死んでも治らぬ努力嫌い男の異世界世渡り記 作:テムテムLvMAX
あっこのゲーム楽しいから頑張ろ……
ハッ!?
という感じの物語です
よくおばぁが言っていた、“努力は必ず誰かが見ている”と……そんな言葉を俺は信じたことがなかった。
世の中上手くやった者勝ち、世渡り上手なら努力なんてものは必要ない、真面目に努力を重ねるだけ無駄だ。
だから俺はおばぁの言葉を信じない、俺は上手くやる、いつ報われるか分からない努力より今楽しくなれる上手いやり方で生きていくのさ、おばぁのことを尊敬しているが……あの言葉だけは信用できない。
たとえそれが異世界であっても変わらない。
……俺はとある事情があって、事故に遭い死んでしまったが、なんと目が覚めたらまるで違う世界で目が覚めた、それも幼い姿でだ、何が起きたか分からなかったが、次第にこれはチャンスだと思うようになった、生憎前世の俺は上手くやれずに死んでしまったが……この世界、異世界で1からやり直す!
そんな俺、今、十五歳、この世界では大人と呼んで差し支えない年齢、幼少期はただ大人しく怒られないようにそれなりに過ごしていれば良かったが、これからは違う、俺は上手くやって成り上がる、この異世界で。
俺の住む国は前世基準で言う古い支配体制が現役で仕事している、封建制と議会制をごちゃ混ぜにしたような俺から見れば様子のおかしい制度で成り立っている、法律も大雑把で文化レベルも遅れていると言って良いだろう、ただ魔法と言う物がある、これは携帯や銃なんて比じゃないほど便利で危険だ、それさえ気を付けていれば、どこにでも成り上がる隙がある。
見せてやるぜ、俺の最強の世渡り術を……!
「何やってんのロミア? 一人で壁にガッツポーズしちゃってさ」
「う……気にするな、将来の計画があまりにも上手く行き過ぎて嬉しくなっただけだが」
「あったまおかしー、じゃあ私水汲んでくるけど」
「おい一人で行くのか、俺も手伝う」
「あんがとー」
とんだ邪魔が入ったな……華々しい未来の妄想中に……。
彼女の名前はアルミス、俺が住む村の一員で隣家の一人娘、同い年の十五歳だが長めの金髪を雑に束ねて穴の開いたワンピースでも構わず着ている、身なりを気にする年頃なのにそういう面を俺は見たことがない、村の中でも評判の働き者だからと言えば一定の納得はできる、俺の嫌いな努力を好き好んでやるタイプだ。
彼女は村の皆に好かれている、対して努力嫌いな俺は除け者にされている、そういう噂を聞いた訳では無いが肌で感じる物があるだろう?
それはいいとして、彼女と俺はもう十年来の付き合いか、5歳の頃に転んだ彼女を助けて以来の馴染みだ。
彼女が水汲みに向かうので、俺も同行する、女一人にやらせるような量じゃない、一家が消費する3日分の水を汲むんだ、昔からのよしみで重労働になる部分を手伝う事が多々ある、一人より二人、簡単な計算だな、これが上手くやるってことよ。
「ねぇさっき言ってた未来の計画って何?」
「上手くやって大儲けする計画だ」
「……つまり、村を出る?」
「当たり前だ、こんな村で何をすれば良い、ろくな交易品もない普通の村だぞ」
「自分の故郷なのに随分言うね」
「だからだ、ひとまず読み書きの勉強は終わったから、バルバンナード……王都へ言って何処かの商会に転がり込む」
「うっそぉ! もう終わったの! やっぱ頭いいなーロミア」
「気にするな、お前もできる、コツさえ掴めば王都に出ても恥ずかしくない」
「私の努力が足りないかなぁ……」
「努力はアホのすることだよ、アホミス〜?」
「なんじゃとぉ! おうテメェ表出ろぃ!」
「通算四十勝十敗、オレの勝ち越しだが?」
いつものように喧嘩するまでがセットと言うか、喧嘩しなかった日がない、やはり相容れないな……努力家とは。
二人でさっさと水汲みを終わらせて俺は準備に入る、何がと言えば旅立ちのだ、王都に行く、王都の名前はバルバンナードと言って、王族の姓がそのまま都市名になっている、ありがちなネーミングだな、いずれは俺の名前を町の名前にしてやろう、上手くやれば、それも叶う。
帰宅し、2階の自室にある様々な書物を突っ込んだ本棚から、一冊引き抜く、この世界における冒険ガイドブック、俺が一番頼りにする本だ、いつかこの本の著者に会えたらサインが欲しいくらいには頼りにしている、なんせ野生生物が前世の比じゃなかった、ネズミで死人が出る世界だからな……人間大のネズミだぞ、恐ろしすぎる。
自作した革のリュックサックにガイドブックと野営道具を詰め込み、余った空間にお気に入りのクッキーを一袋、後は旅食として作った乾燥食品を押し込んで完成。
「あぁ上手く収まった、これも前世の知識様々だな、やはり上手くやると楽ができる、知識はこれからも集めていこう」
特にこのリュックサックは自信作だ、動物の皮をはぐ所から自分で行った一点物、この世界にリュックサックは一般的に流通してないので、作るしか無かったというのもあるが。
さぁて、準備が整ったな、後はどの商会に転がり込むかだ、金勘定だ大事になる商人は何より計算高さが求められる、売るにも買うにも計算は必須だ。
都合のいいことに商人になるには最低限の加減算ができれば良い、おっと知識無双が始まっちまうなぁ……、単純にこの世界の教育水準が低いだけだので真に受けてはいけない、いる所にヤバい奴がいるのはどの世界も同じだ。
諸々の世界情勢を込みに考えれば、十五歳の大人である俺は四則演算が出来て商人になる条件を満たしている、仕事が出来るってことだ。
さて……異世界商人無双やっちゃおうかな……世渡りうますぎだろ俺……