■元カノに未練たらたらの女✕女の話見てぇ!!   作:あばなたらたやた

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【チャプター①】大型採掘重機破壊

 

 通信機から、小さな電子音が鳴った。次の瞬間、ナギサの落ち着いた声が耳元に届く。

 

『二人とも、次の目標を共有します』

 

 私の視界に戦術ウィンドウが展開される。

 赤くマーキングされた巨大なシルエット。

 四本脚。装甲化された掘削アーム。機体中央では、巨大なドリルが低い駆動音を響かせながら回転していた。

 地面が微かに揺れている。掘り進みながら前進しているらしい。

 イチカが小さく口笛を吹く。

 

「でっか……」

 

 ナギサが淡々と続ける。

 

『敵機体を確認。温泉開発部所属、新型地下採掘兵器です。本来は資源採掘用ですが、今回は武装転用されています。

 

 戦術ウィンドウが拡大され、装甲構造が細かく表示される。

 

『全長三十二メートル。四脚駆動。主機関は地下掘削用高出力ドリル。副兵装として近接防衛用マシンガン、広域榴弾射出装置を搭載』

 

 私は思わず眉をひそめた。

 

「真正面から行くのは厳しそうだね」

『ええ。不可能ではありませんが——非効率です』

 

 さらりとナギサが言う。

 

 戦術マップの正面装甲が赤く表示された。

 

『まず第一に正面装甲への攻撃は無効と判断してください。複合耐熱装甲です。対戦車兵装でも有効打にはなりません』

 

 イチカが苦笑する。

 

「つまり、撃つだけ弾の無駄ってことっすね」

 

『その通りです』

 

 次の瞬間、機体背面の一部が青くマーキングされた。

 

『第二に弱点は背部冷却機構。高出力ドリルを維持するため、排熱性能を最優先した構造になっています。冷却ユニットを破壊できれば、内部温度上昇によって強制停止します』

 

 私はマップを見ながら頷いた。

 

「つまり、正面で引き付けて、後ろを取る」

 

『理解が早くて助かります』

 

 ほんの僅か。

 ナギサの声が柔らかくなった気がした。だが、すぐに次の情報へ移る。

 

『そして第三に』

 

 戦術マップの地面が黄色く点滅する。

 

『この機体最大の脅威は兵装ではありません。地下振動です』

 

 その言葉と同時に、採掘兵器の足元から同心円状の波紋が広がる映像が表示された。

 

『ドリル稼働中、周囲半径四十メートルの地盤が不安定化します。振動波に巻き込まれた場合、足場が崩壊。転倒、落下、あるいは機動制御の喪失が予測されます』

 

 イチカが少し真面目な声になる。

 

「……落ちたら終わりっすね」

 

『ええ。ですので——』

 

 一拍。

 

 ナギサの声が静かに響く。

 

『カノさん。あなたは前面で陽動し、敵の視線と火力を引き受けてください。イチカさんは高所から冷却機構を狙撃。敵が旋回した瞬間、主人公さんが背面へ侵入』

 

 戦術マップに二本の進行ルートが描かれる。まるで、もう勝ち筋が見えているみたいだった。

 

『いつも通りで結構です』

 

 ナギサが静かに言う。

 

『お二人なら、問題なく突破できます』

 

 私は思わず笑った。

 

「了解」

 

 隣でイチカがライフルを担ぎ直す。

 

「任されたっす」

 

 そして私たちは、地鳴りのする戦場へ走り出した。

 

 地面が揺れていた。

 最初は微かな振動だったものが、一歩近づくたびに強くなる。靴の裏から伝わる重低音が、骨の奥まで響いてくるみたいだった。

 舞い上がった砂塵の向こうで、それはゆっくりと姿を現した。

 

 巨大だった。

 

 四本の鋼鉄の脚が大地を踏みしめるたび、地面にひびが走る。機体中央では巨大な掘削ドリルが低いうなり声を上げながら回転し、先端から火花を散らしていた。

 

 その周囲には、無数のマシンガン砲塔と榴弾発射口。

 

 正しく移動要塞。

 通信機から、ナギサの落ち着いた声が響く。

 

『対象確認。温泉開発部所属、新型地下採掘兵器です。正面装甲への攻撃は無効。弱点は背部冷却機構』。地下振動による地盤崩壊に注意してください』

 

 私は巨大な機体を見上げながら、小さく息を吐いた。

 

「……真正面からは無理か」

 

『ええ』

 

 ナギサが淡々と続ける。

 

『ですので、いつも通りで結構です』

 

 隣で、イチカがスナイパーライフルを肩に担ぎ直した。

 

「つまり、私たちの勝ちってことっすね」

 

 私は思わず笑った。

 

「そういうこと」

 

 次の瞬間。

 

 私は地面を蹴った。

 砂煙が爆ぜる。

 私は一直線に採掘兵器へ向かって加速した。すぐに敵も反応する。機体側面のマシンガン砲塔が一斉に旋回し、銃口がこちらを向いた。

 

「来るよ!」

 

「了解っす!」

 

 轟音。

 

 弾幕。

 

 赤い曳光弾が雨みたいに空間を埋め尽くす。

 

 私は地面を滑るように横へ跳び、さらに前へ。

 

 右へ。

 

 左へ。

 

 バーストライフルとサブマシンガンを連射しながら、派手に砂煙を巻き上げる。

 

 囮。

 

 敵の視線も火力も、全部こっちへ向ける。

 

 それが私の役目だった。

 

 榴弾が地面を抉る。

 

 爆風が身体を揺らす。

 

 でも、止まらない。

 

「こっちだよ!」

 

 私はわざと大きく跳躍し、採掘兵器の真正面へ飛び込んだ。

 

 巨大なドリルが私を捉える。

 

 唸りを上げながら、その巨体がゆっくりと旋回を始めた。

 

 その瞬間。

 

 通信機から、イチカの声。

 

『……もらったっす』

 

 遠くの高架上。

 スコープの反射が、一瞬だけ光る。

 轟音。

 次の瞬間、背後から飛んできた狙撃弾が採掘兵器の背部装甲へ突き刺さった。

 

 火花。

 衝撃。

機体が僅かに揺れる。

 

『冷却機構に命中!』

 

 ナギサの声。

 

『敵機、旋回行動を開始します!』

 

 私は笑った。

 

「やっぱりそう来るよね」

 

 採掘兵器がイチカへ砲塔を向ける。

 

 つまり。

 

 背中が、空く。

 

「今!」

 

 私は全力で加速した。

 

 爆風を突っ切り、脚部の隙間を滑り込む。

 

 頭上をマシンガン弾が通り抜け、火花が散った。

 

 熱い。

 

 でも、もう見えていた。

 

 巨大な背部冷却ユニット。

 

 青白く光る放熱フィン。

 

「見つけた」

 

 私は右肩の拡散バズーカを展開した。

 

 ロック。

 

 照準固定。

 

 引き金。

 

 轟音。

 

 至近距離から放たれた弾頭が、冷却機構へ直撃した。

 

 爆炎。

 

 金属が悲鳴みたいな音を上げる。

 

『冷却ユニット損傷!』

 

 でも、まだ止まらない。

 

 機体中央のドリルがさらに高速回転を始める。

 

 地面が激しく揺れた。

 

 ひび割れる。

 

「っ……!」

 

 足場が崩れる。

 

 私は咄嗟に跳んだ。

 

 その瞬間、通信が入る。

 

『私が止めるっす!』

 

 イチカ。

 

 次の一撃は、今までより静かだった。

 

 でも、迷いがなかった。

 

 轟音。

 

 狙撃弾が一直線に夜を裂き——

 

 壊れかけた冷却機構、その中心を正確に撃ち抜いた。

 

 

 一瞬の静寂。

 

 次の瞬間。

 

 採掘兵器の全身から、真っ赤な警告灯が点滅した。

 

 内部温度、限界。

 

 機体全体から白い蒸気が噴き出す。

 

『オーバーヒートを確認』

 

 ナギサが告げる。

 

『後退してください』

 

「了解!」

 

 私は全力でその場から飛び退いた。

 

 数秒後。

 

 巨大な採掘兵器の中心部が、内側から膨れ上がる。

 

 そして——

 

 轟音。

 

 夜空を焼くような大爆発が起きた。

 

 炎の柱が天高く吹き上がり、爆風が砂塵を一気に吹き飛ばす。

 

 私は腕で顔を庇いながら、炎の向こうを見る。

 

 巨大だった鉄の怪物は、もう動いていなかった。

 

 通信機から、ナギサの声が響く。

 

『新型地下採掘兵器の機能停止を確認』

 

『——お見事です、二人とも』

 

 私はようやく息を吐いた。

 

 そして遠くの高架の上で、イチカがライフルを肩に担いで手を振っているのが見えた。

 

『やっぱ、私たち相性いいっすね』

 

 私は思わず笑った。

 

「今さら?」

交流がみたい元カノは?

  • 桐藤ナギサ(孤立操作
  • 白石ウタハ(献身依存
  • 調月リオ(崇拝偏愛
  • 鬼方カヨコ(他者排除
  • 仲正イチカ(自傷憎悪
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