■元カノに未練たらたらの女✕女の話見てぇ!!   作:あばなたらたやた

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【チャプター①】第2工房調査②

 

 私は床を蹴った。

 爆音。

 機械獣のエネルギーブレードが叩きつけられ、さっきまで立っていた場所がまとめて吹き飛ぶ。

 

 熱風が頬を焼いた。

 床が融解している。

 まともに受ければ装甲ごと蒸発する。

 

「うわっ、床なくなったんだけど!?」

「安心したまえカノ君、まだ通路は半分残っている!」

「半分しか残ってないんだよ!」

 

 ウタハは楽しそうに笑っていた。

 完全に遊園地の絶叫マシンに乗ってるテンションだ。いや、こっちは命がかかってるんだけど。

 

「カノ!」

 

 ウタハの声。

 同時に、青白い閃光が通路を貫いた

 《カラサワ》。

 超高出力レーザーが大型機械獣の側面装甲へ直撃して、装甲が赤熱する。火花が噴き出す。けれど、浅い。

 分厚すぎる。

 

「硬っ……! 何この装甲、趣味悪!」

「真正面から削る相手じゃない! というか削れる前提で作ってない!」

 

 私は瓦礫を蹴り飛ばしながら叫ぶ。

 

「イチカ!」

「もうやってるっす! というか二人ともテンション高すぎっす!」

 

 直後、乾いた狙撃音。高所へ移動していたイチカの弾丸が、機械獣の右脚関節へ突き刺さる。

 火花と共にわずかな姿勢崩れた。その瞬間を逃さず、私は加速した。

 前衛。

 敵の視線を引き受け、真正面へ飛び込むと機械獣の赤いセンサーがこちらを捕捉した。

 

《THREAT PRIORITY UPDATED/脅威の優先度が更新されました》

 

「うわ、優先的に狙われた」

「モテモテじゃないか!」

「嬉しくない!」

 

 次の瞬間、肩部砲門が展開した。

 

「来る!」

 

 砲撃だ。

 私は横壁へ飛び込む。背後で通路が吹き飛んだ。

 衝撃波。

 警報。

 崩落。

 施設全体が悲鳴みたいに軋む。その中を、ウタハが滑るように駆け抜けた。

 

「左腕、貰うよ!!」

「頑張れ!! 応援している!!」

 

 パイルバンカーが炸裂する。

 轟音。

 超重量の杭が装甲へ突き刺さり、機械獣の左腕を強引に弾き飛ばした。金属片が雨みたいに降る。普通ならそこで止まる。でもウタハは止まらない。発熱警告を無視して、さらにカラサワを構える。

 

「浪漫は火力! 覚えておきたまえ!」

「その浪漫で施設ごと吹き飛ばさないでよ!?」

 

 超高熱プラズマレーザーが至近距離から炸裂した。装甲が溶ける。機械獣が咆哮した。

 直後。

 耳障りなノイズが通信へ割り込んだ。

 

《――こちら、天才病弱幸薄美少女です!! ミレニアム特異現象捜査部のヒマリ!》

 

 私は思わず眉を寄せる。ウタハが舌打ち混じりに応答した。

 

「今忙しい!」

《その敵性体は現在、デカグラマトン案件に指定されています!》

 

 空気が変わる。

 デカグラマトン。

 その単語だけで、背筋が冷えた。通信の向こうで誰かが早口に続ける。

 

《対象コード確認! 現在交戦中の個体は、“第四機神セラフィム・ケセド”が生産した上級兵器です!》

「なにそれ。うわ、名前からして絶対ヤバいやつじゃん……」

「ふっ、いいじゃないか。燃えてきた!」

「そこでテンション上がるのやめて!?」

 

 大型の機械獣が再びこちらを向く。赤熱した胸部装甲が、ゆっくり展開していく。内部で超高密度エネルギーが脈動していた。

 嫌な予感というか、見た瞬間わかった。

 アレは撃たせちゃダメなやつだ。

 

《高出力砲撃が来ます! 弱点は胸部砲撃口!》

「わかりやすすぎるっすね!」

 

 イチカの狙撃が砲撃口付近へ直撃。けれど、エネルギー障壁に弾かれる。まだ足りない。

 

《砲撃直前のみ装甲開放を確認! 最大火力を一点集中してください!》

 

「つまり!」

 

 私は走る。瓦礫を蹴る。爆風の中を突っ切る。

 

「口開けた瞬間にぶち込めばいいんだね!」

「雑だけど合ってる!」

「説明が脳筋すぎるっす!」

 

 機械獣の胸部がさらに展開する。

 眩しいほどの赤熱光。

 エネルギー収束。

 空気が震える。

 施設全体が壊れ始める。

 ウタハが笑う。本当に楽しそうに。

 

「いいね、そういう単純なのは好きだ! デートはこうでなくちゃ!」

「どんなデートだぁバカやろー!」

「少なくとも一般的ではないっす!」

 

 カラサワの出力が限界まで上昇する。

 警告灯が赤く点滅。

 左腕のパイルバンカーも再装填完了。

 イチカの声が通信へ響く。

 

「カノ先輩、三秒止めてください」

「了解!」

「軽っ!? もっとこう、命懸け感とかないんすか!?」

 

 私は真正面へ飛び出した。

 大型機械獣がこちらを見る。

 砲撃口が輝く。

 来る。

 私は床を蹴り砕きながら突進した。真正面、至近距離。熱で視界が歪むそれでも止まらない。

 ライフル連射。

 センサー。

 関節。

 視界。

 全部撃ち抜く。

 

「ほらほら、こっち見ろ!」

 

《TARGET LOCK/ターゲットロック》

 

「うわ返事した!」

 

 大型機械獣がわずかに照準を揺らした。

 その瞬間。

 

「――撃つっす」

 

 轟音。イチカの超長距離狙撃が、砲撃口中央へ突き刺さる。

 エネルギーが乱れる。

 暴走。

 そこへ。

 

「浪漫全開だァ!!」

 

 ウタハのカラサワが火を吹いた。

 青白い極太光線。

 真正面から砲撃口へ直撃。流石は限界出力だ。空気そのものが焼けている。綺麗だ。

 次の瞬間。

 大型機械獣の胸部が、内側から爆発した。

 閃光、轟音、衝撃波。

 私は咄嗟に顔を庇う。爆炎が通路を飲み込み、熱風が全身を叩いた。

 巨大な機械獣が後ろへ傾き、赤熱した装甲が崩れ落ちていく。

 動力炉が明滅し――沈黙した。しばらく、焼けた金属が崩れる音だけが響く。

 私はゆっくり息を吐いた。

 

「……生きてる」

「勝ったね!」

「いやぁ、いいデートだった!」

「絶対違うからね!?」

 

 焼け焦げた空気の中、隣でウタハが満足そうに笑う。

 

「どうだい?」

 

 向こう側、高所。

 イチカがスコープを下ろしながら呟く。

 

「いや……普通にデートのテンションでやる戦闘じゃないんすよ、これ」

「でも楽しかっただろう?」

「認めたくないっすけど、ちょっとだけっす」

「ほら見たことか!」

「そこでドヤ顔しないでください!」

交流がみたい元カノは?

  • 桐藤ナギサ(孤立操作
  • 白石ウタハ(献身依存
  • 調月リオ(崇拝偏愛
  • 鬼方カヨコ(他者排除
  • 仲正イチカ(自傷憎悪
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