死んでも治らぬ努力嫌い男の異世界世渡り記   作:テムテムLvMAX

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おじいちゃん「若い頃は色々ありました」

孫「おい」


四話 秘密のおじいちゃん

「……そうか、いや、うむ……そうかとしか言えぬな」

 

 うむむと唸る村長の横で俺は紅茶をキメてくつろぐ、行商人には村を代表して村長が聞き取りを行なっていた、俺はただその横で王都の情勢を知りたいがために居る、村長は俺の祖父なのでこういう事が許される。偉いよ俺、ツテとコネで上手くやる方法ってこういう事ですよコレコレ。

 

 

「ロミアはどう思う? この話」

 

 

 村長、改め祖父の問いが俺に向けられるが俺は、すぐに答えを出さず少し思考に時間を回した。

 行商人が何故護衛もなしに村へ来ようとしたのか、なぜ人里に姿も見せないようなオオツノシカシラが現れたのか……その二つの答えになる事情がこうだとは想定外だったからな。

 

 

「……バルバンナードへ向かう街道がことごとく封鎖されていて、その理由が野生生物の遭遇率増加と来たんで、何がどうしてって感じだなぁ。野生生物の遭遇率増加だけで街道封鎖は……やり過ぎだと思う」

 

「そうじゃろうなぁ〜、流通を止めてまで安全を確保するなんぞ飯を食わずに病を治すようなものじゃ」

 

 

 そうなのだ、街道封鎖とは人と物の流れを完全に殺す守り方で、たかだか野生生物の遭遇率増加だけであらゆる流通を止めてしまうのは、損害が大きすぎる。

 この行商人の話が本当なら今の王都バルバンナードは流通から切り離され孤立している、情報も物資も人ももう入ってこないし出られない。

 

 そんな状況でもこの行商人は不屈の精神で護衛も雇わずにこの村に商売しに来たわけだ、商魂逞しいなんてレベルではないぞ。

 

 

「あ、あの村長殿……今回の事ですが」

 

「命がけで村に来てくれた貴方を邪険にいたすまいよ、怪我治るまではゆるりと過ごされよ、頃合いを見て王都までの安全な裏道を案内させよう」

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

 

 行商人の事情を鑑み村長は村へ傷が治るまで滞在を許すことにしたようだ、俺もこのガッツは買いたい。

 

 ひとまずは行商人に仮の住まいと食料を与え、しばらくは村で過ごすことになった。

 

 じゃあ俺は、どうしようか? 王都への街道が封鎖され内外の出入りが出来ない訳だから、不法侵入しちゃう

 

 

「のうロミア」

 

「なに?」

 

「王都へ行くと言うとったな?」

 

「まぁこの騒ぎで怪しくなったけど」

 

「やはりもうしばらく村に残らんか?」

 

 

 その話か……俺の祖父はかなり孫想いで事ある毎に気にかけてくれる、良い人だとは思う、しかし俺のやりたいことがこの村にない以上出ていくことは変えられない、3年前から村を出ていくと宣言してからもう何度か引き止められている。

 

 俺の意思が変わらない事を受け取ったのか祖父はそれ以上のことを言うことはなく、話題が切り替わる。

 

 

「そうか……お前ももう大人じゃし、これ以上言うことはない……では大人として、ロミアに頼みがあるのじゃが聞いてくれるか?」

 

「出来ることなら」

 

 

 頼みか、大抵のことは出来る自信はある、前世から持ち越した経験があるからな、それを抜きにしても恩あるし祖父の言うことには基本聞きいれるようにしていた。

 

 

「王都へ行って、誰が軍の指揮を執っているか調べてきてくれんか?」

 

「……はぁ?」

 

「わしゃ若い頃軍でブイブイ言わせとった……」

 

「おっと唐突な自分語り」

 

「しかしワシは婆さんに惚れて軍を無断で抜け出した」

 

「なにやってんだ!?」

 

「それ以来王都へ近寄ると未だに昔を咎められているようでな、近寄りがたいのでそこでワシの代わりに見てきて欲しいと言うことだ、でな、もし、仮に、奇跡的に会えそうならこの書簡を渡してくれ」

 

 

 祖父よ……アンタなにやってんのさ……そんな事初めて聞いたよ……いや、昔の事を孫がとやかく言うなんてしないけどさ……もっとこうやり方あっただろう? 

 

 ま、ぶち込まれた過去話はさておき、渡して欲しいと言った書簡は、なんともこざっぱりした蝋印で綴じられた手紙、中身は気にしないほうがいいかな……俺が見ても意味ないだろうし。

 

 しかし、これ渡せと……軍の指揮と言うと将軍だが、表に出てこない地位ある人間、この祖父め、奇跡的にと言うが俺に託した時点で渡してこいと言ってるようなものだぞ。

 

 

「まぁ、うん、爺さんの頼みだし……」

 

「上手くやってくれるか?」

 

「っ……ふぅ、もちろん」

 

 

 上手くやるさ、上手くな。

 

 あとは、抜け道だな、王都へ行くための道……そう言えば行商人は誰が連れて行くんだ? 道案内を付けると入っていたが……森に詳しく道を知り尽くした人物、となると猟師のおじさんか? それとも我が祖父自ら……は、ないな。

 

 

「孫よ、王都に行く時は行商人を案内してやってくれ」

 

「あぁ……は? 俺が?」

 

「地図の通り行けば良い、お前の勘のよさなら迷うこと無いだろうしの」

 

「……はいはい、やりますよ」

 

 

 爺さんが棚から引っ張り出してきた古ぼけた地図には確かに王都までの抜け道が記され、俺なら迷うようなことはない、俺でなくとも村の人間ならわかる地図だ、逆に言えばこのあたりに慣れてないと使い物にならない地図でもある、それを受け取り懐へしまった。

 

 まぁなんだ……便利に使って構わないが乱暴だなじじい! 

 

 はぁ~……もうこの……寝て、明日の俺に託そう、明日考えよう、今日は疲れた。

 

 

 

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