さてさて、前回の第八章から三か月ほど空きましたが、今回もお読みいただきありがとうございます。
今回から第二幕が始まります。ここから、続々と新キャラがたくさん登場いたしますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、ここから本編開始です。
第11章 この理不尽な取り調べに真実を!
さて、前回。俺たちは、アクセルの街に襲撃してきた『機動要塞デストロイヤー』というとんでもなくヤバい兵器を、仲間のめぐみん、アクア、ダクネスや異世界からやってきて、新たに俺たちの仲間になったニケやククリ、それから、街の人々と全力で協力し、なんとかあのヤバすぎる兵器を退けた。だが、それから数日後。俺たちの屋敷に、王国検察官をしているというセナがやってきて、国家転覆罪の容疑を掛けられていると、いきなり言いだしてきたのだが……
「……あの、すみません。あまりの驚きで叫んじゃいましたけど、本当に意味がわからないんですけど。あの、なんで、ニケやククリたちもその判定にいるんです? この際、俺はともかく、ニケたちについては、この世界に来たばっかで、そもそも国家転覆罪なんてできるわけないんですけど。」
俺がそう言うと、彼女は咳払いをした後、厳しい目をしながら言った。
「……一応、貴様も知っているとは思うが、先日のデストロイヤー襲撃の際、貴様が指示したとされる作戦により、コロナタイトが領主の屋敷に転送され、その屋敷が全壊したのだ。」
……あぁ、なるほど。やっぱり、ダクネスの言っていた通りになったか。
「えぇ、ムスビの能力で、『安全なところに落ちたかどうかを確認するため』に、コロナタイトの行き先を確認しましたよ。今回、ランダムテレポートを使ってもらったので。」
俺がそう言うと、彼女は首を傾げつつこう言った。
「え、ランダムテレポート? ……失礼、それは本当のことか?」
「えぇ、間違いありません。……というより、こんな状況で嘘ついてどうするんですか。」
俺がそう強く言うと、彼女は少し考えた後にこう言った。
「……それは確かにそうだが。……いや、しかし、それを証明する手立てが今この場にない。だから、いくらでも偽造しようと思えばできてしまう可能性がある。……そのため、それが真実かどうか、改めて、警察署内で、しっかりと記録を取らせてもらいたいのだ。」
……なるほど、そういう事情があるのか。そういうことなら、まぁ、仕方ないか。
「すみません、ちょっと一緒に来てもらえますか? 中にいるニケたちにも説明しなきゃなんで。俺からより、多分セナさんから話した方が伝わるので……」
「え、えぇ、そういうことなら。……では、失礼する。」
そんなわけで、俺はセナを屋敷に入れて、ニケたちに今回の一件について説明することにした。最初こそ反論もあったわけだが、セナからの説明を受けた後、若干不服そうではあるものの、なんとか納得してもらうことができた。
それから、連行されることになった俺、ニケ、ククリ、かすみ、ムスビは、アクセルの街の留置所の牢屋で一晩過ごした後、翌朝、ニケ、ククリ、かすみ、ムスビの順に取り調べを行い、その間に眠って待っていると、ついに俺の順番が来て叩き起こされた。
「……あの、すみません。ちょっといいですか?」
「……なんだ?」
「ちょっと早すぎません? まだ朝の時間帯の気がするんですけど……」
俺が眠い目をこすりながらそう言うと、セナはどこかため息をつきながら言った。
「……色々あってもう昼前だぞ。貴様は、一体どんな生活を日頃していたのだ……っと、そんなことはさておき、さっそく本題に入るぞ。」
彼女はそう言うと、俺の目の前に、白色と黒色の金具で飾られた小さなベルのようなものが置かれた。
「……えーと、これは?」
「これは、このような取り調べの場や裁判所などでよく使われる『嘘を看破する魔道具』だ。この部屋にかけられている魔法に連動し、発言した者の嘘に反応して音が鳴るというものだ。」
「……つまり、俺は、この魔道具の前で嘘は付けないってことでいいんですよね?」
俺がそう言うと、セナは軽く頷いて言った。
「あぁ、そういうことだ。……では、さっそく質問させてもらおう。」
彼女はそう言うと、目の前の調書をめくりながら、さっそく質問を始めた。
「……まず、出身地と、冒険者になる前は何をしていたかを聞かせてもらおうか。」
いきなりハードルの高い質問が来たな……。だが、これは正直に答えた方が良さそうだな。
「……出身地は日本です。そこで、“身分上は”学生をしていました。」
俺がそう言うと、そのベルは微動だにしなかった。そりゃそうである。引きこもっていたとはいえ、高校に籍自体は置いていたので、嘘は決して言っていない。
「身分上は? それはどういう……」
「……恥ずかしながら、実は、不登校だったものでして。」
俺がそう言うと、セナは一瞬ベルを確認した後、どこか気まずそうな顔で次の質問をしてきた。
「そ、そうか……では、次だ。冒険者になった経緯は……」
「……冒険者って響きがかっこいいし、日本にない職業かつ楽して大金を稼ぎたいなって思いまして。」
これも嘘は言ってない。冒険者なんて職業は、日本で基本的に聞くことがない職業だし、もし聞くことがあったとしても、それは冒険家や探検家になるだろう。そして、楽して大金を稼ぎたいってのも、俺の偽りない本音だからこれも全く問題ない。……人としてどうなんだと聞かれたら黙るしかないけども。
俺の発言でベルが鳴らないのを確認した後、セナがさらに気まずそうな顔で尋ねた。
「そ、そうか……では、領主殿に恨みなどは? 借金を背負った際、街の人々に色々愚痴っていたと聞いたが……」
「……この借金については、事故とはいえ壊してしまったアクアにも責任があるとは思ってますけど、正直な話、街を救った英雄に対しての仕打ちがこれかよ、このクソ野郎とは思ってました。……ですけど、ここ最近、違う世界からニケたちがやってきたり、それ以前に、先日やらかした分の借金返済をしないといけない状況なんで、そんな領主にテロなんて事を考える余裕すらありませんでした。」
もちろん、これも嘘じゃない。事実、借金返済のため、ギルドで受けたクエストにほぼ毎日行っていたし、ニケたちやムスビなどが、先日この世界にやってきたこともあって、アルダープとかにそんなことをしようとする暇もなかったし、考えすらしていなかったのだ。
この発言でもベルが全く鳴らないのを確認した後、セナは少し考えた後に、俺に深々と頭を下げてきた。
「……どうやら、我々の完全な誤解だったようですね。……あの、この度は大変申し訳ございませんでした!」
「え?」
あれ? いきなり敬語になったぞ? もしかして、こっちが素の口調なのか?
俺がそんなことを考えていると、彼女は勢いよく立ち上がって、俺にいきなり土下座してきた。
「この度は、我々の調査不足により、無実の貴方を誤認逮捕してしまい、誠に申し訳ございませんでした!!」
「え、ちょ、あの、セナさん!? い、一旦、落ち着いてくれ!」
俺はそんなセナの様子に、慌てて止めに入った。
「いえ、そんなわけには! 此度のサトウさんの心の傷を考えれば、この程度の謝罪では許さないと思います! 下手すれば死刑にもなりかねない上に、あんな威圧的な態度で、貴方の心の傷をえぐるようなことを色々お聞きしたりしましたし……!」
「いやいや! あの、本当に落ち着いてください! あの態度が仕事のためだったのは十分わかりましたから! あの、ちょ、すみません! 一旦、お茶を頂いてもいいですか!? セナさん、落ち着かせたいんで!」
俺が慌てた様子でそう言うと、隣で記録をしていた検察官が、少し驚きつつも頷いた。
「あ、はい! 少しお待ちを!」
それから少し経って、お茶を飲んだセナが申し訳なさそうに、俺に頭を下げてきた。
「……申し訳ありません、大変お見苦しいところを。」
「いや、もう大丈夫ですから。さすがに、あんな風に謝られたら、もう文句の一つも言えませんし……」
俺がそう言うと、彼女はどこか申し訳なさげな顔でこう言ってきた。
「……本当にありがとうございます。そう言ってもらえると助かります。しかし、その、色々災難でしたね、本当に。」
「えぇ、全くですよ。あ、いや、別に、セナさんたちが悪いとかじゃなくて……」
俺が慌ててそう言うと、セナが軽く頷きながら言った。
「いえいえ、流石にわかっていますよ。サトウさんの懐の深さと優しさについては、今回の一件でよくわかりましたし。」
「そ、そうですか。いや、こちらこそありがとうございます。」
俺がそう言ってお礼を言った後、彼女は眼鏡を上げ直した後、最後の確認をしてきた。
「……では、改めまして。これが最後の確認です。サトウさん、コロナタイトが領主殿の屋敷に転送されたのは、“ランダムテレポート”が原因である。そして、貴方たちは魔王軍の関係者でもない。……これは決して間違っていませんね?」
「はい、そうです。なので、全くもって、俺たちの意思で飛ばしたとかにはならないはずです。しかも、今回飛ばしたのも、俺自身でもないですし。それに、俺たち、魔王軍関係者でもないですし。」
俺がそう言うと、この発言でもベルは微動だにしなかった。その様子を見届けたセナは、どこか安心したような表情でこう言ってきた。
「……ありがとうございます。これにて取調は以上になります。お疲れ様でした。手続きを終え次第、もう皆様お帰り頂いても問題ありませんよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「では、少々お待ちくださいね。ただいま手続きをして参ります。」
こうして、釈放の手続きなどを終えた後、俺たちが警察署の入り口まで向かうと、そこには、心配そうな顔をしたスーツ姿のダクネスと威厳のある雰囲気の金髪の男性が、高級そうな馬車の前で待っていた。
「……おぉ、皆! 無事であったか!」
「だ、ダクネス! 俺たちをわざわざ迎えに来てくれたのか……って、うん?」
「あれ? いつもの鎧姿じゃないんだな。というより、その人は一体……」
俺とニケがそんな風に言っていると、俺たちの隣にいたセナが、その金髪の男性を見た後に目を丸くしながらこう言った。
「……!? あ、あ、あなたは! だ、だ、ダスティネス卿! なぜこのようなところに!」
「「「「だ、ダスティネス卿?」」」」
俺たちが首を傾げながらそう言うと、セナが俺たちを一瞬見た後に、ハッとした顔でこう言った。
「……え、あぁ、そうでした! この街に慣れてきているサトウさんはともかく、この世界に来たばかりのニケさんたちは知らなくて当然でしたね! あの方の名は、ダスティネス・フォード・イグニス卿。『王国の懐刀』とも呼ばれる大貴族のダスティネス家の当主なんです!」
「「「「はい!?」」」」
その説明を聞き、俺たちは思わずセナとイグニスさんのことを二度見してしまった。ダクネスはともかく、その親父さんがここに来ることは完全に聞いてない! なんで、そんな大物がここにいるんだよ!
俺がそんなことを考えていると、イグニスさんが俺たちに自己紹介をしてきた。
「……すまない、私のせいで驚かせてしまったようだね。……では、改めて。私の名はダスティネス・フォード・イグニス。先程、セナ嬢からの説明の通り、ダスティネス家の当主をしている者だ。今回この場に赴いたのは、我が娘の大切な仲間である君たちにしかできない頼みをしたかったからなのだ。」
「「た、頼み?」」
俺とニケがそう言うと、彼は辺りを見渡した後に小声でこう言った。
「……申し訳ないが、ここでは誰に聞かれているかわからないのでな。詳しい内容については、我が屋敷で説明させてもらいたい。……すまないが、セナ嬢。至急、本日の業務のうち、別の者が担当できる物は全て引継ぎを行った後、すぐに我々と同行してもらえないだろうか。」
イグニスさんがそう言うと、セナが困惑と驚きを交えた表情をしながら尋ねた。
「え、わ、私も同行ですか!? ……一体、どういうことなんですか!?」
「理由については、後ほどしっかり説明させてもらいたい。このような場所では、誰に聞かれているかわからないからな。」
「……簡単に言えば、今回の一件を機に、我々が別件であることを調査した結果、それに付随する色々な事実が判明したんです。ですが、どれも非常に面倒なことが発覚しまして……」
え、面倒なこと? それってどういう……
俺がダクネスの発言に首を傾げていると、セナが少し考えた後にこう言った。
「少々お待ちしていただいてもよろしいでしょうか。速やかに残りの業務の引継ぎを終わらせてから参りますので。」
「無論、構いません。むしろ、こちらが無茶を言っているようなものでしたので……」
「ありがとうございます。では、少々お待ちください。」
そう言って、セナが駆け足で留置所内に戻っていった後、ダクネスが俺に話しかけてきた。
「……すまないが、カズマたちも準備が整い次第この馬車に乗ってくれ。先程、セナに話した面倒なことについては、ダスティネス邸に到着してから説明させてもらう。」
「え、さっきも言ってたけど、今じゃ駄目なの?」
「あまり推奨できないな。というより、今回は下手をすれば、この場にいる全員が文字通り消されかねないからな。」
「……え、ちょ、何、その物騒な話! 今回、そんなヤバい状況なの!?」
俺がそう言うと、彼女が頷きながらこう言った。
「あぁ、カズマが思っている数倍はな。とにかく、皆を馬車に乗せてくれ。これから、セナが戻り次第、至急ダスティネス邸に向かうのでな。」
「わ、わかった。皆、とりあえずダクネスの指示に従ってくれ! なんか今回色々ありそうだし!」
こうして、俺たちは、ダクネスの指示で全員馬車に乗り込み、セナが戻ってきた直後、留置所からそのままダスティネス邸へと直行した。
ちなみに、このてんやわんやしていたこの騒動が、後にあんな大事件に繋がることになるだなんて、この時の俺たちはまだ想像すらできていなかったのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。スマラカタです。
いかがだったでしょうか。今回は、第二幕へと入ってまいりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか。ここから、どんどん怒涛の展開へとなってまいりますが、どうか皆様、今後も楽しんでいただけると幸いです。
皆様の感想や質問などお待ちしております。今後も頑張って書く予定ですので、皆様応援してくださると嬉しいです。
今更ではございますが、本作品をお読みいただいた上で、「この部分を良くすればもっと読みたくなるのにな」と感じられた点がございましたら、以下の選択肢のうち、どれか一つをお選びください。なお、感想欄での細かな回答は、規約により禁止されておりますので、大変恐れ入りますがご遠慮くださいますようお願いいたします。
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物語そのものの展開の方向性
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話そのもののテンポ
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登場キャラの扱いや再現度
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クロスオーバー同士のバランス
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物語そのものの読みやすさ
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投稿時間
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作品の雰囲気、ジャンルのバランス
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キャラ同士の関係性の深さ、掛け合いなど
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話の引きについて