オーバーロードによく似た世界で(本編完結)   作:ペンギン勇者

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 あれから麻薬部門をドラウディロンと攻め落とすことになったミストバーン。
 モモンガの姉ことキアラも一緒にくるが不安しかなかった。




第15話ナザリックと麻薬部門

◇麻薬部門秘密拠点前。

 

 

「……で、何故俺がこの地獄巡りの護衛をすることになっているんですか?」

 

 ミストバーンは溜息まじりに、隣に立つドラウディロン女王とその向かいに浮かぶキアラを見た。

 

「ん? いやお主がが“全部お任せください”って笑顔で言ったからじゃろ?」

 

 ドラウディロンが純真な笑顔で首を傾げた。

 

「言ってないですね!あれは“女王陛下が来る予定なら対応を考えます”だったはずです!」

 

「でも、来た以上、儂を案内してくれるんじゃろ?」

 

 笑顔のまま、女王は振り向きもせずに“ドアを破壊”した。

 

 バァン!!!

 

「よしこのままいくぞ! やっぱり直通出来るのが一番早いからの!」

 

 ドアの破片が吹き飛ぶなか、キアラが楽しげに前に進む。

 

「もうこうなったら私も楽しむしかないわね」

「ちょっと、貴方までもボケに回ったら誰がブレーキ役になるんです!!」

 

 

◇アジト内部

 

 

 思ったよりも広い。壁面には魔法式のランタンが並び、通路の奥からは慌てた足音が聞こえる。

 

「侵入者!? なんで正面から!?結界は!?」 「ドアが……ドアが吹き飛ばされてるぅ!!」

「ふむ。麻薬工場ってのは初めて見るが、案外地味じゃのう」

 

 ドラウディロンがぶらりと首を傾げながら通路を歩く。

 

「え、これって……法律とかいう概念にケンカ売ってる感じじゃない? 私、今ドラマの悪役ムーブ中よね♡」

 

 キアラがクスクス笑いながら口元を隠す。

 

「法律どころか建造物ごと破壊しとるんですけどッ!!」

 

 ミストバーンの悲鳴は届かない。

 

 次の瞬間、通路の奥から魔法が飛んできた。

 

 バシュゥゥゥ!!

 

「敵の魔術師だ!」

 

 ミストバーンが即座に反応し、空間ごと切断して魔法を打ち消す。

 

 だが──

 

「ふん、じゃあわしも」

 

 ドラウディロンが呟き、手をかざす。

 

 瞬間、空気が反転し、敵兵たちが圧縮されて空間構造が捻じれ潰れた状態になる、明らかにオーバーキルだ

 

「……原子レベルで麻薬を作ってた連中を、原子レベルで消したな、今」

 

 ミストバーンが青ざめる。

 

「次は私の番かしら〜」

 

 キアラがステッキを振ると、突如現れた幻覚空間に敵兵たちが飲み込まれる。

 

「やめてッ! 怖い怖い怖い!!」 「ママァ……ママ助けて……」 「脳が……脳が……溶けりゅ……」

「制圧完了っと♪」

(この人が一番怖いんじゃなかろうか)

 

 

◇さらに奥の部屋──麻薬生成ラボ(だったもの)

 

 

「……壊れてない部屋がない」

 

 ミストバーンが呆れ顔で周囲を見渡す。ガラスは砕け、器具は溶け、天井にはキアラの幻影魔法で“脳が壊れた”敵兵が浮かんでいる。

 

「で、証拠品は残ってます?」

「無いな。全部、灰になっておる」

「原子ごと吹き飛ばしたらそりゃそうなるでしょが!!」

「別にいいじゃろ、証拠があっても無くてもここにおる奴らは全員悪党じゃ」

「そそ、生きてる奴も死んでる奴もぜーんぶナザリックの人肉志向の僕にあげるから無駄がないわ」

(モモンガさん胃痛案件だなこれ、妹もお調子者だったけど姉もいい勝負だ)

 

 すると、かろうじて生きていた一人の幹部が、床を這いながら逃げ出そうとする。

 

「に……逃げ──」

 

 ズシャッッ!!!

 

 音もなく、ミストバーンの影が幹部を捕らえ、身動きを封じた。

 

「お前が麻薬部門担当のヒルマ・シュグネウスだな、悪いがお前に話がある」

 

 ミストバーンが静かに告げると、ヒルマの顔が青ざめた。

 

「ほう、お主が麻薬部門の長か、貴様には月までの片道切符を用意してやるわい」

 

 ドラウディロンがヒルマに掴みかかろうとした時、キアラがドラウディロンを手で制する

 

「なんじゃ」

 

 一瞬ドラウディロンの怒気がキアラに向くがキアラはお構いなしに口を開く。

 

「女王陛下、この者は優秀です。ただ殺すには惜しいかと」

 

「そそ、私もこの人がただ殺されるのがもったいなくて来ましたからね、なんせ高級娼婦から麻薬部門の長まで上り詰めた人材ですから」

 

 ヒルマの顔がひきつり、絶望と恐怖と微かな希望が入り混じった表情になる。

 

「でどうするんじゃ」

 

「品種改良された野菜や果物の生産をしてもらいます」

 

「随分と優しいのう」

 

 ヒルマの温い処遇に口を尖らすドラウディロン。

 

「そう言ってもこれって地道な作業と才能が無いと中々進みませんからね、彼女を“ドライアド”にしてからこの世界の人口増加に貢献できるように改造しますよその方が女王陛下の国の為にもなるという物です、勿論モンスター化するにあたって寿命のことは考えなくてもいいでしょう」

 

 それを聞いて喜ぶドラウディロン、反面ヒルマは恐怖で震えていた。

 

「では早速」

 

 そうミストバーンが言うと懐からブレインイーターの幼虫を取り出す、ナザリック式教育的指導である。

 

「いや、まって……それで何を使用って言うの!?」

 

「いや末永く従ってもらうために貴方の人格を書き換えるだけですが」

 

 その意言葉を聞き逃げ出そうとするヒルマ、だが、

 

「ちょっと待って!!離して!!」

 

「キアラさんお願いします」

 

「任せて♡」

 

 影で拘束された上に洗脳状態にされるヒルマ。

 

「ではナザリック式教育的指導を開始します」

 

 そう言うとブレインイーターの子供をヒルマの右目に滑り込ませるミストバーン。

 

「あう……ぐうぅ……うう」

 

 

 ヒルマの目が白く濁り、身体が小刻みに痙攣する。だが、抵抗の余地は与えられない。

キアラの幻惑魔法によって感覚と意識は朦朧とし、ミストバーンの影は彼女の身体を完全に拘束していた。

 

「これで……第一段階は完了です」

 

 ミストバーンが淡々と告げると、ヒルマの体から黒い靄のようなものが浮かび上がり、幼虫が彼女の精神に取り憑いた証を示す。

 

「ふふ、よくできましたね。じゃあ次は人格書き換え、と♪」

 

 キアラが手を伸ばし、ヒルマの額に触れると、その瞳に虚無が宿った。

 

「あなたは今から、“人間に希望を与えるための植物研究者”になります」

 

 言葉に魔力が籠もり、洗脳魔法の核が彼女の中に固定される。もはや、かつてのヒルマ・シュグネウスはここにはいない。

 

「そう言えばキアラさん何処でこれの使い方を知ったんですか」

「いや私もユグドラシル時代にこれで遊んだことあったからね」

「……わたしは……この世界に……緑を……」

「ふむ、いい調子じゃな」

 

 ドラウディロンが頷きながら、腕を組んで満足そうに微笑んだ。

 

「じゃがの、服装と雰囲気がまだ悪党のままじゃ。もっとこう、植物っぽくならんか?」

「了解。じゃあ“ドライアド化”を行いまーす」

 

 キアラが軽やかに手を振ると、ヒルマの身体がみるみるうちに変化していく。肌は淡い緑を帯び、髪はツタのように揺れ、服装は葉と蔦を模した自然調に変化。

まさに妖精種──“ドライアド”そのものだった。

 

「これで名実ともに、あなたは“植物界の申し子”ね。名も“ヒルマ・グリーンリーフ”に変えておきましょう」

「……はい、キアラ様……自然の恵みを、この世界に……」

「性格まで従順にしすぎてない?」と、ミストバーンがぼそっと突っ込んだが、キアラは涼しい顔で笑った。

「仕方ないでしょ、あんな下劣な過去がある人間はね、いっそ全部上書きしてあげないと更生できないのよ」

「その理屈、ナザリックの教育機関にも導入されてそうで怖いんですが」

 

 その時、キアラの通信宝珠が淡く光った。ナザリックからの連絡のようだ。

 

「──あら、アウラちゃんから。“薬草園の新しい管理人が足りません”って。ふふ、丁度よかったわね」

 

 キアラはヒルマ改めヒルマ・グリーンリーフの肩を軽く叩いた。

 

「というわけで、次の仕事場が決まったわ。ナザリックの“癒しの園”で、薬草たちと仲良くね?」

「はい、喜んで……自然と共に……」

 

 こうして、かつて帝国の裏社会を牛耳った女は、ナザリック式教育の結果、自然と薬草と語らう温和なドライアドへと生まれ変わったのだった。

 




 あれおかしいな、原作より酷いことになったぞ

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