【改変】元人間の天彗龍、透き通る世界へ行く。   作:カブトムシの相棒

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皆さん好きなモンスターは居ますか?

私は『バルファルク』と『ザボアザギル』が大好きです!
あと『ネルスキュラ』も好きです。モンハンは素敵なモンスターが多すぎる……(恍惚)




では、本編です。


彗星と聖人。

 

 

▽────翌朝…。

 

 

 

 

「………キィィィィィ」

 

 

 

目覚め……てから、1時間は経っただろうか。

起き上がる気力がどうも湧かない。疲れが余り取れていない感じだ。

 

えっと、帰ってきました。小さな渓流のアジトに。

 

飛び立って、数十分飛んで……次は30分、40分、そして1時間と、このアジトに何度か戻りながら休憩してコツを掴んで、飛行距離を伸ばして数時間は飛べるようになった。

 

現在時刻は……分からん。朝日が昇って、空は快晴だから8時か9時くらいじゃないかな。

 

昨日の件から1日経った。昨日は……少し、いや、最高に色々あって頭が痛くなって、そのまま渓流付近で泥のように寝た。

 

 

 

 

キュルルルルル(やっぱ昨日得た情報って)………クィィィィ(マジなんだなぁ)

 

 

 

はぁと溜息を吐く。

 

昨日は散々飛び回った。見た情報を確かめる為に、滞空時間を1時間は伸ばして。

 

うん、まぁソレは今は良い。既存のバルファルクならもっと飛べる筈だから、もう少し頑張れって話だ。

 

此処がモンスターハンターの世界なら、どういった場所なのか。

バルファルク特有の”遺群嶺”なのか。それともモンハン特有の”渓流”なのか、将又”密林”なのか……それを調べる為だ。

 

だが、その思考は────悉く砕かれる結末だった。

 

 

 

「(────此処【ブルーアーカイブ】の世界だったのかよッ……)」

 

 

 

そう、俺は見てしまった。

 

多種多様な獣人が歩いてる所を。

妙な形をしているロボットやオートマタが働いてる所を。

 

そして────尻尾や耳、角に翼を持つ『女の子』達を。

 

 

 

キュィィィィィィィッ(冗談が過ぎるッ)………クルルルキィィィィ(モンハンの世界じゃないのか此処はッ)

 

 

 

いっそ夢であってほしかったが、そうはいかないらしい。

想像の180度違う展開に吐き気がしてくる。

 

まさか、バルファルクの姿に成って、ブルアカの世界に転生している何て……誰が予想できるか。

 

 

 

「(ぶっちゃけ飛んだ瞬間に見えたビルや、真上の巨大な”ヘイロー”で嫌な予感はしていたが……まさかなぁ……)」

 

 

 

そして……現在、俺は起き上がって川の中に入って川水を前腕でバシャバシャして遊んでいる。

 

こうでもしなきゃ頭がパンクしちゃいそうだからだ。俺は特別頭が良い訳ではない、様々な状況の適応には少し自信があるが、それ以外は只の一般学生だったしょうもない男だ。

 

水面に映るバルファルクの顔にも慣れた頃だ。まだ技とか、攻撃のモーションはしてないが、この身体の構造も何となくだが理解できてきた。

 

ただ……この世界がブルーアーカイブの世界だというのに、まだイマイチ理解が出来ていない。

これが現実、だが今は少し現実逃避がしたい気分だった。余りにもまさか過ぎる……。

 

 

 

「……キッ(あっ)

 

 

 

”バシャッ!ビチビチっ!ビチッ!”

 

 

 

適当に歩いて水を弾いてたら、何かデカい魚が獲れた。

川魚はそのまま陸にあがってピチピチしてたけど、爪が当たったのか、腹付近が抉れている。次第に元気がなくなって死んだ。

 

 

 

キュルルルル(やっべ殺しちゃった)……クルルルキィィ(試しに食うか)

 

 

 

色々と考えても、現実は変わらない。状況は同じだ。

此処がブルアカの世界なのにも慣れるしかない。生き方はまた考えなければいけないが、とりあえず確保すべきは食料だ。

 

 

 

「(バルファルクは捕食体の生命を”龍気”を用いて生命を奪い、エネルギーを確保するモンスターだ……った筈。あのルドロスを食って……いや待て、龍気を用いてって事は、もしかして食っていない?)」

 

 

 

此処でまさかの考察。一度冷静になったら変な思考が浮かぶな。

だが考えてみれば、バルファルクって……肉食なのか?一応ルドロスを豪快に掻っ攫って歓喜の咆哮を上げていたが……あれ口から食ってないのか?何だ口から食って無いって。バルファルクとかじゃなければ意味不明だろ。

 

 

 

「キュルルルッッ!キッ……キィィィ!」

 

 

 

パクッ!と、俺は勢いよく魚を食った。

 

正直に言おう……普通に美味い。ってか普通に食える。

恐らく他のモンスターはこうして食うのが普通で、バルファルクは前腕とかでそのモンスターのエネルギーを龍気に変換して捕食するのだろう。俺の曖昧な記憶や考察が入った仮設モノだが、取り合えずはそう思う事にしよう。

 

だが、こうして川魚を口から食ってみれば、意外と食えるし味も分かるし、腹も膨れていく感覚がある。顔が小さいから口も小さい故、ガブガブと一杯食えないからそういった捕食方法に進化した……と考えても良いな。まぁマガラ骨格だから、謎が多いのは割愛させて貰おう。

 

 

 

「(考えても仕方ない事は頭の片隅に置くしかない。先ずは身体の構造と仕組みを理解せねばならないな)」

 

 

 

そのまま俺は渓流の流れる水辺に侵入し、そのまま気配を感じ取りながら川魚を獲っていく。

 

龍気の変換、捕食方法、研究したい事が沢山ある。

だが先ずは食料の確保だ。水はこの川で良い、後は魚で生活が可能なのか、やはり肉類も摂った方が良いのか………あぁそうだ、研究と同時に技の射出を見てみたい。少し試してみよう。

 

 

 

「キィィィィィィィッッ!」

 

 

 

”バババンッッ!!”

 

 

 

槍翼から龍気を川辺に射出し、爆発させる。

龍気が普通の龍属性ではなく、爆発する特殊な龍属性なのは知っていた。

だがこうして攻撃紛いの行動を取ってみて、見聞してみれば分かる……凄まじい威力だ。そこまで強く放出していないのにこの威力……扱いには気を付けなければ。

 

……あ、魚が浮いてる。

 

 

 

キュッキューーー(おわッ!うっまーーー)!!キィキィ(魚すげー)!」

 

 

 

テンションが上がったまま、俺は川に浮いた魚の死骸を水と共に丸呑みする。

美味い、本当に。この川魚は恐らくイワナか……見た感じ30cmは超える、大きなサイズだ。

此処の川魚は自然豊か故か、栄養が乗ってて身がぷりぷりで本当に美味だ。

 

 

 

「(この感じなら捕食方法は口から食っても問題は無いんだな。お手軽なのはきっと生命エネルギーを龍気に変換して、そのまま死骸は放置なのだろうが、それだと何か心の人間味をなくしそうで嫌だな……)」

 

 

 

心の中でそう思う。見た目はバルファルクに成っちゃったけど、心はずっと人間だ。

御飯を残すのは食への冒涜になる。日本人としての魂が俺にはある。

俺は川面に浮かぶ魚を全て食した。その数、ざっと7匹……腹は膨れた、まぁ小腹程度だが。

可能なら、これからは魚を食していき、肉類も必要になるのなら鹿や猪を探して頂く。一先ずの方針はこれにしよう。

 

 

 

キィィィッ(しかし問題は此の先だよな)……キュルルルルルキィィィ(俺はどう生きればいいのだろう)……」

 

 

 

食料は一旦解決した。

 

だが、一番大きな問題が残る────此処がブルアカの世界だという事。

 

ブルーアーカイブの世界に、俺の様な【ガチガチのリアルモンスター】は居ない。

いや、一応居ると云えば居るんだが……テイストが違う。180度全く違う。

 

【デカグラマトン】……お馴染みの『ビナ―』や『ホド』、『コクマ―』とか色々と〈AI機械〉の巨大なバケモンがこの世界にはいる。

そいつ等は漏れなく【敵】としてゲーム内で出演している。まぁ明確に被害が出てるし、敵と判断されるのは当然っちゃぁ当然ではある。

 

俺が言いたいのは……誰かに俺の正体を見られれば、100%敵として判断される事。

最悪誰かが攻撃するのなら、俺は生きる為にその者と戦わざるを得なくなる。言葉が通じ無いのだから、それは仕方ない。

 

出来るなら争いは避けたいが………難しいだろう。

 

 

 

「(最悪ネームド生徒に発見され、仮に乱射や増援を呼ばれ敵対しようなら、そういった対応をしなくては為らん。極力暴力は無しで、逃げの一択を行うが)」

 

 

 

第一は生存だ。万人に受けれられるとは全く思えんからな、生き残るには逃げ続けるのが鍵だ。

 

 

 

「────キィィィ(辛いな)……」

 

 

 

冷静に現実を見据えるが……やはり、孤独は辛い。

 

別に望んでバルファルクに成った訳でも、ブルーアーカイブの世界に入りたかった訳じゃない。

そうなってしまった以上がんばるしかない。それは分かっている……理解しているからこそ、一人で生きていくのは怖いし、辛い。

 

慣れていないのもあるかもしれない。俺の傍には大抵誰かが居た、弟や妹然り、友人に先輩後輩然りと……恵まれた環境下に居たのは間違いない。此処に来てまだ1日しか経っていないのもあるだろう。

 

だがまぁ、それにも慣れるしか、適応していくしかない。

 

 

 

「(うん、そうだ頑張るしか無いんだ……やってやるっ!俺はお兄ちゃんだからn…………ん?)」

 

 

 

”ガサッ!ガサガサ……”

 

 

 

遠い森林の茂みから、僅かに歩く音がする。

それは不規則で、不自然だった。まるでこの道に慣れていない様な……。

 

 

 

「────キィィ」

 

 

 

確かめる必要がある。俺は気配を出来得る限り消して、音が鳴る方に向かう。

もしかしたら獣かもしれない。仮に獣系だったら食事の実験として殺そう、確りと全て頂いて。

 

だが、もし仮に人だったら……先ずは、相手の動向を見よう。

 

 

 

キィィィ、クルルルル(まぁ無いとは思うが、仮に『先生』だったら)……………キュイィィィ(有り得るかもしれない)

 

 

 

”シャーレの先生”……ブルアカに於いて、主人公を務める大人だ。

 

変態、奇人、狂人……そして聖人。

作中の誰よりも優しくて、誰よりもイカレている。ヘイローは無いので肉体は弱いが、指揮能力が随一の持ち主で、生徒と力を合わせて戦う人。

 

性別は決まっていない。プレイヤーの分身って設定だから、プレイする人の解釈で性別ってのは決まっている。物語を進めても、確かに男性とも読み取れるし、女性とも読み取れる会話がある。普通に凄い技術だよな。

 

先生ってのは【生徒第一】の大人だ、だからもしかしたら俺を危険因子と判断する可能性は……無くにしも有らず。だが、ワンチャンの可能性で……俺の話を聞いてくれるかもしれない。

 

 

 

「(どう出るか分からない、俺の行動次第にはなるだろうが……ここは博打だな)」

 

 

 

ただ、仮に先生だったらの話……こんな所に先生が来る訳が無いので有り得ない話ではあるが、ここは賭けよう。

 

そんな事を思いながら、俺は足音のする方向へ歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────先生side……D.U.外郭区域、禁止エリア。

 

 

 

 

 

「────此処が、自然化区域か……」

 

 

 

その日の朝、先生はシャーレの執務室……ではなく、D.U.の外郭区域に属する廃墟街、その自然化区域に身を置いていた。

 

人の気配はなく、建物が蔓や雑草に覆われた廃墟。

まるで人々に忘れ捨てられた場所……神秘的で、少し寂しさを思わせる場所だと、先生は思った。

 

 

 

「聞いた話だと此処に赤い彗星が落下したらしいけど………さて、どうなのか」

 

 

 

先生はシンプルに歩く。周りを見渡せば、男心を擽る景色。

目的の確認を忘れてしまいそうな程、此処は……ワクワクする。

 

 

 

「いやー壮観だ……おっ!イイ感じの棒ゲット」

『先生……一人ではしゃぎ過ぎではないですか?』

「アロナ、許してくれ……男の性なんだコレは!」

『そ、そうですか……』

 

 

 

左手にシッテムの箱を持ち、右手にイイ感じの棒を持ってはしゃぐ先生に、アロナは呆れる。

 

まぁAIとはいえ、アロナは女の子だ。この4日間で先生の全てを知った訳ではないが、今まで真面目に働いていた大の大人の男が、こうも分かり易くテンションを上げていれば……呆れてしまうのは頷ける。

 

 

 

「────ん?」

 

 

 

数十分、歩みを進めていると……妙な看板が目に入った。

其処には……。

 

 

 

「〈此処から先、未知の領域ゆえ進入禁止エリアです。野生動物が蔓延っている可能性あり。ヴァルキューレ警察学校〉……成程、この鉄柵の先がそうなのか」

 

 

 

立ち入り禁止の看板と、鉄網の柵が並んでいた。

書き字の持ち主は【ヴァルキューレ警察学校】らしい。此処は廃墟区域でもD.U.エリア……ヴァルキューレの目に留まる場所だ。

 

 

電話で伝えられた事、恐らく山田さんは偶々ここで犬の散歩をしていて、其処で偶々この先で赤い彗星の落下を見たのだろう……辻褄があってきた、先生はそう思った。

 

 

 

「アロナ、此の先の電波状況は?」

『ダメです、圏外に成っています。元々ここ一帯が通信状況が悪い環境なので、この先は大変危険なエリアに値します』

「ふむ、成程………よし、決めたっ!」

 

 

 

”ガシャンッ!”

 

 

 

先生は鉄柵の網を掴み、よじ登っていく。

 

 

 

『は…はいっ!?先生!?な、何をしているのですか!?』

「ふっ、よっ…と!」

 

 

 

そのまま軽快に登っていき、そのまま不法侵入を果たす。

アロナは驚愕を覚える。この大人は一体なにをしているのか、理解が出来ないでいた。

 

 

 

「多分だけど、この先に例の隕石があるんじゃないかなと推測する。きっと山田さんは此の先に落下する彗星を目撃したんだと思うんだよね」

『だ、だとしても危険すぎます!さっきの看板見ました!?未知の領域ですし、それに……野生動物が蔓延ってるって書いてましたよ!?』

「らしいね。まぁ、大丈夫だろ!」

『はぁ!?』

 

 

 

アロナの指摘、制止の声は先生に届かず……先生はガハハと笑いながら前に進む。

 

 

 

「確かに危険かもだけど、いざとなったら凄く頼れるアロナが、私を護ってくれるんでしょ?」

『っっ!!……そ、そんな事言っても、なにも出ないんですからね!?』

 

 

 

アロナは更に制止の声を発語しようと試みる……と、そうしようとしたが、先生の悪い大人の言動に、一気にやる気を削がれる。

 

先生は優男の顔立ちからは想像が出来ない低音ボイスだ。人型の男性と云う事もあり、かなりエグいフェロモンを放出している。それは機械越しのアロナでも変わらない効力を持つ。

 

意図も簡単に危険行動を許してしまったアロナ。

 

 

 

「はは、流石アロナ。ありがとうね」

『あ、危なくなったら直ぐに逃げて下さいね!私も周囲を索敵する事は可能ですから、何かあれば直ぐに言います!』

「うん、分かった。本当にありがとう、アロナ」

 

 

 

画して、先生とアロナは森林へと入っていく。

アロナは先生を護るという使命と覚悟を持って、一気に集中状態に入る。

 

だが、当の先生は……。

 

 

 

「(うぉぉ……すっごいなぁ、此処……テンション上がるなぁ!)」

 

 

 

心は既に、男の子に成っていた。

 

アロナが少し、可哀想である。

 

 

 

 

 

 

▽30分後……。

 

 

 

 

 

 

 

「………っと、ここら辺は草木が多いね、スーツで来て正解だった」

『先生、お願いですからお怪我はしないで下さいね……?』

「大丈夫、私これでも筋肉って服も着てるから」

『キヴォトスじゃ意味ないじゃないですか、その筋肉』

「ぐほぁッッ!!」

 

 

 

アロナと雑談をしながら歩く先生。

 

中々に切れ味の高い言葉を受けた先生、これは心に来たようだ。

 

 

 

「クッ、い、言うじゃないかアロナ……筋肉はあるに越した事はないんだぞ!」

『え~?そうですか?』

「そうだよ!自信に繋がるからね」

『はぁ……ですが、確かに先生の筋肉は格好いいと思います!健康的と捉えればですが』

「あ……うん、良かった」

 

 

 

無難に細マッチョな先生。もう少し分厚い筋肉だったら良かったのか……先生は少しションボリした。とはいえ、アロナは先生の筋肉は……大好きだ。

ただ偶に発生する筋肉自慢がウザいので、調子に乗らせない為にキツク当たってるだけなのだ。

 

それを先生が察する訳もなく……。

 

 

 

「ふぅ………………ん?」

 

 

 

瞬間、先生が突如────違和感に気付く。

 

 

 

『先生、どうかしましたか?』

「ん、いや……(そういえば、此処に入ってやっと気付いたけど)」

 

 

 

────虫の声がしない……?

 

 

 

そう、余りにも静か過ぎるのだ。

 

野生動物も居なければ、響いていた虫の声がしない。

 

背中に氷を当てられたような悪寒が先生を襲う。

アロナはその事に気付いていない様子……ならば、黙っておくのが良い。無理に怖がらせる必要もない。

 

 

 

「……何でもないよ、書類仕事を置いて来ちゃったから、ちょっと嫌になっちゃっただけさ」

『そうでしたか。今日は比較的少ない日ではありますが、多い事に変わりありません。帰ったら大変ですね!』

「あはは、そうだね……」

 

 

 

事実を述べた強がり、だが……嫌な予感は拭えない。

 

先生は引き返すか悩んだ。だが、この悪寒は……只事では無いと直ぐに理解した。

初めての経験だが、分かる。此の先には……何かがあると。

 

 

 

「(いざとなれば【大人のカード】がある。最悪コレを使えば良い)」

 

 

 

よし、と先生は覚悟を決めた。

何が起こるか、ナニガ居るのか……好奇心と責任感を背に背負う。

 

 

 

そうして、先生とアロナがもう10分歩くと。

 

 

 

「ん?これは……川か」

 

 

 

渓流を発見した。

透明度が凄く、小川とお思えぬ大きなサイズの川魚が見え映る。

 

綺麗だ、本当に……先生は川の潺音で少し気が落ち着く。

 

 

 

「へぇ~此処に川ってあったんだ。魚も立派なサイズだし……廃墟区域から自然化が進むにつれて、生態系が築かれたのか。神秘的で、ちょっと恐ろしいな」

『何だか面白いですね!折角なら、ちょっと入って見ては如何で────ひっっっ!!!?』

「ッ!どうした、アロナ」

 

 

 

ほんわかした雰囲気が一変。

 

アロナが急に悲鳴を上げる。だが先生は小さい声でアロナに対応し、身を隠す様にしゃがみ込む。

するとアロナが、怯える様に言を投げる。

 

 

 

『せっ…先生!此処から10㎞先に、とんでもない超高エネルギーを確認!これは……生命体です!』

「生命体?生きているのかい?」

『はいっ!こんな高エネルギーを何で気付け………えっ!?う、うそ…っ!!』

「アロナ?どうしたの?何かあったのかい?」

 

 

 

明らかに動揺と焦燥を滲ませるアロナに、先生は落ち着かせるように優しい声質で発語する。

アロナは震えた声で、先生の問いに応える。

 

だがそれは……理解に苦しむ内容だった。

 

 

 

『距離……7……5、4……そんな……超高速で此方に近付いて来ますっ!』

「何だって!?10㎞はあるって……」

『そうだったのですが、とんでもないスピードで────あ』

 

 

 

瞬間、突如として先生に影が入る。

 

それは……真上。

 

 

 

『────残り、10m………な、なん、あれ…っ!!!』

「………マジか」

 

 

 

先生は真上を見る。

見上げるしかなかった。見なくても分かる、上に居る強烈な存在感。

 

影が己を包む様に、太陽の陽から隠される。

謎に轟く、戦闘機の様な音。

 

先生は……眼をかっ開いて、単純な感想しか出なかった。

 

その上に、居たのは……。

 

 

 

「────クルルルルルルル……」

「────謎の赤い彗星……生き物だった、とは」

 

 

 

余りにも絶大な存在が、先生を捉えたのだ。

その姿は、銀色の鎧を纏っていて、膜の無い翼から火?の様な物質を放っている。

一瞬で理解する……生物としての格が違うと。

 

嫌に冷静、だが、心臓の鼓動は果てしなく脈を打っている。

 

まるで、命を鷲掴みにされた様な……そう思わせる重圧を、その生命体は放っていた。

 

 

 

”ドシンッ!バシャッ……!!”

 

 

 

「キィィィィ……」

「クッ…!」

『せ、先生!はや、早く、此処から逃げて…!』

 

 

 

その生物は、先生のほぼ目の前に着地する。

つまり小川の中に入って、先生を凝視する。

そのまま……両者動かず、互いの瞳を見つめる。

 

 

 

「………?」

「………キュイィィ」

 

 

 

ドッ、ドッ、ドッ……この生物に聞こえているのではないかと、そう思う程に心臓の鼓動音が凄まじい。

 

確かな緊張感……アロナは電磁波シールドを先生に纏わせている。

緊迫な空間……だが、その生物は先生を見つめて、唸るだけ。

 

 

 

「(冷静に成れ、冷静に………よし)」

 

 

 

先生は生物から目は離さず、心の中で鼓動と情緒を落ち着かせる。

そして、冷静に、状況を分析する。

 

 

 

「(この生物は一体?いや、分からないのは考えても無意味だ、やめる。この生物、まるで敵意が無い?捕食動物の瞳の色もしていない……明らかに普通じゃない、だからこそ、動く意味が有る。行くか?いや、このまま黙って相手側の行動を待つか?いやしかし、それじゃあジリ貧になる可能性がある。この生物が沈黙を取るその理由を考えろ……………もしかして、私に怖がられない為に?いや、この生物にそのような感情があるのか?だが私に攻撃の意思を見せないのには、きっと意味が有る………一発勝負だが、やる他ないか)」

 

 

 

この間、4秒。

先生は状況の分析、そして様々な思考選択を行い、一度目を瞑ってシュミレーションを取る。

 

向こうは動かない。まるで、何かを待つように。

 

先生は……腹を括った。

 

 

 

「────き、君ッ!ちょっと、いいかな?」

「ッ!!」

『先生~~っっ!!!??』

 

 

 

先生は少し緊張した声質で話しかける。

その事にカッと眼を開き、驚く生物。

先生の命を捨てる行動に気が気じゃないアロナ。

 

数秒の間……すると。

 

 

 

「────キュッ!」

「え………わわっ!!」

 

 

 

”ドス、ドス、ドスッ……ボフッ”

 

 

 

生物が歩きだし、何と先生の目の前まで近づく。

 

すると、その生物は……先生の前で、伏せの姿勢に入った。

 

 

 

「キィ、クルルルルル」

「……君は」

「キュィィ……コルルルル」

 

 

 

何かを訴える様に、その生物は先生に何かを発語していた。

無論、言語は分からない。何を言っているのか理解できない。

 

だが……不思議と、この生物の言いたい事が先生は分かった。

 

 

 

「もしかして……敵意はないって、言っているのか?」

「ッ!キュゥゥ!!キィィ!」

「(この反応、当たっているっぽいな……温厚な性格、なのか…?)」

 

 

 

先生は、粛々と警戒心を解いていく。

一瞬、油断させて一気に……何て考えも過ったが、この生物の様子を見るに、どうやらそうでもないらしい。

 

先生は敢えて、その生物の更に近くへと近づく。

ハッキリ言って死にたがり屋の行動、だが……先生は発語する。

 

 

 

「私も敵意はないよ。武器も何もない……大丈夫かな?」

「キィ、クルルル……キィキィ!」

「分かった……で良いのかな?理解して頂けた様で良かった」

『せ、先生……大丈夫、なのですか…?』

「あぁ、この感じは信じて良いタイプだ。この子の瞳、淀みが一切ない」

 

 

 

先生はアロナにそう諭す。

全く確証はない持論だが、そう言い切る程の謎の信頼力が、この生物にはあった。

 

一度、深呼吸をする。

 

それと同時……先生が、ある事に気付く。

 

 

 

「君……もしかして私の言葉が分かるのか?」

「キュッ!キィィィ」

「ま……マジで?」

 

 

 

頷く。声を出しながら。

 

驚愕を超えた驚愕が、先生とアロナに襲う。

明らかに人間と接した事のなさそうな生物が、何と人間の言語を理解している。

とんでもない事だ。だが先生は、それを利点と捉えた。

 

それ即ち……話し合いが出来るという事。

 

 

 

「君っ!もしよかったら────私と少し、お話をしないか?」

 

 

 

互いの理解も含めて…と、先生は話す。

 

その問いに、生物は……。

 

 

 

「────キィィ」

 

 

 

うん、と……頷いたのだった。

 

 

 

 

 

 

次回

 

行こう。





もっと執筆速度を上げたいジョ~!

次回は生徒が複数出ます!誰が出るのか、お楽しみに!


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