うれしかったです。
ママに近況報告して時間をつぶしてるとメイドが食事の用意ができたとやってきたため一緒に食堂まで向かう。
伯爵家として人を呼んでパーティもできる食堂は、家族の食事で使うには滅茶苦茶広い。パーティによっては社交ダンスやるからねここ。
そんな馬鹿でかい食堂の中央に長細いテーブルがあり、テーブルの上のシャンデリア1台のみが灯りを灯す。テーブルの周りと扉までの動線に等間隔に燭台が立ち灯りを補強している。
これが家族で夕飯を食べる時の食堂の様子なんだけど……もうね!暗い!
悪役貴族が悪巧みしてる時の食事風景みたいな感じになるんだよね。
昔は「流石暗部チックな家系だけあって雰囲気大事にするなあ」ってテンション上がってたんだけど、ただ単にパパがくそでか食堂のシャンデリアを全部付けさせる使用人の負担を減らしてるだけらしい。うーん余りにも名君。
ちなみにこの暗部食事風景、妹弟たち昔怖がってたなあ。なんならママも文句言ってたし。まあマジで暗いからね。ワンチャン末っ子のマコラちゃんとかまだ怖いんじゃないか?
そんな昔の食堂の思い出を懐かしみながら食堂に入った。
「お姉さま!」「マヌーラ姉!」
「おー愛しの妹たちよ!お姉ちゃんだよ!」
ルナティック家の次女リリーナちゃんと三女のマコラちゃんが私に抱きついてくる。
うぇふぇふぇ♡リリーナちゃんはもう大人やねー♡マコラたんもうっすらとふくらみを感じるお♡これは姉として成長具合の確認を………っと!立ち去れ煩悩!妹たちは不味いって!両親に殺された挙句、家の敷地踏めなくなる気がする!
「お久しぶりです。姉上」
「ライマも久しぶり、元気してた?あっ!身長ちょっと伸びたんじゃない!?」
弟のライマが微笑みながら挨拶して来た。
おーイケメンになってきたなー、流石パパとママの血。天使も裸足で逃げ出すような美しいショタだった頃から正当進化してるなあ。…ちょっと寂しいかも。
「ぬ、皆揃っているな。では食事にしよう。」
廊下からパパが合流し、ルナティック家の家族団欒の夕食が始まった。
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「お姉さまったらひどいですわ。2年間も顔を出さないなんて。わたくし寂しかったですわ。」
「ゴメンねーここ最近本懐の研究がイイ感じでさー。つい没頭しちゃってたよ。」
「リリーナとライマは学院どんな感じ?楽しい?」
「そうですわね。今年で16になり、成人として学院を卒業していく立場になりましたけど、この6年間本当に楽しい事ばかりでしたわ!」
「はい、優秀な学友が多く日々良い刺激を受ける毎日で、とても楽しいです。」
妹弟の学校について幾つか世間話をする。私の母校でもあるエウロパ学院の話を聞いていると学生時代を思い出すなあ。
「そっかー。楽しくていいねえ。私もあんまり急ぎ過ぎずに学院生活もっと楽しめばよかったかな。」
あの頃の私は早く錬金術師になりたいって気持ちでいっぱいだったから、勉強!女!錬金術!って感じだったなあ。
「…お姉さまは規格外ですから、仕方がないと思いますわ。」
「姉上は今でも伝説ですよ。学院を飛び級して2年で卒業なんて。自分も弟として続く事が出来なかった事は恥に思いますが…」
「いやいや勉強なんて人のペースでいいんだからそんな気にしちゃダメだよ。ライマ。早く卒業しても2人みたいに楽しい思い出が少なくなるだけだって。」
楽しい思い出…楽しい思い出…うーん、あっ!当時イケイケだったタバルニ君が私の
あの頃は錬金術勉強中だったから効果が続き過ぎてうっかりそのまま消えちゃったんだけど。元気にしてるかなタバルニ=ジェーミン君。恥ずかしがらずに消える前に来てくれれば何とかなったかもしれないのに。
「………皆ばっかりズルい。またマコラだけ仲間はずれ。」
そう呟いて末っ子のマコラちゃんが顔を俯かせる。
「あっ!ご、ゴメンねマコラ。わたくしたちばかり話してしまって。」
「す、すまない!マコラ。お前も後2年したら学院に行けるからな。そう落ち込むな。」
学院という私たちのだけの共通の話題で盛り上がってしまってマコラちゃんが拗ねちゃった。かわいい。
「マコラちゃんは今8歳だっけ。魔法適正はもうわかった?」
「あっ!お姉さまそれは…」「姉上今は待っ…」
「………水」
「へー、いいね。おばあ様といっし「全然良くない!」」
ガシャンとテーブルを叩いて怒るマコラちゃん。えっ地雷踏んだ感じ?
「おっ落ち着いてマコラちゃん。皆みてるから。」
「私だけ水の特性で家族みんなと違うんだもん!お父様みたいに立派な精神監査官にも、お母様みたいな宮廷魔法隊の隊長にも、マヌーラ姉みたいな錬金術師にもなれないもん!」
まさかマコラちゃんが魔法特性コンプレックスだったとは。この世界だとどうしようもないことだからなあ魔法特性で出来ることっていうのは。
前世では素人童貞だったが、今世では自分の美貌に自信ありのレディキラー。可愛い妹のコンプレックスくらい軽ーく解消してみせますよ。
「マコラちゃん。あのね精神監査官も宮廷魔法隊も錬金術師も人間の生活には極論必要ないんだよ。」
「っ!そんなことないよ!全部人の役に立つ凄い職業だもん!」
「でも人が健康だったら精神監査官も錬金術師も要らないし、人が争ったりしなければ宮廷魔法隊も精神監査官も要らない。」
「そうだけど!現実はそうじゃないじゃん!それが水の魔法特性とどう関係するの!」
「水っていうのはね人間の基本なんだ。人が健康でも必要だし争わなくても必要なもの。もしルナティック家の水の供給が止まったら、マコラちゃんが頼りになる。」
「…私が頼りに?」
「そう!ありがとう!マコラちゃんのおかげで今日も生きていけるわ!ってね。」
「それになりたいなら宮廷魔法隊にはなれると思うよ。」
「…噓だぁ。水魔法って火力低いよ。敵なんか倒せっこないもん」
「いやいや、水をぎゅってすれば氷になるし氷漬けにしたり串刺しにしたりできるって。」
「顔に水を貼り続ければ生物なんて簡単に無力化できるし。他にはうーんと生き物なんて全部水分があるからそれを操るとか?いや魔法抵抗でふつうに無理だな。」
「ん!?そういえば脱水症状って光魔法で治せるけどなんでだ!?水魔法で解消した時とどう違うんだ!?えっめっちゃ気になる。後で調べてみよう。資料がなかったらマコラちゃんとスパイ使って共同実験だな。また
水魔法の攻撃方法を考え出した辺りから周囲がぎょっとしている感じがしたが、皆の沈黙を破ってマコラちゃんが笑い出した。
「ふふ、あはははは。」
「あっ!ゴメン。マコラちゃん、つい思考がそれちゃった。」
「ありがとう。マヌーラ姉。私も水魔法好きになって出来ること色々考えてみるね!」
ふう何とかマコラちゃんを元気づけることができたぞ。
「…マコラ。魔法特性が違っても我々は家族だ。お前の好きなように生きなさい。」
「そうよマコラちゃん。あんまり悩みをため込まないようにね。」
「うん!ありがとう。お父様、お母様。」
フッ、家族、使用人からの尊敬レベルがギュンギュン回復しているのを感じるぜ。流石お姉さま、さすおねって感じでなあ。