彼がどう物語に関わるのかをお楽しみください。
それでは、本編スタートです。
※一部の設定を変更しました。そして、第四章を先日サイレント修正いたしました。ご了承ください。
俺たちは、突然目の前に現れた八咫烏の登場にかなり驚愕していた。
「か、カラスが喋ってるぞ!」
「ど、どうなってるの!?」
「……というより、この烏、真っ白ですよ! しかも、足が三本もあります!」
「あ、足が三本って、完全に『八咫烏』じゃねえか!」
俺がそう言うと、めぐみんたちが疑問に思ったのか、すぐに尋ねてきた。
「……? や、八咫烏?」
「あまり聞いたことない名前ね……」
「それって、普通のカラスとは違うのか?」
「あぁ、『八咫烏』は、俺の住んでいた『日本』って国の神話に出てくる烏で、俺の記憶が正しければ、確か『導きの神』とされているはずだ。」
俺がニケたちに説明していると、白い八咫烏が鈴を鳴らしながら言った。
「大体合ってるぞ。意外とやるではないか、カズマ。」
「あ、ありがとう。……って、俺のこと、知ってるの!?」
俺がそんな反応をすると、その八咫烏は呆れたような声で言った。
「もちろんだ。……というより、ニケとククリをこの世界に呼んだのも、ウィズにカズマの元に連れて行くようにテレパシーで指示したのも、この魔法陣の本とワレだからな。」
「マジかよ! てか、テレパシーで指示してたのか……」
「つまり、オレたちがこの世界に来たの、お前が原因だったのか……」
俺たちがそう言うと、八咫烏が翼を広げながら言った。
「突然この世界に送り込んでしまったのは、本当にすまなかった。だが、こちらにも事情があったのだ。女神アクアから一応聞いてはいるはずだ。『厄災』についてな。」
やっぱり、それ絡みか。……まぁ、その辺は薄々気づいていたが、それでも色々疑問が残る。アクアも言っていたが、なぜ俺たちなんだ? 自分で言うのもなんだが、もっと良い人選があっただろうに……。俺がそんなことを思っていると、八咫烏がハッとした顔で言った。
「……おっと、いけない。そういえば、ワレの名を紹介してなかったな。ワレはムスビ。魔法陣の本の化身であり、お前たちに厄災を何とかしてもらうためやってきたものだ。」
「厄災をなんとかって……」
「……一応、先に言っておくが、魔王を封印したことがあるらしいニケやククリはともかく、俺たちはまだ駆け出し冒険者のはずだし、それに、その前に、ムスビ自身でどうにかできないのか?」
俺たちがそう言うと、ムスビは少し申し訳なさそうに言った。
「……あぁ、それについてなんだが、これには少し事情があってな。」
「事情?」
「うむ。そもそも、『厄災』は、あらゆる世界の悲しみや恨みなどの負の感情の集合体でな。世界を破壊尽くさん勢いで、暴走しておったので、多くの世界の者たちの協力のもと、一度『あらゆる世界の力』を『魔法陣』に注ぎ込んだうえで、あの本に力業で押し込んだものだったのだ。しかし、長い年月が経ったからなのか、強引に押し込んだからなのかはわからんが、『厄災』があの本の封印を“自力”で食い破ってな。」
え、食い破って!? 封印を食い破るとか、その『厄災』はどんだけヤバいんだよ!
「さすがに、そんな状況を放っておくほど、ワレは愚かではない。だから、ワレは再び『魔法陣』の力で奴を封じようとしたのだが、あろうことか、奴は、ワレに行動させる前に、『魔法陣』のほぼ全ての力を奪い、ワレを二つに分け、それぞれ別の世界に送ったのだ。呼びたい世界の力が込められている『魔法陣』がなければ、ワレは、別の世界に助けを呼ぶことすらできないからな。だから、今のワレ一匹にはどうにもできないのだ。」
なるほど、こいつの状況はなんとなくわかったぞ。だが、それだと、一つ疑問が残る。
俺がそう思っていると、ウィズが手を上げて尋ねた。
「あの、今の話を聞いて、少し質問があるのですが。」
「む? ウィズ、どうしたのだ?」
「事情はなんとなくわかったのですが、体が二つに分かれた後も、テレパシーが使えたり、ニケさんやククリさんをこの世界に連れてこられたんですか? 貴方は、『厄災』と対峙した際に、色々と力を失ったはずでは……」
「言われてみれば、確かに……」
「ウィズさんが言うまで気づかなかったけど、それは確かに気になるな。どうしてなんだ?」
ニケがそう言うと、ムスビは少し考えた後にこう言った。
「あぁ、そこについてだが、ワレには、テレパシーと世界の記録を確認できるという二つの能力があるのだ。」
「テレパシーはなんとなくわかるけど、世界の記録の確認?」
「……そうだな。あらゆる世界で言えることなのだが、世界というのは、天界の神々やらあの世の住人やらが記録していたり、世界そのものが記憶していたりするものなのだが、ワレはその世界の記録を全部閲覧する権利を持っているのだ。」
「つまり、貴方がカズマやニケたちの存在を知ったのは、その力を使ったからということですね。」
めぐみんがそう言うと、奴は頷きながら言った。
「まぁ、そういうことだ。ワレは、この世界にやってきた後、世界の記録をざっと確認した後、この近くに、カズマ一行がいることを知った。その後、偶然近くにやってきたウィズにテレパシーでカズマに会わせるように仕向けたのだ。ニケやククリの方は、ワレが無意識にではあるが、『魔法陣』が使いこなせる者に引き寄せられ、その上で、二つの体が元に戻ろうとした結果、ニケとククリをこの世界に連れてきたということだろうな。」
つまり、色々な事情や偶然が重なった結果だったのか。偶然というのは、本当に侮れないものだな。
俺がそんな風に考えていると、近くにあった振り子時計から鐘の音が九回ほど鳴った。
「あら、もうこんな時間なんですね。皆さん、そろそろ……」
「あ、そうね。そろそろ悪霊退治の時間だったわね。」
「おっと、そうだった。ムスビの件のインパクトがデカくて、頭から抜けかけてたけど、元々の目的はそっちだったな。」
「とりあえず、アンナちゃんのためにも、なるべく早く終わらしましょ。」
そんなわけで、俺たちは、さっそく悪霊たちに成仏してもらうために屋敷中を歩き回ることにした。
「さぁ、悪霊ども! さっさと天に還るんだな! 『ターンアンデット』! 『ターンアンデット』!」
「「「ぼえぇぇ!」」」
「その調子よ、カズマ! だいぶ、『ターンアンデット』の扱いに慣れてきたわね。」
「そうですね。レベルも順調に上がっていってますね。」
「カズマ、魔力が足りなくなったら、すぐにダクネスに言うんだぞ。さっき、ウィズさんに教えてもらった『ドレインタッチ』で回復できるんだからな。」
「あぁ、遠慮なくいつでも言ってくれ。せっかく覚えた『ドレインタッチ』の扱いにもなれておくべきだからな。」
俺は、アクアから約束通り『ターンアンデット』を教えてもらった後、練習がてら、ひたすら悪霊を退治した時に得たスキルポイントでウィズから『ドレインタッチ』を習得していたのだ。
「しっかし、『ターンアンデット』も結構凄いけど、『ドレインタッチ』も相当強力だよな。」
「えぇ、敵から体力や魔力を吸い取るのはもちろんですけど、それを味方に分け与えることができるとは……。カズマやウィズが味方だから頼もしいですけど、もし敵だったら恐ろしいことこの上ないですね。」
「そ、そうね。魔力が吸い取られたらどうしようもなくなっちゃうもんね。」
「ククリはもちろんだが、めぐみんの場合は、かなり深刻な事態になりかねないからな。」
「「え、どういうこと?」」
二人がそう言うと、めぐみんとダクネスが彼らに少し補足の説明をしていた。
「初めて会った時にも少し話しましたが、我が爆裂魔法は、強大な破壊力を持つ代わりに、膨大な魔力を消費するんです。で、この魔法、少しでも魔力が足りないと不発になるんです。」
「で、ここからが重要なことなのだが、めぐみんは爆裂魔法以外を使えない。正確には、他の魔法を一切習得する気がないのだ。」
ダクネスの話を聞いたニケとククリが驚いた顔で聞き返した。
「ちょ、待った! それ、爆裂魔法を使った後、結構不味くないか!?」
「そ、そうよね! めぐみん、何か理由とかあるの!?」
二人がそう言うと、めぐみんが彼らに、俺たちも聞いたことがなかったある話をしてくれた。
「……かなり昔の話ですが、幼い頃、恐ろしく狂暴な大きな魔獣に襲われかけた時に、偶然ですが、名も知らない大魔導士のお姉さんに爆裂魔法で助けてもらったことがあったんです。私は、その時に爆裂魔法の美しさに魅せられましてね。で、私はそのお姉さんに頼んで爆裂魔法を教えてもらって、そこから、ずっと爆裂魔法一筋になったんです。爆破系統の魔法ではなく、爆裂魔法が良いのです。あの憧れの大魔導士のお姉さんみたいな立派な爆裂魔法を撃って、そのお姉さんに見てもらいたい。それだけなんです。まぁ、簡単に言っちゃえば、私のこだわりみたいなものですね。」
彼女がそう言うと、ニケとククリが少し涙ぐみながら言った。
「そんな大切な理由があったんだな……。」
「それを聞いて納得できたわ。大切な思い出のつまった魔法だもんね。」
「えぇ、そうなのです。それに、この魔法がなければ、カズマやアクア、ダクネスにも出会うことがなかったかもしれない。そんな気がしてなりませんからね。私にとって、原点ともいえる大切な魔法なのです。」
めぐみんにとって、爆裂魔法が凄く大切なものだとは知っていたが、そんな深い理由があったのか。そりゃ、爆裂魔法にこだわるわけだ。恩師との大切な思い出の魔法だもんな。
「そんなわけで、カズマ。私は、爆裂魔法以外を覚える気はないですからね。そのことは、肝に銘じておいてくれると嬉しいです。」
「……あぁ、わかったよ。本音を正直に言えば、他の魔法も覚えてほしいところだが、めぐみんの大切な想い出やこだわりを無下にもできないからな。その代わり、お前の爆裂魔法、しっかり頼りにさせてもらうからな?」
俺がそう言うと、彼女は凄く嬉しそうな顔で言った。
「えぇ、任せてください! 我が爆裂魔法で必ずなんとかしてみせます! 紅魔族に、二言はありませんからね!」
「おう、今後ともよろしくな!」
「頼りにしてるからね、めぐみん!」
そうして、俺たちは、皆で色々雑談しながら、一晩かけて全ての悪霊を残すことなく浄化することにした。だが、このめぐみんの原点の話に登場した人が、かなり後に出逢うことになるのだが、それはまた別の話である。
最後までお読みいただきありがとうございます。今回からオリキャラの八咫烏のムスビを出してみたのですがいかがだったでしょうか。気に入ってもらえると嬉しいです。
感想や意見、質問などはいつでもお待ちしております。それでは、また次の話できる時をお待ちしております。
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