「……もしもし、カヨコ?私だよ」
「……その節は、本当にご迷惑をおかけしました……私も迂闊だったよ。知らないうちにアカウントを乗っ取られているなんて思わなかったんだ……うん、以後気を付けるよ」
「うん──聞こえる、皆?皆が空港から持ち帰ったパソコンの解析が終わったよ。……いや、やったのは私じゃないけど、知り合いに得意な子がいてさ。状態は最悪だったけど、それでもいくつかの文書を復元できた。そしたらすごいもの見つけちゃって。上にまわせば昇進確実だね」
「あのディスクの中身、皆が言っていた通り
「これには数人の被験者が絡んでる。DAが身体に及ぼす影響が記録されていたんだ。ネオ・チャレンジャー基地でスペクトルが要求していたのも納得だよ。ディスクが見れなければ迂闊に使えない、だから基地で人体実験をしていたんだ」
「……うん、DAの技術情報なんてどこにもなかった──やっぱり初めから利用されてたんだよ。結果論になるけど、仮にブラックスターがディスクの中身を知ったとしても、何の役にも立たなかっただろうね。既にDAを持っている人にしか──」
「……うん……そうだね。つまりアスにとっては手に入れる価値があったんだ。やっぱりアスは……」
「そうだ、実は私、歴史学に通じた知り合いがいるんだ。その子にも聞いたら調べてくれたんだけど、どうもDAと似た兵器が大昔にもあったみたいなんだ。その時も大勢犠牲が出たみたい。確か──サンクトゥム防衛戦争。大昔の事だから、ほとんど神話みたいなものだけどね」
「え?オアが同じ事を?うーん……分からないけど、もう一つも伝えておくよ」
「外とのやり取りが一部復元できたんだ。CLGに向けて書かれたものだと思うけど読んでみるね──この研究成果は、きっと貴社の望みを叶えるために力を貸してくれるだろう。そして我々にとっても、大きな意味を持つ。これは今は極めて不完全であるが、いずれ完全となれば世界は大きく進歩するだろう。しかし今の方が、貴社の望みを叶えるために都合が良い。神秘を破壊する術も、元をたどれば異界の技術である。我々はこの技術を進化させて、いずれ来る異界からの脅威を退けるのだ。私は消えることにする。これを狙って様々な魔の手が忍び寄ってくるだろうが、実りのある結果となることを祈る。差出人──ERTCEPS」