この素晴らしい世界たちに魔法陣を!   作:スマラカタ

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お読みいただきありがとうございます。
さて、今回からどんどん物語が動いて参ります。
それでは、ここから本編開始です。


第12章 この貴族の屋敷で調査依頼を!

 俺たちがダスティネス邸に到着して、玄関でアクアたちに合流した後、さっそく応接間で本題に入ることになった。

 

「……それで、イグニスさん。俺たちにしか頼めないことって、一体どういうことなんですか? いえ、“何”が原因でこうなったかは薄々察してはいるんですけど……」

 

 俺がそう言うと、かすみやニケもなんとなく言いたいことを感じてくれたのか、彼らはイグニスさんにこう告げていた。

 

「多分、私たちの推測が間違ってなければ、原因は十中八九“あの人”ですよね。」

「あぁ、あのヤバすぎる変態のことだな。……どう考えても。」

 

 彼らがそう言うと、イグニスさんは紅茶を一口啜った後に頷いた。

 

「……君たち、察しが良くて助かるよ。その通り、君たちをここに呼ぶことになった原因は、もちろんアルダープだ。」

「やっぱりそんな気はしてました。……で、依頼は多分あれですよね? アルダープからダクネスの身を全力で護ればいいんですよね?」

 

 俺がそう尋ねると、彼はそれに対して少し考えた後にこう返答した。

 

「……最終的には勿論そうしてもらいたいんだが、今回は少し違うのだ。」

 

 え、違ったの? というか、最終的には? それってどういう……

 俺たちが彼の発言に困惑していると、ダクネスが代わりに説明を始めた。

 

「お父様。ここからは私、ララティーナが承ります。……。皆、聞いてくれ。まず、この話の前提としてなのだが、先日、ダスティネス家にある情報を伝えに来てくれた者が突然現れてな。」

「ある情報?」

「ダクネスたちがこんな慌てて動くってことは、かなり重大な情報なんだよな?」

「あぁ、そうだ。その情報によれば、信じられないことに、アルダープは強力な悪魔を使役して、その力を悪用して自分に関わる因果をある程度捻じ曲げ、様々な不正や聞くに堪えないような行いを数多くしていたことが判明したのだ。」

「「「な、なんだって!?」」」

 

 え、今、何て言った! 悪魔の力で因果を捻じ曲げていただと!?

 俺たちがその事実に唖然としていると、セナがダクネスに尋ねた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! ……この話が事実であると判断した上でお聞きいたしますが、その情報を提供した方は一体どんな方なんですか? 領主殿は真実を捻じ曲げられる悪魔を使役しているということから、我々では対処どころか、証拠すら見つけられない可能性が高いのです。……それなのに、そんな情報をダスティネス卿に提供できたとなると、かなり違和感があるのです。それに、この話をしているとしたら、今頃その悪魔が干渉してきてもおかしくありません。ですが、その気配もないようですし……」

「確かに! そう言われれば、結構気になりますね!」

「悪魔の干渉云々は、ここにアクアがいるからってのもありそうだが……どうしてなんだ?」

 

 俺がそう言うと、ダクネスが一枚の紙を見せてくれた。そこには、どことなくめぐみんに似た見た目をしている少女の絵が描かれていた。だが、彼女の瞳は、めぐみんと違って、“まるで『太陽』を思わせるような橙色”になっていた。

 

「……こ、これは?」

「こ、これって、めぐみんそっくりの女の子の絵!? え、どういうこと!? めぐみん、妹とかいたの!?」

「違います! 妹は実際にいますけどまだ幼いですし、それに、そもそもこんな感じの瞳はしていませんよ!」

「あ、妹は本当にいるのか。でも、それだと変だな。めぐみんの妹でもないなら、一体こいつは何者なんだ?」

 

 俺たちが訳もわからずに首を傾げていると、ダクネスとイグニスさんが説明を続けた。

 

「……この絵は、今回の情報提供者に会ったお父様や屋敷のメイドたちなどの証言を基に、アクアに描いてもらった人相書きだ。」

「彼女の名はエクス。……本人曰く『探偵』だそうで、彼女曰く『ある方の失踪に関する調査を行っていたところ、思わぬ情報が見つかりましてね。』とのことで、我が屋敷にこの情報を提供してくれたのだよ。最初は、私もこの話を信じることができなかったのだが、彼女が事前に用意していた調査記録と実際にこの街で記録された文書を出して説明されてね。……それで確信したよ。これは間違いなく黒だとね。」

「……それで、お父様が彼女に対して、我々でもう一度調査したいと申し出た結果、去り際にこのような道具を置いていったのだ。」

 

 ダクネスはそう言った後、星型の台に嵌っている紅い球を指さした。その球をよく見ると、まるで“獅子”を思わせるような模様が描かれていた。

 

「……ダクネス、あれは一体なんだ?」

「なんか凄そうな道具の予感はするんだけど……」

「……それが、私にも詳しいことはわからないが、エクス曰く『理不尽や逆境をポジティブに乗り越えようとする持ち主に対して、“運”を呼び込んでどんな困難も乗り越える力を貸してくれる“究極”の宝珠』とのことらしくてな。」

「効果がぶっ壊れのチートじゃねえか! え、つまり、これがあればアルダープの影響をなんとかできるってわけか?」

「あぁ、しばらくの間はな。」

 

 ダクネスの意外な発言に、俺は思わず聞き返してしまった。

 

「え、しばらくって、これ時間制限あるの!? え、それ効果が切れた時に不味くないか!? アルダープ、絶対効果切れを狙ってくるだろ!」

「ダクネス、一応聞きますけど、その対策はあるのですか? 策もなしだと、流石に不味い気がするのですが……」

「……そう、そこが難点の一つでもあるのだ。彼女曰くこの効果は数か月ほど持続するそうだが、いつ切れるかわからない上に、あの道具やエクスのことが詳しくわからないため、いざという時にどうしようもできないという欠点が現状あるのだ。」

 

 致命的すぎる欠点じゃねえか! いや、この話を聞く限り、しばらくは大丈夫なんだろうけど……。

 俺がそう考えていると、ダクネスが続けてこう言った。

 

「それに、これに関する問題点は他にもあるのだ。我々がアルダープに対して完全に対策していたとしても、奴がアクセルに住まう領民たちへ被害を加えてくる可能性を否定できないし、それに、アルダープがこのことに気づいて、すぐにカズマやニケたちにも何かしらの被害を与えかねないのだ。それが少し怖くてな……」

「あぁ、確かにそうかもですね。アルダープの性格を考えるとおかしくありませんね。」

「現に、今回サトウさん一行が被害に遭いましたからね。領主殿がまた何かしらの行動を起こしてもおかしくありません。」

 

 それはちょっと怖いかもな。ダクネスにとって、この街の人たちは、例え命をかけてでも護るべき存在だもんな。しかも、アルダープの危険度は、セナのお墨付きをもらうレベルだ。迂闊なことをすると不味そうだ。

 

「まぁ、問題はそこだよな。俺たちは、アクアが仲間にいるから大したことにならない可能性が高いだろうけど……」

「まぁ、そうね。私が近くにいれば、悪魔の呪いぐらいなら簡単に払い除けられるけど、それだと遠出した時が厄介なのよね。」

「でも、この先、『魔法陣』を見つけるのに、多分アクセルの街以外にもいかなきゃ駄目なこともあるだろうし……」

「むむむ、本当にどうしたものか……アルダープを直接狙うってのは、セナさんがここに呼んでいる時点で、イグニスさんにとっても、それは論外なんだろうし……」

 

 ニケがそう言うと、セナが眉間にしわを寄せながら言った。

 

「えぇ、それこそ領主殿が喜んで、貴方達をまた国家転覆罪で訴えて、最悪の場合だと死刑判決にしてきそうですからね。私や他の職員を洗脳して……なんてこともあり得ないわけでもないですから。」

「マジかよ。それじゃあ、本当にどうすれば……」

 

 どうしようかと皆であれこれ考えていると、俺たちにイグニスさんがこんなことを言ってきた。

 

「……そこでだ。君たちに依頼したい本題についてなのだが、その情報を伝えてくれた“エクスの捜索”を頼みたいのだ。」

「「え、エクスの?」」

「あぁ、そうだ。アルダープに対抗できるかもしれないあの宝珠を我々に託してくれたこともそうだが、それ以前に、どこか悲しそうな目を彼女がしていたこともあってね。娘を持つ身としては、なんとなく放っておけないのだよ。」

 

 ……なるほど、それは確かに心配かもな。

 

「……どうかね。我々でも勿論調査はしてみるのだが、この依頼を引き受けてはくれないか?」

「私からも頼む。おそらく、この問題は我々だけでなく、ひいては街の人々の安全を護ることになりそうだからな。」

 

 ダクネスたちにそう言われた後、俺は皆にこう言った。

 

「……皆、聞いてくれ。俺は、今回のイグニスさんの依頼を引き受けようと思っている。でも、これは俺一人ではできない依頼だと思うんだ。だから、皆に手伝ってほしいんだが……」

 

 俺がそう言った後、全員が顔を見合わせて、どこか呆れたような表情でこう言った。

 

「……そんなの言われなくても、当たり前じゃないですか! むしろ、ここで引き受けるという選択肢以外ありえませんよ!」

「……それに、オレたちもエクスが何者か気にはなっていたからな。そいつがめぐみんに似ているという時点で、めぐみんと何かしらの関係があってもおかしくなさそうだしな。」

「それもそうだし、ダクネスさんやイグニスさんたちが困っているのなら助けてあげないとね!」

「というより、ダクネスたちがアルダープのせいで理不尽な目に遭ってるからね! なんとかしてあげないと!」

 

 良かった、全会一致のようだな。俺は皆の意見を聞き終えた後、イグニスさんの前に立って宣言した。

 

「……というわけですので。イグニスさん、今後ともよろしくお願いいたします。」

「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ!」

 

 こうして、俺たちは、イグニスさんの頼みである“謎の探偵『エクス』の捜索”を引き受けることにした。

 ……しかし、この時の俺たちは、エクスの本当の素性と目的があんな衝撃的なものだっただなんて気づくことすらできなかったのであった。




最後までお読みいただきありがとうございます。今回から名前だけですが、オリキャラのエクスを出してみたのですがいかがだったでしょうか。めぐみんそっくりの見た目をした太陽にも見える橙色の瞳の少女。謎だらけかと思いますが、今後の物語でどんどん明かしていこうと思っているので、楽しみにしてもらえると嬉しいです。
感想や意見、質問などはいつでもお待ちしております。それでは、また次の話できる時をお待ちしております。

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