お前は何処にもいやしなくて俺もここに居なかった。   作:黑米田んぼ

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皆さんお久しぶりです。色々と予定とスランプで難航していましたがやっと形になったので投稿です。楽しめたら幸いです。頑張って完走するつもりなのでゆっくり見てくれたら幸いです。


第七話

「…来ちゃったなぁ」

 そうマチュは呟く。学校も塾も無い文字道理の『休日』にアムロが指定した場所、民間警備会社ドミトリーにやってきた。

 

「よく来たなマチュ」

 マチュを待っていたのだろうかすぐにアムロはやって来た。

 

「あ…はい…今日はよろしく…お願いします…」

 アムロにあいさつするマチュだがその表情は何処か余所余所しく何かに気にしているようだ。  

 

「…もしかして、この間のクラバのことを引きずっているのか?」

 マチュ達ポメラニアンズはこの間、ドミトリーとクランバトルを行い相手のパイロット、シイコ・スガイをシュウジが殺したことをマチュは気にしているのだろう。平気で命懸けのクランバトルなんてやるがそこら辺は戦争の知らない少女なのだろうか…そんな世界線の違いをアムロは感じてしまった。

 

「…まぁ、そうです。あの人のクランってここだよね?私ここにきて平気なのかなって…」

 確かにマチュ名義でやって来たら気づく人間は普通にいるだろう。

 

「…クランバトルは何時だって死と隣の危険な賭け事だ。彼女だってそれは分かっていたはずだ。何かあったら俺が何とかしよう…着いてきてくれ。ああ、ジオン系MS使っていたから連邦の軽キャノンの操縦とかは出来るか?出来ないならそこからレクチャーしていくが」

「…シイコさんとは知り合いだったんですか?」

 話の流れからアムロさんはあの人と知り合いだったのかと問う。

「…ブランクを解消するためにリハビリ戦として一回な」

「…どちらが勝ったんですか?」

「…俺だ」

「・・・凄いですね」

 シュウジがギリギリで倒した相手なのにと、心の中で呟いた。

「ああ、亡くなったのは残念で仕方なかったそれはそれとしてだ軽キャノンの操縦のレクチャーはした方が良いか?」

「…お願いします」

 かくして、マチュはクランバトル最恐のパイロットと共に前回闘ったクランの会社へと足を進めるのであった。

 

 

 

 

「――――――知るかよそんなMSどっか行きやがれ!!」

「うわっ!」

サイド6のスラム街にある一つのジャンク屋でエグザベは屈強な男に突き飛ばされた。

自身が操縦していたジークアクスがここ、サイド6の違法MS賭けバトル、クランバトルに参加していた為に、ジークアクスはジャンク屋の何処かにあるのでは無いかとジャンク屋を転々としていたが成果は0。元より治安の最悪なスラムの上、居場所を奪われた難民や元軍人も多いジャンク屋はエグザベが考える以上に話が通じなかった。

 

「――――――お兄さん大変そう」

 踏んだり蹴ったりなエグザベに声をかけたのは十代前半ごろの幼い少女だ。手にはタブレットを持って突き飛ばされたエグザベを見下ろす。

 

「…あ、ああうん。ありがとう君は何を見ているのかな?」

 こんな子供に心配されるなんてなぁ、と少し苦笑しながらエグザベは話題を逸らすために目の前の少女のタブレットに話を振る。

 

「…ホワイトユニコーンの動画を見ているの」

 タブレットには一部が白く塗装された軽キャノンが他のMSを倒している動画が流れていた。

 

「ホワイトユニコーン…知らない選手だ。…これは編集動画か何かな?」

「―――――お兄さん、サイト6来たの最近?」

「え、そうだけどどうしてそう思うんだい?」

 思わず聞き返してしまった。さっさと次に行けば良かったが手詰まりとこの辺りで暮らしているこの子の方が思わぬ情報を話してくれるかもしれないと思ってしまったからだ。

 

「だって、ジャンク屋の人から追い出されてホワイトユニコーンの事を知らないから」

 さっきも聞いた名だ。ホワイトユニコーン、この子が好きなクランバトルの選手・・・では無いのだろう。

「その、詳しく聞いても良いかなそのホワイトユニコーンって人を」

 情報を得るためだ少しだけ子供に付き合って見ようとエグザベは少女の言葉に耳を傾ける。

 

「良いよホワイトユニコーンはね。―――難民たちの英雄だよ」

 

 

 

「…ホワイトユニコーンですか。それが大佐だと貴方は仰っているのですかエグザベ少尉?」

 その後調査を一旦中断して上司であるシャリア・ブルに報告しにソドンへと戻った。

 

「確証はありません。ですが中佐であれば何か気づく事があるのではと思いまして」

「…ふむ、分かりました。そのホワイトユニコーンのクランバトルの動画を見せてください」

 エグザベ少尉はキシリア配下の人間。シャリア・ブルにとっては将来の敵とも言える人間。…しかし、その頑張りを無下にする気にもなれなかった。

 

「―――二人共何をしているんですか?」

 丁度そのタイミングだった。コモリ少尉が大きめのタブレット端末を操作している二人を目撃したのは。

 

「ああ、実はエグザベ少尉が大佐と思わしき人物がいると知らせてきまして、その人物のクランバトルの動画を拝見しようと思いましてねコモリ少尉も見ますか?」

「…はぁ、構いませんけど」

 そうして3人が最初に見るのを選んだのはホワイトユニコーン瞬殺切り抜き動画なる動画だ。

 

「瞬殺と書いてありますが始まってから1分ぐらいで撃墜したんでしょうか?」

 エグザベがそう良う。対戦カードはオーソドックスなザク四機の試合だ。

「なのかな。始まって・・・うん?虚空を撃っている・・・試合が終わった!?」

 ホワイトユニコーンが乗るザクがスタートと同時にザクマシンガンを放ち程なくして勝利のアナウンスが鳴りホワイトユニコーンのチームの勝利となる。

 

「いっ、一体ど、どんな手品を使ってあんな事を・・・中佐は思いつきますか?」

 唖然とするコモリを尻目にエグザベはシャリアに思わず聞いてしまった。

「初めてポメラニアンズのクラバを見た時の事を覚えていますか?」

「え、ええ。もちろん」

 まさか返してくれると思いながら初めて見たジークアクスと赤いガンダムの戦いを思い出す。

 

「・・・まさか、NTの空間把握能力で視界に入らない長距離狙撃ですか!?ザクマシンガンで!?」

 

「え、何の話!?」

 突然驚くエグザベにコモリが思わず驚いた顔で尋ねる。

 

「NT能力にはいくつかありますがその中でも最たる能力としてレーダーが届かない遥か距離から相手の殺意やそこにある物を見つけれる事ができます」

 困惑するコモリに答えを提示したのはシャリアだ。上司に続いてエグザベも語る。

「最初のクランバトルの時、ジークアクスのパイロットは閃光弾で目をつぶされてこのままでは撃墜されるはずでした。でも、パイロットは戦いの中で手放して飛んでいたヒートホークを誘導して相手チームに当ててみせた。けれど・・・中佐」

「ええ、あれは常軌を逸している。狙撃用の装備ならいざ知らずザクマシンガンで仕留めてみせるのは私でも無理だと言わざるをえません」

 首を横に振り自分でも出来ないと言うシャリア・ブルに二人も唖然とする。

「しかし、このパイロット中々に『手慣れて』いますね。空間把握能力もそうですが誘導能力、MS操縦テクニックそして何より直感と瞬時の判断能力が優れている」

 動画にはホワイトユニコーンが少し前に投げたヒートホークがワイヤーだろうか引っ張られ軌道を変え相手のザクの頭を吹き飛ばす。

 別の動画では無手だからかマシンガンを最小の動きで最短距離の直線で相手のザクに迫り。抜き手を放ちカメラアイを砕いて勝利をもたらした。

 別の動画では軽キャノンでの戦いだ。黒いドムのパイロットの実力も高いからだろうかフル装備であってもそこそこ手こずっているがコンビネーションの隙間を付き踵落としで頭部を破壊し、そのままドムの頭を踏み台にして放たれたジャイアントバズの弾丸をビームサーベルで頭部ごと切り伏せてみせた。

 

「…余りにも格が違いすぎる」

 エグザベの呟きにシャリアは「でしょうね」と返す。幾つもの動画を見たが日付の古い初期は兎も角それ以降は一切コクピットが潰されたり機体が爆破される事がない。最小の被害で試合を終わらせている。

「これだけの事が出来るのは高い操作技術と卓越された先読みがなければ出来ません。これだけの事が出来そうなパイロットは大佐ぐらいでしょう。中立地帯であるサイド6の違法MS賭け試合にこれ程のMS乗りが居たとは信じられません」

「…もしかして、当たりですか?」

 シャリア・ブルをコモリは見る。シャアのM.A.V.がここまで言うのであればホワイトユニコーン=赤い彗星なのかと。

 

「…あり得ない。とは口に出しては軽率でしょうね」

 首を横に振りシャリアは言う。

 

「私がまず思ったのは明らかに動きが『場慣れ』し過ぎている」

「…場慣れですか?」

 エグザベがシャリアにそう言う。改めて動画を見る。

 

 画面にはホワイトユニコーンが乗るザクの前には相手側の二機のザクがM.A.V.戦術を展開して迫る。

 ホワイトユニコーンのザクの武装はヒートホーク一本であり相方は初手でザクマシンガンを受けて退場していた。

 迫る相手チームのザク、ザクマシンガンを撃ちホワイトユニコーンを撃墜しようとする。

 無論ホワイトユニコーンは最小限の動きで弾丸を躱しヒートホークを投擲する。

 牽制な動きだからか杜撰な投擲は当たらず無手となったホワイトユニコーンのザクを仕留めるために弾の切れたマシンガンをしまって正面からヒートホークで倒すようだ。

 時を同じく相方のザクも反対側に回り込み挟み撃ちを図ろうとしていた。

 たった一機、武装無い無手状態。通常であれば勝負有りと判断する。

 

――――――しかし、動画のタイトルはホワイトユニコーン神業集、その結末は真逆と一同は理解していた。

 

「うわぁ」

 コモリが小さくゲロやばと漏らす。画面には正面から仕掛けたザクが後ろから戻ってきたヒートホークに頭部を壊されそのまま背後のヒートホークを回避して振り向きざまに背後のザク頭部をヒートホークで叩き潰してホワイトユニコーン側のチーム名とwinの字が流れ動画が終わった。

 

「…M.A.V.戦術を完璧に攻略している。この時点で大分変なのです」

「って、M.A.V.戦術って中佐とシャア大佐が作った戦術だった筈ですよね?」

 シャリアがそう言うとコモリが疑問の言葉をかける。一般的にM.A.V.戦術はシャリア・ブルとシャア・アズナブルが考案した戦術だ。シャアが知らぬ筈がない。

 

「少し勘違いされていますがM.A.V.戦術は私と大佐の動きを参考に作られた戦後に出来た戦術です。軍縮によって軍を離れた軍人が繰り出すマブ戦術もまたクランバトルの魅力の一つらしいですが」

 シャリアは自分の端末でホワイトユニコーンのネット有志によって作られた記事を見せる。

 

「ホワイトユニコーンがクランバトルで活躍したのはここ一年ほど。活動期間としては程々でしょう。しかし、その戦績は50戦50勝0敗、多い時は週に三回はクランバトルに出場し、彼とM.A.V.を組めば連戦連勝間違い無しとされ、ランキング荒らしの異名も記載されています。初期の立ち振る舞いを見ているとそこまでM.A.V.戦術について詳しいようには見えませんでした」

 と言いながら新たな動画を再生する。そこにはホワイトユニコーンが武器を奪いながら幾つもの機体と戦うのが映っていた。

 

「えっと、なんか凄すぎて何言って良いか分かりませんね」

 コモリのその言葉にシャリアも「そうですね」と同意し。

 

「このパイロット、明らかに戦い慣れている。それも、MSで一度に幾つもの戦場を渡り歩き更に武器の奪い方も手慣れている。私の知る限りではありますが大佐がそのような物資の底が尽きかけているような戦い方をしたと言う話は聞いていません」

 喉が渇いたのかシャリアは飲み物を一口飲み再び口を開く。

 

「…もう一つ気になるのは何故今『赤いガンダム』が現れ、ガンダムクアックスと共にクランバトルに参加されているのか」

「え?シャア大佐の愛機なんですから当たり前なんじゃあ無いんですか?」

 その言葉にコモリは尋ねる。この世界線に置いてガンダムはシャアの愛機として有名だ。赤いガンダムがあるのなら近くに・・・それこそ赤いガンダムの情報が伝わった時期まで違法賭け試合で大暴れしていたエース級のパイロットとならば候補としては硬い。

 

「…そうなんですよね。しかし、ホワイトユニコーンは前人未到の一対十三の混成クランチームとの戦いに勝ちクランバトルの運営から莫大な懸賞金の引き換えに殿堂入り…即ち出禁にされています。それなのに赤いガンダムに乗って参加するなど変とは思わないのはおかしいと思うのです。更に付け加えるのであれば懸賞金には元々サイド6の市民権を無償で得られるのを蹴って賞金の上乗せを希望したとサイトには書かれています」

 シャリアが見せたそのページにはホワイトユニコーンは権力に対しても一切引かないその姿勢が難民達にクランバトルが不安定な現実を打破できる希望になりえると掻き立てMSの需要が大きくなったと書かれていた。

 

「市民権を貰わなかったと言うことはこのパイロットはここサイド6に永住する気がなく。そう遠くないうちに何らか別の場所へ向かおうとしている。なのに何故今も赤いガンダムがクランバトルに参加しているのか。更に賞金が必要だからと言って赤いガンダムを持ち出すのは目立ちます。もし大佐がホワイトユニコーンだとしたらこの5年潜伏していたのに急に目立つ動きを見せたのであればそれに担う何かの狙いがある。それこそあの赤いガンダムのパイロットは大佐が雇った。または五年間の間に育てた陽動だと私は考えています」

 

「シャア大佐って、自身の機体に愛着を持たない人なんですか?」

「ガンダム自体現場の判断で強奪した機体だと聞いていますからね。五年前の機体です。必要であれば躊躇なく捨てると思いますよ」

 再びシャリアは飲み物を一口飲み喉を潤して結論を述べる。

 

「どちらにせよ赤いガンダムとは一度相対する必要があるかも知れません」

「し、しかし、中佐。赤いガンダムがいつ現れるかそれに、今自分達にはMSがありません」

 シャリアの言葉にエグザベが物申す。戦うための機体が無くそもそも相手が何処にいるか分からないと言うのにどうやって戦うのかと問う。

 

「探す必要はありません。赤いガンダムはクランバトルの選手、―――我々がポメラニアンズの対戦相手になれば良い。ザクで有ればレンタル出来る店は結構多いことをコモリ少尉に調べさせて貰いましたので」

 そう言ってシャリアはエグザベを見る。

 

「エグザベ少尉、危険ですがもし赤いガンダムのパイロットが大佐と繋がりを持っていた場合最大の近道になります。なってくれますか私のM.A.V.に」

「…自分が中佐のM.A.V.…ですか――――」

 

 

 

 

 

―――方その頃。

「…シュウちゃん、ご飯届けに・・・居ない。出掛けてる」

 何時もお腹を空かしているシュウジのために食料を届けに来たニャアンだったが、主人であるシュウジはガンダム共々また絵でも描きに出たようだ。

 

「マチュも今日は予定があるって言ってたし…」

 ここ最近は寂しくは無かったな、そんな小さな孤独感をニャアンは呟いた。




本当であればドミトリーの方々とマチュの絡みとかやりながら修行をやろうと思いましたがちょっとエグザベ君を通してこの世界線にやって来たアムロがどのような立ち位置と共に第一話のバカげたクランバトルが始まった背景のようなものを出しました。おかげで6000文字で修行編は次回へと見送りました。

これは私の勝手な想像ですが原作でシャリア・ブルがポメラニアンズがランキング一位になることを楽しみにしているという発言がありますが、作中でそんなに時間が経っているような感じでは無いのにマチュ達のクランはランキング上位へと昇り詰めている。
シイコと戦う4話の時点で4勝していることを考えると恐らくそれなりの期間でクランバトルはやっていると思います。
色々と考えたらクランバトルはポケモンのランキングのような一定周期でリセットされていたのかもしれません。クランバトルは高い賞金や自身の腕前を企業にアピールしたりとクランバトル事業はそれなりに繁盛していたと思いますそれこそ一週間に7試合とか普通にあったりするのかもしれません。アムロが50戦しても不思議じゃなくだからまぁ、ランキング荒らしで運営からは良い気はしなかったのかもしれませんね。
まぁ、色々と言いましたが・・・・・監督はそこまで設定練って無いよと言われればまぁ、そうかもね・・・でしょうけど。
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