この素晴らしい世界たちに魔法陣を!   作:スマラカタ

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皆様、お読みいただきありがとうございます。
マイペースにどんどん書けるように頑張ります!
それでは、ここから本編開始です。


第二十章 この懈怠死神と風水道士との出逢いに祝福を!

 それから、アクアとあの銀髪の陰陽師らしき少女をお祓い棒でシバいた後、さっそく小町さんたちに事情を聞くことにした。

 

「……って、ちょっとカズマさん! 酷いじゃない! そんな痛くしなくてもよかったじゃない!」

「そうであるぞ! わ、我も少し悪寒がしたぞ! どこぞの巫女殿か! お主は!!」

 

 俺は、涙目で文句を言う阿保二人を放置して、改めて小町さんに尋ねることにした。

 

「……さてと、小町さん。それで? どうして、あのお祓い棒であの二人が止まったんですか? いや、めっちゃ効果あって驚いたんですけど……」

 

 俺が困惑しつつも尋ねると、彼女は苦笑いしながら言った。

 

「ははは……まぁ、それには、うちの世界特有のお約束というか、“幻想郷”の異変解決ってのを話さないといけないね。」

「幻想郷? 小町さんたちの住んでる国か何かの名前ですか?」

 

 俺がそう言うと、小町さんは少し考えた後に補足しだした。

 

「国……あー、いや、どうなんだろ? 言われて見りゃ、国かな。いや、でも、あそこ、日本ではあるし……」

「うん? 日本? え、日本の中なんですか?」

「あぁ、一応ね。確か信州のどっかって聞いたような……特殊な結界のせいで、普段はうちの世界の中で忘れ去られたものとかしか、行き来ができない場所なんだけどさ。異世界ってよりも、異界って考えると分かりやすいかも。」

 

 なるほど、小町さんたちの世界にはそんな不思議な場所があるのか。それにしても、信州っていうと、長野県か。諏訪大社とか信州そばとかが有名なところの。

 俺がそんなことを呑気に考えていると、小町さんが説明を続けた。

 

「……っと、それはともかく。幻想郷はそんな場所なんだが、そこでは、やたらめったら妙なトラブルが起こるんだよ。」

「え、トラブルですか?」

「あぁ、そうなんだよ。あたいらはそのトラブルを『異変』って呼んでるんだけどさ。例えば……六十年に一度、あらゆる季節の花が咲きまくるとか、神霊がやたら一点に集まりだしたりとか……」

 

 小町さんがそう説明してると、銀髪の少女が彼女に文句を言っていた。

 

「おい、ちょっと待て! 二つ目の異変、我らの異変のことか!? いや、あれは太子様の復活を祝してのことであろう!? というか、あれは半分ぐらい命蓮寺のせいでもあろうが!」

「そのせいで、あの巫女とかが駆けつける羽目になったのを忘れてないかい?」

「……うっ、それはその。」

 

 命蓮寺? 巫女? なんのことだ? ……って、さっきから気になることが。

 

「あの、小町さん。さっきからこの銀髪の阿保も言ってましたけど、その巫女ってのは……」

 

 俺がそう言うと、その阿保が即ツッコんできた。

 

「誰が銀髪の阿保だ! 我には、物部布都という立派な名前が……!」

「あー、はいはい。あんたの自己紹介は、トマ君の後でだよ。……って、そうだった。その話だったね。」

 

 それから、小町さんは改めて、俺にその巫女とお祓い棒について説明してくれた。

 

「……で、話を戻すけど。そんな妙な異変を解決するのが、うちの幻想郷では、博麗神社にいる『博麗の巫女』。博麗霊夢ってやつさ。」

「つまり、このお祓い棒って……」

「そう、その博麗霊夢のお祓い棒さ。」

 

 マジか! なんかそう聞かされると、このお祓い棒。凄い品な気がしてきたぞ。

 俺が内心そんな風に思ってると、物部布都と名乗っていた少女が、小町さんに怪訝そうな顔で尋ねた。

 

「……何? 今、霊夢殿のものだと言っておったか? ……お主、さてはまた博麗神社で懈怠しておったな?」

「ぎくっ。」

「うん? 懈怠?」

 

 俺が首を傾げていると、偉そうにしている布都がため息交じりで補足した。

 

「確か懈怠を、最近の言葉で言い直すと、屠自古やにとり殿曰く『サボタージュ』という言葉であったか。そこの死神をお主が知らぬようなので教えてやろう。こやつは三途の河の渡し守のくせに職務怠慢をすることで有名な死神なのだ。」

 

 彼女がそう言うと、小町さんがかなり慌てた様子で文句を言っていた。

 

「ちょ、それ今言うかい!? やってくれたね、この尸解仙!」

「先程の我の名乗りを邪魔するからであろう!」

「いや、今それとこれとはわけが違うでしょうが! カズマ君、幻想郷のこと知らないんだから! 少し黙ってくれないかい!?」

「何を言うか! 先に喧嘩を売ったのはお主ではないか!」

 

 

 小町さんや布都がそんなことで揉め出していると、気まずそうなアクアが俺に話しかけてきた。

 

「……えーと、カズマさん? ちょっといいかしら?」

「どした、アクア。」

「なんかあの二人が違う世界から来た人たちなのは、わかったけど。何でこの世界に来たのかしら。 あの二人、普段接点なさそうじゃない?」

「え、そうなの? てっきり元々知り合いなのかと……」

 

 俺がそう尋ねると、彼女が頷いた後、あごに手を当てながら教えてくれた。

 

「えぇ、知り合いなのはそうなんだろうけど。……でも、この感じはあれね。私とウィズみたいな関係性かもしれないわ。知り合いだけど、ちょっとした因縁があってめんどいやつ。」

 

 あー、言われてみれば。そんな気がしてきた。あの二人、そういや一度もお互い名前呼び合ってねえな。

 俺がアクアとそんな風に思っていると、布都の袖から鏡のようなものが見えた。

 

「ん? おい、布都だったか。ちょっといいか?」

「む、我を急に呼び捨てにするでないわ! 今、そこの死神に対して、これから我が仙術による鉄槌を……」

「待て待て待て! そんなことすんじゃねえよ! それより、その鏡はなんだ? なんか珍しいアイテムか何かか?」

 

 俺がそう言うと、彼女はハッとした後、その鏡を袖から取り出して言った。

 

「……おぉ、そうであった! こんなところで懈怠死神や異世界の女神と戯れている場合ではなかった! この『きーるだんじょん』?なる遺跡の奥で、太子様がお困りだったのを失念していた。早く届けねば。」

 

 うん? 今、こいつなんて言った? 奥に太子様がいる……だと?

 俺はそんなことを思った後、トマの方の事情を聞いていたセナさんを呼んで尋ねた。

 

「セナさん、セナさん。ちょっと今いいですか?」

「あ、カズマさん。どうされましたか? トマさんの聞き込みはもう少しで終わりそうですけど。」

 

 おぉ、仕事が早いな。流石、セナさん。……って、今はそうじゃなくて。

 

「あの、キールダンジョンに侵入した謎の女性ってどんな特徴だったんですか?」

「特徴、ですか? ……確か、目撃者曰く、その人は紫色のマントを羽織っていて、さらに、この街ではまず見慣れない独特な髪型をしているとの話でしたよ。」

 

 セナさんがそう言うと、布都が彼女に確信を持った顔をしながら尋ねた。

 

「突然で失礼するが、セナ殿と申されたか。その目撃情報の中には、耳当てや宝剣に関するものがあるのではないか?」

 

 布都がそう言うと、セナさんがかなり驚いた顔で頷いた。

 

「え、えぇ。その通りです。……まさか、関係者の方ですか?」

「うむ、やはりそうか。本当にこの奥に太子様がおられるようだな。ならば、猶更急がねば。」

「「「「急ぐ?」」」」

 

 俺や小町さんたちが首を傾げながら尋ねると、布都がキリっとした顔で言った。

 

「そうなのだ。太子様曰く『布都よ。なるべく早く来てくれ。このままでは相談者が溢れかえってしまいかねないのだ。本当に急ぎで来てくれ。』とおっしゃられてな。」

 

 ……とおっしゃられてな、じゃねえだろ! 絶対その太子様、奥で今か今かと待ってるやつだろ!

 俺がそんなことを考えていると、小町さんが苦笑いしながら呟いた。

 

「……なるほど。道理で、あたいが博麗神社に来て早々、霊夢にお祓い棒をおしつけられて、スキマに送られたわけか。わざわざあれを通ってまでこれの解決に行くのが面倒だったから……」

「む? お主、そんな理由でここに?」

「あぁ、なんでも、霊夢曰く『なんか別の世界で霊にたかられてる奴がいるから助けにいってあげなさいよ。』って感じでさぁ。」

 

 ……なんだろう。その霊夢さんって人にまだ会ってないけど、その人、相当な面倒くさがりな人なんだろうな。

 

 そんなこんなあった後、布都を先頭に、俺、アクア、小町さん、ニケ、トマ、スバル、セナさんを連れて、キールダンジョンの最奥に向かうことにした。




皆様、最後までお読みいただきありがとうございます。
今回はいかがだったでしょうか。
はい。今回から、改めてですが、『東方Project』より物部布都が登場いたしました。
さて、この小町と布都。原作でも関わりなかったはずですし、実際あんまり面識はないんでしょうけど、でも、死神と尸解仙ですし、仲悪いのかなと思ってこうしてみました。
ちなみに、詳しい解説は、本文で省いていましたので補足として。
尸解仙というのは、簡単に言うと、仙人ではあるんですけど、道教の考え方の一つに、死体を宝剣や皿などのものに置き換えて、何百年後に復活しようというものなのですが……要は、リッチーみたいなものに近いんです。仙人ではあるんですけど。寿命を不正したと言いますか……もっと詳しい説明をすると難しいのですけどね。
……と、そんなわけですが、ここからキールダンジョンの最奥にどんな人が……なんてのは言わずもがなですが、小町とアクアがいることでどうなることやら。
それでは、また次の話もよろしくお願いします!
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