死んでも治らぬ努力嫌い男の異世界世渡り記 作:テムテムLvMAX
バルバンナードへいざ行かん! と、思ったがそう上手くいかない世の中と幼馴染との関係か。
会わないように夜を選んだが、アルミスが村の入り口で待ち構えていた。
「ちょっと! 私に挨拶なしに出ていく気?」
「……鼻が利くな、アルミス、夜だぞ今」
「十年も一緒にいたら分かるけど、その程度」
「……流石だアルミス、んじゃ期待に応えてあいさつしよう、じゃあな、さ俺は行くぞ」
さっさとアルミスの脇を通っていこうとすると腕を掴まれ止められる、む、普段から肉体労働しているだけあるな……アザができるくらいに痛い。怒ってる?
「ちょっ! 待ちなさいよっ! や、約束はどうするのよ!」
「……約束?」
はて、約束と来たか……村を出ていく時に気にする必要のある約束はしていないはずだが……勘違い、行き違い、捏造、どれだ? 分からないな、とにかくそんなこと知らないと伝えた方が良いか。
「約束と言う言葉に心当たりはない」
「なぁ……!?」
アルミスの奴口開けて驚いてやんの〜!
え? マジで心当たりないんだけど、あの反応はマジであった時の反応だぞ……嘘だろこの俺が忘れるような約束をするはず……何、何なの? 過去の俺は何を約束した!
「ロミア、本気で忘れてるなら……言うけどさ、私たち婚姻……結婚の約束、したよね?」
「こん……いん……? けっこん?」
「あ〜〜その反応全然覚えてないみたいね、良いわ、教えてあげる、5年前かな、私がロミアの誕生日の時に話したでしょ? 大人になるまでにお互い好きな人が出来なかったら、結婚しようって、最近ママが煩くてさぁ……まだ結婚しないのかって」
そんなこと〜〜…………あったわ、5年前の誕生日確かに約束したが……また猶予あるだろ4年。
「おいおい、まだ4年あるだろ」
「何いってんの? 大人は15からだよ?」
「……………………えっ」
十五からだよ……十五からだよ……十五からだよ……???
ちょっと待て、俺は今まで十五歳は大人だと言ったがそれは就労や酒タバコを嗜む事が許される年齢だと思ってたんだが? だって前世でも中卒で働くことは出来た、バイトなりなんなりな、だからそこに違和感はないだろ、で成人年齢はもっと上だと思ってたんだがこう来たか……!
……この世界の成人年齢15だったのか…………成人年齢アホほど低いじゃねぇか! どこの未開の地だ! ……あぁここ異世界だったわ……。
約束した手前、反故することは信用を失う事になる……それも幼馴染の信用を、だ。
己の間抜けさでアルミスに不利益を被らせるなんてあってはいけない、しかし……結婚なんて何も考えてなかったからな……気がついてるならもっと前に言えばいいのに何故このタイミング……狙いがあるのか?
「ロミア、あのね……私もその……ついて行っていいかな?」
「……そう来たか、アルミスさては」
「初めからそっちが本命よ? ねぇだって楽しそうじゃない! 外の世界!」
してやられたか、これはアルミスが一枚上手か……アルミスは前々から外の世界に興味があるとは言っていたが、村の外に出るほどのお転婆になりきれないタチで、家族のために働いていた。これだから嫌になる、努力が美徳とされ過ぎて本人すら無自覚に縛っている鎖だ。
だが、彼女考えたな……結婚すれば戸籍が移る、彼女が俺の所へ来れば俺の家族となる訳だな、そうすれば後腐れなく外へ自由に出られる、家族のために働くわけだからな。
「ねぇ〜形だけでも挙式しない? お願い〜! 外に出られるな私のこと気にせず浮気していいからさぁ〜!」
「なんてこと言うんだアホ!? んなことするか」
「おや、意外と一途」
「良識があると言え、普通は一夫一妻だからな」
「愛人もいらないの?」
「いらねぇーっ! なんで俺が浮気性の前提なんだ!」
「ふっふーん……? むふふ……」
……なんともお粗末ながらこれで夫婦になった。
挙式は盛大に挙げた、これ見よがしにな、アルミスはこれでも村一番の綺麗どころで……何人かショックを受けていたが、お前たち良かったな、俺たちの結婚なぁなぁでプロポーズの言葉一つないからな、ロマンチックな関係ではない、むしろ幼馴染の延長線が結婚というか……元々家族みたいなもんだからな。
「ねぁロミア」
「なんだ? アルミス」
「私ね、約束だけじゃなくて、普通に好きだから結婚したのよ」
「……だろうな」
「何よその反応」
「俺も好意に鈍いわけじゃないし、俺は俺以外とお前がくっついても滅茶苦茶祝ってやるつもりだった」
「そう言う割には隠れて村を出ようとしてたけど?」
「上手いこと別れの言葉が思い浮かばなかったからな」
「これからは必要ないね」
「あぁ、助かる」
予定と大きく異なるが、これでやっと王都へ行ける。
……異世界転生者だが、こういうことになるとは思ったなかったぞ、文化の違いで俺の常識をぶん殴られた一幕だった……俺は一生覚えてる気がする。
よしこれで行けるな、行けるよな、行けると思うんだ……なんかあると思うんだが……ない方が良いこと、起きるなと願うと出てくるからな、無心無心……っと。
……ダメだな、フラグが来た。
俺の目がバッチリ慌てふためきながら外から帰ってきた村人を捕らえている、いやー問題が来ちゃったよー、俺、時の運に恵まれなさすぎでは。
「おおーい! 大変だ!」
「なんだ騒々しい! 今はめでたい式の最中だぞ!」
「そりゃすまなかったが、あれだよあれ! 馬車が襲われてる! ありゃあいつも来てくれる行商人だ!」
慌てていた男が村長に伝えると、村の若いやつ集めてすぐぬ助けに向かった、当然俺も行く、行商人に上手いことコネを作れるチャンスだと思っておけば、運のなさに惨めになることもない。
なんでも来いやーっ! 畜生!