オーバーロードによく似た世界で(本編完結)   作:ペンギン勇者

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 世界が悲鳴を上げるようなキャットファイトを経験したモモンガたち。結果として、竜王国の女王ドラウディロンとナザリックは、堅い同盟を結ぶに至った。




第06話王国お掃除準備

 

「カッカッカッカ、おぬしのような者がおるなら、ナザリックの暴走も心配いらんのう」

「当たり前じゃない。私の目が黒いうちは、そんな真似は絶対にさせないわ」

「ならば、ナザリックへの監視も、ワールドアイテムの使用制限も不要じゃな」

「一つ、聞いていい?」

「なんじゃ?」

 

 ブルマが一歩踏み込む。一同に緊張が走った。

 

「……なんで、手加減したの?」

 

 その一言に、空気が凍り付く。

 

「確かに、大技は使わんかったが……手加減したつもりはないぞ。それに――お主も加減しておったであろう。あの姿が本気とは思えん」

「ふふ、やっぱり分かるのね。あの姿、単に大きさで張り合うためにわざと膨張させただけよ。本当は、もっと小さく圧縮して機動力で圧倒するのが、私の本来の戦い方よ」

「儂に合わせてくれたこと、礼を言う。……あのまま続けておれば、世界が悲鳴を上げて崩壊しておったわ、カッカッカッカ」

「じゃあ、あれが……"世界が軋む"感覚なのね。この世界、ちょっと強度が低くない?」

「儂も、それは思っとる」

 

 違います。あなた達二人が桁外れなだけです。

 

「違う違う、絶対あんたたちが異常なんだよ!」

 

 思わず叫んだのはタッチ・ミーだった。

 

『普通に世界壊しかけたとか、笑い話じゃないですよね』

『ワールドブレイク一歩手前でしたからね……』

 

 ペペロンチーノとモモンガも魂が抜けたような声で呟く、なおみんなが集まっているナザリック作戦会議室では殆どのギルメンが同じような状態になっていた。

 

「では後の事は任せて良いかの、儂も公務があるのでな」

「ええ分かりましたわ女王陛下」

 

 ブルマの返事にむずがゆそうに反応するドラウディロン。

 

「お主とは友人での距離感でいたいからの、そう言われると何というか胸がちくりとするんじゃ」

「それならドラウディロンのドラだけとってドラちゃんなんてどう」

「おおいいなそれ」

 

 いろんな意味で危ない呼び方になった。

 

「ではそちらはブルマのままでよいか」

「ええ、呼び捨てで結構よ」

「そうか、ではなブルマ、戦いたくなったらまた来る」

 

 そう言って、ドラウディロンは巨大な翼を広げ、天高く飛び立っていった。

 

 その姿を見送るナザリック一同。

 

「……本当に、帰っちゃいましたね」

 

 ミストバーンが呆然と呟く。

 

「さてと、細かい事はサトルに任すとして、あなた何故出てこなかったの?」

「すいません、正直言ってビビッて動けませんでした」

「あ、ごめん、あなたに言ってるんじゃないのよ。私の事を守り通すと言った婿養子(鈴木勇次郎)に言ってるの」

 

 伏黒の謝罪にブルマが答える。

 

『すまんブルマ、だがどう見ても私じゃ敵わないしお前の方がユグドラシルでは強かっただろう』

「本気で言ってるの!?、男の矜持を見せろって言いたいの、言い訳なんか聞きたくないわ」

 

 ブルマの叱責に勇次郎はぐうの音も出ない、せめて嫁さんを守る気概は見せて欲しかった。

 

 周囲の空気が、どこか重苦しく沈む。

 

「……ったく、普段はエラそうなこと言うくせに、いざって時にこれだもん」

 

 ブルマが呆れたようにため息を吐く。

 

 伏黒も申し訳なさそうに肩をすくめた。

 

「……まあまあ、勇次郎さんだって本気で怖かったんですよ。あれ、たぶん、俺でも無理っす」

「そういう問題じゃないの!」

 

 ブルマがぴしゃりと指摘する。

 

「戦えるかどうかじゃない、守ろうとする意志を見せろって言ってるのよ!」

『はい……』

 

 勇次郎は小さくなった、例えるなら頭の大きさはそのままに二頭身になったかのような印象を受ける。

 

 そんなやりとりを見て、タッチ・ミーがぼそりと呟く。

 

「いや、そもそもあの戦いに割って入ったら即死する未来しか見えなかったけどな……」

 

 ペペロンチーノも頷く。

 

『うん、物理的に無理ゲーだったと思う……』

「そういう問題じゃないのよ!!」

 

 ブルマが全員に怒鳴った。

 

「覚えておきなさい! たとえ相手が神だろうが魔王だろうが、守るべきもののためなら、拳一つでも突き出すのよ!!」

 

 静まり返る会議室。

 

 そして、なぜか一番感銘を受けたのは──デミウルゴスだった。

 

『……流石ですブルマ様……』

 

 瞳を輝かせながら呟くデミウルゴス。

 

「とにかく!」

 

 ブルマはぴしっと指を立てた。

 

「次、似たような場面になったら、最低限、前に出て“かばうポーズ”くらいしなさい! いいわね!?」

 

『は、はいぃ……!』

 

 勇次郎は、まるで鬼教官に叩き直される新兵のように、涙目で敬礼するしかなかった。

 

(は~これで何とか一安心ですね、でも何か忘れてるような……アウラとマーレ!?)

 

 伏黒が気が付きあたりを見回してみるといた、二人とも真っ白になって地面に水たまりを作っている。

 

(これは茶釜さんに回収してもらうしかないな)

 

 そう思うミストバーンだった。

 

 

 

 

【ナザリック作戦会議室】

 

「で、次は王国のライラの粉をどうするかですね」

「その前にナザリックの周辺の情報が欲しいからシャドウ・デーモンでも放っておかないか、会議が終わるころには少しは情報が上がってくるはずだ」

「いいですねウルベルトさん、クワイエッセ達と会ってから止まってましたし再会させましょう」

 

 ウルベルトが提案しミストバーンが議題を切り替えると、場にようやく落ち着きが戻り始めた。

 

 だがまだ、アウラとマーレはぐったりして回復待ち状態だ。

 

「ライラの粉……あの麻薬の一種だったか」

 

 モモンガが骨の手を顎に当てて唸る。

 

「はい。王国貴族が裏で流通させてるやつですね。流通の具合からして取り締まるふりをして、自分たちで売って儲けてるんでしょう」

 

 ミストバーンの説明に、タッチ・ミーが顔をしかめた。

 

「そういう連中は、早めに処理しておかないと後で厄介になるな」

「でしょう?」

 

 ミストバーンが笑みを浮かべる。

 

「だから、次の作戦として──この"ライラ撲滅作戦"を実行しましょう」

「なるほど。……で、どうやって?」

 

 ペペロンチーノが興味ありげに尋ねる。

 

「簡単ですよ。供給ルートを抑えつつ、流通経路を逆探知して、黒幕を丸ごと引きずり出して潰す。それだけです」

 

 ミストバーンはにやりと笑った。

 

「要するに、国家転覆未遂レベルの大作戦ですね!」

 

 シャルティアが無邪気に嬉しそうに言った。

 

「まあ、結果的にはそうなるかもしれませんね」

「うむ、よかろう」

 

 モモンガが威厳を込めて頷いた。

 

「そう言えばシャルティア、(微妙に間違った)廓言葉は使わないのか」

 

 創造主のペペロンチーノの言葉にシャルティアは、

 

「それは、あの、まだ恥ずかしいで……ありんす、慣れるまでまってほしいで……ありんす」

 

どうやら結構恥ずかしいようだ。

 

(へ~リアルの時はAIの制限で標準語しか無理だったけど今は本人の意思で与えられた設定に逆らってるのか、原作だとありんすやわっちきはとか使ってたと思うけどここでは最初からそうじゃないのか、だとすると他のNPCも違うのかな、確かアルベドの設定は――

「ミストバーンさん何ぼーとしてるんです、具体的な案を考えてくれてるんですか」

「いやちゃんと具体的な案は考えてますよ」

 

顎をヨジヨジするミストバーン

 

(こいつ絶対ライラの粉の対策考えてないな)

 

モモンガの額に青筋が浮かぶ(骸骨なので表面上は分からないが)

 

「そうですね私が考えた具体的な案は三つあります」

 

ミストバーンは一同の視線を受けながら、堂々と提案を始めた。

 

「具体的には、ナザリックの隠密行動に特化した戦力を用いて、ライラの粉の流通網を根本から叩き潰します」

 

骨の手を組みながらモモンガが静かに頷いた。

 

「どのように、だ?」

「はい、作戦は以下の通りです」

 

ミストバーンは指を一本立てた。

 

【ライラ撲滅作戦 案①:供給ルート遮断】

 

 まず、〈ナザリック隠密班〉(例:ソリュシャンやアウラなどの隠密行動に向いてるメンバーとギルメンで部隊を編成)

 

 王国内でのライラ粉の現行販売ルートを特定する。

 

 販売ルートに乗っている拠点(倉庫、隠れ家、交易所など)を、発見次第即座に制圧・破壊。

 

 物流を断ち、供給源を一気に干上がらせる。

 

 同時に、重要人物(運び屋、密売人)を極秘裏に確保し、尋問によって更に上の組織や黒幕の情報を得る。

 

 ミストバーンは二本目の指を立てた。

 

【ライラ撲滅作戦 案②:裏社会掌握】

 

 貴族や裏社会組織に潜入工作員(例:パンドラズ・アクターやナーベラルの変装)を送り込み、表に出ない取引記録を確保。

 

 資金源を握っている連中をリストアップし、裏で「死の商人」として圧力をかける。

 

 取引を妨害し、彼らの商売を破綻させる。

 

 最終的に「ナザリックに楯突くとこうなる」という見せしめとして、首謀者を公開処刑する(またはそれに類する措置を取る)。

 

 さらに三本目の指を立てた。

 

【ライラ撲滅作戦 案③:クリーンキャンペーン偽装】

 

 表向きは「ナザリックが王国を救うため、麻薬撲滅を支援する慈善活動」として行動。

 

 王国市民の支持を得ながら、実質的には裏社会を完全にナザリックの支配下に置く。

 

 これにより王国貴族たちの信用を地に落とし、民心をこちらに引き寄せる。

 

 いずれ、王国自体を丸ごとナザリックの従属国家へと"自然に"変えていく布石とする。

 

「以上が、私の考える具体的作戦です」

 

 ミストバーンは締めくくった。

 

「……いや、思ったよりめちゃくちゃちゃんとしてるな」

「これ、本気で実行すればライラどころか王国自体潰れるぞ……」

 

 ペペロンチーノとタッチ・ミーが顔を見合わせた。

 

「ふむ、いい案だな」

 

 モモンガが満足そうに頷いた。

 

「ただの力押しではない……裏からじわじわと締め上げるとは、流石です」

 

 デミウルゴスも唸るように賞賛する。

 

「ふふん、当然でありんす///」

 

 シャルティアがなぜか得意げにしていたが、それはまた別の話だった。

 

「ちょっといいですか」

「萌えさんどうしたんですか」

「非常にいい案だと思うのですがこれだと取りこぼしが発生しかねないのでこの三つの案を一つにまとめた物を考えたのですが宜しいでしょうか」

「確かに俺より萌さんの方がこういう事に向いてるから丸投げしていいです?」

「任せてください」

「さて、萌さん。三つの案をまとめたもの、ということで、お願いできるか?」

 

 モモンガが満足げに微笑んで言うと、萌えがしっかりと頷きながら立ち上がる。

 

「はい、私が提案する案は、ミストバーンさんの三つの作戦を統合した形で、より効率的にライラの粉の撲滅と王国の支配を進める内容です。」

 

 萌えが一旦、周囲を見回してから言葉を続ける。

 

「まず最初に王国のまともな貴族と王族に接触を図ります、これにより捕らえた貴族たちの穴を埋めてもらうのと王国で起こる混乱に対処してもらうためです」

「二つ目は八本指の場所の特定ですね出来れば全て押さえたいですね、取りこぼしがあると後でまた要らない火種になりますから」

「最後にナザリックの戦力で特定した場所を同時に叩きます、最後は早さが重要になってくるので前もっての報連相は重要ですね」

「問題はどうやって貴族達に近ずくかだよな、俺は隠密に自身はあるけど喋りの方は無理だぞ、第一どうやって警戒されないで接触するんだ?」

 

そう言って頭をポリポリかく弐式炎雷。

 

「もうここは隠密が得意な下部に丸投げして、脈がありそうな貴族と王族は私たちが接触という流れが一番安定する気がする」

「ミストバーンさんもそう思いますか、自分は隠密が得意な僕はドッペルゲンガーにシャドウ・デーモンを組み合わせて潜り込ませるのが良いと思いますね」

「まるでロッテ戦術見たいですね、お互いカバーし合えるしトラブルにも対処できる」

「じゃあ僕の方はこれでいいとして……デミウルゴスちょいとドッペルゲンガーとシャドウ・デーモンに入れ知恵してやってくれ、その方が効率いいだろう」

「お任せくださいませ、ウルベルト様」

 

 デミウルゴスは恭しく頭を下げたあと、眼鏡の奥で妖しく目を光らせる。

 

 彼に任せれば、情報収集用のドッペルゲンガー部隊とシャドウ・デーモン群は、ナザリック式の超効率的な隠密作戦要員となるだろう。

 

「では、ドッペルゲンガー班とシャドウ・デーモン班をそれぞれ小隊規模で編成し、潜入先の情報収集、標的の選別、場合によっては対象の抹殺も許可する……これでよろしいでしょうか、モモンガ様」

「うむ。任せる。慎重に動けよ、後始末したらばれないように隠せ」

「はっ!」

 

デミウルゴスが一礼し、直ちに作業に取り掛かるため退室した。

 

「さて……他には何か注意点はあるか?」

 

モモンガの問いかけに、萌えがすぐ手を挙げた。

 

「はい、一つ大事なことを。王国市民の感情面でのケアも忘れないことです」

「感情面……?」

 

 タッチ・ミーが首を傾げる。

 

「はい。王国での急激な勢力変化は、市民にとって恐怖になります。それを和らげるため、ライラの撲滅だけでなく『ナザリックは我々を救ってくれる存在』という印象操作を徹底しましょう」

「なるほどな……そこを怠ると、いくら麻薬を撲滅しても民衆に反発されるかもしれん、か」

 

 ウルベルトが理解深く頷く。

 

「じゃあ、具体的にはどうするんだ?」

 

 萌えが続けた。

 

「市民向けの施策として、無料の診療所設置、食糧配給、治安維持部隊の派遣などを行います。もちろん、すべて『ナザリックの慈悲』という形で周知します」

「それなら民心も取れるな」

 

 ミストバーンが感心したように腕を組んだ。

 

「さらに、ナザリックに好意的な貴族や商人には、特別な支援枠を設けて、味方に引き込む。逆らう者には……まあ、御退場してもらう、ということで」

「ふむ……至れり尽くせりの案だな。よかろう、採用する」

 

 モモンガは満足げに頷いた。

「さすが萌えさん! 話がわかるでありんす!」

 

 シャルティアが大喜びしているが、微妙に"ありんす"言葉が怪しい。

 

「じゃあ、次は実際の部隊編成とスケジュール決めだな」

「はい、そこも大枠は考えてあります」

 

 萌えはすっとメモを広げた。

 

 




 
 王国お掃除タイムの前に情報収集、その前にカルネ村が挟まるかな


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