【改変】元人間の天彗龍、透き通る世界へ行く。   作:カブトムシの相棒

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長らくお待たせしました。


皆さん、極限化は好きですか?
私は、好きです……色々言っちゃったけど好きなのぉ(純愛)


では、本編です。


共に行く。そして、現れるもう1頭。

 

 

 

 

────バルファルクside。

 

 

 

 

「────はぁ、はぁっ、はぁぁ……」

「キ……キュルルルルル…(ご……ごめんなさい…)」

「い、いやっ……大丈夫さ…あははは……良い走りだ」

 

 

 

こんにちは、バルファルクです。

 

早速だけど、やらかしました。背中に乗せた先生をフル無視して爆速で走ってしまったんです。

 

いやだって、嬉しかったんだもん……こんな見た目の俺でも普通に接してくれて、頭も撫でてくれたし。そんなん何時ぶりだろう?チビが出来てからだから……7歳くらいか?

 

10年以上前なのは確かだ。撫でて頂けない日々はかなりあった。

 

その反動なのか……先生の優しさに、少し酔った。

ってかイケメンだよな……男の俺でもドキってしまう。カッコいい男の人は憧れるなぁ。

 

俺が謝ると、先生は酷く疲れた様子で大丈夫って言ってくれる。申し訳ない。

 

 

 

「はっ、はぁ……ふぅぅぅ………よし、落ち着いた。いやはや、それにしても凄い速度で走ったね!時速100㎞は越えてたかな?あはは、良く振り落とされあかったな私」

「キュゥゥ、キィィィィ……?(その、お怪我は……?)」

「ん?あぁ、大丈夫。これでも身体は鍛えてる部類でね、妙に頑丈なんだ」

 

 

 

キヴォトスでは、一番弱いだろうけどね。と、先生は一言付け足す。

そうだ、先生はこの世界で最弱に等しい生身の人間。ヘイローの無い一般人だ。

 

ただ、先生の持つ【シッテムの箱】に『アロナ』って娘が居て、その娘が先生を電磁波シールド的なので護ってくれている。安心っちゃあ安心だ。危険なのは、変わりないが。

 

とはいえ、この様に普通の身体能力は、俺や生徒達とでは天と地の差がある。

だから……こうして、数十分の間、俺の全速力にしがみついて普通に耐えているのは妙な話だ。

 

この先生、もしかして結構すごいのでは?フィジギフの可能性があるで。

 

 

 

 

「さて……気付けば自然化区域の出入り付近だ」

「キュ?(え?)クルルルル?(自然化区域?)」

「ん?あぁ、そうか知らないよね。此処から数㎞先はD.U.って場所なんだ。つまり……人が居る」

「キュ(あ)……キィィ(そういう事)」

 

 

 

そうか、此処ってD.U.なのか。

 

余りゲーム内では分からなかったけど、そうか……。

 

 

 

「(────此処まで、か)」

 

 

 

そう思う。俺と先生との境界線。

それが此処だ。此の先へ行くのは、先生にとっても、その他の人達にとっても非しかない。

 

本来、俺が関わるべき世界じゃないんだ。そうだ、俺は此処でひっそりと暮らせばいい。

 

その方が……良い。

 

 

 

「────キュィ」

「え?」

「キュ、キィキィ!キュッキュ!」

 

 

 

俺は先生を頭で押し、ばいばいと云った。

 

先生は驚いた顔付きで俺を見上げる。

 

 

 

「君、なにを…?」

「キィィ、キュルルル……」

「自分は、此処に残る…って……?」

「キィ!キィィィ!」

 

 

 

そうだと肯定。それしかない。

正直、言葉が通じるだけでも奇跡だ。道理も論理も何もかも分からないが、先生と意思疎通が出来る。

 

ソレが分かっただけで良い。でも先生はこれから大変だ。俺なんかに構ってちゃだめだ。

 

だから、もう行ってと言った。これしかないから。

 

 

 

「…………」

『せ、先生?その生物はなんと…?』

「……自分は此処に残る。先生と会えて、良かったって、言っている」

『ほ……本当、ですか?』

「あぁ、本当だ。そうだよね?」

「キュッ!キィィィ!」

『す………凄い』

 

 

 

タブレットを持ち、アロナちゃんと話す先生。

アロナちゃんに俺が言った事を先生が通訳として告ぐ。なんかAIに人間が通訳って面白いな。

 

なんて……言ってみたモノの、やっぱ……寂しいな。

 

 

 

「────君」

「キ?」

「自分の名前とか、分かる?」

「キュ?キ、キィィ……」

 

 

 

名前、あぁ、そう言えば言っていなかった。

 

そう、俺の名前は……あ、あれ、こういう時って、何て言えば良いんだ?

 

俺の生前の本名か?いやそれだと日本過ぎるし、かと言ってバルファルクって名前を言う?それも不可思議だ。

 

あ、やばい。どうしよう…………ここは、分からないでいこう。

 

 

 

「キュゥゥゥゥ(分かんない)…」

「そうか……それじゃあ、私が付けても良いかい?」

「キュゥゥ?」

『せ、先生?』

「私が付けて、君を名前で呼んだ方がいいだろう?いつまでも〈君〉呼ばわりは可哀想だ」

 

 

 

……この人は、本当に優しいな。

 

でも理に適う。此処は日本でもなく、モンスターハンターの世界でもない。

ならばブルアカの世界らしい名があるのかもしれない。

 

それならば……先生に名付けて貰った方が、ずっといい。

 

 

 

「キィィ!!キュッキュッ!」

「そうかそうか!ふは、分かった。じゃあ私が付けるね」

 

 

 

そう言うと、先生は徐に考える。

 

 

 

「見た目はドラゴン。色は銀色……いや、それは安直な名付け。もっと意を持った名が良い………君はまるで隼だ。翼を畳み、戦闘機の様に飛ぶ姿は最速の鳥類だ……隼………Falcon……それだけだと捻りが無い………カッコいいし、豪快な存在感、凄まじい翼から噴き出る勇烈な異能………豪快、勇烈……英語だとvalor……ヴァロコン………バローコン…………────────バ(・)ル(・)フ(・)ァ(・)ル(・)ク(・)」

 

 

 

え

 

 

 

「バルダルク……んー…いや、バルファルク、バルファルク………いいね、バルファルク何てどうだい?」

「キュッ……」

 

 

 

うそだろ、マジかよ!!

 

先生、俺を見ただけで、そこまで辿り着いたってのかよ!!

 

 

 

「キュィィィィィィィィィィィ!!!」

「うおっ!?な、なんだ!?」

「キィィィィ!キィキィ!」

「んおっとっとっと………んふ、はは!そうかそうか!気に入ってくれたのか?」

 

 

 

俺は堪らず、先生に頬をすりすりして感謝を伝える。

 

凄い、凄すぎる!なんでそこに辿り着けんだよ!!

もう俺は人間時代の俺でもなく、モンハンのバルファルクとしての格もなかったのに……そんな先生は、例え100%の偶然でも奇跡でも、俺に『バルファルク』という名を改めて与えてくれた。

 

それが……どうしようもなく、嬉しかった。

 

 

 

「はっはっは!よし、じゃあ君は今日から『バルファルク』だ!宜しくね、バルファルク!」

「キィィィィィィィ!!」

『よ、宜しくって……』

 

 

 

先生は俺にそう言って、頭を撫でてくれた。

 

改めて思った……先生は、ずるい。

 

こんなバケモノに、どうしてそう居られるんだ。

俺は生徒でも無ければ、いや、もう大人だ。18歳だが。

 

でも……やっぱ、俺を見てくれるのは嬉しいな。

 

 

 

そうして、俺と先生は暫くその場で話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

■

 

 

 

 

 

 

 

「────へ~~魚が主食なのか!でも肉もイケるんでしょ?」

「キィィィィ!キュッキュ、キィキィ!」

「牛に豚、鳥もか……いいね、私も大好きだ。でもそれくらいの巨体なら牛だけでも一日何匹必要なのか……」

「キュッ!クルルルルル」

「は!?イワナ5匹で足りる!?いやいやいや、そんな馬鹿な!!」

「キュリリリ!クィィィィ!」

「え?あぁ、そこの小川に居るね丁度………あ、もう捕まえた」

 

 

 

数十分後、先生とバルファルクは座り、落ち着きながら互いについて話し合っていた。

鳥の囀りすら聞こえぬ静寂な森。川の潺と森の風伊吹しか両者の耳には通らず、それ以外に聞こえるのは互いの話し声のみ。

 

この森には獣が居ない。それは……バルファルク、彼の存在だ。

 

この森全体を覆う超大規模な存在感は、今を生きる獣たちには正に生存本能をこれでもかと擽る反応を見せていた。

己の巣、己の隠れ家……皆々が、其処へ今日は隠れる。そうでもしなければ、見つかってしまえば、殺される。

 

その思いで獣たちは隠れている。

 

そんな圧倒的な力を隠さぬ最凶の怪物────バルファルクは今。

 

 

 

「キィィィィ!!」

 

 

 

”バシャ!バシャバシャ!!”

 

 

 

小川でイワナを狩っていた。

 

 

 

「3、4……これで5匹だけど」

「キュルルル」

「ほ、本当にこれだけで足りるのかい?無理をしてるんじゃ……」

「キィ!?キィキィ!キュィィィィ!」

「そ、そう?なら良いんだけど……」

 

 

 

20~25cm程のかなり大きいイワナを持ってきたバルファルク。

 

それを一匹、また一匹と口に運んで食べて行く。

だが咀嚼は確りと行い、食す数を重ねる度にそれは遅くなっていく。

 

そして、遂に5匹目を完食し終えると……

 

 

 

「キュフルルルル……コルルルル」

「意外と時間が掛かった……それに満足そうな顔。本当にそれだけで良いんだ」

 

 

 

先生は思った。不思議だ。

 

偶に、こんな事がある。

 

”その小柄な体躯の何処にそれ程の食料が入るのか”

”その巨躯な体躯で食べる量が少ない”

 

そんな子や大人は時稀に居る。それはどれも胃袋が起因しているが……だが。

 

 

 

「(この子は可笑しい、科学的に説明が出来ない……あの飛行方法は相当なエネルギーが必要だ。それも、たったイワナ5匹では補えない筈の……)」

「クァァ……キュウゥゥゥィイィィィィッ」

「……ん?」

 

 

 

そう、おかしい。イワナ5匹では到底足り得ないエネルギーの筈だ。

 

先生がそんな疑問に耽っていると、バルファルクの様子が妙。

一瞥し、様子を伺った……瞬間だ。

 

 

 

「────コォォォォォ!!ゴォォォォォ!コォォォォ!!」

「んッ!?な……身体が…っ」

「コォォォ……キッ」

 

 

 

”ボヒュゥゥン……っ”

 

 

 

一瞬、先生の身体が吸い寄せられた感覚。

 

バルファルクは、何と胸から空気を摂り入れたかのような、そんな動作を行ったのだ。

その勢いは、高身長故、かなりの体重を持つ先生が一瞬持っていかれるほどの。

 

 

 

「バ…バルファルク、いま何を?」

「キュ?キッ!キィィィ!キルルルルル、キィキィ!」

「大気の酸素を、エネルギーに変換……?」

 

 

 

嘘ではない。そして理解した。

 

この生物は、正に、モンスターだと。

 

 

 

「ははっ……なるほど、飛行可能なエネルギーには大気の酸素を赤い炎の様な物質に変換する……そして、飛行……凄いの一言だ」

「キュッ!」

「ん、ははっ!うん、色々と教えてくれてありがとう」

 

 

 

先生はバルファルクに御礼を言い、頭を撫でる。

必死に己の生態を教えるバルファルク。巨体に似合わず、かなり可愛い。

 

 

 

「尋常じゃない巨躯に、生物離れした生態………でも食料は列記とした魚類や肉類。そこが分れば、良い」

「キュィィィ……クルルル?」

「ん?どういう意味だって?あぁ、そうかまだ言っていなかったね」

「キィ?」

 

 

 

すると、先生は気を引き締めた顔立ちに成り。

バルファルクと眼を合わせ、こう告げる。

 

 

 

「さっき、君は私にこう言った……『自分は此処に残る』…と」

「キュ、キュルルルル……」

「私を想っての事なんだよね。バルファルク、君は優しい子だね」

「クル、クルルル…!」

「あっはは、いいやそうさ……でもね、私は、それは寂しいな」

 

 

 

先生は続ける。

 

 

 

「確かに、君の存在は不可思議だ。万人受けは……きっとしないだろう」

「クルルル……」

「でもね、それでも私は諦めたくない。だって、こんなに優しいじゃないか!こんな地でひとりぼっちだなんて……可哀想じゃないか」

 

 

 

先生は分かっていた。バルファルクの本心を。

そして孤独の辛さを。

 

先生は彼をひとりぼっちにはさせたくなかった。

 

 

 

「そういう事で、私から一つ提案があるんだ。バルファルク」

「キュィィ?」

『せ……先生?』

 

 

 

瞬間────先生が、告げる。

 

 

 

「────私と共に、シ(・)ャ(・)ー(・)レ(・)へ(・)来(・)な(・)い(・)か(・)い(・)?」

「────キ?」

『────は?』

 

 

 

 

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

 

☆ブラックマーケット

 

 

 

 

 

 

 

 

「────はぁぁ……またやってしまったわ……」

 

 

 

その日、一人の少女が食量が入ったビニール袋を持ってブラックマーケットを歩いていた。

酷く落ち込み、その足取りは些か覚束ない。

 

その少女の名は────『陸八魔アル』

 

ゲヘナ学園の2年で【便利屋68】にて社長を務めている者だ……経営は難ではあるが。

 

 

 

「後先考えないで、あの子達にも迷惑掛けちゃって……はぁ、うまくいかないわ…」

 

 

 

アルの散財により、今日も今日とてお腹を空かせる日々。

彼女以外にもメンバーは居る。彼女を含め4名だ。

 

その少女たちとは常に居るのだが、今回は超安売りセールが各地で行われている為、面々はバラけて食材の確保に挑んでいた。

 

 

 

「余り品質はよくないけど、食べられない日よりはマシよね」

 

 

 

そのビニ―ル袋には半額のシールが付いた弁当箱が入っていた。

ブラックマーケットにもコンビニはある。アルは珍しくそこを使い、此処まで足を運んだのだ。

 

 

 

「皆、なんか買えたかしらね…………へっくしょい!!ずびっ…うぅ、なんか寒くない?此処……来た時はそんな寒くなかったのに」

 

 

 

取り合えず今日の分の御飯は確保できたは良いが………気の所為と言えぬ程、此処ら一帯はなにか寒い。

 

 

 

「あれ?そう言えば此処って………え?まさか私、道間違えた!?」

 

 

 

辺りを見て、違和感に気付いた。

 

己はいま、迷子だと。

 

まさかのまさかだ。今日の反省をしていたら、どうやらアルは見知らぬうちにブラックマーケットの【廃墟区域】に足を運んでしまったらしい。

 

寒さで異変に気づくほど、己は参っていたのか………。

 

 

 

「(待って、今って春よね?なんでこんなに寒いの……?)」

 

 

 

待て、違和感が凄まじい。

息を吐けば白い吐息が出るほど寒いのは、この時期おかしい。

 

それに……妙だ。静か過ぎる。

 

 

 

「ブラックマーケットでこんな静かなのも変ね……うぅ寒い、もう何なのよぉ………来た道に戻れば帰れるかしら……」

 

 

 

此処はキヴォトス。そういうのもあると強引に納得して、アルは踵を返して背を向ける。

 

 

 

その、瞬間だった。

 

 

 

 

「────ゴロルルル」

「────へ?」

 

 

 

”ゾゾゾゾゾゾゾゾゾッッ!!!”

 

 

 

「────あ……え、なに」

 

 

 

アルの背に、余りに濃く、余りに絶大な……重圧が突き刺さる。

 

低く、この世のモノとは思えぬ声。

圧倒的で、芯から生命への警鐘が無造作に鳴らされる程の悍ましい存在感。

 

後ろに、何かが居る……それは分かった。

 

 

 

”ドス、ドス、ドス、ドス……”

 

 

 

近付いてくる。

 

なんで、さっきまでは居なかった。何処に居た、いや、違う。

 

ヤバイ、動かなきゃ、動かなきゃ動かなきゃ…逃げなきゃッッ……でもッ。

 

 

 

「はっ、はぁっっはっ、ぁっ………」

 

 

 

動かない。否、動けない。

 

まるで、金縛りにあったかのように。

 

 

 

「ゴルルルルルルル………」

 

 

 

”パキパキ………バキッ、パキィィ……”

 

 

 

何かが凍る音。

 

何がか割れる音。

 

後ろのナニかが歩く度、アルを襲う絶対零度。

 

 

 

「────ゴグルルルルルル」

「────ぁ」

 

 

 

距離、0m。

 

真後ろに、何かが居る。

立って、己を見下げている。

 

 

 

「スン、スンスン………」

 

 

 

背中に、恐らく鼻を充てて己の匂いを嗅いでいる。

 

その動作、その距離……ナニかが起こす動作で、己には圧倒的な寒波が襲う。

 

 

 

「ゴルル」

「ひゃっ…ぁ」

 

 

 

”ドサッ……”

 

 

 

アルが背中から押され、倒される。

 

そのままアルが前のめりに倒れ、巧い具合に尻餅を着く。

 

それ、即ち────

 

 

 

「────うそ」

「グルルルルル………」

 

 

 

その存在を……確認すると謂う事。

 

アルの眼の前に立ち、アルを見下ろすそのナニか。

 

彼女の双眸に映るのは……。

 

 

 

「なに、こ…これっ……え?」

 

 

 

怪物が映っていた。

 

全体的に藍色と黒の体色で、背中や翼には突起物が禍々しく生えている。

四足歩行で、目元には紅い線が走り、黄色いのが眼だろうか……それが特徴的だ。

 

嫌に正確に、アルの脳に怪物の身体的特徴が入る。

 

正に死の間際。恐らく、アルは悟った。

 

 

 

「(────私、死ぬかも)」

 

 

 

そう思うには、余りにも十分すぎる……威圧感。

 

 

 

「……………」

 

 

 

その怪物は、アルをただ見下ろし見つめている。

ただ静寂に、その重圧を隠そうとせず、アルを見続ける。

 

 

 

「はっ、はゅ、はひゅっ、ひゅ、ふっ………っっ!!」

「………………」

 

 

 

過呼吸に陥る。

殺される、手に持つ己の愛銃すらその者に向けられず。

ただ、殺される。それしか頭に入らなくなった。

 

瞬間……息を吸った怪物が…。

 

 

 

「────ゴァァァァァァァァ!!!!」

「────ぁ」

 

 

 

耳を劈く咆哮を、行った。

 

あぁ、死んだ。殺されるんだ。

 

そう思った瞬間……アルの意識は、闇へと閉ざされた。

 

 

 

 

 

 

▽

 

 

 

 

 

 

”パタリ……”

 

 

 

「………」

「?………ゴルルル」

 

 

 

アルが白目を剥き倒れた。

それを見るは、藍色のモンスター。

 

 

 

「………グルルルル」

 

 

 

”ハムっ……”

 

 

 

次の刹那、そのモンスターはアルを器用に口で挟む。

 

その力は、余りにも弱く。

殺さない様に、凍えない様に……まるで赤子を扱う様に、繊細だった。

 

 

 

「グルウルル………」

 

 

 

ドシドシと、アルを咥えてアルが来た道を進むモンスター。

 

周囲は凍え雪が舞い、建物は氷の世界。

 

本来ならアルも文字通り氷漬けになる筈の温度。だが……このモンスターは、アルの身、己の口内と異能の影響を受けない様に調整している。

 

 

 

「っ、ぁ……た…たべても、わたひ……おいひく……ぅぅ………」

「ゴグギュルルルル………」

 

 

 

アルが寝惚けて寝言を言う。

それに呼応するように、そのモンスターは何かを発して歩く。

 

パキパキと……氷の世界へと変わる暗黒街。

 

端には戦闘用オートマタが複数体凍てついて機能停止。

 

奇跡か、それ以外の生命体は居ない……何故だか、だ。

 

 

 

「────ゴルルルルルルル」

 

 

 

アルを連れ、何処へ行くのか。

 

それが分かる者は、今、此処には居ない。

 

 

 

さて、答え合わせと行こう。

 

 

 

凍てつく氷の世界、まるで監獄の様な空間を作った。

藍色で、歪な突起を背中や翼、そして尻尾に生やす。

目元に紅い模様と、黄色い眼光を光らせる筋肉質なドラゴン。

 

禍々しい姿、ドラゴンと云うには歪で異質。

 

 

その正体は────【天廊の番人】

 

 

………否。此(・)処(・)は天廊ではない。

 

 

ならば、この異名が相応しいか。

 

 

【暗黒街の番人】

 

 

又の名を────皇冰龍ド(・)ゥ(・)レ(・)ム(・)デ(・)ィ(・)ラ(・)

 

 

最強格にて史上最狂。最悪のモンスターが……このキヴォトスに、冷徹に君臨してしまったのだ。

 

 

 

 

 




はい、早速F産の怪物です。

ですが彼のみです。後は原作からしか出ません!!ってか出せませんね……。



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