【改変】元人間の天彗龍、透き通る世界へ行く。   作:カブトムシの相棒

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この話はボツ話です。

本編は次話になりますので、宜しくお願い致します。この話の内容は、全てボツという事なので、申し訳御座いませんが、ご理解をの程、お願いします。






※ボツ:転生したらバルファルクに成ってた。

──先に言う、俺は死んだ。

 

 

 

 

 

理由はシンプル。学校に帰る途中、駅の地下階段に躓いてそのまま落下。角に頭部を打って出血多量で死んだ。

 

 

 

あー痛かったなぁ。段々と身体が冷えていく感覚は鮮明に覚えている。まるで裸のままマイナス10°の雪原に放り投げられた気分だった。

 

 

 

人が死ぬ瞬間は映画やアニメ位でしか見た事無いから余り想像できなかったけど、いざ体験してみるとあんな感じなんだなと、少し思いに耽ってしまう。

 

 

 

 

 

親には心の底から申し訳ないと思ってしまう。満足に親孝行も出来ぬまま死んだ馬鹿な息子を、母ちゃんや父ちゃん、姉ちゃんや弟と妹はどう思っているのか……考えたくはないな。

 

 

 

家族仲は凄く良かった。昔は喧嘩はしたけど、今では俺も姉ちゃんも高校に上がって、弟と妹は来年から中学に上がる予定なんだ。母ちゃんと父ちゃんとの関係も凄く良かった。皆でキャンプ行ったり男達だけで魚釣り行ったりと、正に理想の家族関係を築けていた。

 

 

 

……だからこそ、こんなしょうもない死に方をして申し訳なく思う。

 

 

 

もっとこう……暴走したトラックから子供を守ったとか、ナイフを持った通り魔から後輩や友達を庇って死んだとか、色々とっただろうに、なんでこんな………いや、違うな。

 

 

 

先ず死ぬなって話だ。あぁ、俺はなんて愚かだ。自責の念で死にそうだ。

 

 

 

────いや俺、もう死んでんだけどっ!ヨホホホwww!!

 

 

 

 

 

 

 

……ダメだ、虚しくなる。

 

 

 

まぁアレだ、家族には申し訳なく思う。姉ちゃんの卒業式も見れないで、弟と妹の中学校へ上がる晴れ舞台も見れないで、そして……親孝行も出来ないで。

 

 

 

一言……ごめん!

 

 

 

……よし、これでいい。

 

今の俺には、もうこれしか出来ない。

 

 

 

家族の皆には俺が居なくても元気に過ごしてほしい。多分暫くは悲しみに暮れるとは思うな。自意識過剰かもだが、あの家族は全員情が熱い。きっと胸を痛める筈なんだ。

 

 

 

だから、全員で支え合える。幸い俺は4人兄妹だ。きっと、大丈夫。

 

 

 

あと……()()()ちゃん、ごめん。

 

 

お前と過ごした日々は、ずっと俺の宝物だ。一緒にマリカーや()()()()を夜更かしして遊んだり、色んな人にイタズラして一緒に怒られたり、海や山に行って疲れ果てるまで遊んだり。

 

ガキの頃から高校まで、ずっと一緒に居たよな。俺、あの空間が大好きだった。

 

 

……気付いてたか?俺、お前の事……好きだった。

 

 

死んだ癖に何言ってんだって話だよな。結局コレも只の独り言、自己満足にしか過ぎない。

 

でも……何でかな、今言わなきゃ……イケない気がしてさ。ぶっちゃける様な形でアレだけど、俺、初めて会った時から今この瞬間まで、ずっと芽瑠奈ちゃんの事が好きでした。

 

誰かと、お前が……芽瑠奈が心に決めた人と、ババァに成って老衰するその時までどうか………幸せに、なって下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

……うん、こんなもんだな。言いたかった事、全部言えた。

 

 

 

後は残った皆次第だ。頑張ってほしい。俺は……天で待ってるからよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………ん?ちょ待てや。

 

 

 

 

 

 

 

今思えばなんで俺はまだ意識があるんだ?死因もハッキリ分かる位には死んだし(?)

 

 

なんか語っちゃって恥ずいんだけど。やめてよ、早く成仏させてよ。言いたい事言って終わったんだからさ、なんかこう、パ~って光に覆われて天国みたいな場所に行かせてよ。恥ずかしいよ、なんか。 

 

 

 

……そう言えば、此処は何処だ?ずっと暗いんだが。

 

 

 

いや真っ暗にも程があるだろ。俺死んだべ?

 

えッなに、この暗闇が天国なん?怖いよ、ちょっ、おーーーい!誰かーーー!!!

 

だ、誰も居ねぇ……は?なんでよ!

 

……あぁヤバい。不安だ、流石にちょっと焦ってき────ん?

 

 

 

 

 

なんだ?あそこ……あの先だけ、なんかちょっと明るいような……?

 

 

 

 

 

……行くか?

 

 

 

いやでも、うーん……ずっと動かないのもアレだし、うん……。

 

 

 

 

 

よし……行ってみよう。善は急げ、こんな暗闇に居続けたら暗所恐怖症に成りそうだ。

 

 

 

 

 

俺は走る事を決めて()()()()で目的地まで走った。

 

 

 

 

 

……四足歩行で走った???

 

 

 

 

 

そう気づいた瞬間、俺の視界が光で覆われ、一面が真っ白に染まった。

 

 

 

そして俺は、意識を手放した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────キ?」

 

 

 

パッ…と、目が覚める。

 

目が霞んで、まだ少しだけ眠い。

 

自分は今、寝ている。いや、寝ていたんだ。

 

なぜ?どうして?寝起き故か頭が上手く回らない………だが。

 

 

 

”ズキンッッ!”

 

 

 

「(ッ!っツゥ………あーーー……思い出した。思い出したわ、あぁ……そうだぁ………ウ、オ……ッッ)」

 

 

 

今迄の記憶を全て思い出す。

 

自分は死んだ。死因は階段からの転落死。

 

鮮明に覚えている……覚えているとも。

 

気持ち悪い。自分の無様な死に方なんて、思い出すだけでも吐き気がする。

 

 

 

……イヤ、ウジウジ考えても仕方ねぇべ。

 

 

俺は数分上空を見ていた。

 

何か変な輪っか?が空に浮いてる。それ以外は綺麗な青空だ。

温かい……雲一つない晴天は好きだ。心が落ち着くし、考えが纏まる。

 

 

そうだ、俺はもう死んだ人間。これは決められた事実なんだ。

切り替えが大事だ。家族が気掛かりだが、きっと時間が俺の存在を少しは薄めてくれるだろう。

 

 

 

『────ねぇねぇ○○くん!あのオバちゃんの頭バリカンで剃ってみよ―よ!絶対怒られるからさー!あっははははは!!wwwww』

 

 

 

……あぁ、でも────唯一の懸念点は、ずっと一緒だった【銀鳳院 芽瑠奈(ぎんほういん めるな)】の事だな。

 

あの()()()()()()()……あぁ、恋愛的な意味で()()だった。

育ちや環境は最高級のお嬢様生まれの癖して何故かハジケリストな狂人だったけど、大好きだった。

 

そんあイカれてる俺の幼馴染は、こんな俺の死を悲しんでくれるかな?あんな奴でも優しい人間だったから、きっと悲しんでくれるだろう。うん、これで何ともなかったら俺が悲しいぞ。

 

 

……結局、告白が出来ないまま死んじまった。ガキの時からずっと好意を寄せていたのになぁ…。

 

家は遠い癖に、よく俺の家に遊んで……身体能力にも恵まれてたな、あの子。

俺が芽瑠奈に勝ってた要素って精々身長と体重くらいか?うん、考えるの止めよ。

 

 

────俺の初恋だ。クッソやべぇ奴だけど、謎に美人だし仕草が時々可愛らしかった。

 

何度も言うがマジで狂ってたけど、惚れちまったんだよなぁ~……はぁ、会いたい。

 

 

もう会えんって思うと、やはり、淋しいな。あの子が〈俺のスマホでサッカーのリフティングしながら登校して池に落ちた〉のがつい先日……まさかアレが最期の別れになるとはな。

 

 

……アイツが死んだら、此処に来たりしないかな?

そしたら次こそ、告白を……なんて、重いな。

 

 

それに今は先ず俺の事だ。アイツの事は、また後で想えばいい。此処は何処なんだ?

 

 

 

 

「|キィィィ……キュルルコルルルr……キュ?《うーん……いやマジで俺いま何処にいr……うん?》」

 

 

 

違和感。

 

猛烈な違和感が己を襲う。

 

原因は明白だ……自分はもう一度『声を発する』。

 

 

 

「……キィーーー」

 

 

 

……は?

 

ちょ、ちょっと待て。なんだ?己は今確かに『あーーー』と発した筈。それがどうして『キィーーー』なんて別の生き物みたいな声が……ん?

 

ちょっと待て、なんか視線おかしくね?俺今立ち上がってr……は!?ちょっと待て!なんだこの手!?えぇ!?しかもなんか二足歩行じゃなくって四つん這いみたいな、あの、その……四足歩行になってね!?

 

……待て、待て待て。深呼吸だ。すぅぅぅ……ふぅーーー………。

 

一度冷静に成れ。先ず、俺は死んだ。これは確かだ……余りにも鮮明に覚えているからな。

 

そして、此処は何処だ?天国……にしては何か、その……現代的過ぎないか?蔦だらけだけど近代的な廃墟があるし……え、なにこれ、壊れてる戦車?は?天国に?

 

あ、あれだ……ㇲゥゥゥ……うん、一度、鏡が見たい。この樹木が一杯な林?はよく分からんが、仮定として此処は天国と決めよう。まだ何も分からんが、此処には恐らく鏡的な物がある筈だ。先ずは其処の建物の近くに行こう。

 

 

 

”ドス、ドス、ドス……”

 

 

 

「(ぇ……俺、人間じゃねえ?)」

 

 

 

己の手を見た時から薄っすらと思っていたが、今の己は100%人間ではない。

 

銀色に覆われた太く鋭利な、鱗?が視認出来てしまう。それで普通に歩けてしまうのだから、多分今の己はかなりデカい獣なのだろう。

 

 

 

「(足と手が凄く遠いな……奇妙な感覚なのに、不快じゃないのが恐ろしいな)」

 

 

 

慣れないのに、この動きには慣れている。

 

一見矛盾しているが、本当にそうなのだから説明が難しい。

 

 

 

キュルルルル……(着いた、けど……)

 

 

 

歩く事数歩、目の前にあった廃墟に着いた。

 

日本語を離せないのが唯一の難点だ。

 

 

 

キッ!クルルル、キュィィ…ッ(くっ!くそ首しか入らん!キツいな……ッ)

 

 

 

自分は廃墟の扉を顔で壊して無理矢理入るが、中には誰も居なかった。

 

あるのは……すぅぅ……え?アレ、ハンドガン?銃よね?なんか分解されて捨てられてるけど、あれ銃だよね?

 

遠くに見えた物、それは恐らく廃棄されたであろう銃の数々。

余り詳しくはないけど、多分ハンドガンやショットガン、それに…ライフル?の様な物まで転がってる。何でや、此処天国だろ?(混乱)

 

 

 

ッ、キュ……ク、クル、クルルルル……(ッ、しょ……いや、いやいやいや……)

 

 

 

廃墟の中を覗いて、ポンっと頭を抜いて座り込む。

 

もう頭が混乱してきた。夢かと思う程、今この状況が理解不能だ。

 

 

 

「(……ん?)」

 

 

 

ふと、横を向く。もう一つの廃墟だ。

 

よく見れば窓があった。廃墟にしては珍しく窓ガラスが割れていないから、少し気を取られていると……その窓ガラスは己を映している。

 

やっと一つの目的が達成される……そう思いながら現在の自分の姿をその窓ガラスで確認すると……。

 

 

 

 

 

「────キュ?????」

 

 

 

其処には────モンスターハンターでお馴染みのモンスター。

 

 

……バルファルクの姿が、あった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……うん、何10分も見たけど、やっぱ俺だ……)」

 

 

30分は経過したか、俺はずっとこの窓ガラスの前に居た。

 

理由は単純、己の姿に理解が出来なかったからだ。

 

だってそうだろう?今日死んで、天国に行ったかと思えば全然違くて、自分の姿を確認すれば何故かバルファルクで……なに?もー意味が分からん!

 

この窓ガラスで俺は色んな事をしてみた。

 

腕を振ってみたり、その特徴的な翼を動かしてみたり、回ってみたり、頬を掻いてみたり……うん、確りと感覚はある。実はすべて夢でしたってオチは無いと分からされた。

 

つまり……もうそういう事だ。

 

 

 

「(俺、バルファルクに成っちまったんだなぁ~……)」

 

 

 

認めたくはないが、これは現実であると認める他は得ないだろう……。

 

えー……いや、なんで?

 

なんでバルファルク?こういう、その、異世界転生?ってもっとこう、あるだろ!

 

流石に驚きを隠せん。もう人間ですらねぇよ……。

 

 

 

「(マジか……うわ、眼もそうだし、鱗や甲殻もくっそリアル……肌触りも普通に感じる。俺、マジでバルファルクだべコレ……うはー)」

 

 

 

顔を手で触ったり、身体を確認したりと色々してみる。

 

動く分には特に問題はない。実感もある、感覚はあるようだ。モンスター、古龍も生き物だしな、そりゃあ、あるよな。

 

 

 

「(うーむ、って事はやっぱ此処って……モンハンの世界って事だよな)」

 

 

 

混乱していた頭を無理やり動かし、冷静に分析する。

 

バルファルクと成った以上、己は今やモンハンの世界に居ると考えられる。

 

……しかし、妙な点が二つある。

 

 

 

「(だが変だ……あの銃、イヤに現実よりじゃないか?モンハンは確かライトボウガンとかヘベィボウガンと云ったデカい銃で戦う……だが、アレは俺の世界でも見かける様な銃ばかりだ。それに………この建物、モンハンってこんなにもThe・近代ビルっぽい建物なんか作るか?)」

 

 

 

己の疑問は当然だろう、何と言うか……モンハンらしくない。

 

これでもモンハン3世代だ。モンハンがどういうゲームでどんな世界観を意識しているかは理解している。ゲームの中で一番好きだからな。

 

だからこそ、この建物に捨てられた銃の存在が不可解だ。

 

 

 

「(……いや、まさかな……)」

 

 

 

もう一つの可能性が浮かぶ。それは……この世界はモンハンの世界ではない。

 

根拠は先程言った銃や建物。それと他の生き物の『気配がない』と云う事。

 

近くに俺が居るから、と云う理由はあるかも知れないが、幾ら何でも静かすぎる。鳥の囀りすら聞こえないのは奇妙だ。

 

 

 

「(……一度歩いてみるか?)」

 

 

 

もしかしたら他のモンスターにエンカウントするかもしれない。

 

仮にマジでエンカウントしても本気で走れば逃げれるだろ。あと飛べるし。

 

……飛べるよね?え、どうやって飛ぶんだ?

 

 

 

「キュッ……キィィィ!」

 

 

 

取り合えず俺は翼に意識を向けて、足の先端から翼まで力を込めて飛ぶという意識を作る。

 

すると……。

 

 

 

”ゴォォォォォォッッ……”

 

 

 

「(ッ!お、浮いた!ちょっと浮いたぞ!)」

 

 

 

まだ慣れないが、翼から【龍気』を放出する事が出来た。

 

バルファルクは他のモンスターと違って翼の先端からこの黒い龍気と云う物質を放出して高速で飛び回るモンスターだ。

 

唯一無二の生態を持っているから、確か凄く珍しいモンスターとして扱われていた気がするが……あークソ、こんな事に為るならもっと勉強しときゃ良かった。

 

 

 

”ドスン……”

 

 

 

少しの間浮いて、着地する。

 

流石にもっと高く飛ぼうとは思えなかった。別に高所恐怖症と云う訳ではないが、失敗したらこの体重が地面へとそのまま落下する事に為る。そうすればまた己は死んでまう。

 

 

 

キュルルル、キィィィィ……(まぁアレだな、今は歩いて状況確認だ……)

 

 

 

一息ついて、廃墟の反対方向へと進む、

 

歩くだけで樹木を簡単に圧し折るから道作りには困らなかった。環境破壊は気持ちいいZOY☆ と云うヤツだ。

 

まぁ流石に気が滅入るので広い道を使って樹木の破壊を最小限まで落とす。

 

 

此処は何処なのか、今はただそれが気になる。モンハン世界だったらそのまま誰も居ない場所でゆっくりスローライフを送るが、問題はそれ以外だ。

 

 

 

「(さて……どうなるかな)」

 

 

 

己は前へと進む。

 

もう迷わない。己はバルファルクとして生きていくしかないのだから。

 

 

 

……しかし己は、この世界の事を知った瞬間────更なる混乱を巻き起こす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────キュイィ?(マジか?)

 

 

 

段々と人の声が耳に入って来るので、少し急ぎ目で歩みを進めると……つい林の中から身を出してしまった。

 

何やら鉄の柵がこの林一面に囲って在り、近くには〈オオカミ、クマ出没注意!〉と云った注意喚起の看板が立て掛けられている。

 

 

 

「(クマにオオカミ……確定でモンハンの世界じゃなくなったなぁ……って事は、此処は現代的な異世界?って事……うーむ、まだ分からん)」

 

 

 

選択肢からモンハンの世界は消す。遠くに見える建物は完全に現代的なビルだ、モンハンはもう少し原始的な世界の筈、近くに小型のモンスターも居ないのも理由だ。

 

 

 

「(しかし、じゃあ此処は何処なんだ……? 正直直ぐにでもあの都内に向かいたいけど、俺って今じゃバルファルクだから絶対に騒ぎになるよな……)」

 

 

 

果たして此処が俺の様なデカい怪物が普通に居る世界なのか、それも分からん。

多分だが俺の様なモンスターが普通に居たら全力で殺しに来るよな……此処が現代的な世界であるのは分かった。だが、それでも俺が居た場所とは大きくかけ離れている。なんか銃や戦車が普通にある様だし、もしかしたらGTAの様な凄まじい世界なのかも。

 

危険因子として排除、迫害される……かもしれない。

 

 

 

「(無暗矢鱈に動くのは危険か?いやしかし……何も行動しないと言うのも……)」

 

 

 

中々考えが纏まらない。

 

いつもだったら即考え即決めて行動するタイプだけど、こういう時は嫌に冷静に成ってしまうな。自分の世界とは違うしバルファルクに成っちゃったからだろうか。

 

だが何をするにも、一番は行動だ。

 

 

 

「(……まぁ、アレだな。困ったら逃げれば良いし、もしかしたら俺以外のモンスター居る説(無謀)も捨てきれんよな、んじゃ……そうと決まれば!)」

 

 

 

”コォォォォ…ッ!ドヒュンッ!”

 

 

 

俺は翼から龍気を放出して柵を超える。

 

そしてそのまま着地して、何やらビルが沢山の都内らしき場所へと歩いて向かう。

 

何やら遠くの方に人影が見える。この身体にまだ慣れてないから、少し慎重に歩んで行こう。

 

何だろう、妙にワクワクするな。異世界転生……と云うヤツが本当に存在するとは思っていなかったからか、少しだけ高揚感が己にあった。

 

まぁ、何故かバルファルクの姿で転生?成り変わり?した訳だが……この際、これは後回しだ。

 

今はこの世界がどういう世界なのか、確かめる必要がある。それによって俺の立ち位置も明確に分かるだろうしな!

 

よーし、んじゃ出発だ!

 

 

 

 

 

そして………俺は気付く事に為る。

 

 

────此処が、とある『ゲームの世界』であると。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼シャーレ、執務室。

 

 

 

:先生side

 

 

 

 

 

 

 

「────うーん、終わらん」

 

 

 

────連邦捜査部:S.C.H.A.L.E.

 

キヴォトスの行政組織で、失踪した『連邦生徒会長』の〈権限〉を付与された組織故、各自治区の問題の介入が可能となり、あらゆる規約や法律による規則や罰金などが免れると云う、とんでもない【超法規的機関】である。

 

そこの顧問として活動しているのが『先生』である。

 

身長は195㎝と大きく、体重は90㎏の筋肉質な男だ。

 

先生はキヴォトス外から来たからキヴォトスの生徒が有する『ヘイロー』を有していない。つまり、身体能力は脆弱にて最弱なのだ。見た目の割に見せかけの筋肉である。

 

一見、この世界だと一日で死んでしまいそうな程に弱い先生だが、そこは連邦生徒会長の置き土産である【シッテムの箱】と云う先生専用のタブレットがあり、そのシッテムの箱がシールドを張って先生を弾丸や爆発から護ってくれる。

 

そして、シャーレの先生と云えばキヴォトスに巻き起こった問題の解決だろう。

 

アビドス、ミレニアム、ゲヘナとトリニティによるエデン条約やSRTに百鬼夜行、空が赤くなったあの日(あまねく奇跡の始発点)……先生が直面した問題は、先生無しでは為し得なかった事が多い。

 

生徒達と協力して解決した問題、そこから得た絆は、先生と生徒達の関係を大きく深めた。

 

最初こそ、その何でもアリな組織の顧問と云う事もあり、警戒や懐疑的な目で見られることもあった。だが、上記に記した各自治区の問題を次々と解決していき、そしてその人柄、在り方に心打たれた生徒は多い。

 

生徒の仲には『恋愛感情』を向ける生徒も多い。先生は気付いていないらしいが……。

 

 

そんな【聖人】とも云える先生だが、現在……。

 

 

 

「書類多すぎるな……私一人では厳しいって」

 

 

 

書類仕事に追われていた。

 

先生の目の前には積み重ねられた書類のプリントがあった。

 

これは先生が溜めてしまったモノではなく、一日にこなす書類の数だ。

 

シャーレには数々の問題が舞い降りる。それ故に、多くのタスクが先生に降り掛かってしまうのだ。

 

 

 

「今日の当番の子は風邪で休みだからなぁ……一人でコレは、キツイな……」

 

 

 

一通り終えてもまだ残っている書類に、思わず悪態を付きたくなる。

 

ペンを置いて背筋を伸ばす。肩や腰が凝って少し痛くなる。

 

一人でコレをこなすのは、中々骨が折れる。

 

 

 

「……コーヒー美味いなぁ。流石ゲヘナ産、ヒナには後でお礼を言わなk────」

 

『先生っっ!!!』

 

「あぶはふんっっ!!!」

 

 

 

クイッとコーヒーを飲み、悠々と書類を見つめていると、突如シッテムの箱の主である『アロナ』が大きな声を上げて己を呼ぶ。先生は驚いて思わずコーヒーを噴いてしまった。

 

 

 

「ゲホッ……ッ…ど、どうしたんだい?アロナ、そんな大きな声を出して……」

『す、すみません!ですが、先生!緊急事態です!!』

「き、緊急?……それは一体…」

 

 

 

先生が困惑を隠せないで居ると、もう一人のO.Sである【プラナ】が先生に状況を説明する。

 

 

 

『アロナ先輩、落ち着いて下さい。先生、先程【D.U.子ウサギ公園の南遠方:廃墟区域】から突如として”超高エネルギー反応を探知”しました』

「な、何だって!?」

『そしてソレは、今D.U.に進軍しています。それによる被害は今のところ確認されていません』

「超高エネルギー反応……もしかして、”デカグラマトン”の類かい?」

『いえッ!それとはまた別のナニかです!このキヴォトス全土を覆い尽くす程の重圧はッ! い、今から現地の映像をお見せし────』

 

 

 

アロナが言い終える前に、一つ。

 

 

 

 

 

───キィィィィィイッッ!!!

 

 

 

「うあっ!?」

『わぁぁ!?』

『ひゃっ!?』

 

 

 

まるで直ぐ其処に居るのではないか……そう思わせる程に強烈な咆哮が届いた。

 

 

 

「な、なんだ!?今の絶叫は…クッ!」

『ビ、吃驚しました……』

『ッ……先生!』

「アロナ!プラナ!案内頼む!行くよッ!」

『は、はい!』

『先生は必ずお守りします。では────』

 

 

 

先生は一瞬だけ怯むも、直ぐに立て直し、シッテムの箱を持って目的地の方へと急ぐ。

 

アロナやプラナの様子が可笑しい事にも、先生は気付く。

 

デカグラマトンではない、ナニか……なんだ?

 

ただ、今はその対象の元へと脚を進める。

 

 

市民の方の、生徒の安全を祈りながら。

 

 

 

 

 

 

▼数分前

 

 

 

:バルファルクside

 

 

 

 

 

 

「────きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ば、バケモノだーーーーーッッ!!」

「逃げろ、逃げろぉぉ----っっ!」

「ヴァルキューレにッ!誰か、ヴァルキューレに通報しろ!!早くぅ!!!!」

 

 

 

”ガヤガヤ!!!ギャ―――!!!”

 

 

 

キュ、キュィィ……(め、めっちゃビビられてるべ……)

 

 

 

一通り歩いてみたのだが、案の定、驚かせて怯えさせてしまった。

 

何やら犬や猫の……なんだ?なんかワ〇ピースのミ〇ク族みてぇな獣人と、頭に輪っかがある女の子たちがスゲェ勢いで逃げてく。

 

……なんか見た事あるんだよな、あの頭の輪っかに、皆もってる銃。

 

なんだけなぁ……まぁいいや。取り合えず、進んでみよう。

 

 

 

”ドス、ドス、ドス……”

 

 

 

「クルルルル……」

 

 

 

でもさ……そんな逃げなくても、良いじゃないか。

 

……いや逃げるか、普通に考えたら。

 

はぁー……なんか、やっぱショックだなぁ……こうも人に割けられるのは、悲しいな。

仕方ない面はあるのは分かってる。こんな見た目だ、怖いのも頷ける。

 

だけど、辛いなぁ……。

 

 

 

「────そこの怪物ッ!止まれッッ!!」

「キ?」

 

 

 

”ザッ!”

 

 

 

トボトボと下を向きながら歩いていると、何やら目の前に複数の警察が出て来た。

 

全員が盾を持って、此処から先へは行かせないと云わんばかりの防衛姿勢を見せる。映画で見たヤツと同じ動きだ。なんて、しょうもない事を考えてしまう程、今の自分は嫌に冷静だ。

 

……しかし、なんで女の子しか居ないんだ?

 

男は?そう言えばさっきから男の人間を見てねぇ……なんで?そういう世界なんか?

 

そんな事を思っていると、中央から一人のお姉さん……おっぱいがデカくて犬耳が生えた婦警がスゲェ睨みながら俺を見つめる。

 

そういえばさっきこの人に止まれって云われたし、止まろ。

 

 

 

「キュ?クルルル……クル?」

「ッ!(止まった……まさか言葉が分かって?まず何なんだこの怪物はッッ!ふぅ…油断するな、私……ッ)」

 

 

 

その婦警さんは俺を見つめ、ハンドガンを向けながら告げる。

 

 

 

キュ、キュィ!?(じゅ、銃!?)

「ふぅぅー……おい、お前!私の言葉が、分かるか?」

「キュルル?」

 

 

 

なんか急に話しかけて来たんだけど……いや、分かるよ?

 

でも、その銃は怖いから閉まってほしい……多分撃たれても効かないけど、それでも怖いじゃないか。

 

どうしよう、何て伝えればいい?

 

……ッ!そうだ!俺にはこの鋭利な爪がある!

 

これで地面を削って『分かります』って書けばいいじゃん!俺、天才?

 

 

 

”ズッ……”

 

 

 

「────ひっ!!!」

 

 

 

俺は翼を広げて、少し興奮気味に伸びをする。

 

そして、前爪を地面に着け、書こうとした……それがイケなかったのか。

 

 

 

”ドォンッッ!!!”

 

 

 

キイィィィィ!!!?

「ッ!!……な、ば、馬鹿ッ!!」

 

 

 

警察の一人が、俺の顔に銃弾を当てて来たのだ。

 

……ビビったぁ。いや痛くないけど。

 

 

 

キュゥゥゥ……ッ(かっゆぅー……ッ)

「は、はっ、はっ!ハァッッ!!」

 

 

 

ちょ、ちょっと痒い……俺は鼻辺りに当たった銃弾を前足でガシガシと擦る。

 

そして俺を撃った子を見れば、滅茶苦茶に焦って過呼吸気味になってる。そんなに俺が怖いの?(ショック)

 

目の前の婦警さんも汗が噴き出て少し後退する。

 

……え、なにこの空気。コレ俺のせい?

 

なんか皆銃を構えて俺をスゲェ目で見てんだけど。や、やめてね?撃たんでよ?効かないとは思うけど……。

 

そんな事を考えていると、今度は後ろから気配を察知する。

 

 

 

かなり急いで来ているのが分かる程、その足跡は段々と俺に向かってきている。

 

眼を集中させ、その人物を見る。1、2、……いや、3㎞は先だな。

 

しかし一体誰………ん?男の人じゃね?

しかも中々タッパがデカいが……………よし。

 

 

 

「|キュルルルルルル、キュゥ……コルルルルルル《なんか此処怖いし、うん……あの人に近付こう》」

「ッッ!!!ま、待て────」

 

 

 

俺は翼を広げ、龍気を放出させる。

 

 

 

「(イメージをしろ、飛ぶ、飛ぶ……飛べッ!)」

 

 

 

瞬間、俺の身体は一回目よりも高く浮き上がった。

 

 

 

「(うおぉおー!出来た!意外と上手くいくもんだな!よし、後はそのままッ!)」

 

 

 

俺はそのまま落ちないように龍気を放出させ続け、翼を肩甲骨にくっ付ける感じで、そのまま俺は戦闘機の様にその男の人の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ん?アレは……」

『先生っっ!!』

 

 

 

”ドヒュンッ!!”

 

 

 

「うわぁ!?────なっ!?」

「────キュルルルル……」

 

 

 

イカン……思ってたよりも近くで着地しちゃった。

 

 

 

「な、何て、デカさだ……ッ!」

『解析、該当するデータ、無し……未知の生命体です。先生、今直ぐ避難を!』

『先生ッ!は、早く逃げて下さい!!』

「コルルルルル……」

 

 

 

目の前の大人は尻餅を着いて俺を見上げている。

 

うん、大丈夫そう……だな。怪我はしてない様だ。

震えてはいない。怯えている様子もないな。先程の女の子たちと比べても敵意も感じない。

 

……伝わるか分からんが、少しアクションを起こしてみよう。

 

 

 

「ぁ……コレ、やばッ…!」

コルルルル、キュィィ!(すみません!ちょっといっすか!)

「うおっ!??────へ……う、うん?な、何か喋って……?」

 

 

 

俺は男の人に顔を近付かせて、少し声を張る。

 

男の人は俺の言葉に理解は出来ていないけど、何か伝えようとしている事は理解してくれたようだ。

 

この男の人は俺に対して警戒は向けているが銃を向けてはこない。何でか凄く冷静だし、怯える様子もない。心臓に剛毛生えてるだろこの人。

 

いやしかし、これ……チャンスじゃね?

そう思った俺は、直ぐにその人から少し離れて爪で地面を抉り、文字を書いて行く。

 

 

 

「キィ!キィ!キュルルルッ!」

 

 

 

”ガリガリ!ガリ、ガリ……ガリッ”

 

 

 

「ッッ!(この生物から敵意は感じないが、何か……か、書き始めた?)君、何を……?」

 

 

 

”ガリガリ、ガリリッ!”

 

 

 

「(ちょっ、めっちゃムズイな!爪が人間サイズだから、も、文字がデカくなってまう!)」

 

 

 

ちょっと想定外な事が起きてしまった。

 

自分のサイズを見誤ったからか、伝えたいメッセージが拙くなってしまった。

 

 

 

「これはっ………〈おれ…は…む…がい〉────『俺は無害』?」

「ッッ!クルクル、キュィィ!」

 

 

 

っしゃあ!通じたぁ!

 

この人が銃とか敵意とか出さないで良かった……俺の身体鉄みてぇに硬いから、跳弾とかして身体に当たっちゃったら危ないからな、この人だと落ち着けて対話?が出来そうだ。

 

それに……この人は有難い事に【男】ッ!女に子と話す事なんて『芽瑠奈』以外で無いから、正直マシで居て良かった。

 

怯えないし、やっぱ俺の見た目は怖いと云うより興味深いのかな?

 

 

 

「ふぅぅーーー……えっと、ごめんね。ちょっと展開が早すぎて、少しだけ落ち着く時間が欲しい。だ、大丈夫かい?」

キュ?キュィキュイ!(ん?勿論っス!)

「私の言葉が分かるのか……ふぅぅぅーーー……よし、もう大丈夫だ。すまないね、少し時間を頂いた」

キュルル、コルルルルキィィ(うぃっス、大丈夫っス)

「(犬みたいに座った……)」

 

 

 

とりあえず俺は自分が一番落ち着く座り方で座る。

 

道路の真ん中でバルファルクの俺と一人の男の人が対面している。ギャラリーはスマホやカメラで俺たちの事を激写したり撮影したりしているな。

 

 

 

「先に聞きたい事があるんだけど、いいかい?」

「キュ?キィィィ!」

「ありがとう……もしかしなくても何だけど、君って『私の発語している言語を理解出来ている』のかい?」

キュイ、キュイ(はい、分かるっす)

 

 

 

俺は頷く。

 

 

 

「マジか……じゃあ少しだけ私の指示に従って欲しい────右手を上げてみて?」

キ?キィィ!キュルルル!(ん?はい!右手!)

 

 

 

俺は言われた通り右手を上げた。

 

その男の人は俺の行動に心底驚いた表情を作る。

 

 

 

「凄いな、完全に人間の言葉を理解している……じゃあ次なんだけど、その、君は一体何処から来たんだい?どうして此処に?」

「キュッ!キィィキィィ!!クルルル!」

 

 

 

俺はもう一度地面に指を添え、抉りながら文字を書く。

 

 

 

「えっと…〈こことは…べつ…の…〉────『此処とは別の世界』?」

「クルルル……キィ!」

 

 

 

此処は別に馬鹿正直に言わなくっても良いだろう。

今の俺はモンスターハンターのバルファルク、日本に居た人間の姿ではない。変に日本とか言えば余計な混乱を招きそうだ。

 

それに、こう回答すれば『この世界とは別の世界から転移してきた怪物』と認識しやすくなる。

余計な勘違いや混乱を防げるかもしれない。

 

 

 

「此処とは別……つまり【キヴォトス外】から来たのか。でも私が居た場所には君の様な生き物は居なかった………ふむ、そうなると、君は何かしらの事象があって、この学園都市【キヴォトス】に転移してきてしまった、と云う事に為るかな?」

キュルルル?クルル……キィキィ!(キヴォトス?うーん……多分そうッス!)

 

 

 

その人が言うには、この世界は学園都市【キヴォトス】と云う名前の場所らしい。

 

……………キヴォトス?

 

待て待て、やっぱそうだ。何か聞いた事あんだよマジで。

 

 

 

「やはりそうか……じゃあ最後に、いいかい?」

「キュ、キュ……キィキィ!」

「あぁ、ありがとう……一番重要な事何だけど────」

 

 

 

俺が思い出そうとしていると……この男の人の雰囲気が、急激に重くなって変わった。

 

真剣な眼差しで俺を見つめ、そして、告げる。

 

 

 

 

 

「────此処に来るその道中、その過程で……市民の皆さん、そして『子供』を食べたり、殺したりは……していないかい?」

「|キィ!?キィキィ!!キュルル!クアァァ!グルルルッ!《はぁ!?食わねーよ!!人間は!俺の口見ろ!何もないだろ!》」

 

 

 

何て言い掛かりだ!食わねぇよ!いや食いそうな見た目してるけどさ!

 

バルファルクの主食は肉ではあるけど人間は食わねぇ!心は人間だからな!

 

俺はその男の人に必死に首を横に振って、口を開けて確認させる。

 

……いや、口を開けて確認させる行為は意味無いか。テンパリ過ぎて意味不明な事しちゃった。

 

 

 

「っとと……うん、嘘は言っていないようだね。その分かり易いリアクションを見れば分かるよ。ごめんね!やっぱこういう確認事項は大事だからさ」

「キュゥゥ、コルルル……」

「って事は、君は私達に対して敵意は無く、急に訳の分からない場所に転移してしまって、取り合えず人が多そうな此処に来てみたって事で良いのかな?」

「キィキィ!キュルルル!」

 

 

 

その男の人の理解度が高い事に心底ありがたいと思う。

 

理解者が居ると居ないとでは今後の生活が厳しくなる。それに、この世界で俺はどう生きればいいのかもまだ決めていないのだ。

 

……もしかしたら、何かしらの実験材料にされるのかな。

全然有り得るよな……俺ってどうやらこの世界では未確認生命体の存在っぽいし、なんか凄い近代的だし。

 

 

 

「分かった────そっか……大変だったね。恐らく君が居た場所は此処よりも更に原始的な場所だっただろうに、よく無差別に人を襲わないで焦らずに居てくれたよ」

「(まぁ俺、ついさっきまでは人だったし……)」

「あ、そうだ。ねぇ、君って名前とかあるのかい?いつまでも君呼ばわりはアレだからさ」

 

 

 

ふと目の前の男の人が俺に名前を聞いてきた。

 

……どうしよう。普通に俺の名前か、それともバルファルクって答えるか……ってか凄いな。結構踏み込んでくるじゃんこの人。

 

ふーむ……まぁバルファルクだな。俺の名前が【赤星 龍太郎(あかぼし りゅうたろう)】ってバリバリ日本人の名前だし……見た目通りに伝えた方が面倒事にはならんだろ。

 

 

 

”ガリ、ガリガリ……ガリッ”

 

 

 

「キュイ、キュィィ」

「えっと、なになに………〈ば…るふぁ………ク〉────『バルファルク』でいいのかい?」

「キィィ!」

「バルファルク……バルファルク………うん、凄くカッコいいね!素敵な名前だ!教えてくれてありがとうね、バルファルク………君?ちゃん?」

「キィ!キュルルル!*1

「あ、オスなのか。これは失礼したね」

 

 

 

よし、どうやら俺が敵ではないと信じてくれたらしい。

 

何事も対話が大事なんだな、やっぱ。

 

そういえば、この人は誰なんだろう?周りを見渡しても変な輪っかを浮かせてる角や尻尾に羽が生えてる女の子か犬や猫、兎と云った人型サイズの獣人しか見かけないのに……何故かこの人だけまんま人だ。

 

 

 

キュイィィ、キュルル…?(その、貴方は…?)

「ん?……あぁ!そうだごめんね、私の事がまだだったね。私は『シャーレ』と云う場所で()()をしている者だ。宜しくね」

「キュイ?キィィィ……クルルル!」

 

 

 

どうやらこの人は先生らしい。

 

……良い人だな、俺の事怖くないのかな?肝が据わり過ぎてんべこの人。

 

 

 

「────っ!…!………!」

「(ん?アレは……婦警さんの組織か)」

 

 

 

どうやら犬耳の婦警さんの組織がもう直此処に到着する様だ。後数分かな?話し声からしてもう近い。

 

ギャラリーもさっきより多くなってる。これ以上、先生に迷惑を掛けてしまうのは辛いな。

 

それに……ふーむ……あの人たち俺の事撃ったしなぁ……逃げるしかないか。

 

先生が此処の近くに居るって事は分かった。俺は先ずバルファルクの構造を理解して、この身体に慣れなきゃいけない。クマやオオカミは食えるのかどうなのか、やはりそういう食糧系は死活問題に関わる。

 

 

 

「キィ」

「ん?どうしたんだい?バルファルク────んおっ!」

「キュイ、クルルル♪」

 

 

 

俺は先生に優しく頬ずりをする。

 

この身体だと、これしか感謝を伝えられない。恥ずかしいけど仕方ない事だ。

 

そして俺は先生から少し離れて、翼を開く。

 

 

 

「ッ!バ、バルファルク!」

キュイッ!キィキィィィ!(先生!また此処でー!)

「ま、待つんだ!バルファ────ッ!?」

 

 

 

”キュコンッ────キィィィィィ!!ドヒュンッッ!!!”

 

 

 

豪快な音を鳴らし、勢いよく翼の先端から龍気を放出して天高く飛び立つ。

 

そして、そのまま身を任せて水平線の様に真っ直ぐ進む。3回目でかなり飛ぶのには慣れた。かなり楽しいし、気持ちがいい……良い心地だ。

 

先生と会ったあの場所、明日また行ってみよう。俺にも、少し時間が欲しい。

 

さて……やっぱ行くのは森だな。自然が豊かな場所まで、行ってみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

:先生side

 

 

 

 

 

「……行ってしまった」

 

 

 

私は驚愕していた。

 

彼の圧倒的な存在感に……。

 

ドラゴンと云うには余りにも歪で異質な造形をしていた。特に特徴的なのはあの【翼】だろう。あの先端から赤い雷の様な物質を放出し、一瞬で天高く舞い上がるあの凄まじい力と在り方には、開いた口が暫く塞がらなかった。

 

……まるで機械の様な生物だった。正直、バルファルクと名乗ったあの子が私に頬ずりをする時まではデカグラマトンの様な存在なのかと疑ってしまう程、あの子の存在感は現実離れしていた。

 

 

 

「バルファルク……君は、一体……」

「お、おい、あんた!」

 

 

 

もうバルファルクが居なくなった空をずっと見上げていたら、隣の方から私を呼ぶ声がかかった。

 

私はハッと意識を全体に戻すと、気付けば私の周りには複数の人が集っていた。

 

ロボ市民やオートマタ、獣人の方々や生徒の子達まで……皆、私とバルファルクの対話を傍から見ていた者達だ。

 

バルファルクが去ったからか、皆私の方に駆け寄ってくれる。

 

 

・一体あの怪物は何なんだ?

・怖くはないのか?

・先生はどうしてあの怪物と対話が出来たのか?

 

 

等々……生徒や市民の皆さんからの質問責めに私が対応に苦戦していると────。

 

 

 

「────ヴァルキューレ公安局です!皆さん!道を開けて、通して下さい!!」

「さぁ散った散った!!」

「カンナ局長!先生の無事を確認しました!!」

 

 

 

後側から見知った服装の子達が声を上げて市民たちを離れさせている事に気付いた。

 

ヴァルキューレの子達の勢いに生徒達や市民の皆さんは、少しの抵抗をするもそれは虚しく終わり、気付けば私はヴァルキューレの生徒達に囲まれていた。

 

そして、そのヴァルキューレの子達の中から一人、特徴的な犬耳を持ち合わせた子────公安局の局長を務めている『尾刃カンナ』が足早に駆け寄って、私に声を掛けて来てくれた。

 

 

 

「ッ!先生!ご無事で!?」

「うおっと…カンナ!一昨日の当番ぶりだね!元気してた?」

「え?そうですね、はい……い、いえ!!今はそれ所じゃなく!先生!お怪我は!?あの怪物に何

かされたりは!?」

 

 

 

カンナは焦燥を滲ませた表情で私の身体を触る。

 

綿を扱う様に優しく触るモノだから、少し擽ったい……だが、カンナが私の心配をしてくれている事は理解している。

 

 

 

「うわわっ、カ、カンナ……私は大丈夫だよ。心配掛けさせちゃったみたいだね、ごめんね」

「あ………い、いえ!その、すみません……少し、動揺してしまいました。無礼をお許しください」

「いいさ、気にしてないから。それに……カンナの様な可愛い女の子から触れて貰える何て、何だかイケない気がして興奮するから役得だよ」

「…………」

 

 

 

私がそう言うと、一気にカンナの視線が犯罪者を捕まえるソレになった。

 

え?なんで?私変な事言ったかな?

 

すっとぼけていると、カンナが「ハァ……」と溜息を漏らし、そして一言。

 

 

 

「お怪我が無いようで何よりです………本当に、良かった」

「カンナ……うん、心配してくれてありがとうね。ってかどう?最近また筋トレを始めたんだけど、カンナがさっき触れた私の腹筋とか上腕二頭筋とか、かなり仕上がって来た気がしない?」

「ノーコメントでお願いします………そういう所ですよ先生」

「え?今なんて言ったn」

「先生、先程の怪物についてお聞きしたい事が御座います。此処ではアレですので、一度署まで宜しくお願いします。因みに拒否権は無いので、ホラ行きますよ」

「え?うわぁカンナ!ち、力が強い!?ば、馬鹿な!私はカンナよりも筋肉がある筈なのに、こんな……ッ!」

「ヘイローがある以上、貴方は私達には勝てませんよ……馬鹿な事言ってないで、さっさと車に乗って下さい、先生────」

 

 

 

私はカンナにほぼ強制的にヴァルキューレ車に乗せられ、公安局の署まで連れてかれた。

 

やっぱ筋トレしても、私の場合は見せ筋になっちゃうんだなぁー…と、少し悲しかったのは、内緒だ。それに私が自分の鍛え上げた筋肉を見たカンナや他の皆の眼付が変わって、少し怖かったのは、何でだろう…?

 

 

……それにしても、バルファルク………バルファルクか。

 

 

正直最初は怖かったな。サイズ的にはデカグラマトンの『ビナー』や『ホド』と比べても小さく、全長はアロナ曰く27mだとか。それでも全然デカいんだけどね。

 

 

────だが正直……威圧感や存在感はバルファルクの方が圧倒的だった。

 

 

今まで対峙してきたどのデカグラマトン間連や『ペロロジラ』、『ヒエロム二ス』、『クロカゲ』のどのボスよりも────彼、バルファルクは強いと判断した。

 

 

 

「(もし仮に、彼が私達に敵意を持って攻撃でもしていたら────)」

 

 

 

恐らく、いや……先ず勝てないだろう。ヒナと云った最強クラスの生徒達を筆頭に、私の指揮を加えて、それでも尚……勝てないだろう。

 

あの異質な身体から発せられる【理不尽の極み】を得た超越者………彼は、生物として異端だ。

 

文字通り、住む世界が違い過ぎる────私が大人のカードを使って、やっと土俵に立つか、それ程の強さ、次元と云うモノが余りにも違う。

 

 

 

「……先生?」

「ん?いや……なんでもないよ」

 

 

 

私が車の中で思案に暮れていると、カンナが心配そうに私の顔を覗き込む。

 

先程もそうだが、カンナのみならず、市民の皆さんや生徒の子達全員……少し身を震わせていた。

 

恐怖からくるその震えは、抑えようにも抑えれないモノだったのだろう、唇を噛んで息を荒くしていた子もいて、私はその様子に心を痛めてしまった。

 

 

だがしかし、バルファルクは無害だ。

 

 

バルファルクは我々に危害を加える気は無い。これは確かだ、あの子の瞳には確かな理性があった。

 

恐らく肉食ではあるのだろうが、人間を主食として見ていないし、何より私の言葉を完全に理解している。しかも驚く事に、文字を書けるのだ。

 

恐ろしい程に頭が良い……まるで人間と話している様だった。

 

 

 

「ふぅぅぅー……(一度、頭を休めたい……眠いし)」

 

 

 

少し、頭を使い過ぎたか、眠たくなってきた。

 

元より2徹明けの身だ、流石に疲労がたまっているし、それに……今回の件はショックが大きすぎる。

 

まさか、あのようなドラゴンが現実に存在するとは思わなかった。

 

別の世界から来たという事実も相まって、カルチャーショックが凄まじい。

 

あ、やばい……もうダメだ。

 

 

 

”コテン……”

 

 

 

「えっ……なっ!?!?」

「ごめん、少し……寝る」

「ちょっ、せ、せんっ……!?」

 

 

 

何やら頭部に柔らかい感触を最後に、私は我慢の限界がきて、眠ってしまった。

 

 

次に起きた時は、既にヴァルキューレの公安局前だった。何故かカンナから小言を言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
オスって書いた




先生とバルファルクのプロフィール!


:バルファルク

体長・27m

種族:古龍種
別名:天彗龍
性別:雄(意識として)


☆人間が乗り移ったバルファルクの個体。その身体は大きく、バルファルクの中でも特に最大の大きさを誇る。心は人間で、名は『赤星 龍太郎』と云う日本の高校生。

日本に未練はある。家族に孝行出来なかった事もそうだが、それと同時に『一人の女の子に想いを伝えれなかった』事が最大の未練だとか。

それでも今を生きる事が最重要だと割り切って入る為、彼はこの『キヴォトス』でも強く、しぶとく生きようと決意を固めて入る。




:先生


種族:人間
身長:195㎝
体重:90㎏
性別:男性


☆一際大きな身長をしており、その身から溢れる筋肉は中々目を見張るモノがある。
今作の先生もアプリの先生同様、生徒に対して異常なまでの博愛性を持ち合わせ、現時点では『百鬼夜行編 1章』を終えた所までいっている。

今作の先生は中々に活発で、何処か子供っぽい雰囲気を持ち合わせるが、やる時はやる男です。顔は整っていて、性格も相まって生徒達には大人気。

趣味は”筋トレ”と”生き物獲り”で、特に筋トレにはかなり力を入れている。

少し時間が空いた時には直ぐに筋トレをし、仕上がった身体を生徒の子達に魅せては興奮させているかなり危ない先生である。

特に先生に強い好意を向けている生徒は『尾刃カンナ』、『空崎ヒナ』、『小鳥遊ホシノ』、『砂狼シロコ』、『聖園ミカ』、『早瀬ユウカ』、『剣先ツルギ』、『乙花スミレ』、『狐坂ワカモ』など……まだ居るが、この上げた面々は特に先生に対して強い好意と感情を向けている。


因みに此の先、先生には『バルファルク』の存在が非常に深く関わってくる。

それによって好意を向ける生徒達と○○○な事態に陥る事は、まだ誰も知らない……。




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