転生したら織田信広だったので信長(妹)をコマそうと思う。   作:鴉の子

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とんでもない評価と反応に戦々恐々としております……
いや週間ランキング一位?????????(現実を受け止めきれていない)
歴史とかもあんまり詳しくないのでビビりながらですがぼちぼち続けていくのでよろしくお願いします。

今回はノッブの出番少なめ。代わりに、未来の天下人投下。




五話:戦争ごっこが無くならない限り、戦争なんて無くならねぇんだ

 

 はい、今日も今日とて武者仕事、織田信広です。朝起きて伝令の報告聞いて城に蜻蛉返り、嫌ねぇ責任者って。てか遠いんだよ、是非もないよね、ここ三河だし。

 

 川の向こうを眺める。むさ苦しいおっさんが群れをなして何やらこちらを睨みつけている。この世の地獄であった。何もそんな悪いことしてないだろ! ちょっと三河に攻め込んで城の3つとか奪っただけで、親父殿が。

 

 というか、なんか本当に攻め込んでくる気か? やる気満々にも程がある。特に俺を見る目が厳しい。そんな、ちょっと武将の首を岡崎城に送りつけただけなのに……というのは冗談として。

 

 ある程度損得で考えるなら城代の首一つでここまでなるか? 

 

 あるぇー? おかしいな、うちの妹が元服して美濃と同盟したあたりで来ると思ってたんだけど。早くない? 

 

 ……しかもなんか、子供いるな。見えないけど、わかる、しかも二人。前線ではなく、何処かへ運ばれようとしている? 

 

 ああ、なるほど、戦争じゃなくて陽動。目的は護送から目を逸らさせるための挑発行為か。はーん? なるほどね。岡崎城から何か運んでんな? このタイミングだと、水野の旦那(刈谷城城主)が娘を嫁がせて……前に孫が生まれたとか言ってたな? 

 

「挑発に乗ってこっちから乗り込めばついでに城も獲っちまおうってか? いや、そっちが本命かもな」

 

 なるほどなるほど、別にナメられたからと言ってすぐ殺しにかかる程じゃないが、中々腹立つ行為である。これなー、看過すると親父殿に怒られるよなーいや挑発に乗っても怒られるよなこれ。

 

「よし、おーい」

 

 部下を呼ぶ。松平に嫁出して、孫も産まれたばっかに離縁された水野の旦那にプレゼントだ、好き放題しちゃろ。

 

「お前ら全員城と川の対岸固めろ」

 

「……始めるのですか?」

 

「いんや、別に。万が一があるだけだ、俺は行く」

 

「……はい?」

 

「今、俺が行った方がいい」

 

「あの、あなた一応この城の大将……」

 

「ああ、別に一人でアレに突っ込むわけじゃねぇよ。そうだな……簡単に言えば、だ」

 

「そう、そうだな、人攫い」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 齢5歳の子供が二人。籠に乗せられ運ばれ、森の中を進んでいる。

 松平広忠の長男にして嫡子、竹千代と、その影武者。3歳にして母と離れた子供は、松平と今川の同盟維持のための道具、人質として岡崎城から送られる最中であった。

 

 厳重、だが少数の護衛と共に森を潜み、進む。竹千代は、何もわからぬ子供でない。己の影武者とあやとりをしながら、ここから先の運命を考える。母様はいない、父には捨てられた、だが別に悲しくはない。今川がせめて過ごしやすい場所ならばいいのだけれどとぼんやりと考えていた時、駕籠が止まった。

 

 そして、悲鳴。おそらくは外の兵士のもの。

 

「なんだきさ……貴様、織田の……! ぐわっ!?」

 

「ガキ売ってせせこましく点数稼ぎかよ! 今川の子分は健気だなぁ! うわはははははは!」

 

 何かが燃えるパチパチという音。肉と、鎧が裂かれる異音。戦の音ではない、まるで、猫がネズミを喰らうような異様な音。

 

 二人、縮こまって、恐怖の中で終わりを待つ。

 

 そうして、だが、終わらない。悲鳴と狂乱の声が響く中、なけなしの勇気でようやく外を覗く。

 

 ────全てが、燃えていた。

 

 森が、人が、血が、死が、燃えている。

 

 まるで、獣に引き裂かれたような兵士の死体の山に、黒い男が立っている。

 長く、絹糸のような髪も、鎧も、異様な分厚さを持った長巻の拵えも、服も、漆で塗りつぶした夜の闇のようだった。

 

 金色の瞳だけを闇に浮かぶ月のように煌めかせて、怪物が哄笑している。

 

「は、はははははははは! 相変わらずよくわからねぇ奴らだなお前らは!」

 

 転がった死体、否、焦げた肉塊を踏みつけて嗤う。嗤う。いつのまにか、あたりの炎は燃え尽きて、彼の周り全てが消し炭となっていた。

 

「主君が手前のガキを売り飛ばして、武士の道もクソもねぇだろうが! これだからお前らは! ああ面白え、なんでそう死にたがるんだ!」

 

 男が、未だ襲い来る兵士たちを殺している。斬って、砕いて、折って。そうして、何もかもがいなくなって。

 

「うわははははは────ん」

 

 突如、笑い声が止まった。こきり、と首を傾げて。まるで、壊れた歯車のようで不気味な、チグハグな感情の動きだった。そうして、何やらぶつぶつと呟くと、男はこちらを向く。

 

 そして、目が合った。蛇に睨まれた蛙のように、動かなくなる。本能が生命の危険を感じ取っていた。

 

 竹千代の目に映る怪物の顔、まるで三日月のように口が裂ける。そうとしか言えない笑みだった。

 

 ……彼本人としては、ただの笑顔なのだが、そんなことは知る由もない。

 

「未来のお宝発見!」

 

「ひっ」

 

「お前ら俺ん家で育てるから、そこんとこよろしく!」

 

 片腕で二人とも担がれる。そして黒馬に乗ったかというと、すぐに森を走り抜ける。

 

「よっしゃあ! 弱みゲット! これから毎日松平を焼こうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よっしゃ、竹千代ゲットだぜ。

 

 ふと思い立って、馬に乗って渡河して城の近くの森を走り回っていたら簡単に発見できました。なんともまぁわかりやすいこと、まぁ突然敵の武将が襲いかかるとか考えるわけないか、こんなところで。

 

 手始めに集団の端っこのやつをすれ違いざまに掴んで、それ振り回して二人くらい叩き殺したらなんか襲いかかってきた。お、法螺貝、伝令か、丁度いいや。

 

「そこの駕籠、置いてったら全員逃がしてやるし、なんなら雇ってやるが?」

 

 善意の提案。このご時世、別に士官先なんか腐るほどあるし、なんならこっちが使ってやってもいい。どこもかしこも戦争ばっかだ。

 

「────織田の若造が……! 愚弄するか!! 覚悟!」

 

「あっそ」

 

 そう叫んで男が振り下ろした槍の穂先……その根本、刃のない部分を掴み取り、へし折る。そして、投げつければ、終わる。

 

「はっ、ごひゅ」

 

「あ、すまん」

 

 脳天を狙ったが喉を貫通したらしい、なんとも酷いことだ。申し訳ないことをした。

 

 仕方がない、と馬を降りる。どうせ森の中では役に立たない。

 

「織田信広、お前らの敵だ。逃げれば追わねぇ、来たら殺す」

 

 全員の目を見据えて、刃を肩に担ぐ。ああ、残念なことに皆覚悟ばかりが決まっている。だから嫌いなんだこいつらは。

 

「わっかんねぇなぁ、わかんねぇ」

 

 理屈はわかる。人質として売りに出されるとはいえ、元服すれば次の松平家当主だ。それを守ることはお家の存続に繋がる。それが、彼らの生活を守ることに繋がる。

 

「──どうしてそこまで信じられんだ?」

 

 外部を守るため、己を守るため。理屈、利益、愛情、まぁ、なんとなくわかる。だがこいつらは特にだが、この時代の全ての武士がそうだ。

 

 手前の内と外を履き違えてやがる。みな、誰かの世界観でしか生きられない。

 

 ああ、今が、わかりやすいだけで、それは別にどんなに時代が進んでもそうだったろうか。

 

「なーんで、大事なもんを差し出しちまうんだろうな、()()()()は?」

 

 命、家族、友、心、忠誠。何処から来て、何処へ消えるというんだ? 

 

 ……あーダメだ、難しいこと考えるとダメだな。自分が言っていることがなんなのかもわからなくなっていく。

 

 ただ、思考を投げ捨てた代わりに、歓喜と嘲笑と、哀しみだけが心を占めていく。

 

 そうした、取り留めもない思考と関わらず、肉体は敵を殺し続けている。

 

 灼熱を纏った拳が、年若い男の胴を砕き、肉は炭になった。

 

 焔を纏った刃が鎧武者を袈裟に切り捨てて、それでも踏み込んでこちらを斬らんとする意思のまま、死した刃が地を裂いた。

 

 槍を失い、刀を折られた侍が、組み手を仕掛け、なす術もなく片腕で放り投げられた。巨木にぶつかり首が折れて、死んだ。

 

 がむしゃらに、折れた槍の持ち手で殴りかかった武者は頭を掴まれ、砕かれた。

 

 一人の命を灰にするごとに、歓喜にも似た感情が溢れる。原始的な闘争の快楽。

 

()()()()()モノを、ここから消してしまう安堵。

 

 違うモノを殺してしまう歓喜に染まり。哄笑を上げて、全てを嘲笑って。

 

 ────そして、すぐに冷める。血に染まり、彼らの言葉と、動作を見据えて。織田信広という男は、彼らを理解した故に。

 

「ん、そうか。じゃあ仕方ないな」

 

 理解した。忠義を、その幻想を。故に、もう嗤うことはない。彼らは、戦という狂気に抗って、夢そのものに生きて立っているのだから。故に、それを笑ってはいけないと、心の底から思えた。

 

 ……あーやだやだ。なんだ今の、テンション上がりすぎたな……。ダサい! 

 

 なんださっきの、はしゃぎすぎ。恥ずかしいですよ信広お兄さん、説教できるほど偉くもないのに。

 

 テンション上がりすぎると変な思考になって、こうなっちゃうんだよね。自分だけだと気づかないけど、吉法師もたまになるからわかる。いや、あいつの方が怖いけど。

 

「────あっ」

 

 自己嫌悪しつつふと目線を逸らせば、そこには未来の天下人発見。しかもなんか二人いる、お得! 

 

「未来のお宝、ゲット!!!」

 

 わぁい、織田弾正忠家にもお得な人質が手に入ったぞ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿たれ──────────ッ!!!!!!!」

 

 意気揚々と帰ってきた俺は戦装束の親父の怒号に迎えられた。拳骨も食らった。

 

 なんでよ、可愛いでしょ竹千代。ほら、笑って〜。

 

 もう一発ぶん殴られた、何故。

 

「ぶ、ばはっうわはははっ……是非もないよね!」

 

 何故かいる妹よ、笑ってないで助けてほしい。

 

 今日は真っ赤な着物に纏め髪……というかツインテで可愛いね。なんかびっくりするくらいツインテ似合うねお前。

 

 何も言わずにちゅっちゅっ唇鳴らすんじゃないの、するけど。

 

 思い切り口づけをして、おい、舌入れるなバカ。またキレてるぞ親父殿、話聞けって。

 

「…………で、本物か?」

 

「でしょ、護衛多すぎたし。はい親書」

 

 この男、しれっと一番偉そうな武士の死体からパクっているのである。

 

 安祥城、城主の間、机にそれが広げられ。

 

「で、あるか」

 

「こんなの拾ったら是非もないよね!」

 

 ────暗闇、悪い笑顔を浮かべた3人がそこにいた。

 




次回、本格勃発小豆坂の戦い、松平広忠は生き残れるのか!
あと桶狭間はどうなるんでしょうね!わかりません!

竹千代が生まれるのがちょっと早かったり、美濃の同盟の時期とかなんかもう適当になって来てますが気にするな。
桶狭間まではサクサクいきます。
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