オーバーロードによく似た世界で(本編完結)   作:ペンギン勇者

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 他のアバターにアクセスしようとしたら接続できずに軽くパニックになるオリ主。
そしてユグドラシルのサービス終了まで刻々と時間が迫っていた。



第02話異世界転移

 

 何度も接続を試すが繋がらない、他のアバターも駄目、本体も無理、完全にこの世界(今のユグドラシル)が隔離されている。

 

「ミストバーンさんどうかしたんですか、真剣な顔して……何か拙い事でもありましたか」

(こういう察しのいい所がサトルさんの怖い所なんですよね~良くも悪くも気が付いちゃうし誤魔化しても見破っちゃうんだよな~だから名前がサトル(悟)なのかもしれない)

「やっぱり顔に書いてあります?」

 

 と言っても異形種は表情がわかりにくいうえ伏黒のユグドラシルでのアバターはミストバーン(グレーターガスト)だ、表情もあってないようなもの、あえて言うなら目の部分の大きさを変えられるぐらいだろう。

 

「顔に書いてある以前にミストバーンさんは考える時の癖がありますからね、また“顎に親指を当てて”考えていたんでしょう。しかも結構焦ってる、リアルでの人差し指の第二関節と親指で顎を触りながら指を動かすのは何かやらかした時や相当拙い事がおきた時と記憶してます」

 

 単なるミストバーンの自滅だった。いくら能力やチートが使えてもそれを扱う本人がポンコツなのだからいたるところでボロが出る。

 

「い、いえそんな事はありませんよ。過去のギルメンたちの思い出を振り返っていただけですよ」

 

 ミストバーンの顎を抑えてる指がヨジヨジ動く。

 

(嘘つくの下手すぎだろこの人、あんたは焦ったり拙かった時の度合いが酷いほど指を速く動かすから自分だけじゃなく会社やギルメンの殆どが知ってるつーの!)

「はあ、そういう事にしときましょう、でいったいどんな思い出を振り返ってたんですか」

「この前リアルでメコン川さんと飲み会いった時に『俺ビーガンだからお肉食べられない』ってギャグを披露してもらった時ですね」

「ははは、面白いですね……メコン川さんに何の用件で合ってたんです?貴方はただの飲み会でも重要な情報をやり取りをするような人だ。正直に言ってくれませんかねえ」

 

 またもや墓穴を掘るミストバーン。

 

(嘘を言っても絶対ばれるしはぐらかしても看破されるから正直に言うしかないか、こういう時のサトルさんて怒るとめっちゃ怖いんだよな~)

 

 身内関係なのだから当たり前である。

 

「正直に言うとメコン川さんの勤め先を潰すにあたって有用な人材を避難させる事を伝えるためですね、ついでに本人の希望で次の職場はどんな所がいいかとか連れていきたい人材はいるか話し合った感じです」

「ふざけるなよお前!!個人でやっていい事じゃないだろ!!」

 

 モモンガの大声に周りがどよめく、ショックの大きさから個別ボイスチャットにするのも忘れている。

 

「しょうがないでしょう!!天下のアナハイムと言えど人間を生体CPUに組み替える技術や大量破壊兵器の輸出で他国の戦争幇助するなんてほっとけるわけないでしょうが!!」

「いい加減にせんかお前ら!!せっかくのサービス終了記念パーティーを台無しにするきか!!」

 

サトルの父親の叱責がホールに響く。

 

「ご、ごめん、父さん」

(サトルさんの父親も来てんの!?、数回しか会ってないけど相変らずモモンガさんより魔王ぽいな、と言うかあの姿ってヒロアカコラボで実装した完全再生してるオールフォー・ワンか?)

「サトル、言いたい気持ちは分かるけどそれは今じゃないでしょ、もうこの世界は終わっちゃうんだから今しか出来ない事をしましょうよ」

「母さんもありがとう、俺もそうするよ」

(母親も来てるって事はリアルの世界に残ってるのは長男の鈴木ソウスケさんか長女の鈴木キアラさんか、どうしよう連絡が付かないってなったら間違いなくパニックになる。というかモモンガさんちの系譜を見るにあの女性型ロボットも何処かのボスなんだろうか……あれもしかしてスパロボのラスボスのネバンリンナ!?)

「でも気になるわよね、アナハイムってうちの取引先でもあるし反重力の技術提供してる所でしょ」

「確かアナハイムがスポンサーの政治家もいるから僕もその話後で詳しく聞かせてもらっていいかな」

「ちょっと、二人ともデリカシーないよ、今日はユグドラシル最終日なんだから仕事や政治の話は後にしてくれないかなー」

「サトルの言う通りよ、キアラもソウスケも今は仕事の話は後にしなさい」

 

キアラとソウスケの返答にモモンガが愚痴を言い母親が諫める。

 

(~ッ!!全員いる、当たり前か、この人たちもユグドラシルのアカウントは持ってるしギルド内で仕事の話をすることもあった。そして今日が最終日でサトルさんがホストで閉会式パーティーするってなったらいるよな~)

 

『で、さっきの話は本当なんだろうな?』

『はい、度し難い事ですが戦争してる国に流す予定でしょうね、やっぱりソウスケさんは外交のカードにするおつもりで』

『それよりはアナハイムの牽制だな、あそこは最近増長傾向にあるし何とか大人しくしていて欲しいんだよ』

(ここで正直に無理だというべきか、あいつら利益重視で地球環境や人権からは一番遠い……いや、他と一緒ぐらいか)

『私も聞きたいのだけれどいいかしら』

『キアラさん、どんなご用件でしょう』

『カプセルコーポレーションとアナハイムは技術提携してるのは知ってるわよね』

『はい、存じておりますが』

『アナハイムにどれくらいうちの独占技術が流れてる?』

(あ~あっちに技術が漏れてるのは知ってるのか)

 

 ミストバーンは頭をポリポリかくと言いずらそうに、

 

『カプセルの方は時間の問題ですね、反重力は解析されてあっちの兵器部門で試作機が出来上がるくらいには―』

『ひゃいっ!!』

 

 ミストバーンが言いきる前にキアラが悲鳴を上げる。

 

『ちょっと待って信じられないんだけど……その試作機のデータってあるの?』

『ええ、ありますよ。今資料を見せますので』

 

 そう言うとミストバーンはキアラにアナハイムとアマルガムが共同で開発したべへモスのデータを送る。キアラの表情が次第に厳しい物になっていったがこれはもうどうしようもない。

 

(嘘、嘘嘘嘘、なにこれマサキが研究してたデータが丸々抜き取られてるじゃない。会社と母さんのために開発を手伝ってたのにそれが戦争兵器に使われるなんて……あの子ショックを受けるわね)

『因みにバリオン創出ヘイロウのアイディアは私が出しましたからマサキさん一人のものではありませんよ』

『ああ、やっぱり、あの子研究熱心な割に頭が固いから既存技術の物は得意なんだけど全く新しい物は苦手なのよ』

『それと更に悪い情報です、その資料に載ってるのは試作零号機、一号機と二号機は海外で試験運用中ですね、勿論戦場の中でです』

 

 その言葉に意気消沈するキアラ。

 

『ねえ、これどうしたらいいの』

『こちらに任してください、こういう企業にお灸をすえるのは今回が初めてではありません。ちょっと危ない火遊びになりますが自分の勢力の傭兵を何人かけしかけてやれば事は収まります、ついでにこれをだしにアナハイムの兵器部門に探りを入れて、ベヘモスの方はこっちでリバースエンジニアリングしてしまいましょう』

 

 その言葉に安心を覚えると同時に頭が痛くなる。

 

『こういう時って貴方は頼りになるわね、それ以上に迷惑かけてるから当然かしら』

『これでも抑えてる方だと自覚してるんですが』

『サトルの目の前でそれが言える?』

『言えましぇん』

 

 そう言ってしょげるミストバーンだった。

 

(なんだよ伏黒やつ姉さんと話し込んじゃって仕事関係ってことは分かるけど癪に触るな、少しちょっかいかけてやるか)

「もう伏黒さん何を姉さんと話し込ん出るんですか、仕事の話と言うのは推測できますけどユグドラシル外でやってくれませんかね」

 

 至極まっとうな意見がミストバーンに突き刺さる。

 

「すいません、これには―」

「私から聞いたことだからごめんねサトル、もうみんなで集まってるわね。もうすぐカウントダウンの準備?」

「うん、だから早く行って」

 

 サトルがそう言うと家族の方に歩いていくキアラ。

 

「でわ俺も」

「少しいいですか」

 

 モモンガの静止にビクつくミストバーン、骸骨の深淵の瞳が霧状の霊を射抜く。

 

「な、なんでしょう」

「もしかしてログアウトできなくなったとか」

「!!!!」

 

 サトルの悪意のない直感と当てつけが言葉のナイフで伏黒に風穴を開ける。

 

(ひえ~サトルさんの直感怖すぎるよ)

(うわ~明らかに焦ってるよ、絶対碌な事じゃないし今は忙しい。後で手伝うとしてもここは適当に切り上げるか)

 

 ビビり散らかしているミストバーンに呆れるモモンガ。

 

「貴方の事だから碌な事じゃないのは分かりますが程々にしてくださいよ」

「いや、この件に関しては俺は―」

 

 しかしその前に少し早いナザリックの転移が発生する、地震発生と共にサトルたちは飛ばされた。

 

 

 

 

 地震がおさまり皆が動揺してるミストバーンにモモンガから個別ボイスチャットで連絡が来る。

 

『ミストバーンさん怒りませんから正直に話してくれませんか』

 

 絶対怒ってるしと思いつつ返答するミストバーン。

 

『いえ、こんなサプライズは予定にありませんし俺がユグドラシルを買ったこと以外は何もしてないから本当に分かりません』

 

 そんな中でギルメンたちが騒がしくなる、サービスが終了したのにゲームが続いてるしおまけに地震である。

 

(これはまずいですね、下手するとここでゲームオーバーだ。皆さんには使いたくなかったですけど仕方ないですね)

 

そう思うとミストバーンは耐性無視の精神沈静化の魔法を広範囲化して唱える。

 

「あ~皆さん落ち着きました、あのままだとまずいと思ったので強硬手段を使わせてもらいました、どうです?皆さん何か変わったことはありますか」

 

 頭を押さえながらペペロンチーノが、

 

「ミストバーンさんこれって意識が二つあるんですがこれはどういう状況なんでしょう」

(そうなんですよね、まさか俺もこうなるとは思わなかった。ログアウトできなかったのは多分異世界にナザリックが飛ばされてる途中だったから操作を受け付けなかったという解釈でいいのかな)

 

 現状を整理すると、ゲーム内のアバターに意識はあるがリアルの本人にも意識がある。

ゲームと接続を切ってもゲーム内のアバターとリアルの本人とで意識共有が出来る。

 

「これは異世界転生と言うより異世界転移ですね、事実リアルの俺が健在だし皆さんもそうでしょう」

「これってもしかしてゲームに自我データの焼き付きが起こったんでしょうか」

 

 とヘロヘロがミストバーンに質問すると。

 

「いえ、それより厄介ですね。自分の予想が正しければ―

 

 そう言うとミストバーンは自分のアイテムボックスからナイフを取り出し左手の手のひらをナイフで傷つけた、本体はガス状だが装備している肉体は実態を持っている。

 

(やっぱりこうなったか)

 

 ここでリアルの伏黒に場面を変えると左手の手のひらから血がしたたり落ちていた。

そしてミストバーンの方で回復魔法を使って傷を回復するとリアルの伏黒の傷も完治した。

ヘロヘロ目線だとただ手を切って回復しただけであるが―

 

「リアルと連動してますね、恐らくリアルの方もゲーム内のアバターの影響を受けて身体能力も含めて人外の領域になってると思いますよ」

「ちょっと待ってください、それって―

 

 ミストバーンの言葉にサトルが飛びついてくる。

 

「良くも悪くもこのゲームアバターと一蓮托生と言う事です」

「え……じゃあもしかしてこっちで死ねばリアルでも死ぬということですか」

 

 一同にどよめきが走る。

 

「その逆も可能かと、死んでも生き返ればいいんですよ。でもリアルで死んだらそうはいかないと思います。まあ、あっちで蘇生魔法や蘇生アイテムが使えれば別ですがちょっと待ってください」

 

 今度はログアウトするように念じてみる、そうするとうまい具合に本体とアバターが切り離しできた。そしてさっきと同じように自分の左手を傷つけると、

 

「あれ、連動しない。どうやら接続をきってしまうと本体とのリンクは途切れ……」

 

 そう思った瞬間、このまま本体とリンクしたらどうなるのか試す。

 

「あちゃ~これはちょっと面倒、リンクを切っても再接続した場合ダメージがフィードバックされる、でもまあ一時しのぎにはなると思えばいいのかな」

「どちらにせよこのアバターとの因果関係は絶てないという事ですか、大分厄介ですね」

 

 皆がアバターとの因果関係に頭を悩ましてると、

 

「ここは皆さん思う所があると思いますがリアル方はいったん寝ませんか?明日は仕事ですしずっと起きてるわけにもいかないでしょう」

「寝るってこんな状況でどうやって寝ろって言うんですか」

 

 モモンガがミストバーンに詰め寄る。

 

「簡単だと思いますよ。意識が今連動してるからややこしいだけでログアウトするつもりで念じてみてください」

「……これは、リアルの感覚がなくなった」

「試してみましたが今はインターネットにつながなくても念じるだけで本体との接続をオンオフできますね、リアルの方は休ませてこっちでは現在位置の確認と周辺環境の調査を優先した方がよろしいかと」

「本当に大丈夫なんですか」

「本当の事を言うとリアルの生身の方は出来る事が無いんですよ、サービスも終了しちゃってリアルの俺がナザリックのデータをサルベージしない限りリアルの皆さんが干渉する手段って念じてゲーム内アバターと繋がれるぐらいじゃないですか、でも繋ぎっぱなしは良くないと思うんですよ」

「具体的には?」

「それは分かりませんが例えると今までは座りながらゲームをしてたけど繋ぎっぱなしの場合仕事しながら食事しながらゲームって出来ます?」

「何か物凄く効率が悪そう」

「はいその通りです、下手するとリアルの方で交通事故にとかなったら目も当てられませんからね、多分繋ぎっぱなしだとトラブルの元ですから繋ぐ場合は何時もゲームしてる時のような状況が好ましいかと」

 

ミストバーンが答えているとヘロヘロが近づいてくる。

 

「と言う事は今のところはここで騒いでもリアルに何の支障もないと」

「そうですね、それより早く接続をきって明日に備えないとリアルの生活に支障が出ると思いますよ」

 

ミストバーンの言葉通りギルメン達と家族はリアルとの接続を切り本体はログアウトし、意識が宿ってしまったアバターは現状確認をすることにした。

 





 モモンガさんの家族については本人がラスボスみたいな見た目をしてるのでボスキャラで統一してます。

 以下モモンガさんの家族

父:鈴木勇次郎、名前は刃牙の父親だがリアルもゲーム内も見た目は僕のヒーローアカデ  
        ミアの再生したオール・フォー・ワン、職業は政治家。異業種の姿は人     
        間にいくつものチューブやパイプが繋がった姿をしている。

母:鈴木ブルマ、カプセルコーポレーションの女社長、ゲーム内の見た目はスーパーロ   
        ボット大戦Vのラスボス、ネバンリンナである。家族の中で一番強い。

長男:鈴木ソウスケ、ゲーム内の見た目はBLEACHの藍染惣右介にそっくりでありリアルも
          あまり変わらない、異業種の形態もちゃんとあるが本人曰く変身す   
          ると小回りがきかない、父親と同じく政治家をしている。

長女:鈴木キアラ、ゲーム内の見た目はFGOの殺生院キアラにそっくりでありリアルは髪
         の長さが違うぐらい、カプセルコーポレーションの人事部長をしてい              
         るが見た目が似ているだけでエロエロモンスターなわけではない。

次男:鈴木マサキ、ゲーム内の見た目は鬼滅の刃の無惨そっくりでありリアルもあまり変 
         わらない、困ったことに頑固で少し偏屈と原作の無惨に中身も少し似
         てしまっている、仕事はカプセルコーポレーションの科学者をしてい 
         る。

三男:鈴木サトル、本作の振り回される方の主人公、身内に甘いが相手を敵と認識すると
         容赦がない、よく伏黒と妹に振り回されている。会社での立場は平社 
         員だが能力も発言力も高くよく伏黒や妹の仕事を手伝ったり人手の足
         りない所にいる。

次女:鈴木マキマ、ゲーム内の見た目はチェーンソウマンのマキマにそっくりでありリア
         ルもあまり変わらない。見た目が殆人と変らない為ナザリックに入れ
         ないはずだったが「お兄ちゃんお願い」で一発で通らせた。能力は高
         いがネコみたいに気まぐれなため特定の仕事についていない。
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