転生したら織田信広だったので信長(妹)をコマそうと思う。 作:鴉の子
桶狭間までサクサクやるとは一体?
────世界の全てが焼き滅ぼされた。
そう錯覚するほどの暴虐の中に、私と友人はいた。
影武者として育てられた彼と、武家の嫡男としての私。身分は違えど、この世界を生きる、同じ目線の唯一の友だった。
だから、きっと同じことを思っていたはずだ。この身を焼き焦がすほどの恐怖、畏敬。
「……綺麗だ」
皆、死んでいる。皆、燃えている。
地獄絵図とはこのことかと思う。誰も彼もが必死の形相で、一人の男へ群がっている。そして、瞬く間に命を散らしていく。
「みんな、みんな消えていく。命が、光のように」
隣で、怯える友と一つだけ違うのは。私はそれが嬉しくて仕方がなくて、憎らしくて仕方がなくて。優しくしてくれた記憶も、嫌だった記憶もごちゃごちゃに血と一緒に混ざってしまう。どんな気持ちかなんてわからなくて、ただ、涙と一緒に笑みが溢れた。
魅入ってしまったのかもしれない、アレはきっと私にはないモノで、私には必要なかったモノで。
だから、私は。
恋をしてしまったのだと思う。
助けてください、織田信広です。
松平広忠をぶち殺して一年くらい、城貰ったり、運営したり、小競り合いで人をぶち殺したり、謀反人をぶち殺したりなど色々してきましたが、最大のピンチです。
はい、場所は岡崎城、自室。今後の様々な問題を解決するための会議をするために、吉法師と俺、あと攫ってきた竹千代二人と会議中。
なんか、紫がかった黒髪で青目のおかっぱでおっぱいのでかい女の子が付き纏ってきます。怖い!!! 誰ぇ!?
「竹千代です、不束者ですがよろしくお願いします」
「????????????」
男だよな???????? おかしいな????? 拾った時は胸なかったよね??? サラシ? はい。
「おう、兄上? 事と次第によっては、こうじゃからな」
そして妹の目線が怖い。目からビームが出てそう、いや物理的にジリジリしている。魔眼かなにか?
というかこうって何? えっちなこと? いや違う、鑿と金槌のモーションしてる、何されるの? ロボトミー?
「えっ、男じゃないの?」
「はい、それでは困るということで男ということに。表に出る時は影武者を使いまして、いい機会なので影武者を嫡男として、私は嫁入りしようかと」
「わははははは! 面白いこと言うのう! 殺すかこいつ」
赤ん坊抱えた妹の落差がひどい。あ、妹は子供産まれた後で元服を迎えたのでもう吉法師じゃなくて織田信長になりました。
「いや殺さない、殺さない。人質」
「冗談じゃよ冗談」
嘘だぁ、全然目笑ってないぞ。
「……竹千代、ちゃん? はなんで俺に?」
妹の方が良くない? 側室になるにしたって、顔はいいから多分オッケー出るよ?
「一目惚れです」
顔を赤くしてくねくねしている。まさかそんな奇特な趣味の女の子がいるとは、目の前で部下皆殺しにして攫った男だぞ。
箇条書きすると悪鬼羅刹とかだろ。
「正直、みんな嫌いだったので……」
「あ〜」
5秒で納得したわ、あいつらめんどくさいもんな。あと、多分だけど俺への色んな感情がごちゃ混ぜだなこれ。いつか刺されるかも〜まあいいや。隣の影武者ちゃんが青ざめた顔してるけどいいのか? と言うのは置いておく。
「じゃあ正室だな、一応。まぁ俺、妹、もとい信長最優先だけど」
あ、今信長って言ったらちょっと嫌そうな顔した。しょうがない、今度あだ名考えてあげよう。
「……となると竹千代だと困るな、よし」
水野の旦那に無茶振りしちゃろ、『松平のところの隠し子がいたので(大嘘)あなたの娘として俺に嫁がせてください。同盟にもなるしちょうど良かろ? 大丈夫、バレそうになったら関係者全員殺します』と手紙をしたためる。
「じゃあ今日から水野のところの娘さんね」
「はい!」
元気がいい、目が死んでるのにやたら勢いが良くて怖い。胸を押し当てないでください、最近身長が俺に迫りつつある妹の肘打ちが入っています。
「んで」
目の前で産まれたての子鹿のように震えている影武者くん、これが将来の家康かぁ……頑張って欲しい、主に面倒な部下とか武田信玄とか相手にすることになるけど、強く生きろ。
「よし、今日から君が本物竹千代くんだ」
「えっ!?!? マジでやるんですか!?!?」
「マジです、お前が松平家を立派に率いて行くんだっ! 心配するな、大物大名が手伝ってくれる」
嫌だ嫌だとブツブツ言いながら頭を抱えている竹千代(偽)の肩を叩く。
「お、大物とは……」
「織田家は大物ではないというか! 心配するな! なんか嫌なことあったらお兄さんに言いな! ぶち殺してやるよ!」
「なんか行けそうな気がしてきました」
切り替えが早い、本当にぶち殺しちゃうけどいいのかな。いやこの子も大概目がキマってるな、キレたら怖いタイプだ。
「よし!」
とりあえず諸問題解決。
「よし次、ノッブ!」
「兄上、おぬしもノッブじゃ」
「確かに」
「別のにせい、別のに」
話が早い、1行で意図を汲んでくれるところ本当に好き。
「……二人なら吉法師でいいんじゃない? 妹よ」
「確かに」
「よし、おおよそ解決!」
「しとらんぞ、今度はわしの議題じゃ」
「濃姫さんか、まあいいんじゃないの」
いいじゃん、美人だし、気立てはいいし。
「良すぎるのが問題なんじゃ」
「あ、申し訳ないとかあるんだ……」
「人のことなんだと思っとるんじゃ貴様?」
なんともまぁ、昔と比べると人間らしくなったモノである。まさか奥さんのことを気を遣う余裕まであるとは。
と、ここまでまとめて冗談だろう。おそらく、本題はまた別の話。
「で、誰ころ……しばく?」
「母上かのう……」
「ん、そっか」
土田御前かぁ……まぁ、そうだよなぁ……。
最近、もう謀反の気配がバリバリなのであるのを察知しすぎてストレスなので、定期的に吉法師に愚痴っているのだが、さすがの妹である、おそらく原因を突き止めたらしい。
あの魔王みたいな親父殿も、最近は色々と大人しくなり、半隠居生活になりつつある。いや、バリバリやれるけどおそらく吉法師に仕事を覚えさせるためだろう。
多分しばらくしたらあのジジイ死んだフリして出家とかする、間違いない、明らかに隠し財産と各地の愛人の数増えてるぞ。そんなに女遊びが好きかあいつ、どういうバイタリティしてんだ。
史実だと大人しく死んだってマジ? 嘘でしょ?
ともかく、おそらくその流れで跡目争いが起こることは間違いないだろう。信勝あたりが気を利かせて自分をデコイにするのも容易にわかる、ので。
「大人しくさせるだけでいいのか?」
「……流石に、親父殿に迷惑かけられんじゃろ。あんなんでもな」
「ま、そうだよな」
何もかも人間離れした親父だったが、少なくとも、愛した女は人間だったと言うだけの話だ。政略結婚とはいえ、手元にいた人間を好いてしまうのは、我らが一家の宿命であった。
「どうやって大人しくさせっかねぇ」
「あ、それなら案が」
お、竹千代ちゃんの方からアイディアが。
「信勝さんを出家させちゃえばいいんじゃないですか?」
「それが出来たら苦労はしないんじゃがな……」
「家臣団がなぁ」
「反対する人をぼこぼこにしちゃダメなんですか?」
「「…………」」
確かに。シンプルイズベスト、信勝が勝手にやらかす前にそれやるだけでいいじゃん。
「確かに、わしらしくもないこと考えてたのう」
「兵隊他所に動かすならまだしもお家騒動だからな、さっさとやるか?」
「うむ、信勝はこっちに呼び出しじゃな」
「やる時は横で見てていいですか!」
「わしが兄上の横なら良いぞ、貴様は後ろ!」
よし、遠足の時間だ。
次回、血まみれピクニック!
竹千代(真): ビジュアル:乳のでかいカズラドロップ。不思議な力でこれから身長は伸びない。胸は増えるかもしれない。
改名して於花の方/椿姫となることとなる。椿にしたのは斬首が綺麗だったから、性癖が歪んでしまった……!
色々抑圧された生活のなかで優しくしてくれたり嫌な思い出だったりが沢山あったのが全部燃えて変な壊れ方をした。
竹千代(偽): 哀れな未来の家康、心労でどんどん白髪が増える。ぐだぐだ通りの苦労人。でも実はキレた時の挙動はなんやかんや一番かもしれない。握らんとする者シンクレア。