転生したら織田信広だったので信長(妹)をコマそうと思う。   作:鴉の子

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この小説に書き溜めは一切存在しないため作者のコンディションに左右される……ちょっとリアル忙しくて遅れましたがまたよろしくお願いします!



七話:むさ苦しいおじさんに囲まれて死にそう

 

 うおおおお織田信広、史上最大のピンチです!!!! 

 

「うおおおおおおおお走れ走れ走れ!!!!」

 

 必死で馬に鞭を入れながら戦場を疾走する。飛来する矢は弾けるからいいが、後ろから殺意バリバリの三河武士がアホみたいに追いかけてくる。

 

「うおおおおおおお待ってろよ松平ーーッ! こんな目に遭わせやがってーーッ!」

 

 責任転嫁である。そもそも殺しに行っているのが自分であるというのは完全に棚あげであった。

 

 そう、俺は今、親父殿の命令で敵陣深くを単騎駆けしているのである、正気か? 

 

 どういうことかと言うと、ほわんほわん回想……

 

 

 

『よし、信広、明日お前大将の首持ってこい』

 

『そんな無茶な!?!?』

 

『やれ、取ったら掲げてデカい声で叫びながら戻ってこい』

 

『えぇ……うっす、やります……』

 

 

 以上、回想終わり。

 

 ふざけているのかーーーーーーーッ!!!!! 

 思わずどこかの仮面のマスクみたいなことを言ってしまったが、それはともかく。

 

 矢を弾き、敵陣を物理的に刃で掻き分けて、本陣へ向かって突撃する。槍衾とか盾兵の群れには馬に積んだ槍を力を入れて投げると焔を纏った槍が飛んでいって敵陣が爆発するのでそれで解決する。

 

 足りなくなったらその辺の兵士からもぎ取れば足りるので心配はないが……シンプルに疲れてきた。

 

「ぜぇ……ぜぇ……疲れた……全身ベタベタする……」

 

 あ、もちろん全部返り血と煤である。馬も最初は怯えていたがもうなんか段々ふてぶてしくなってきた、はよ邪魔なのどかせと言わんばかりに鼻を鳴らしている。

 

 とりあえず正面の突撃してくる槍兵に、その辺の足軽の顔面を掴んで、放り投げる。

 

「足軽ボンバーーーーーーッ!」

 

 直撃させれば、爆発する。なんの異能とかでもなく物理で。足軽は投げると強い、ゲージ効率もいいって別世界の毛利も言ってた。

 

 流石にドン引きしたのか若干兵士の勢いが落ちる、チャンスであった。

 

「しゃあオラ! 大将首目指して走れぇ!」

 

 跨る黒馬を蹴り飛ばせば、得意げに嘶いて走り出す。最近こいつも炎纏い始めた気がするけど気のせいだろうか、何もそんなゴース○ライダーみたいな能力ないと思うんだけど。

 

「……あっ、いたぁ!!!」

 

 何やら陣を立てて、旗を立てている男を発見。明らかに松平広忠である、いい鎧も着てるし多分そう。

 

「ケヒャアーーーッ! 死ねーーーーーーッ!」

 

 疲労とテンションで三下のような叫びを上げているが知ったことではない! ここで貴様を始末すれば妹と三日はイチャつけるのよぉーーーッ! 

 

 馬から飛び上がり陣に飛び蹴り。悪鬼と化した俺に不可能はない。

 

「織田信広、ここに見参。首よこせやーーーーっ!」

 

 一応、名乗りなのでまだ斬りかからない。飛び蹴りしたって? 蹴りはノーカン。周りの奴らはビビって寄ってこない。

 

「ふ、ふざけ……ええい! 松平広忠、貴様のような悪鬼、斬り捨ててくれるわ!」

 

 おっと、こちらのふざけたエントリーに対して、至極まともな構えと対応だ。膂力に勝る相手に対して、受け流す為に八双ではなく、変則的な刃に手添えした脇構え。肩と大鎧を使って刃を逸らし、こちらの喉か、あるいは太腿を裂いてから組み倒すか。

 

 そして、構えに移った時点で呼吸が切り替わる。なるほど、自己暗示による身体の戦闘変異、この時代の一端の武芸者ではあるらしい。

 

 どうやら長巻担いで力任せに振り回している奴とは違うようだが、さて、困った。こういうのと戦ったの稽古の時の親父くらいしかいない、まあいつも通りやるしかないか。

 

「────」

 

 言葉は交わさない、既にお互い、殺す気の相手に向ける言葉などない。長巻、野太刀を防御の上から叩き潰さんと袈裟に振り下ろせば火花が散って、鎧でそれをいなされる。刃が地面へと突き刺さる。

 

「でぇぇい!!!」

 

 広忠が叫ぶ。裂帛の気合いと共に、斬り上げられた刃を咄嗟に籠手で受け止める。常人なら骨の一本でも折れそうな衝撃が響くが、問題はない。

 

 片手で太刀を力任せに持ち上げて、手の内で刃を返し斬り上げ。だが、後ろに跳び去って回避される。中々身軽だ。

 

 なるほど、力任せに武器を振るっているだけでは勝てない。パワーキャラって手練手管で負けがちだもんね、わかる。

 

「ふーん、じゃ、こうだ」

 

 長巻野太刀は、“斬る”武器だ。リーチの差を活かす武器ではなく、その重さと威力にて相手を破壊する。故に、こう言った立ち合いでも問題なく使えるが、片手が空かないのがこれからすることに対しては、少し困った。

 

 なので、柄を膝で叩き折る。(なかご)の部分も無理やり。冷静に考えて片手で振れる力があるのにこんな柄の長さあっても、振るのが楽なだけで不可欠ではない。これでただのデカい太刀だ。

 

 右肩に刃を乗せて、前傾姿勢で相手を向く。左手は自由に、脱力して。

 

 さーて、ここで決めないと四方八方から槍で刺されて死ぬ。相手の混乱が収まって護衛に回ってきたら逃げられて終わりだ。

 

「────参る」

 

 刃、焔を纏う。そして、全身のバネを使って、獣が飛び掛かるようにその刃を振り下ろす。

 

「猪武者め……!」

 

 その通り、わかりやすく、見え見えの剣筋。まっすぐ行っての斬り下ろし。反撃するか、防ぐにしても、避けるにしても容易だろうよ。

 

「獲ったぁ!」

 

 コンパクトに構えた刀が、飛び掛かる俺の喉元へ向かっていく。うーん、全問正解。実際、それが最速最短で俺を殺すのだが、残念だ。

 

「いんや、獲られたんだ」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()。正確には足裏で爆発する炎の推進力を使って、空中で踏み込む。そうして繰り出されるのは、尋常ならざる威力の膝蹴り。言うなれば虚空を足場にした、変則シャイニングウィザード。

 

「某プロレスラーには内緒だぞーーーッ!」

 

「は」

 

 炎を纏った蹴りは広忠の兜と面頬を粉砕し、そして、頭蓋の下の脳を致命的に破壊した。

 

 起こった破壊とは裏腹に、静かに。すとん、と着地する。

 

「いいなこれ。これぞ焔摩天の地獄の炎とか言ってみようかな」

 

 エンチャントファイアより便利な使い方が見つかった。果たして今後活かせるのかは不明だが、いやこれ活かして全力で戦わないといけない敵とかいるのか? 忠勝とか? 

 

「ぶい!」

 

 それはそれとして、勝利のVサイン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総大将の首が取られた。

 

 にわかには信じがたい報告が入り、総軍が揺れる。そして、配置された指揮官が敵の流した虚報に過ぎないと断じ、本陣との連絡を取ろうとしたその最中だった。

 

「松平広忠、討ち取ったりぃーーーーーー!」

 

 首を雑兵の槍にくくりつけて、戦場を駆ける一人の騎兵。黒馬に乗り、返り血と煤に塗れた漆塗りの大鎧に身を包む男が耳を(つんざ)かれるような声で勝鬨をあげる。

 

 焔を纏い、黒い鬼が戦場を哄笑しながら駆ける。まるで、地獄の絵姿のようだと誰かが呟いた。

 

「悪鬼……」

 

 いいや、悪鬼の王、閻魔、夜摩であればあれ程の力を持つのかもしれない。恐怖に竦む兵士、あるいは、怒りに呑まれて走り出す武者、軍勢の統率は乱れ、混沌が始まった。

 

 そして、それを機に、織田軍の総懸りが始まる。統率の崩れた軍勢は、数で勝っているにも関わらず飲み込まれる。

 

 兵の質の差か、怒りに狂乱した武士達の奮戦もあり、織田軍にも相当数の被害が出るものの、合戦は織田軍の勝利となる。

 

 その後、岡崎城の包囲を経て、当主の竹千代を保護、教育する名目から、織田家の実質的支配領域が三河勢力図に食い込むこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで一ヶ月後くらい、そんな政治の話はともかく。

 

「というわけで、わし出来たから。子供の名前考えとくんじゃぞ」

 

 目の前の妹の知らせに思わず口から焔をちょっと吹き出す。危な、ドラゴンかよ俺。

 

「えっ嘘ぉ!!?」

 

「嘘じゃないぞ♡ わし三日位ゲーゲー吐いてたんじゃぞ?」

 

「マジ?」

 

「マジ」

 

「じゃ女の子なら……丹桂で」

 

「いいの、大人になったら桂峯院とかで!」

 

 多分勘だけど女の子だと思う。多分、なので男の名前は考えなくていいや。

 

「ん、多分女じゃな? よしよし、ややこしくないからいいの」

 

「ちなみに聞きたくないんだけど」

 

「信勝は泣いて喚いて藁人形に釘打っておぬしのこと呪っておったぞ! 愛されとるな!」

 

「あっ昨日から調子悪いのそれだぁ!」

 

 あっ自覚したらすごい体調悪くなってきたかも、プラシーボって怖いね! 

 

「というわけで」

 

「はい」

 

「暫く一緒じゃぞ、身重の嫁さん放っておくわけなかろうな?」

 

「それはもう、はい」

 

「……身重じゃが、いつでも相手してやるからの?」

 

「そんな奴に見えますーーーっ!?」

 

「親父殿見てるとのう……」

 

 あの人はまぁ毎日誰かしら抱いてるタイプの偉人だから、比較してはいけない。いや凄いよなあの人……。

 

「俺のこと気遣わない、自分の体大事!」

 

「……子供のために、か?」

 

「いんや、お前のため」

 

 多分生まれる子は大事だけど、目の前のやつより大事なことはないだろう。普通の人間のように、そういう判断とかが出来ると自分たちのことを信用しているわけじゃない。

 

 まぁ、生まれてくる子供はちゃんとしていれば一人にはならないけれど、多分こいつは一人だからな。

 

「……人でなしぃ」

 

「お前に言われたくないなあ〜」

 

「うむ、わかる」

 

 




※こんなこと言いながらおそらく子供には超絶過保護になるのがこの家系です。
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