊、つまりホロウへの侵入とエーテリアスの討伐が主な職務となる対ホロウ6課に当然ながら弱者はいない
ポスターに見飽きたのかハンバーガーを食べ出した青色の小鬼である蒼角はH.A.N.D.でもマスコットのような愛され方もされつつも、その実力はとある狂人が関わってる事で更に磨きがかかってる
しかしその戦い方はどうも小さな女の子に人気らしい
「これで貧乏くじを引くのが僕なんだから困っちゃうなー。はー…もうこれは今日はここで退勤しないと心が持ちませんよねうん僕は今日も頑張りました!課長お疲れ様でーす!」
「ああ。お疲れ様。それとついさっきホロウへの出撃命令が入った」
「おおう、もう…」
「10分後に〇〇地区へのホロウに突入する。蒼角も食べ終わったら歯磨きも済ませて行くように」
「もぐもぐ…はーい!」
いくら退勤願いを出そうにもそこはH.A.N.D.の誇る遊撃隊、出撃を要請されるほどの事案となればサボることは許されない
とはいえ我らが最強の星見雅課長であっても一般のホロウで光の巨人を使う事もない。というか使ったら被害が味方の手で広まりかねない
デカさとは強さだが問題解決には使いづらいのだ。こういう時は時速200kmの速度でちまちま刀を振るった方が安全だ。人の身で時速200kmも大概である
「はー…月城さんがいない間ならサクッと退勤を決めれると思ったのに空気の読まないお仕事だ……あれ、師匠からだ」
"………、………"
「はいはい貴方のご自慢の弟子にして改造人間悠真くんですよっと…」
「げっ、師匠もあのポスター見たんですか……いやいや僕があんなの撮るわけないじゃないですか。…似合ってるぅ?そりゃどーも」
「心配せずとも無理はせずに勤労に励んでますから大丈夫ですよ。博士からちょくちょく点検も受けてますからね」
「ポスター見てて口上を考えたぁ?師匠あんたいくつになって……ああ、今からとってもお辛いサビ残なんで切りますね!」
飄々とした青年にとって生きる事は絶望と隣り合わせだった
幼い頃から病気のお陰で親に捨てられるわ、通院先でも治らない病気に腫れもの扱いだわと散々であった
今でも明確な治療法は存在しない
それこそ軽く体にチップを埋め込むようなインプラント治療とは違う、人体そのものを機械に置き換える狂気に等しい事を行ってようやく人並みの肉体を得られた
出撃前から電話のかかった相手は幼い頃からの主治医であり、養父であり、そして戦い方を教わった師でもあった
改造手術を受ける前の師の顔は今でも思い出せる
まるで死刑囚になる覚悟を持って、自身を生かすために外道の行為を行う事への了承させるために説明を行った
その隣ではへらへらしたおっさんがいたがまさがそれが主犯であったのは今でも間違いでいてほしかった
そもそも自分が昭和改造式とかいう機械式の改造を行ったのもおっさんと事前に謎の受け答えをしてたからって話なんだからやりきれない
外部装置治療でも良いならそれで良いだろ!師匠にはしっかり黙ってたみたいだしよぉ!
全てを知った後は命の恩人兼全ての元凶にはキッチリと一発ぶん殴ったのは言うまでもない
すでに上司と同僚はホロウに向かっている
専用のバイクでH.A.N.D.から目標のホロウへと突入
ホロウ内部には当然のように高密度なエーテルエネルギーが満ちており、常人であれば一瞬で怪物であるエーテリアスに変貌するだろう
しかし改造人間である浅羽悠真は違う
ただでさえ「エーテル適性減退症候群」という特殊な病気によって病弱である事と引き換えに高いエーテル適正を持ち、しかも改造によって得られたその肉体は常人を遥かに凌駕する
肉体の骨格、内臓のいくつかはエーテル合金製の骨とエーテル生物学によって作られた人工臓器に置き換えられている
そのためか人類文明を滅ぼした元凶とも言えるホロウ内部のほうが肉体的に活性化するのも何とも言えない感覚だ。少なくとも外でいるよりにも遥かに体が軽くなる
今回の任務はホロウ内部のホロウレイダーの討伐及び拉致された市民の救助
それだけなら対ホロウ6課を動かすほどでもないが、生憎と侵入するホロウには要警戒対象に属する大型エーテリアスも存在していた
そうした有象無象のエーテリアスは雅と蒼角に任せ、単独での行動を得意とする悠真が市民の救助を行う
ホロウの自動マッピング機能を搭載したバイクを縦横無尽に走らせれば目的地はすぐだ。仕事はさっさと終わらせるに限る
「変…身!」
純粋な人の身で無くなった事に悲しいと思った事はない
いつ死ぬかもわからない絶望よりも、今日と変わらない明日を過ごせる事がどれだけ恵まれているか分かっているからだ
なんなら幼き日に見ていたヒーロー番組のような変身能力を手に入れた事は子供心ながら喜んでた記憶すらある
その力を使うのは何時だって力のない人を救う事が全てだ
悠真の身に施された技術はもはや個人で収まって良いものではないというのが世間からの評価だろう
何せ常人を遥かに超える能力は元より、ホロウの活動限界を容易に越えられる可能性に興味を示さない勢力はいない
それは良くも悪くも…何なら悪い大人の勢力が多いぐらいかもしれない
だからこそ示さなければならないのだ
この技術は、この肉体は、決して悪い考えを持つ者に渡してはならない
人の心が素晴らしい正義を示し、光を成すものだと意思表示しなければならない
「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ…いやこういうのは僕の言葉じゃないな…」
『くそ!もう保安局の犬どもがやってきたのか!?』
『い、いや!違う!あいつは…H.A.N.D.の…!!』
生来のサボり癖を持つ青年であってもこれだけは譲れない
師が断腸の思いで持って自身を改造をしたことを受け取り背負わなければならない
技術の出所が趣味のためにホロウを住処にするような狂人であっても、その技術は人の未来を確かなものであると証明するために
「いっそ投降するのをオススメするよ。どうせしないんだろうけど…」
エーテル合金による鋼の鎧を身に纏い、虫の複眼を思わせるマスク
たなびく赤いマフラーは正義を執行する証
「さぁ…君の罪を数えろ!」
数多の犯罪者を恐怖のどん底に叩き落としてきた仮面の戦士がホロウに降り立った
「あー君、そこの君だよ君」
「…はい?なんでしょうか」
「君、バッタとカブトムシとドラゴン、どれが好き?」
「はい!?急になんですか!?」
「いいからいいから。直観で選んでも良いよ」
「えー?なんなんだこの人…ならバッタで良いですか?」
「ふむ…ありがとう参考になったよ……昭和改造式で行くか」
「なんだったんだろうあの人……あ、師匠。さっき変な人が…」