■元カノに未練たらたらの女✕女の話見てぇ!!   作:あばなたらたやた

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チャプター①

 

 

 ナギサによるブリーフィングを終えた私は、イチカと共に正義実現委員会の武器庫へ向かった。

 分厚い防爆扉が低い駆動音を響かせながら左右に開く。

 中に広がっていたのは、整然と並ぶ火器、弾薬、補助兵装。冷えた金属の匂いと、油の混じった独特の空気が鼻をくすぐった。

 

 天井の白い照明が、無数の銃器に反射して鈍く光っている。

 

 私は装備ラックの前で立ち止まり、一つずつ武装を身につけていく。

 

 右肩に拡散バズーカ。

 固定用アームが肩へ噛み合い、重い振動が骨まで伝わる。

 

 左肩に追跡型レーザードローン。

 小型ユニットが静かな電子音と共に起動し、私の肩の上で淡く青い光を灯した。

 

 右手にバーストライフル。

 左手にバーストサブマシンガン。

 両手に馴染む重量を確かめるように、軽く握り直す。

 

 悪くない。

 

 私は隣で装備を選んでいるイチカへ視線を向けた。

 

「イチカはどうするの?」

 

 イチカは壁に立てかけられていた長身のスナイパーライフルを軽々と持ち上げ、肩に担ぐ。

 その姿は、私みたいな重武装とは対照的なくらい軽い。

 

「うーん、機動力重視の狙撃っすかねぇ」

 

 イチカはスコープを覗き込みながら、いつもの気の抜けた調子で笑った。

 

「できるだけ身軽でいきたいんで、これ一本で」

 

 私は少し笑って肩をすくめる。

 

「なら私は前衛で囮だね」

 

「そうっすね」

 

 イチカがにやっと笑う。

 

「派手に引き付けることを祈るっすよ」

 

「任せて」

 

 装備確認を終えた私たちは、そのまま戦場へ向かった。

 

 荒野を走る装甲車の窓の向こうでは、遠くで黒煙がいくつも立ち上っていた。

 地面は爆撃の跡で抉れ、熱気を帯びた風が砂塵を巻き上げている。

 

 戦場が近い。

 

 通信機から電子音が鳴った。

 

『二人とも、聞こえますか?』

 

 透き通るような声。

 

 ナギサだった。

 

 イチカが思わず眉を上げる。

 

「ナギサ様? なんでオペレーターなんかやってるんすか」

 

 一瞬の間。そして、淡々とした声が返ってくる。

 

『上に立つ者の義務です』

「そ、そっすか……」

 

 珍しく押されているイチカを見て、少しだけ笑いそうになった。

 やがて装甲車が停止する。

 ハッチが開いた瞬間、熱風と火薬の匂いが一気に流れ込んできた。

 私は飛び降り、そのまま前方を見る。

 

 敵影を確認。

 赤茶けた岩場の向こうで、温泉開発部の部員たちが採掘機材を運搬している。

 

 巨大なツルハシ。

 掘削ドリル。

 その周囲には武装した護衛部隊。

 

『オールウェポンフリー。排除してください』

 

 私は深く息を吐き、両手の銃を構えた。

 

「了解。交戦を開始します」

 

 次の瞬間。

 地面を蹴る。

 砂煙が爆ぜた。

 私は低空を滑るように加速し、一気に敵陣へ飛び込んだ。

 

「っ!?」

 

 敵が反応するより早く、引き金を引く。

 

 バーストライフル。

 バーストサブマシンガン。

 乾いた銃声が連続して響き、火花と薬莢が雨みたいに散る。

 最前列の部員たちは悲鳴を上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。

 

 止まらない。

 敵の横を滑り抜ける。

 振り向きざまに撃つ。

 

 また一人。

 また一人。

 視界の先に、大型輸送ヘリ。

 巨大なローターが轟音を上げ、砂塵を巻き上げている。

 

「見つけた」

 

 私は一気に加速した。

 跳ぶ。

 機体の側面へ飛び蹴りを叩き込む。

 

 金属が軋む。

 機体が大きく傾いた瞬間、右肩のバズーカを展開。

 

「吹き飛べ」

 

 轟音。

 爆炎。

 真っ赤な火柱が空へ立ち上がった。

 

『大型輸送ヘリの破壊を確認。残り五機』

「次へ行きます」

『大型輸送ヘリの破壊を確認。残り四機』

 

「……え?」

 

 一瞬、動きが止まった。

 通信から、イチカの楽しそうな声が聞こえる。

 

『そりゃあもう、簡単っす』

 

 次の戦場へ到着した時だった。

 四機の大型輸送ヘリを守るように、四脚型の武装作業重機が待機していた。

 

 重厚な装甲。

 回転するマシンガン。

 鈍く光るレーザーブレード。

 

 私はそのまま突撃しようとして。

 次の瞬間。

 轟音。

 閃光。

 四脚重機が弾け飛んだ。

 

「……なんすか!?」

 

 イチカの声が響く。

 ナギサが即座に反応する。

『反応確認……ゲヘナ所属、便利屋68の鬼方カヨコです』

 

 黒煙がゆっくりと流れる。

 舞い上がった火の粉が、夜みたいに暗くなった空へ消えていく。

 

 その爆炎の中心。

 一人の少女が、静かに立っていた。煤ひとつ気にした様子もなく、銃を肩に担いだまま。

 

 カヨコ。

 彼女の視線が、真っ直ぐ私に向く。

 懐かしい。でも、次の瞬間。

 その視線がイチカへ移った途端、空気が変わった。

 カヨコの眉が、わずかに歪む。

 

「……そっちの人は?」

「知り合い?」

 

 私は答えた。

 

「元恋人」

「……そう」

 

 短い返事。

 

 イチカが気軽に手を振る。

 

「カノの知り合いなんすね」

 

 カヨコが、ゆっくりと銃口を持ち上げる。

 

「元恋人」

 

 そして。

 

 感情のない声で告げた。

 

「——そして、邪魔者」

 

 冷たい銃口が、真っ直ぐイチカを射抜く。

 

「今から貴方を殺す」

 

 冷たい視線が私ではなく、イチカへ向けられる。

 

「元鞘カノの隣にいるべき存在は——私だから」

交流がみたい元カノは?

  • 桐藤ナギサ(孤立操作
  • 白石ウタハ(献身依存
  • 調月リオ(崇拝偏愛
  • 鬼方カヨコ(他者排除
  • 仲正イチカ(自傷憎悪
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