蒼穹の魔王 ~F-2乗りのクソバカエース、異世界にて絶望的劣勢を覆す~   作:サークル『熊の巣穴』

188 / 188
182 一手透き作戦「ThreatMate」

央暦1970年5月18日

鳴田藩 千里空軍基地

葦原連邦空軍第1航空団『彰義隊』第1中隊『ペンギン』

志村“Chase”良介二等空尉

 

 未だ完全な掃討の終わっていない千里基地。

 挺身団の誘導でなんとか着陸した良介は、ひとまず機体を残骸の多い駐機場に向かわせた。

 その道中、近衛軍の兵士が包囲している格納庫が目についた。

 

「お疲れっす、良介さん!」

 

 出迎えたのは第3小隊長の耕作だった。

 それ以外にも近衛軍の面々はいたが───

 何やら、この基地の整備隊らしき人物もいた。

 

「この人たちは?」

 

「千里空軍基地の整備隊です。全員じゃないんすけど、

そこそこの数が抵抗勢力に参加していたんです」

 

 しかし、仮にも敵勢力に身を置いていた人間。

 味方航空機の全てを任せるには不安があるため、第3小隊がお目付役をしている。

 耕作は直接的な言葉を選ばなかったが、そういった背景を感じられた。

 

「なるほどね……ところで、まだ基地の掃討は終わってないんだよね?」

 

「はい。まだ立て籠ってる連中がいます。良介さんも見たでしょ?

あの第8格納庫、そこに葦原語の通じない連中が立て籠ってます」

 

「葦原語の通じない連中……ね」

 

 それはつまり、良介ならば通じるということだ。

 神兵、異世界の軍人はどういうわけかこの世界では言語の壁を無視出来るのだから。

 

 ボスの回収を滞りなく進めるためにも、千里基地の安全を少しでも確保した方がいい。

 良介はくよくよ悩まない性質だ。

 

「俺が行った方がいいな」

 

「ええっ、でも……ああ待った! 車出しますんで!

斎藤っ! ここは頼んだ!」

 

「了解!」

 

 ヘルメットをコクピットに置くと、チェイスは耕作の用意するという車へ。

 すると、いつの間にかあくりが並んで歩いていた。

 

「良介。戦場へ赴くのなら、共に参ろう」

 

「いいの?」

 

「私は武芸を一通り納めている」

 

「うーん、そうしないために行くんだけどな……」

 

「死と直面した者に、言葉や道理は通じん」

 

 それはその通りだ。

 彼女の同行を受け入れると、耕作はエンジンを動かす前にホルスターから拳銃を抜いた。

 

「ここは交戦地帯です。良介さん、心許ないでしょうがこいつを」

 

「大助の方がいいんじゃない?」

 

 あくりへ視線をやると、彼女は瞑目したままハーネスのホルスターに手を添えた。

 

「通常、戦闘機乗りは皆、拳銃を所持している。

お前くらいだぞ、未だに銃を機内に持ち込まないのは」

 

「重心を偏らせたくないんだよ」

 

 とはいえ、この状況下では仕方がない。

 良介は耕作から拳銃を受け取ると、薬室に弾がない事を確認してスーツのベルトに引っ掛けた。

 

 引き抜く際にうっかり安全装置を解除して、かつ引き金を引いて、股間を撃ち抜きたくないためである。

 薬室に弾がなければ、余程のことがない限り安全だ。

 

 日が傾き、空が茜色に染まる時間帯。

 車両に揺られて、一行は例の第8格納庫に到着した。

 

 第8格納庫は輸送機がひとつ入りそうな中型格納庫だった。

 背の高い機体の整備点検を想定しているのか、縦にも大きい。

 

「それにしても、軍らしくないな。

こういう時は爆薬使ってでも突入するモンだと思ってたけど?」

 

 20年ほど前までは、建物に立て籠もる相手にはフラッシュバンやライトを用いたタクティコースタイルな近距離戦闘(CQB)が常識だった。

 しかしウクライナの実戦経験からフィードバックを受けた軍隊は、その警察的CQBから方針を転換した。

 

 敵が家にいるなら建屋ごと爆薬で吹っ飛ばし、それがなければ分隊から手榴弾をかき集めて隙間という隙間から中に放り込む。

 突入するしかなくなれば軽機関銃を先頭に、ぶっ放しながら動く者全てを殺す。

 

 2000年代から続いた対テロ戦争によって忘れ去られていたが、それが本来のCQBだ。

 央暦1970年、異世界の軍隊も古い時代のCQBが主流なのだ。

 

「人質がいます。

抵抗勢力で活動していた者が数名、あの中に囚われているんすわ」

 

「じゃ、丁寧にやるしかないな……」

 

 警察系特殊部隊の如く、2010年代のような静けさで。

 

 第8格納庫は近衛軍が完全に包囲し、正面扉は完全に封鎖されていた。

 少なくとも手の届く範囲の窓は目貼りされるか、何かで塞がれているか。

 中の様子を伺う事は難しかった。

 

「奥村と……ああ、魔王殿か。

自分は忠野(ただの)中尉、第1小隊長です」

 

 忠野中尉の敬礼に、良介とあくりは無帽の敬礼を返す。

 

「よう。状況は?」

 

「変わらないな。よくわからんが、近づくと撃たれる」

 

 言葉が通じていない影響で、何を要求しているのかすらわかっていないのだ。

 やはり、政府軍に参加している国外の人間である可能性が高い。

 

「クルーヴィナ連邦の奴らだろ? 誰か出来ないの?」

 

「簡単に言わないでください……

ああそれと、ク連人じゃありませんよ、あいつら」

 

「え、違うの?」

 

 良介にはこの世界の言葉は、少なくとも口語では区別がつかない。

 最近はク連機ばかり相手にしていたため、その可能性をすっかり忘れていた。

 

「奴らの使ってる言葉が聞こえましたが、ク連語じゃありません。

それと奴らは肌が黒い。ソウサレス大陸の出身者でしょう」

 

「良介さん。忠野は一応武揚の学問所に通ってたんすよ」

 

「友人がク連語を履修していたので、断片的にはわかります。

奴らの言葉は違います」

 

 わからないのならば仕方がない、ここはやはり良介が出るしかないだろう。

 

「神兵がこの世界の言葉を無視出来るって話、知ってる?」

 

「……いえ、存じ上げませんが」

 

「よくわからないけど、どうにも俺みたいな人間は

この世界の言葉を無条件で翻訳出来るらしい」

 

「それは……羨ましいな。外交や商売に便利でしょう」

 

「どうかな? 世の中、わからない方がいい事だってあるよ。

じゃ、ちょっと話してみるよ。これ持ってて」

 

 もし交渉になるのであれば、武器はかえって危険だ。

 良介は忠野中尉に拳銃を手渡した。

 

「私の分も頼む」

 

「へっ? はわわっ」

 

 と、あくりも良介に続いて拳銃を押し付けた。

 

「別に、ついてこなくてもいいぜ?」

 

「私もぺんぎんの一員だ……付き合わせてもらう」

 

「……危なくなったら逃げるぞ」

 

「そのために、私は同行するのだ」

 

 あくりは戦闘機や武術のみならず、戦うための魔術にも精通していた。

 魔術は属人性の高い戦闘技術で、その身ひとつで武器を持つのと同等の戦力だ。

 しかし魔術師ひとりに対し、凡人10人を動員して対等以上に戦える銃砲には勝てず、戦争では廃れた。

 

 何かあった時、果たして国外に派遣された外国の推定特殊部隊にどれだけやれるか。

 荒事はない方がいい、間違いなく。

 

 敵勢力の立て篭もる格納庫には、いくつもの弾痕が穿たれていた。

 窓もいくつかが割られ、内部は照明が消されて真っ暗だ。

 やはり、内部の動きは見えない。

 

 近衛軍の包囲から一歩前に出て、両手を掲げる。

 

「そこの人たち! 聞こえる?」

 

 その時、割られた窓に動きを見た。

 良介は咄嗟に飛び退くと、格納庫からマズルフラッシュが迸った。

 

 銃撃だ。

 あくりに襟を掴まれた良介は、近衛軍の車両まで引っ張り戻された。

 

 発砲は1発だけ、追い打ちをしてくる様子はない。

 これは、そう多く弾を持っていないな。

 

「うひー、びっくりしたぁ……取り付く島もないな」

 

「わかったでしょう、良介さん。あいつら言葉が通じないどころか、

会話が成立しないんすよ」

 

 話が通じるまで、とことん話そう。

 などと言えるほど、良介は現代社会の政治的正しさに目覚めてはいない。

 

 少し、状況を分析するべきだろう。

 

「うーん。そういえば、人質がいるってなんでわかるの?

あんな様子じゃ、人質アピールもしてないだろ?」

 

「抵抗勢力からの通報です。捕まった奴らがあそこに送られたとか」

 

「なるほど……」

 

 通報を受けた近衛軍が格納庫へ向かったところ、この膠着(こうちゃく)状態に陥ったと。

 人質がいる以上、建物ごと吹っ飛ばすという手は使えない。

 

 残された手段は突入となるが───

 内部に立て篭もる人数や、人質の生死すら定かではないのだ。

 突入するにしても、情報があまりにも不足している。

 

 近衛軍の包囲に改めて視線を巡らせる。

 すると、近衛軍の兵士に混じってツナギの作業服を身につけた青年が。

 

 挺身団のヘリ搭乗員にしては、覇気の足りない様子。

 良介は素早く、彼が例のレジスタンスの一員だと推測した。

 

 早足で、彼に歩み寄る。

 

「ねぇ君、もしかしてレジスタンスの人?」

 

「え……はいっ、西堂上等兵です!」

 

「千里基地の整備隊?」

 

「そうですっ!」

 

 整備隊所属ならば、格納庫の設備は理解しているだろう。

 いい話を聞けるかもしれない。

 

「ここの格納庫って古い?」

 

「いえ、築5年経っていないと思います」

 

「じゃあ、正面扉って人力?」

 

「いえ、この格納庫は電動です。

制御盤は3階の南側点検歩廊(キャットウォーク)、最奥にあります」

 

「……それって、操作簡単?」

 

「りょ、良介さん? 一体何を……」

 

 耕作の言葉に、良介は笑みで答えた。

 

「ええっと、簡単だと思います。

猿でも出来るような代物だって、上官が申していました」

 

「そっか、ありがとう」

 

 その時、遠くで聞こえていたエンジン音が明確に鼓膜を揺らし始めた。

 着陸のため、ファイナルアプローチに入った機体。

 

 南の空へ視線をやると、浮かび上がるのは銀色に輝く機体。

 F-21、彰義隊第4中隊のイグルベ隊だ。

 

───イグルベ? あいつら東の塚原港奪還に行ってたんじゃ?

 

 気にしている暇があるのか?

 気配を隠すのに最適な状況は、今を置いて他にあるまい。

 良介は忠野中尉に預かって貰っていた拳銃を手に取った。

 

「それじゃ、表の扉が開いたら突入してくれ!」

 

「えっ、良介さんっ⁈ あっ!」

 

 F-21が着陸態勢に入り、周囲をジェットエンジンの爆音で包み込む。

 このような騒音まみれの環境では足音のひとつやふたつ、聞き逃すのも当然の話だ。

 

 目張りされた格納庫の死角から静かに、かつ素早く接近する。

 懐まで飛び込むと、今度は雨樋のパイプ───縦樋(たてどい)を掴んでよじ登った。

 格納庫の屋根によじ登ると、良介は後を追ってきた彼女に手を差し伸べる。

 

「ついてこなくてもよかったのに」

 

「言っただろう? 私もぺんぎんだ」

 

 あくりの手を取り、引っ張り上げる。

 中から銃声や、騒ぐような気配は感じない。

 この間、1分にも満たない時間だ。

 

「して、案は?」

 

「中の状況次第だね」

 

 格納庫の屋根からは、潜入する手段がある。

 巨大な建築物であるが故に、トラブルへの備えは必須。

 というわけでメンテナンス用のハッチが用意されているのだ。

 

 それも、斗米基地で類似する格納庫の屋根に登った経験もある。

 簡素な鍵ひとつだけでロックする代物だ。

 コツこそいるが、素手でも破壊可能だ。

 

 良介とあくりは、音を立てないようにそこへ忍び寄った。

 

「こんなところに入り口が……」

 

「ああ。ちょいちょい来てないとわからないだろ?

ここから入ろう……」

 

「待て。その錠はこう開けた方がいい」

 

 そう言ったあくりは、魔法で氷のナイフを生成。

 細い刃をハッチの隙間に差し込むと、何度か前後させた。

 まるでノコギリのように刃は動き、しかし静かに錠へ食い込んでいく。

 

「ギコギコはするんだな……」

 

「なに?」

 

「いや、なんでもない」

 

 やがて音もなくロックは寸断された。

 

「お見事」

 

「むん」

 

 静かなドヤ顔を一瞥した良介は、ハッチを開いた。

 メンテナンス用だけあって、積極的に人が立ち入ることを想定した作りではない。

 

 申し訳程度のハシゴに手元を照らす照明など一切なく、降りた先もキャットウォークですらない天井の(はり)

 良介とあくりは手すりすらない足場に、そっと身を下ろした。

 

 そこからそっと、格納庫を見下ろした。

 

「今降りてきたのは、イグルベだぞ!」

 

「やっぱりアダルチは……やられたのか?」

 

 そういえば、彼らは肌が黒いと評されていたな。

 見れば───確かに、戦闘員らしき男は肌が黒い。

 

 イグルベ隊と面識のある連中、そして彼らと同じく黒い肌を持つ。

 思い浮かぶ可能性は、同郷のエジーレン人民共和国出身者。

 

───クルーヴィナ連邦の連中じゃなかったのか……?

 

 その辺りこそ、イグルベ隊の連中に聞いた方がいいだろう。

 今はお前がやるべき事に集中するべきだ。

 

 戦闘員は地上階に3名、キャットウォークの最奥───

 よろしくないことに、扉の制御盤目前の窓で近衛軍と睨み合っていた。

 先ほど、良介を銃撃したのはこいつだろう。

 

 敵戦闘員はたったの4人しかいないのだ。

 他に隠れる場所もないので、間違いない。

 

 それに、装備も良好とは言えない。

 地上階の戦闘員は旧式のク連製短機関銃(サブマシンガン)を抱えていた。

 

 40年代の旧式で、しかも弾倉も特徴的なドラム弾倉ではないバナナ型弾倉だ。

 発射速度こそ脅威のレートだが、30発程度しか入らない弾倉ではあっという間に尽きる。

 

 格納庫には、予備弾倉や兵器の類は見当たらない。

 ところどころに見受けられる真新しい血痕と、傍に置かれた手術道具(・・・・)

 

───なるほど、徹底的に情報を伏せるわけだ。

こんなデカいとこに4人しかいないとバレたら、数で押されて終わるからな。

 

 人質は───3人いる。

 全員が格納庫中心部の目立つ場所で拘束され、うちひとりは仰向けに寝転がっている。

 

───女の子だ……腹部に、黒いシミが見えるのは気のせいじゃないだろう。

 

 性別年齢は関係ない。

 が、負傷している可能性が極めて高い。

 これは無視出来ない情報だ。

 

 動いているため、命はあるのだろうが───

 明らかに弱々しい、痙攣(けいれん)に近い動きだ。

 衰弱しているのは間違いないと見て良さそうだ。

 

───こりゃ、情報伝えて出直すって手は使えないな。

 

 速やかに状況を制圧しなければ、彼女の命が危うい。

 

 あくりと視線を交わすと、彼女は頷いた。

 ふたりは自然と散開し、良介はキャットウォークの制御盤へ向かった。

 

 太い梁と細い梁、梁を渡り歩き、スナイパーの頭上へ。

 彼が構えているのはクルーヴィナ連邦製の旧式小銃に、狙撃用スコープを載せたものだ。

 

 人差し指は引き金ではなく、銃の側面に這わせている。

 いきなり襲い掛かっても、うっかり暴発することはない。

 

 梁を掴んでぶら下がり、スナイパーの真上まで迫り───

 手を離す。

 

「ぐえっ」

 

 3メートルほどの高さから飛び掛かり、スナイパーを押し倒す。

 

「なにがっ……!」

 

 首筋に腕を通し、筋肉で気管と頸動脈を圧迫する。

 数秒間、彼はもがき苦しんだが───

 脳への血流を阻害されて、間もなく意識を失った。

 

 失神しただけだ、殺してはいない。

 

「スナイパー排除(クリア)……」

 

 すぐそばに扉の制御盤が。

 ここを開ければ、敵は間違いなくトラブルに気付く。

 あくりのアドリブ力が、敵を上回る事を祈るしかない。

 

 制御盤のノブを、閉から全開へ。

 確かに、猿でもわかる操作方法であった。

 

 唸りを上げて、正面の大扉が動き出した。

 

「なんだっ⁈」

 

「ケリーっ! 一体何を……⁉︎」

 

「人質を連れて来いっ! 盾にするしかない!」

 

 地上階の戦闘員2人が大慌てで中央へ駆け寄ると、人質の腕を掴み───

 

「そうはさせん」

 

 突如、暗闇が腕を伸ばした。

 そう形容してしまうほどに、あくりの姿は素早かった。

 

 なんと梁から飛び降りた彼女は、戦闘員の頭上から飛び降り───

 真下へ突き立てた氷の刀を鎖骨の隙間に突き刺し、落下の衝撃を死体で緩和した。

 

「なっ……」

 

「ふっ」

 

 彼女が持つ刃は魔術で生成したもの。

 ご丁寧に引き抜く必要などなく、刺さった刃から手を離し、新たな刃を生成した。

 

 その早業に、戦闘員の片割れは銃を向ける暇もなかった。

 振るわれた刃は、一太刀で首を空中に()ね飛ばした。

 

 残る最後のひとり。

 突然の状況に、出来るのは銃を向けること。

 こうなる事はわかりきっていた。

 

 良介は借りた拳銃のスライドを引き、弾を薬室に送り込んだ。

 瞬きする間に3発の銃弾が撃ち込まれ、男の銃と右腕、そして腹部に命中した。

 

 銃、そして筋肉と臓物の破片が格納庫の床に撒き散らされた。

 

「ぐっ、があああっ……」

 

 状況は制圧、と見てもいいだろう。

 傍に横たわるスナイパーも、意識を取り戻す気配はない。

 

「突入! 突入!」

 

「良介さん! 空戦姫! ご無事……うわっ」

 

 近衛軍が突入を始め、開いた正面扉から飛び込んで来た。

 彼らが真っ先に見たのは、血みどろの中央部だろう。

 

「私は大事ない。良介!」

 

「俺はここ! もうひとり、ここにいるぜ」

 

「……はぁ。あんたらといると、退屈する暇がないな」

 

 耕作は呆れた様子を隠さずに言った。

 良介の意識は彼よりも、その後に続いて入ってきた集団に向けられた。

 

「失礼、諸君。同じ肌の色をしているが別人だ。

撃たないでくれ」

 

 イグルベ中隊。

 良介とほぼ同時期に葦原内戦に参加した傭兵集団。

 

 彼らを葦原に派遣したのは、エジーレン人民共和国。

 外貨獲得の手段として、対立部族出身者を国外の紛争に送り込んでいるのだ。

 思っていた通りの人間が、最高のタイミングで現れてくれた。

 

「ようリック。あんたらがここにいるって事は……」

 

「ご明察だ。こいつらは、うちのご近所でね。

立ち話もなんだ、降りて来てから話そう」

 

「了解。耕作くん、こっちに人を。

生きてるけど意識ないんだ」

 

「うっす! 田淵、後藤。しょっぴいて来い」

 

 これで、ひとまずここは安心だろう。

 倒れたスナイパーを視界から外さず、良介は少しだけ力を抜いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ベルリク戦記 ー 戦争の生涯 ー (作者:さっと/sat_Buttoimars)(オリジナルファンタジー/戦記)

 ベルリクは好んで譲らず先頭に立って突撃する指揮官の鑑。知恵と勇気に優れる。▼ 戦争の狂気に浸っては平和を好まず、日頃から総力戦体制の構築に勤しんで先制攻撃を尊ぶ。▼ 身一つから成り上がっては世界を股にかけて歴戦の仮借なき軍勢を送り込み、やがては史上最大の殺戮破壊者へ至るだろう。▼ この世界に国際条約は存在せず、大義や国益があっても正義や悪に容赦や人権は無い…


総合評価:526/評価:8.59/連載:337話/更新日時:2026年08月12日(水) 15:34 小説情報

日本国召喚~帰還艦隊~(作者:シェリダン)(原作:日本国召喚)

もし大日本帝国海軍東遣艦隊及び陸軍第〇軍が帰還した先が、転移後の現代日本だったら?というお話です。旧日本軍の兵器を魔改造したりやりたい放題な作品です。▼※執筆にはAIが書いたものを修正等を行ってます。


総合評価:282/評価:8.44/連載:20話/更新日時:2026年07月16日(木) 02:26 小説情報

マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!(作者:八雲ネム)(原作:Muv-Luv)

BETAとの戦争より、2万年前。▼ゴジラを含めた当時の怪獣との戦争の最中、2つの異星文明が来訪した事によって技術が急激に発展したものの結局はゴジラ・アースによって徹底的に破壊され、歴史の表舞台からその痕跡が消された筈だった。▼しかし、当時の人類が必死になって新しい人類の文明が発達して対抗できる日に向けてゴジラから自分達の技術を隠した結果、僅かながらに残す事に…


総合評価:498/評価:7/連載:23話/更新日時:2026年08月09日(日) 06:00 小説情報

【TS】弱小国の王女に転生してしまいましたわ!(作者:まさきたま(サンキューカッス))(オリジナルファンタジー/コメディ)

異世界転生してしまった俺は、顔だけは良い王女様に生まれ変わった。▼今世は溢れる知性と圧倒的なパワーで、チート無双なスローライフを送る!▼……なんて、甘い話はなく。▼生まれ変わった俺は、無駄に良い顔面と王族という権力を持っているだけの凡人であった。▼こうなれば仕方ない。俺の代わりにチートキャラ集めて、無双してもらうか。▼・SQEXノベル様から書籍1巻を発売中で…


総合評価:39962/評価:8.9/連載:88話/更新日時:2026年08月12日(水) 21:00 小説情報

自宅に届いた『惑星開発キット』で、社畜SEは異世界工場の管理者になる ~運用保守はもう終わり。現代の物資と無限の資源で、銀河規模の自動化帝国を築き上げます~ (作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル現代/冒険・バトル)

システムエンジニア、工藤創一(30代・独身)。 彼の仕事は、誰が作ったかも分からない継ぎ接ぎだらけのシステムを延命させる「運用保守」。創造性のかけらもない、謝罪と徹夜の日々だった。▼ある夜、帰宅した彼のもとに謎の荷物が届く。 送り主は『賢者・猫とKAMI』。中に入っていたのは、異惑星『テラ・ノヴァ』へと繋がるゲート・キューブだった。▼「鉄鉱石の埋蔵量、480…


総合評価:19070/評価:8.67/連載:268話/更新日時:2026年08月12日(水) 20:14 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>