真島と交戦してから数日が経ちました。
残念ながら真島の水死体が発見されたという通達はなく、千束さんは変わらずたきなさんとの同棲を続けています。
しかも先日は二人きりの遊園地デートまでしたそうで……たきなさんはどこまで私を苛立たせるのでしょうか。
誰にも憚ることなくこの怒りをたきなさんにぶつけて、今度完成するという新電波塔の頂に死体を吊るしてやりたいところですが、それをやってしまえば千束さんとの関係が修復不可能なまでに崩壊するのは明白ですから、もっと平和主義的な対処を考えなければなりません。
そこで私は久しぶりに数多の人間を救う新発明を世に送り出して千束さんの好感度急上昇を目論みました。
影響範囲が世界規模となる発明を公開すると母国への問い合わせが爆発的に増大してお父様に迷惑がかかります。
そのためしばらく控えていましたが、今回は必要な犠牲ですから、どうかメカリスと一緒に頑張ってくださいお父様。
「さぁさぁ皆さん! たきな単独でのインポッシブルなミッション達成を祝って……かんぱーい!」
より良い代替品が誕生すれば古い粗悪品は不要となります。
ですから私が身体に害をもたらすことなく至上の快楽を体感できる煙草よりも遥かに安心安全な電子ドラッグをサブスクリプション形式で世界に広めて既存の麻薬市場を崩壊させた結果、法制度上の問題で電子ドラッグを即座に認可できなかったこの国に生き残りをかけて世界中から麻薬組織が殺到しまして……私は千束さんに褒められるどころか怒られました。
さらにジンさんの指導で実力をつけたたきなさんが千束さんの助けなく独力で麻薬組織をひとつ、構成員を全員生け捕りにして壊滅させるという快挙を成し遂げてしまい、現在こうして千束さんから祝福を授かる姿を見せつけられています。
……どうして単独で百人を超える武装した敵の拠点に突入して生還できてしまったのでしょうね。
「いやぁ……たきな、ほんっと成長したねぇ」
「先生のおかげです」
……私がたきなさんにジンさんをあてがったせいですね。
「だってよジン〜、お前も褒め言葉ぐらい返したらどうだ〜?」
「…………………………見事だった」
「喋った! ジンが喋ったぞ!」
「あはは喋った〜! ジンが喋った〜! 記念に泥酔もういっぽーん!」
くぅ……私がこんなにも不愉快な気持ちにさせられているというのに、揃いも揃って和気あいあいと騒ぎ立てるなんて許せません。
「ミズキ、いくら祝いの場とは言え飲み過ぎだ。水にしとけ」
怒りに身を焦がしていた私は、ミカさんがミズキさんにお水を差し出すのを見て、たきなさんの喜びに冷や水をかけてあげる方法を思い付きました。
「ではジンさんとの契約は満了といたしますわね」
「えっ……」
たきなさんが絶句しました。
「…………………………ああ」
「ちょっ、待ってください! そんな急に!? どうして!?」
ジンさんが静かに頷くと、たきなさんのすました顔が一瞬で青褪めました。
「そうだよこりす! 説明しろ!」
他の皆さんもお祝いの雰囲気から一転して張り詰めた雰囲気を纏って私の説明を待っています。
「だって、たきなさんをファースト・リコリス相応の実力まで育ててもらうという契約でしたもの。今回の結果を受けて達成されたと判断しましたわ」
実際には今はまだ私が作ったたきなさんロボと比べて酷く見劣りする能力しかありませんが、私はとにかくたきなさんの喜びに水を差したいのでもう十分ということにしましょう。
「…………………………もう、教えられることはない」
「そんな……私、まだ千束みたいに複数の銃口目掛けて正面突破できるようになってません!」
まるで自分の無自覚だった下品な行為に気付いてしまったかのような愕然とした顔でたきなさんが食ってかかりますが、それに対する他の皆さんの反応は淡白なものです。
「…………………………それは、教えようがない」
「ああ、千束のは生まれ持った才能だ。教官といっても何でも教えられるわけじゃないさ」
「あっはっは! たきなぁ、あんたこんなの目指してたわけぇ?」
「こんなの言うなや」
「千束のはもうバグ技とかそういうやつだろ。僕もそんなに詳しくはないが、リコリスとして正しい完成形はさっきのたきなみたいな感じであってんじゃないか?」
「そうですわよ。静かに潜入して、発見されることなくひとりずつ消していく……まさにファーストに相応しい手際でしたわ」
千束さんなら正面から突撃して終わるところを慎重に手間暇かけて行ったため所要時間という課題こそ見受けられましたけれど、一般ファースト・リコリスの仕事としては十分だったはずです。
「ですが……」
「とにかく! これ以上ワタクシが意味もなくジンさんを雇い続けることはできませんわ! 決して安くはありませんでしたもの!」
「ちなみにいくら?」
千束さんに聞かれて金額を答えると、たきなさんも含めてジンさん以外の全員が絶句しました。
「月額で、うちの年商以上……だと」
特にミカさんが受けた衝撃は大きかったようです。
なおミカさんが言う年商とは喫茶リコリコの喫茶店業務だけの金額で、リコリス関連の裏のお仕事による稼ぎは含んでいません。
さらに言うと売れば売るほど赤字になる千束さんスペシャルの存在があるので、純利益となると年商の数字からは考えられないほど低いです。
「もちろん、どなたかが代わりに支払うと言うのであればワタクシも止めませんわ。さあ、どういたしますの?」
「おいジン、愛弟子のために九割引きくらいで受けるとか言えないのか!?」
クルミさんが強引な根切り交渉を持ちかけてもジンさんは一顧だにしません。
「えっ……えっ? これマジで出てっちゃう感じ?」
「諦めなさい。社会人にとって金の切れ目が縁の切れ目よ。やりがい搾取とか……クソ食らえ! サービス残業はんたーい! 労働基準法ばんざーい!」
「あ〜も〜うっさい! 酔っ払いは黙ってろ!」
「先生……」
たきなさんの縋るような眼差しにも動じることなく、ジンさんはミカさんに目を向けます。
「ミカ……世話になったな」
「ジン……再会できて嬉しかったよ。またいつでも来てくれ」
「…………………………ああ」
「先……生……」
こうして、仕事を完遂したサイレント・ジンさんは、たきなさんの縋るようなか細い声にも言葉を返すことなく、ただ口元の微笑みだけを返して静寂の内に喫茶リコリコから消え去ったのでした。
「……こいつはDAで雇っておくから、もうしばらくここに置いておけ」
「……」
そしてその数秒後、不機嫌な顔の楠木司令に伴われて、ジンさんが気まずそうに戻ってきました。
「先生!」
「楠木さん!? えっ、何で!?」
たきなさんが喜びを、千束さんが驚愕をあらわにしました。
「ちょっと楠木司令、お供も無しに何の用ですの?」
「またリコリスのクーデターとか!?」
「違う。今から用件を話すから座っていろ」
どうにも真剣な用事らしいので、たきなさんへのお祝いやジンさん雇用問題などはいったん棚に上げて、全員で楠木さんの話を聞きます。
あ、いえ、正確には全員ではありませんね。
クルミさんは楠木司令が来た途端にこそこそと押入れに身を隠し、酔い潰れたミズキさんはクルミさんの巣穴の前で寝息を立て始めましたから。
「不衛生な麻薬中毒者共が妙な感染症を持ち込んだらしく、現在本部のリコリスは軒並み隔離状態となっている。生命の危険はないが、しばらく作戦行動ができない。その間、DA支部であるリコリコを主体に本部管轄地域の脅威を排除する」
「リリウムを使えば事足りる話ではありませんの? あれらが病気に罹患しているはずがありませんわ」
「リリウム……?」
セカンド以下のリコリスに明かされる情報は限定的ですから、たきなさんはリリウムの存在を知らないみたいです。
「通常時における作戦立案の権限は私にあります。リリベルの代替が本来の役割であるリリウムを使うよりも支部の戦力を動員する方が適切であると判断しました。あなたからご提供いただいた兵器群はどれも素晴らしいものですが、強力であるがゆえに運用は慎重にならざるを得ないことをどうかご理解ください」
「使う使わないは購入者の自由ですのでワタクシは気にしませんわ。ですが千束さんが了承しますかしら?」
「そうですよぉ。リコリコの仕事で忙しんですけどぉ」
「ここが忙しくなることなど一度もなかっただろう……あ」
自分の店が繁盛していないことを面と向かって指摘されたミカさんが悲しそうに顔を逸らしました。
「……確かに喫茶店の仕事は多少あるかもしれないが」
「多少……」
ミカさんの呟きを聞いて楠木司令が即座に訂正します。
「それなりにあるかもしれないが、お前の本来の役目はリコリスとして」
「違いまーす! 今の私の役目はこの危ない女の子のお目付け役でーす!」
千束さんがピッと伸ばした両手の人差し指を私に向けました。
千束さんが私のお目付け役……なんだかドキドキする言葉の響きです。
飼い主と言ってくれたらもっと良かったですね。
きつく首に巻かれた首輪から伸びる鎖を引っ張られながら、千束さんの足元に這いつくばって隣を歩けたらと思うと、全身から熱いものが溢れてきそうになります。
「まぁ、それは……確かに重要な役目ではあるが」
「司令!」
煮え切らない様子の楠木司令に苛立ったのか、たきなさんが机を強く叩きながら立ち上がりました。
「うわびっくりしたぁ!」
それに驚いて大声を出したのは千束さんだけでしたが、楠木司令も含めてみんなびくっとしていました。
「どしたのたきな、急に大声出して」
「……なんだ?」
「千束がやらないなら、その分の任務も私がやります!」
私にとって好都合なことに、たきなさんはリコリスの任務に乗り気です。
ぜひ手柄を立ててDA本部に返り咲いてほしいので、私も口添えします。
「たきなさんはそちらにいらしますサイレント・ジンさんの指導により優秀な殺し屋として成長しましたわ。千束さんを動員せずとも、たきなさんだけで事足りるとワタクシも保証いたしますわ」
「いえ、それは……」
せっかく私が推してあげたというのに、楠木司令は困り顔になってしまいました。
楠木司令の意図が分かりません。
リリウムもたきなさんも使いたくないのに、千束さんだけは使いたい……何がしたいのでしょうね。
「おいこらこりす! 貴様たきなを過労死させる気だな! そうはさせないかんな!」
なぜかリコリスの仕事に乗り気でなかったはずの千束さんが急にやる気を出して、楠木司令に向けて大きく手を挙げました。
「私もやりますんで!」
「当然だ。そもそも人手不足の今、お前に拒否権など最初からなかった。もちろんサイレント・ジンも投入する。千束は単独で、たきなはジンとペアで動け」
「私も先生も技量的に別行動で問題ないかと」
「技量の問題ではない。リコリスの監視もなく外部の殺し屋のみで仕事をさせるわけにはいかないという話だ。千束の補助はミカがやるから、たきなはジンと組んでおけ。……こりすさんは、どうか安全な場所にいてください。あなたの身に何かあると困りますので」
……楠木司令は本当に何がしたいのでしょうね。
たきなさん単独で手柄をあげさせるのは駄目なのに、千束さんやジンさんと手柄を分け合うのは構わない、と。
本当に人手不足ならリリウムの投入を躊躇するほど愚かではないと思いますし……やはり情報が不足している現状で考えても分かりません。
ですからせめて、少しでも私に都合が良くなるように立ち回りましょう。
「そういうことでしたら、ワタクシはVロボで千束さんのお手伝いをいたしますわね」
「いえ、DAの業務はリコリスが担うべきですから」
「朱雁こりすは正式にリコリス登録されたファースト・リコリスでしてよ」
「それは……」
「決まりですわね! さあ千束さん、たきなさんはジンさんに託して、ワタクシと二人で仲良く楽しくお仕事ですわよ!」
「楠木さーん、チェンジで!」
「……チェンジはなしだ。自分で言った役目を果たせ」
こうして千束さんの相棒の座を手にした私は、たきなさんに向けて優雅に微笑みました。
「……」
たきなさんは一瞬だけ不愉快そうに目を細めましたが、師を見習ったのか何も言ってきませんでした。
その調子で指を咥えて私と千束さんの活躍を見ていなさい!
そして嫉妬心に気を散らして、文字通り致命的な失敗でもしてしまえばいいのです!
◯
感染症流行によるDAの業務停止は上層部のリコリス廃止派を勢いづかせた。
体調不良とは無縁で二十四時間働ける機械人形の方が生身の人間よりも優秀であるという主張は否定し難い。
配膳をロボットに任せてアルバイトの人間を削減する飲食店が増えつつあるように、リコリスの役割も人から機械に譲り渡すのが正しい時代の流れなのかもしれない。
それでもリコリスの一斉処分を懸念する楠木は、機械よりも人間がリコリスを行うべき理由を、行うことによる利点を示そうとした。
リリウムとリコリスを差別化する絶対的な違いとは何か。
それは個体差が生じるかという点にある。
量産品であるリリウムは全て同じ性能しか発揮できない。
対してリコリスであれば極端に上振れした天才が生まれる可能性が存在する。
その天才が一騎で千のリリウムに相当する働きを見せられるとすれば、リリウムで対処する場合は多数を投入して派手な抗争を引き起こすしかない状況であっても、DAの方針を守り世間に察知されることなく静かに脅威を消せるだろう。
そんな主張に説得力を持たせるために必要なものこそが、DAが誇る切り札……錦木千束の活躍だ。
他のリコリスが動けない苦境に追い込まれても、錦木千束さえ動けばこの国の平穏は守られるのだと、実際の成果をもって証明する。
それこそが上層部に知られないようにわざわざ直接リコリコに赴いて任務を伝えた楠木の目論見であり、DAが失敗の責任を押し付けて追い出した井ノ上たきなに千束の手柄を奪われたくない理由であった。
「……大丈夫でしょうか。いくら錦木千束でも、ひとりで本部の管轄地域全体を単独で守り抜けるとは思えません」
DAの指揮所にて、楠木の隣に立つ秘書の女性が不安を吐露した。
「千束の移動にはヘリを使わせる。空路で最短距離を行けば移動時間はそれほどかからない。場合によってはパラシュート降下も考慮する。それでも同時多発で間に合わない場合はたきなとサイレント・ジンの出番だ」
DAは迅速な人員輸送手段としてヘリや救急車の運用も許可されている。
それらを最大限活用すれば普段のように近くにいるリコリスを動かした場合と大差ない時間で現場に千束を送り込める。
むしろ心配なのはラジアータによる脅威の捕捉が遅れることだ。
「現場の人員については心配しなくていい。自分たちの仕事に全力を尽くせ。総員、小悪党の一匹も見逃すな!」
楠木に檄を飛ばされたDA職員たちが「はっ!」と返事を揃え、それぞれの情報制御端末を凝視してラジアータから脅威の発見報告が届くのを待つ。
そして一時間が経ち……一日が経ち……一週間が経ち……ラジアータからの通知よりも前に、DAの医官からの報告が届いた。
「……リコリスに蔓延していた感染症は完全に終息したとのことだ。よって本日よりリコリスを通常通りの運用に復帰させるものとする」
強盗、通り魔、テロリスト……普段であれば虫のように際限なく湧き出る悪党たちも、自分の目的を達成するために犯行のタイミングを見計らう程度の知性はあるのだ。
大量の麻薬組織が入り込み、リコリスのみでは手が回らず危険性の低い標的の対処を警察に任せたことにより、普段は表向きの犯罪率の低さで緩みきっていた警察官たちの纏う雰囲気が剣呑なものに変わり、その変化を感じ取った悪党たちはしばらく息を潜めていた。
その結果、皮肉にもこの一週間はリコリスの働きがなくても本当に犯罪が発生しない真の平和が実現されていたのである。
◯
「納得いきませんわ! ラジアータが壊れていたのではなくて!?」
「ないない、単に平和だったってだけでしょ」
私の憤りを雑にあしらって、千束さんがリコリコで即応待機していた皆さんに宣言します。
「本日より喫茶リコリコは通常営業に戻りま〜す!」
この一週間、店長急病という名目で喫茶店業務を休業とし、千束さんが主導するDAを通さないみんなのためのリコリス業務も新規依頼の受け付けを止めていました。
「んで最初の仕事は〜、実はもう決まってます!」
そう言いながら千束さんが取り出したのは、『ちさとおねえちゃんたちのげきがみたいです』と線の歪んだ拙い文字で書かれた手紙でした。
「なんかね、授業で保育園のちびっ子たちに劇を見せてあげるはずだった小学校の子たちが風邪で来れなくなっちゃったんだって。それで劇団リコリコにオファーがきました! 拍手!」
私とたきなさんから疎らな拍手が千束さんに飛びます。
ミズキさん、クルミさん、ジンさんが拍手をしないのはイメージ通りですけど、ミカさんが拍手をしないのは意外です。
「千束……」
ミカさんが険しい顔で千束さんに問いかけました。
「ん? なぁに先生、予定が空いたらでいいって言われてるから、練習期間の心配はいらないよ?」
「いやそこじゃなくてだな……泣かれると、思うか?」
「えっ…………………………ぁ」
千束さんが何かを察して小さな声を漏らしたのと同時に、私もミカさんの懸念を理解しました。
背の高い屈強な色黒男性であるミカさんは、間違いなく前に立っただけで幼子を泣かせてしまいます。
「……千束。保育園ならミズキさんも出さない方がいいと思います。その……お酒の臭いが」
「ジンも駄目だろ。喋んないやつに劇なんてできるか」
たきなさんとクルミさんから指摘を受けて本人含め誰も反論できなかったので、ミズキさんとジンさんも劇に出せなくなりました。
「そうなりますと劇に出られるのはワタクシと千束さん、たきなさん、クルミさんの四人だけですわね」
「これ劇やれるか?」
ひとりでいくつかの役を兼ねるとしても、ひとつの場面に存在できるのは四人までとなると、かなり厳しい制限です。
「まぁ……うん……小学校の子たちがやろうとしてたやつは無理になっちゃったけど、登場人物の少ない話ならなんとか」
「ちなみに、本当は何をやる予定だったんですか?」
「桃太郎。みんな知ってるでしょ?」
題名はどこかで聞いたような気もしますが、私は内容を知りません。
「知りませんわ。どんなお話ですの?」
「千束、私も……」
手を挙げたのは私以外にたきなさんだけでした。
「えっ、嘘!? たきな知らない?」
「外国人のこりすはともかく、たきなまで知らないのか? やっぱリコリスの知識は偏るな」
たきなさん……と言うよりも一般的なリコリスの知識の偏りに興味を持った様子のクルミさんは、端末の読み上げ機能で桃太郎を聞かせてくれました。
……なかなか狂ったお話ですね。
「知りませんでした。人って桃から生まれるんですね」
「いやたきなこれ作り話だから」
「おい待てあんたこれ誰におばあさん役やらせるつもりだった?」
「そりゃリコリコの女性で最年長のミズキに決まってんじゃん。酒臭くなきゃな〜」
ミズキさんと千束さんの言い争いを眺めながら、私は現状を整理します。
桃太郎の劇を行うために必要な最低限の登場人物は、おじいさん、おばあさん、桃太郎、犬、猿、雉、鬼の七役です。
通常であれば登場場面が被らない役を誰かが兼ねれば済む話ですが、今回は観客である幼子たちを混乱させないために避けたいそうです。
おじいさんとおばあさんが鬼になった、と勘違いさせたら英雄譚が一転して悲劇となってしまいますので、私もそうするべきだと思います。
「それで、どうすんだ千束? 四人でできる話に変更するなら僕が見繕ってやるが?」
「う〜ん……既に桃太郎やるって子供たちに予告しちゃったみたいだし、できれば変えたくないけど……」
千束さんには悪いですが、今の私はどこの誰の子とも知らない子供たちのために過大な労力をかけてあげられる気分ではありません。
演目を変えることに賛成を……と考えたところで、ふと気付きました。
この桃太郎という物語を上手に利用すれば、この一週間で膨れ上がった私の欲求を解消できます!
「護衛隊!」
私が虚空に向けて叫ぶと、ステルスで姿を隠して天井に張り付き私を見守っていた護衛隊の三人が飛び降りてきました。
「誰!?」
「うわぁ! なんだこいつら!? どっから出てきた!?」
「……!?」
たきなさん、クルミさん、ジンさんの三人は私の護衛隊と面識がなく、彼らがいつも私の近くに控えていることも知らなかったため、酷く驚いた様子です。
裏社会で長く生き延びているジンさんは気付いているかもと思っていましたけど、護衛隊の三人は思ったよりしっかり隠れられていたようですね。
……ドーピングの影響で頭が残念なことになっていても、気配断ちのように獣が本能的に扱う技能の類は習得できるのですなら不思議です。
「あっ、あんぽんたんトリオ。久しぶりに見た……」
「そういやいたわねこんな連中……」
護衛らしく黒スーツを着込んだ人間を三人も付き従わせていると目立って仕方がないので、普段は常に隠れるよう言いつけていますから、千束さんやミズキさんも護衛隊の姿を見るのは数年ぶりでしょう。
「ちょうど三人、か。まさか、彼らに代わりを?」
「さすがミカさん、その通りですわ。ただし、その代価として配役の決定権はワタクシに委ねていただきますわ」
「……それだけでいいの? ほんとに?」
千束さんは私がさらなる要求をするのではと疑っているようですけど、今回は嘘偽りなく配役の決定権だけが目的です。
「本当ですわ。口約束で不安なら、書面で契約を交わしても構いませんわよ」
「いや、そこまでしなくていいけど……」
「なんだお前、そこまでして主役やりたいのか?」
訝しむクルミさんに、私は笑顔で答えます。
「いいえ。桃太郎の役は千束さんにお任せしますわ。そしてワタクシは……犬になりますわ!」
◯
多くの子供たちが見守る中、舞台の幕が開かれた。
『むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました』
機械音声によるナレーションと同時に、おじいさん役の長髪少年アンドリューとおばあさん役の金髪日焼け少女タンドリーが登場した。
台詞を覚えられない二人はこりすの厳命に従って無言でたたずんでいる。
はっきり言ってどちらかジンにやらせても変わらなかった。
『おじいさんとおばあさんは足腰が悪いので、通販で食べ物を買っていました』
本来であれば芝刈りや洗濯に行ってもらうべき場面だが、脳筋たちが下手に演技をしようとすると動きを思い出すことに気を取られて力加減を誤り、風圧で子供に怪我をさせる危険があるということで、動かずに済むように内容を改変したのだ。
『ある日、おじいさんとおばあさんの家に、通販で注文した巨大な桃が届きました』
「お届け物でーす!」
巨大な桃を載せた台車を押して現れた千束が明るく元気に挨拶をした。
『桃を届けてくれたこの男の子の名前は桃太郎。桃農家に生まれた桃太郎です』
今回の劇において桃から生まれた桃太郎は残念ながら存在しない。
人は桃から生まれないと千束から教えられたたきなが、子供たちに間違ったことを教えてはならないと言って譲らなかったのだ。
「くんくん……あれー!? なんかいい匂いがすると思ったら、そこにあるのはできたてほやほやのきび団子じゃないかー!?」
千束の演技はかなりわざとらしかった。
「おいしそうだなー! 羨ましいなー!」
『桃太郎はわかりやすくきび団子を欲しがりました』
「いっぱいあるなー!」
「……」
「ちょっとだけ味見したいなー!」
「……」
「あのー……駄目?」
『おじいさんとおばあさんはしつこくおねだりしてくる桃太郎からきび団子を守り抜きました』
「しゃあねぇ! 自分で買いに行くぜ!」
『配達の仕事を終わらせた桃太郎は、自分のお小遣いできび団子を買いました』
場面が変わり、おじいさんとおばあさんが舞台裏に引っ込んだ。
この先、二人の出番はない。
「えーんえーん、きび団子を買ったらお小遣いがなくなっちゃったよー!」
きび団子の入った袋を持った千束がその場で足踏みをして、ふと何も無い空中を指差して立ち止まった。
「あっ! 警察からのお知らせが貼ってある! 鬼ヶ島に住んでる悪〜い鬼を捕まえたら、なんと賞金一万円も貰えるんだって! すごーい!」
やっす、と言ってる本人は思ったが、幼い子供にとっては毎年のお年玉としてようやく貰えるかどうかという大金である。
『こうして、桃太郎はお小遣いのために鬼退治に行くことにしました』
正義の味方らしからぬ酷い理由だが、この展開に反対したのは千束だけだった。
こりすは劇の整合性に関心がなく、クルミは義憤で命をかけるよりもずっと理解できると言って聞かない。
そしてたきなは「原作の流れだと一般人が勝手に悪者を判別して暴力を振るっていいと子供たちに勘違いさせてしまう恐れがあります。警察のお墨付きは必要です」と理詰めで千束を黙らせたのだ。
『鬼ヶ島に向かう途中、一匹の犬が桃太郎に声をかけてきました』
「わんわん! なんだかおいしそうな匂いがしますわん!」
犬役のこりすが四つん這いで登場した。
こりすは犬耳のカチューシャを装着しているだけで、四肢を犬型に換装したり尻尾を変なところから生やしたりといった変なことはしていない。
本当は神経レベルで耳や尾を接続する手術を検討していたのだが、千束に「ひとりだけクオリティ高いと他が浮くだろ! いい加減にしろ!」と怒られて断念したのだ。
「それはきっと、このきび団子の匂いだね。欲しいの?」
「欲しいですわん! 貰えたらあなたのペットになりますわん!」
お供と言うべきところで間違えてペットと言ったこりすに千束は眉をひそめた。
しかし訂正しなくても話の流れに大きな影響はないため、中断せずに進行する。
「わかった! きび団子をあげよう! はいどうぞ!」
『こうして、きび団子を貰った犬は桃太郎のペットになりました』
こりすが千束から受け取ったきび団子ぬいぐるみを懐にしまい、代わりに取り出した首輪とリードを千束に手渡した。
「えっ、ちょっ、何これ」
『良い子のみんな。おうちの外でペットの犬を連れ歩く時は、犬が迷子にならないように、首輪とリードを忘れずに着けましょう』
ちなみにナレーションの内容を入力したのはこりすで、彼女の裏工作により練習と本番とで内容が差し替えられている。
「さあ飼い主さん! あなたのペットに首輪を着けてくださいまし! わん!」
「貴様これが目的か!」
実家が先祖代々狐の紋章を受け継いできたのでイヌ科の動物には思い入れがあるのだと言ってこりすは皆を騙していた。
実際に狐の神を祀る神社を購入して維持している実績があったために一応納得していた千束だが、ここにきてやっとこりすの真意に気付いた。
「ペットの放し飼いは危険だと子供たちに教えるためですわん。早くしないと次のナレーションが始まってしまいますわん」
こりすと小声で少しだけ言い争った千束は、劇を中断しないために観念してこりすの首に首輪を着けた。
「わふぅ……わおおおおおん!」
「こら吠えるな!」
このベルト式の首輪はこりすが自作した特別な一品で、金具の固定用の穴が一箇所しかなく、そこで締めると程よく苦しくて気持ち良くなるように調整されている。
「はっ、はっ、はっ」
待ち望んでいた快楽に満たされたこりすの口は緩み、本物の犬のように舌をだらしなく垂らして息を荒げ、口の端から唾液を雨雫のように床へと落としている。
ついでに下半身の方でも垂らしているものがあるのだが、そちらはこっそりおむつを穿いてきたので誰にもばれていない。
『犬のリードをしっかり握った桃太郎は、再び鬼ヶ島に向かって歩き出しました』
「あぉおん!」
その場で足踏みするだけの千束と違い、こりすは舞台裏の方へと普通に駆け出して、ぴんと張ったリードによって止められた。
「わふっ! わっふぅ〜〜〜〜〜!」
『元気な犬が走って桃太郎を置き去りにしそうになりましたが、首輪があるので大丈夫です。犬には首輪、忘れないでね!』
「やかましいわ」
千束の文句は子供たちの「は〜い!」という元気な返事でかき消された。
そこから先の展開は特に改変されることなく進んだ。
「わー、なんておいしそうなきび団子ー。それをくれたら、あなたのお供になりますよー」
猿役のたきなは台詞が棒読みだが、内容は台本に忠実で何も問題なかった。
「おい、お供になってやるから僕にもそのきび団子よこせ」
雉役のクルミは少しだけ台詞を改変して普段通りの口調で話していたが、展開上の問題はなかった。
「はっ、はっ、はっ……あおぉん! わおおおおおん!」
こりすはひたすら吠えていたが、うるさいだけでそれ以上の余計なことはしなかった。
なお、子供たちは「あの犬のおねえちゃん、本物のわんちゃんみたい!」とこりすの真に迫った犬の真似を喜んでいた。
『犬、猿、雉を仲間に加えた桃太郎は、いよいよ鬼ヶ島に到着しました』
そうこうしている内に劇は終盤となった。
『頭から立派な角を生やした大きな鬼が、桃太郎たちを迎え撃ちました』
鬼役のポンジョルノは頭に逆さまにしたソフトクリームのコーンを乗せて角にしている。
ポンジョルノは髪がないのでコーンの接着がとてもやりやすかった。
「ゔ〜〜……わん! わん! 止まれ!」
『まず、桃太郎のペットの犬が力いっぱい吠えました。びっくりした鬼の動きが止まりました』
舞台の端からゆっくりと桃太郎たちに向かって歩いてきていたポンジョルノが、吠え声に混ぜてこりすが母国語で叫んだ停止命令に従ってその場で動きを止めた。
『その隙に猿と雉の応援を背に受けた桃太郎が鬼に迫り、鬼の弱点である角を思いっきり叩きました』
「桃太郎さーん、頑張ってー」
「いけ桃太郎! そこだ!」
「うおりゃあ! 愛と正義の……桃太郎パーンチ!」
千束の拳がポンジョルノの頭の上のコーンを粉砕した。
「わん! わん! 跪け!」
同時に、こりすが跪くようポンジョルノに命令した。
『角を壊された鬼はたまらず降参しました』
「よっしゃあ! 世界の平和は……この桃太郎に、お任せあれぇ!」
『こうして、悪い鬼を倒した桃太郎は、警察から貰った賞金で、いっぱいきび団子を……』
「待って!」
ナレーションが話を終わらせようとしたその瞬間、これまで静かに劇を見ていた子供たちが突然声をあげ始めた。
「まだ倒せてないよ! 鬼の弱点は角じゃないもん!」
「騙されちゃ駄目!」
「お兄ちゃんが言ってた! 鬼は首を斬らないと倒せないんだよ!」
幼い子供が急に昔のこりすみたいな物騒なことを言い出すものだから、千束は酷く困惑した。
「いやいや、そんな酷いことしなくても、桃太郎がちゃんと鬼を倒したから大丈夫だよ!」
「大丈夫じゃないんだってば!」
「首を斬って!」
千束が何を言い聞かせても子供たちからのブーイングは止まらない。
「……ちょっと作戦会議するから待ってて!」
仕方なく千束たちは舞台裏に隠れて状況を整理する。
「おいこりす! 子供たちに変なこと教えたのお前だろ!」
「違いますわ。ワタクシ、あの子たちとはお話したことありませんわ」
「じゃあ何で急に首斬れとか言い出すんだよ!」
千束はこりすを疑うが、今回ばかりは完全に冤罪だ。
「……一応聞くけど、たきなも変なこと教えてないよね?」
実は以前、たきなが喫茶リコリコ送りとなって間もない頃、彼女はこの保育園で人体破壊の急所術講座を開いたことがあったのだ。
「確かに首は急所ですけど、素人におすすめなんてしませんよ。細くて狙いをつけにくいので」
「……とりあえず、たきなの影響じゃないのは分かった」
そうなると子供たちはどこで変なことを覚えてきたのだろうかと千束が頭を悩ませていると、ネットで調べていたクルミが答えを発見してくれた。
「あ、分かったぞ千束。たぶんこの映画の影響だ」
クルミが画面に映したそれは漫画原作のアニメーション映画だ。
「鬼退治が題材の話で、なんか今めちゃくちゃ流行ってるみたいだな。映画好きのくせに千束は知らなかったのか?」
「私も新作映画全部観れるわけじゃないからなぁ……」
映画好きの千束もずっと映画館に入り浸ってはいられないのだから、見逃しはいくらでもあるのだ。
「とりあえず簡単に説明すると、この映画に出てくる鬼を倒す方法は、太陽の光を浴びせるか特別な刀で首を斬るかの二つしかないみたいだ」
「それでか……世の中何が流行るか分かんないもんだね」
うんざりした様子の千束がこりすに視線を送った。
「あら、やっと世間がワタクシに追いつきましたのね。ワタクシはもう既にその先へと進みましたのに」
こりすは得意げに自分の首輪を撫でた。
「……それで、どうするんですか? 斬りますか? 首」
「いや保育園でそれはまずいだろ。ふつーこういう子供向けの劇って悪者が改心して終わりじゃない? どうにかそっち方面にできない? その映画いい鬼とかいないの?」
「いないこともないが……基本的に悪いことした奴は命で償えって方向性の話だから、殺さない展開で子供たちを納得させるのは難しいと思うぞ」
自分の信条と真逆の風潮が保育園の子供たちにまで浸透していると知り、千束は何も言えなくなった。
「でしたら、ひと思いにやってしまう他ありませんわね。ステルス装置の設定で首から下だけ消えて見えるようにできますわ。ワタクシが遠隔操作しますので、千束さんは手刀を振り抜く演技だけしてくださいまし」
「もうそれしかないな。あまり持たせると子供たちが騒ぐ」
「行きますよ千束」
「…………………………わかった」
それから桃太郎は犬のリードによる拘束を引き千切って襲いかかってきた鬼の首を飛ばして見事に返り討ちにした。
かくして、劇団リコリコの保育園公演は拍手喝采の中で幕を閉じた。
◯
公演を終えた劇団リコリコは現地解散となり、クルミは喫茶リコリコへ、こりすは首輪を外さないまま軽やかな足取りで神社へと戻って行った。
「いつまで落ち込んでるんです? 本当に殺したわけじゃないんだから、そんなに気にしなくても……」
同棲継続中の千束とたきなは一緒に帰路についていた。
「いやぁ……別に千束さんも現実との区別くらいつけてるよ? つけてる、けどさぁ……」
言葉を濁す千束に対して、たきなは容赦なく踏み込む。
「けどなんですか? はっきり言ってください」
たきならしい率直な態度に苦笑しながら、千束は観念して心の内を明かす。
「あんな小さな子たちがさ、悪者を殺すのが正しいことだって思ってるなら……アラン機関の人が私に人殺しをさせたいって思っててもおかしくないのかなって」
千束は周囲を見回して通行人や監視カメラなど他者の目がないことを確認し、背負っている鞄から愛用の拳銃を取り出した。
「たきなには言ったっけ? これ、私を助けてくれた人からプレゼントで貰ったの」
千束の隣で半年近く過ごしてきたたきなは、この短い会話だけで千束の不安を理解した。
千束は自分の命を救ってくれたアラン機関の人に憧れて、リコリスでありながら人の命を奪わない困難で奇特な道を歩むようになった。
しかし千束の救世主が今回劇を見せた子供たちのように悪者は殺すべきだと思っていたのであれば、千束がこれまでしてきたことは救世主への裏切りとなってしまう。
「……ねえ、たきな。私、間違ってたのかな」
表情は笑顔なのに今にも泣きそうな千束を見てしまったたきなは、咄嗟に千束を抱き締めた。
「わっ!? ちょっ……たきな?」
「…………………………すみません。なんか、つい」
しばらく無言で千束を強く抱き締めていたたきなが千束を解放する。
互いに顔を赤くした二人はしばらく気まずそうに目を逸らしていたが、やがてたきなから先に口を開いた。
「えっと……その……私はアラン機関の人の考えは分かりませんけど……今の千束が好……じゃなくて、間違いとは言えないと思います。だって、そうじゃなかったら今頃こりすさんも先生もリコリコにいなかったはずですから」
先程の劇におけるこりすの奇行を思い浮かべて千束は顔を歪めた。
「……ジンはともかく、こりすはちゃんとシメといた方が良くなかった?」
千束から滲み出たこりすへの生理的嫌悪感にたきなは苦笑する。
「喜ぶだけですよ」
たきなにつられて千束も苦笑する。
「あ〜、そうかも」
それから顔を見合わせた二人はどちらからともなく笑い出した。
「ていうかさ、あのツルツルマッチョがありなら鬼役先生でも大丈夫だったよね」
「ですね。何も言わずに立っているだけなら先生がおじいさん役でも問題なかったはずです」
「酔っ払いは?」
「無理ですね。どう言い訳しても無理です」
「ぶっは! だよね!」
「同じく子供たちの教育に悪いという理由でこりすさんも出すべきではなかったかと」
「それな。やっばいよねあいつ……そういえば前にもこりすが人間やめたことあってさ、ハロウィンの時の話なんだけど……」
二人のお喋りは際限なく盛り上がり、家に到着しても止まらず、夕食中も止まらず、入浴中も止まらず、ついにはひとつのベッドに二人並んで横になり、夜が明けるまで話し続けることになる。
この日以降、千束とたきなはひとつのベッドで一緒に眠るようになるのだが……千束の手を模した浮遊する義手で、自分の首輪に繋げたリードを引っ張り、四つん這いで神社の広い境内を歩き回るという、無様で罰当たりなひとりお散歩に夢中のこりすはそのことに気付けなかった。
次の話は現時点で半分ほどの進捗なので、今月中に出せるように努力します。