つれづれなるままにホウエン旅   作:秋塚翔

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ポケモン二次リベンジ新作投稿です。今回はリメイク前から思い入れの強いORASをば。秘伝要員でしかないとか言われてるけど原種ジグザグマ系統って(ストーリー上では)そんな弱くないと思うの。ルビサファ時代は特性有益だったし。

それはそうとしてのポケモンORASオリ主の冒険。お楽しみいただければ。


のんびり出発

 うちのジグザグマはよく色んなものを拾って持ってくる。

 特性『ものひろい』じゃないはずなんだけど。

 

「ぐぐぅ!」

「お、今日はきんのたまか! 偉いぞ~。これ換金して何か美味いの食い行くかっ」

 

 キズぐすりとかモンボが多いけど、たまに値打ちものを持ってきてくれる。

 

「ぐぐぅ!」

「おお、マジでどっから拾ってくるんだこんなの。でもありがとな~」

 

 ハチマキとかわざマシンとか、嬉しそうに手渡してくる姿は実に愛い。

 流石はあたしのスクール時代からの相棒。

 

「ぐぐぅ!」

「おおっ、またきんのたまかよ! いやあ、ありがたい――」

「ンビー……」

「コイルだこれ!? しかも色違い!」

 

 ひとまずゲットした。これがコイルとの出会い。

 そして極めつけ(?)は、

 

「ぐぐぅ!」

「いやジムバッジはダメだろ」

 

 ほんと色んなもん拾ってくるな、こいつ。

 

 

 

 

 

「んー、どうしたもんかなあ……」

 

 腰を落ち着けられる我が家のベッドの上にて。

 拾ってこられたバッジを、あたしはしばし矯めつ眇めつ眺める。

 多分、どこかのジムバッジであるのは確かだが、生憎それがどこのジムのものかは分からない。

 

 むしろこれは、そのジムでトレーナーが獲得したものだろう。けれどご丁寧に名前が書かれている訳ないので、そうなるとますます誰のものなのか分かるはずもない。

 うちの相棒は変なものも拾ってきすぎである。

 

「しょーがないなあ」

 

 このままじゃ埒が明かないので、仕方なくこちらから動くことにした。

 ベッドから起き上がり、愛用のパーカーを一応新しいのに着替え、無造作に伸ばしてる髪を後ろで小さく纏めておく。サンダルをつっけか、いつもの外行き散歩スタイルで家を出た。

 

 あたしの住んでいるトウカシティにもポケモンジムがある。だけど今は無人だ。数日中には新たに就任したジムリーダーがやって来るという話だが、少なくとも今は頼れない。

 なので、その隣町カナズミシティにあるジムに足を運ぶとする。あそこのジムリーダーなら、きっとこのバッチがどこのものであるか分かるだろう。あわよくば、そのジムのであると尚良い。

 

「あっ――ヒヨリさん!」

 

 と、家を出てすぐあたしを呼ぶ声がかかる。

 振り向いて見てみれば、そこにはご近所さんの病弱少年がいた。

 

「ミツルくんおはよー。調子はどう?」

 

 近所に住んでいるミツルくん。近々病気の療養のためここを離れ、山一つ越えたところの親戚のいるシダケタウンという町に引っ越すことが決まった彼とは、最近こそお互い大きくなったので適切な付き合いをしているが、昔はあんまりベッドから出られなかったのを遊びに行って話し相手になっていた弟分的存在だ。

 ちょうど自分の家から出てきたミツルくんは柔らかい笑顔で応じてくれる。

 

「はい、今日は体調も良くて……それで、ヒヨリさんはこれから何処かに出掛けるんですか?」

「まーねー。ちょっと野暮用がてらカナズミまで散歩に」

「ええっ! そ、そんな遠くまで……森を通る道なのに危なくないですかっ?」

 

 案の定というべきか、まるで自分事のように不安がっている様子のミツルくん。まあ町から自力で出たことないから当然の反応か。逆にこっちが心配になる箱入りぶりに、向こうでちゃんとやれるかと姉心が顔を出す。

 ……しかし今にも泣き出しそうなショタっ子の顔でしか得られない栄養があるなあ。

 冗談はさておき。それは要らん心配ってやつだ。

 

「だーいじょうぶだって。頼れるお供もいるしさ。へーきへーき」

「……ああ、そっかあ」

 

 言ってボールを掲げて見せたのを、ミツルくんは納得半分羨望半分の目を送ってくる。おっとしまった、まだポケモン持ってないミツルくんには嫌味に映ったかも。

 

「まあ、すぐ帰ってくるから。そんじゃいってきまーす」

「あ、は、はい。気を付けてっヒヨリさん!」

 

 健気少年に見送られ、あたしは地元のトウカシティを後にした。

 

 

 

 

 

 町から道路を挟んだ先にあるトウカの森。

 そこで妙な輩に絡まれた。

 

「おいお前っ! 来る途中にデボンの社員見なかったか!?」

「いや? 見なかったけど」

 

 なんか海賊っぽい感じの青装束の男に問い詰められ、実際見ていないので正直に答えておく。

 すると男は苛立ちを更に強める。

 

「くそっ! やっぱりしたっぱからの情報が間違ってやがった! 無駄な時間過ごしちまったじゃねーか!」

「あのー、解決したなら通っていい?」

「待ちやがれ! こうなったらお前で八つ当たりしてやる! 行けポチエナ!」

「ガウゥ!」

「それはおかしいでしょ」

 

 その辺のチンピラでももう少し筋通った絡み方するぞ。

 仕掛けられたからには逃げる訳にもいかず、こちらも受けて立ってやる。ボールから相棒のジグザグマを出し、森の只中で勝負が始まった。

 

「ポチエナ! かみつく!」

「避けてすなかけ!」

「ぐぅ!」

 

 飛ばした指示通り、攻撃をかわしたジグザグマが相手のポチエナに砂を見舞う。

 

「ちぃッ……凍らせろ! こおりのキバ!」

 

 と、相手が指示を飛ばす。珍しい技持ってるな。

 噛み付いたものを凍てつかせるほどの冷気を宿した牙を剥き、ポチエナが襲い掛かる。しかしそれをジグザグマは余裕を持って回避した。すなかけの効果で攻撃が当たりづらくなっている。

 ここは攻める時だ。

 

「しっぽをふる――からのずつき!」

 

 得意のジグザグ挙動で翻弄しながら、ジグザグマは攻撃に二の足を踏むポチエナに尻尾を振り、そうして守りが緩んだところにすかさず全身を使って頭突きをぶちかました。

 

「な、早っ……!?」

 

 驚きを隠せない青装束男。それはそうだ。うちの可愛い相棒を嘗めてもらっちゃ困る。

 よろめくポチエナに、早々の勝機を見出す。

 

「今だ! ――いあいぎり!」

「ぐぐぅッ!」

 

 応えたジグザグマが、堂に入った構えで爪を振り上げ、一拍の内にポチエナへと切りかかる。

 ザン、という鋭い斬撃音から数瞬置き、「がぁ……っ」とポチエナは崩れ落ちた。

 

「くッ!? ち、ちくしょう! とっとと帰れば良かったぁ!」

 

 他に手持ちがいないらしい青装束は、そんな捨て台詞と共に逃げ去っていく。

 

「……なんだったんだ、あれ?」

「ぐぅ?」

 

 最後まで良く分からん相手だった。なんかテレビで観たような格好だったけど……

 ま、いいか。あたしが狙われた訳じゃないし。

 引き続き森を道なりに行き、じきに出口へと出られる。

 

 また道路を挟んだ先にある大きな町。そこがカナズミシティだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――へえ。アクアの連中の監視なんて面倒なこと頼まれて退屈してたけど、なかなか見どころありそうなトレーナーだったな~」




●ヒヨリ
トウカシティ出身のトレーナー。ミツルの家とは昔からの付き合いがあり、ミツルを弟のように可愛がっている。ジグザグマはスクール時代からの初めての相棒。普段から飄々としているがポケモンバトルの才能は高め。
キャライメージは「自由人気質でかっこよく見える近所の不良お姉さん」。

●ジグザグマ ♂
むじゃきな性格。ヒヨリの一番の相棒ポケモン。よく色んなものを拾って持ってくるが、本当の特性は「くいしんぼう」。
ヒヨリの趣味で技「いあいぎり」がやたら達人じみた精度を誇っている模様。

●ミツル
原作における主人公のライバルポジ。まだセンリ一家が越してきていないので、現状ただの病弱少年。ご近所に住むヒヨリを実の姉のように慕っている。

●???
青装束見張る任務の最中にヒヨリに目を付けた。

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