■元カノに未練たらたらの女✕女の話見てぇ!!   作:あばなたらたやた

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【チャプター①】ゲヘナ探索②

 

 空間が裂けた。

 正確には裂けたように見えた。

 目の前の景色が歪み、ガラスにひびが入るような音が響く。

 

 次の瞬間、そこに一人の少女が立っていた。

 銀髪に黒いドレス。雪のように白い肌。年齢だけ見れば私たちと大差ないはずなのに、不思議なほど大人びて見える。

 

 そして何より強い。

 武器は持っていない。

 銃もない。

 剣もない。

 何もない。

 なのに。

 私の身体が警告していた。

 危険。危険。危険。

 戦場で何度も死線を潜った感覚が叫んでいる。

 

 ――あれは危ない。

 私は無意識にナギサの前へ出る。そして左手で彼女の手を握った。少し冷たい。けれど握り返してくる力はしっかりしていた。

 私は銀髪の少女を見る。

 少女も私を見ていた。

 

 いや、見つめていた。

 

 熱を帯びた視線。まるで長い間探していたものを見つけたみたいに。

 懐かしいものを見るように。

 愛おしいものを見るように。

 その視線だけで、少しだけ胸がざわつく。

 私は首を傾げた。

 

「えっと、誰?」

 

 少女は微笑む。

 綺麗な笑顔だった。でも少し怖い。

 

「反転と崇高と色彩と黄昏の技術を使った移動能力」

「現れた方法は聞いてないんですけど?」

 

 思わず即答してしまった。

 一瞬。

 少女がぱちぱちと瞬きをする。そして小さく笑った。本当に小さく。けれどどこか楽しそうに。

 

「そう。ごめん。間違えた」

 

 少女はドレスの裾を摘まみ、優雅に一礼する。

 

「私は貴方に会いに来た」

「それは嬉しいけど」

 

 私はライフルを構えたまま答える。

 

「名前を聞いても?」

「ん」

 

 少女は微笑む。そして。真っ直ぐ私を見る。その瞳には奇妙な熱が宿っていた。

 

「私は貴方を愛している」

「重いなぁ」

 

 即座に感想が出た。

 ナギサが横で小さく咳払いをする。少女は真面目な顔のままだ。

 

「事実」

「いやいや、初対面だよね?」

「私にとっては違う」

「怖いなぁ」

 

 私は正直な感想を述べた。少女は傷付いた様子もなく首を傾げる。その仕草は妙に可愛らしい。でも。やっぱり怖い。何だろう。

 

 敵意は感じない。

 殺意も感じない。

 なのに緊張する。

 戦場で会う強敵とも違う。

 もっと別の何か。

 理解できないものへの警戒感。

 そんな感覚だった。

 少女はゆっくりと私へ近付こうとする。

 私は即座に一歩前へ出た。

 ナギちゃんを庇うように。

 少女の足が止まる。そして少しだけ悲しそうな顔をした。

 

「やっぱり、今はまだ、その女の隣にいるんだ」

 

 視線がナギサへ向く。

 一瞬だけ。本当に一瞬だけ。周囲の温度が下がった気がした。私は反射的にナギちゃんの手を強く握る。少女はそれを見て。再び私へ視線を戻した。

 

「安心して。今日は戦いに来たわけではないから」

「本当に?」

「うん」

 

 少女は微笑む。

 その笑顔はどこか満足そうだった。

 

「会いに来ただけ」

 

 私は少し考える。

 信用はできない。でも今のところ攻撃する気配もない。少女は私を見つめ続ける。まるで宝物を見るみたいに。

 

「……変な人だね」

 

 私がそう言うと少女は幸せそうに目を細めた。

 

「よく言われる」

 

 その返答に。

 私は何故か少しだけ嫌な予感を覚えた。

 

 

交流がみたい元カノは?

  • 桐藤ナギサ(孤立操作
  • 白石ウタハ(献身依存
  • 調月リオ(崇拝偏愛
  • 鬼方カヨコ(他者排除
  • 仲正イチカ(自傷憎悪
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